Vol.12 三好大助さん

愛媛県発 システム開発から  地域活性化まで担うIT企業

株式会社フェローシステム 三好大助 さん
愛媛県松山市

システム開発の技術力を武器に、地域に特化したネットショップ事業を展開

事業内容は?

花き卸売市場向けの機械せりシステムをはじめとする、ハードウェア、ソフトウェア両方の開発・販売・保守がメイン事業です。2005年度の松山市eビジネスモデル支援創出事業に採択されたのをきっかけに、ネットショップ「松山特撰市場」の運営を開始。小規模の生産者がこだわりを持って生産している、地域の隠れた逸品を掘り起こし、安心・安全・癒し・健康・エコを求める全国のユーザーに向けて販売中です。“商売繁盛クリエイター”として、地域の活性化に貢献し続けています。

その事業は顧客の課題を解決するのか?

地方の小規模生産者は、「チャンスがあれば全国のお客さまに商品を知ってほしい」と思いながらも、営業力が脆弱で、ITの知識も、ネット販売に関する知識も、さらには人材も、予算も少ない。それらの課題を解決すべく、限られた予算内でのIT化支援、および販売ノウハウの提供を行っています。

同業者や競合との差別化ポイントは?

商売繁盛クリエイターとして、新素材の発掘、商材の提案、企業間コラボのサポート、卸し先や、販売代理店の開拓など、お客さまの商売が繁盛するための様々なお手伝いができることです。

一度目の起業では挫折。その経験を生かして経営理念と経営計画書を綿密に

起業のきっかけや動機は?

前職のシステム会社の事業所が、バブル景気崩壊のあおりを受けて閉鎖されることに……。当時、取り組んでいた仕事は長期のプロジェクトでしたから、お客さまに大きな迷惑をかけることになってしまったのです。なんとかお役に立てないだろうか悩んだ結果、起業してその仕事を引き継ぐことを決意。仲間を誘って有限会社を立ち上げました。実は過去に一度、カー用品の訪問販売業で起業し、失敗しているんです。友人の誘いに乗り、一緒に起業したのですが半年で挫折。その経験をもとに、「何のために仕事をするのか」「この会社の存在意義は何なのか」など、経営理念や経営計画書の作成は早い時期から着手しました。

起業前の予想と起業直後の現実は?

前職でお取引いただいていた大手のお客さまとも円満に契約ができ、スタートはいたって順調でした。システム会社に7年勤め、私自身もプログラミング技術を習得していましたし、SE・プログラマーとして高い技術力を持った社員も活躍してくれ、設立当初から黒字を出すことができました。特に自動せりシステムは、50分の1秒という一瞬の間に1000人が同時にボタンを押しても、誰が一番早くボタンを押したかを判定する仕組みや、インターネット上でのリアルタイムせり取引を実現する仕組みなど、高度な技術を考案。商取引の高速化に貢献できたと思います。

これまであったピンチは? それをどうリカバリーした?

株式会社への組織変更や、自社ビルを購入するなど順調だったのですが、創業6年目に初の赤字、一気に債務超過となりました。要因は、もともと創業メンバーが全員技術者だったため、急速な人員拡大に対して人材の育成や管理が追いつかず、また、技術指向で営業を軽視していたために受注が激減。残念ながら、社員を半数に削減せざるを得ませんでした。猛反省しました。それからは、経営者向けの勉強会に積極的に参加するなどして勉強し、無駄な経費の削減を徹底しました。

テクノロジーを軸に、人間味溢れるアドマイヤード・カンパニーへ

いま、一番課題だと感じる事柄は?

新規事業への投資負担が重く、人員配置などのバランスが崩れていて、状況は良くないです。せっかくつくった経営指針書の活用も今ひとつという状況です。大きなターニングポイントを迎えていますが、ピンチをチャンスに変えることで現状を乗り越え、より強い会社に進化できるものと考えています。というわけで自分自身、経営者としてのさらなるスキルアップの必要性を痛感しています。

さらに伸ばしたいと思う強みは?

まず、社員全員がとても誠実で、みんながお客さまのことを一番に考え、お客さまのために最善を尽くす社風こそが、当社の最大の強みです。自立型人材を育成し、社会とお客さまにより貢献できるよう、この強みをどんどん堅固なものにしていきたいと思っています。

今後、実現したい経営上の目標は?

まず、3年以内に年商1億円企業にすることです。昨年、北海道立工業技術センターと共同で、劣化した8mmフィルムを修復する装置を開発しました。今年(2008年)7月には、本技術で特許も出願。秋から本格的な事業開始に着手します。また、本技術を、劣化マイクロフィルムの修復に転用させるための研究も始めました。顧客対応の良さに加えて、技術力を強化し、小さくともキラリと光る会社を目指します。

事業を継続発展させることよって実現したい夢は?

社員とその家族が自慢できたり、誇りに感じられるような会社。地域に喜ばれ必要とされる会社。お客さまや取引先から感謝や賞賛を浴びるような会社。そんなアドマイヤード(尊敬される・憧れる)・カンパニーとなることが夢です。ITを軸とし、ありとあらゆる人の人格や個性が尊重され、一人ひとりがいきいきと幸せに、豊かに自立して生活できるユニバーサル社会の実現を目指しています。

三好さんのプライベート&ストレス解消法

読書とお笑い系番組、家族や仲間とのひととき

暇があれば読書をしています。主なジャンルは歴史小説とビジネス書ですね。テレビはあまり見ないのですが、お笑い系だけは大好きで見てしまいます。ストレス解消は、家内と一緒に愛犬と戯れること。ひとりで庭の草むしりをすること。おいしい食事とお酒を楽しみながら仲間と語り合うことです。ちなみに愛犬はヨークシャーテリアで、「ハイジ」が生んだ、「ペーター」と「ゆき」ちゃんの3匹を飼っています。家内が『アルプスの少女ハイジ』が大好きで命名しました。物語に登場する「ゆき」ちゃんはヤギですけどね。


【文】NICe編集委員 岡部恵