Vol.13 宮下由美子さん

長崎県発 離島やテーマパークに自ら出向き、 手づくりの楽しさを伝えるパン教室

みやしたゆみこパン教室宮下由美子 さん
長崎県長崎市

競合のいないエリアで教室を開講し、初心者からプロを目指す人までを指導

事業内容は?

パンづくりの楽しさを伝えるためのパン教室の運営です。私の自宅を使った少人数制の教室や、自宅のオーブンでおいしいパンをつくってみたい人などを対象にした出張講座、沖縄や五島列島などの離島での講座、ハウステンボスなどのテーマパークでの講座などを開催しています。さらに、パン教室を開きたい人のためのプロ養成講座も実施。そのほか、個人事業主として様々な分野で自分の能力を社会で役に立てていきたい方々を対象にした一般的な起業支援活動も行っています。

同業者や競合との差別化ポイントは?

まず、競合がほとんどいない場所で教室を開いていることが大きなポイントです。「どこにもないから来ました」という生徒さんが多いですね。パンづくりをしたことのない方やパンづくりは難しく面倒だと思っている初心者から、いつか手に職を持ってみたいと考えてパンづくりをそのきっかけと考えている方、実際にプロを目指している方など生徒さんの種類は様々。年齢層も20?60代とバラバラです。私自身、個人で運営しているので、教室のレベルもお客さまのニーズに合わせやすいというメリットもあります。パンの本や自分で食べておいしかったパンを持参されて「こんなパンをつくりたい」とリクエストされる生徒さんもいますが、そのためのレシピを私が作成して提供するのも、ほかがやっていないサービスだと思います。

チャレンジと失敗を繰り返し、精神的なタフさを身につける

起業のきっかけや動機は?

一般企業で働きながら、料理教室に通っているうちに、パンづくりの面白さに開眼! 一気にパン教室を運営する自分をイメージが明確になり、決断しました。その後の2年間は、料理学校のパン専門講師をしながら、ベーカリーでアルバイトをしたり、ひとりでフランス、イタリア、ドイツ、地中海などへ行ってパンの食べ歩きツアーをしたりと、とにかくパンとかかわる時間を過ごし、故郷の長崎で開業しました。長崎の女性たちを元気にしたい。そんな思いも強かったんです。

起業前の予想と起業直後の現実は?

起業前は、おしゃれで自由で楽々なフリーランスのイメージ(笑)。しかし、楽々というわけにはいかず、独立後3年間はチャレンジをして失敗しても、その失敗から何を学べばいいのか、そのノウハウもわからず、失敗するといちいち落ち込む精神的な弱さがありました。そこで、本を読んだり、人に会ったり。また、勉強会に何度も参加することでさらなる人との縁に恵まれ、そんな中で「自分が本当にやり続けたいことは何なのか」を考え続けたことで、タフな精神力が身についたのだと思っています。

これまであったピンチは? それをどうリカバリーした?

スケジュールがいっぱいになりすぎて、自律神経に支障をきたしてしまったことです。それからは何事も優先順位を明確にして、すべての生徒さんのニーズに応えようと風呂敷を広げすぎず、今自分ができる範囲の最適なサービスを提供することを心がけています。

生徒の意見を吸い上げるシステムを構築し、人と人の縁を広げる存在に

いま、一番課題だと感じる事柄は?

ひとりで運営していることで小回りがきく半面、生徒さんに対してのアフターフォローがまだまだできていないところがあると思っています。もっと質問できたり、意見を言えるようなシステムをつくっていきたいですね。直接私に言いにくいことでも、気軽に聞いてもらえるような。それができると、生徒さんへのさらなるサービス向上になりますから。うまく構築していきたいと考えています。

さらに伸ばしたいと思う強みは?

今後も現在の事業を続けながら、自分を信じる精神力の強さや、アイデアが浮んだ時にすぐ行動に移せる力をさらに強固なものにしていきたいですね。なので、自分のポジションをあまり決めつけることなく、もっともっと努力をして、自由に動いていきたいと思っています。これからも失敗を恐れず経験値を増やしていきたいです。そしていつか、自分が人と人とのご縁をつなげ、さらに広げる存在になれればと考えています。

宮下さんのプライベート&ストレス解消法

文章トレーニングや信頼できる人との会話で自分磨き!

ストレス解消は、何といっても家族や友人との会話です。私は自分のことやマイナスなことは口外しないほうだったのですが、それに執着して苦しくなるのなら、自分のことをもっとありのままに表現してもいいのかなと思い始めました。ありのままの自分の心を表現できる人間関係を構築していけるようになってくると、素の自分を肯定でき、愛されているという安心が仕事への自信や余裕にもつながるはずだと。家族や友人との会話のおかげで、以前よりも弱い自分を表に出せるようになりました。あとは最近、文章力をきたえていますね。ブログを毎日書いているのですが、それだけでは自分の表現力に限界を感じてきまして……。プロの文章を書き写すトレーニングをスタートしています。


【文】NICe編集委員 石田恵海