Vol.1 武内好幸さん

群馬県発 自社製品の開発・販売に注力するソフトウエア会社

株式会社プライム 武内好幸 さん
群馬県高崎市

高精度の製品をスピーディに作成。プログラム言語数の多さで差別化

事業内容は?

コンピュータのシステム設計・開発、ネットワーク構築のほか、ネットショップ用にアプリケーションを開発するECサポートも行っています。また、不動産業者向け賃貸管理システムを開発・販売するなど、自社製品の開発・販売にも注力しています。時代にマッチした製品を開発するには、常に最先端の技術が必要とされますが、その技術を駆使して新しいシステムをつくり出すことが、この事業の最大の魅力ですね。

その事業はどのような顧客・市場を狙っている?

設立当初から続けているシステム設計・開発は請負作業ですので、ソフトウエアメーカーやシステム・インテグレーターが主な顧客となります。ネットワーク構築やECサポート、自社製品開発・販売は小規模オフィスがターゲットとなるため、エンドユーザーが主な顧客です。今後はエンドユーザーへのサービス提供をより強化していきたいと考えています。

同業者や競合との差別化ポイントは?

ソフトウエア開発で使用するプログラム言語数が多いことでしょうか。約10種類の言語に対応でき、データベースも約7種類の製品を扱っています。大手のソフトウエア会社では当然のスキルでしょうが、私の会社の規模からすると、言語の多さは差別化になります。また、自分の知識や発想を生かし、いかに精度の高いシステムを短期間で作成するかということに設立当初から賭けています。いいものを早くつくることによってコストが下げられますし、顧客の満足度を上げることにつながりますから。

最低資本金制限の壁により、資金調達に四苦八苦!

起業のきっかけや動機は?

私は人一倍負けん気が強く、自らの意思と判断で仕事をしたいと考えていたので、自然と起業を考えるようになりました。それにこの事業で起業するために必要なのは、培ってきたスキルとパソコン1台。失敗してもリスクは低いと、思い切ってフリーランスとして独立したのは31歳の時です。それが1996年で、翌年に会社を設立しました。

軌道に乗せるための創意工夫や改善は?

私は人一倍負けん気が強く、自らの意思と判断で仕事をしたいと考えていたので、自然と起業を考えるようになりました。それにこの事業で起業するために必要なのは、培ってきたスキルとパソコン1台。失敗してもリスクは低いと、思い切ってフリーランスとして独立したのは31歳の時です。それが1996年で、翌年に会社を設立しました。

起業前の予想と起業直後の現実は?

勤務時代は簡単にマイカーローンが組めたので、起業後もすぐ融資が受けられるものと思い込んでいました。有限会社として法人化する際、当時は現在のように資本金1円でもOKという制度がなかったですから、最低300万円は必要。でも、共同経営者からの出資を合わせても150万円しかなくて。残り150万を得るために金融機関を回りましたが、どこもダメ。甘かったです。やっとのことで融資が受けられたのはJAでした。今でも保証人になってくれた親とJAには感謝しています。

これまであったピンチは? それをどうリカバリーした?

一番苦しかったのは、社員が精神的な病にかかり、作業途中のまま出社しなくなった時ですね。その仕事をカバーできる体力が当社になく、どうすればいいか悩みました。結果的に、社員全員に協力してもらうことで、なんとか納品しましたが。あの時は、本人にもほかのメンバーにも、本当にツラい思いをさせてしまいました。

東京進出を目標に「自らが、自らを育てるために学び働く」企業へ

現在の経営状況を評価すると?

これまでは、自分の経営者意識が低かったと反省しています。起業当初から会社を大きくしたいという気持ちがあったのですが、スタッフの仕事がなくならないようにと、目先のことばかり考えて10年が過ぎてしまった感じがしています。そんな意識だったから思った以上の企業成長ができなかったのだと。私は技術者であり経営者でもあるわけですが、今後は「経営者仕事」に比重を置こうと。今年の年初、経営方針、ビジョン、行動指針の設定、中長期経営計画と年度経営計画を改めて策定し、やり方すべてを見直しました。

いま、一番課題だと感じる事柄は?

売り上げ増加とモチベーションの関係です。企業として高い売り上げと利益を目指すことは当然ですが、その実現がスタッフのモチベーションの向上につながるかというと、そうでもない。単純作業や繰り返し作業が続くと、経営的にはメリットでも社員のモチベーションが下がる場合もあります。やり甲斐を感じられて、ワクワクする仕事ができる。しかも、売り上げも利益も増える。そんな仕事環境をかたちづくるためには何が必要なのかといつも考えています。「自らが、自らを育てるために学び働く」。そんな素晴らしい会社をつくりたいと思っています。

今後、実現したい経営上の目標は?

当社は7月が決算月なのですが、2009年の7月までに東京支社を開設するのがひとつの目標です。必ず実現しますよ! また、当社の強みである「品質の良い商品を早く、妥協せずつくる」というポリシーは変わらず守って、成長し続けていきたいと思っています。

武内さんのプライベート&ストレス解消法

スポーツで汗を流して健康を維持し、疲れは仲間とのお酒で流す

仕事に関してプロフェッショナルでありたいという思いが強いので、何をやっていても会社のことを考えてしまうんですよ。ただ、それでは精神バランスが崩れてしまうので、健康と体力の維持のために週3回ほどスポーツジムへ通って、体いじめに没頭しています(笑)。おかげでメタボリックにもならず、現在、体脂肪率12%!そのほかには、音楽や読書を楽しむことでストレス解消をしていますね。読書はビジネス書が主です。あとは、大好きな仲間と会っておいしいお酒を飲む。疲れている時はこれが一番!


【文】NICe編集委員 石田恵海