Vol.14 ドラビゾン純恵さん

福島県発 外国語教育と子育て支援で 共生と復興を目指す地域創造事業

株式会社クリフ ドラビゾン純恵 さん
福島県福島市

翻訳・通訳は多言語に対応。子を持つ親を元気にする支援事業も開始

事業内容は?

外国語に関わる様々な事業を行っています。英語、フランス語、中国語、韓国語、タイ語、インドネシア語など、多言語によるドキュメント翻訳や通訳業務。外国語教室の運営。保育園・幼稚園・小学校に向けた国際理解講座の提案と実施。企業向けの英語講座や国際対応力研修、国内、国外研修旅行の企画提案。企業や団体、地域による国際交流事業のサポートコンサルタントおよび、それにともなう講演や著作活動。今後は、自分自身が子育てをしながら仕事をしている母として、子育て支援に関する事業を強化していきます。そのメインとなるのが、新しい視点で子育てに臨めるような「子育て支援冊子」の発行。女性を、子を持つ親を元気にさせるべく頑張ります。

その事業はどのように顧客の課題を解決するのか?

企業が社員向けの英語研修を行うケースは多いですが、それとともに必要なのが国際社会での対応能力、異文化対応能力です。同じ言語を使う日本人同士であっても、人と人とのコミュニケーションは難しいもの。ましてや、文化や宗教、習慣が違う外国人が相手となると、何かと障壁があり、ものごとがスムーズに運ばないことも多々あります。そこで、その障壁をできるだけ払しょくし、お互いにお互いの立場を理解することで、コミュニケーションを活性化させる方法をお伝えしています。また、子育て支援事業に関してですが、核家族化が進む中で、子どもと親をとりまく環境は、とても厳しいものとなっています。また、情報化社会が進み、どの情報が自分にとって適切なものかを見極めるのは困難なこと。「子どもは社会の鏡」「子どもは社会の宝」であるように、親自身が心身ともに元気であることが大事であり、しっかりとした生き方を示さなくては。そのためのお手伝いをすることで、大人も子どもも元気になれば、地域も活気づいていくのではないかと考えています。

共同経営参加後の再起業。基本に立ち返り、最大の強みで売り上げを確保

起業のきっかけや動機は?

実は、この起業は2度目の挑戦。以前は共同経営で外国語スクールを運営していました。自社校舎を建設するなど順風満帆でしたが、わけあって、その会社を退任することになり、再起業したのです。経営の安定していた共同経営から離れること、ましてや再起業するには、かなりの勇気が必要でした。ある企業がそれまでの経験を買ってくれ、かなりの好条件で転職のオファーをいただいて悩みましたが、「どうしても自分でやりたい!」という思いがあったので決断しました。

軌道に乗せるための創意工夫や改善は?

創意工夫とはいえないかもしれませんが、再起を応援してくれる人もいるし、新しいつながりもできました。結局は、「自分はどうしたいのかをハッキリと示すこと」が重要で、それに向かって前進している姿を見せることができれば、応援者も増えていくと信じています。また、再起業といえども重要なことは、基本に立ち返って、まず固定の売り上げを確立すること。私の場合は英語スキルがあったことと、今までの人脈で英語スクールを小規模でスタートすることで固定売り上げを確保しました。

これまであったピンチは? それをどうリカバリーした?

それまでの共同経営から抜け出して再起業へと、その急な展開自体が最大のピンチといえるでしょう。再起後は、以前の共同経営とは違って、「何ごとも自分自身で決定しなくてはいけない」と感じ、不安に陥ることの連続。何が不安なのかがはっきり見えなくて、ただただぼんやりと不安な時、そんな時が一番つらいですね。しかしこれは心の問題。誰も埋めることはできないんです。だから気持ちを切り替えて、自分で自分のモチベーション維持していくための工夫がとても重要だと考えています。モチベーションが高まるのは、プレゼンテーションなどで、自分の思いがお客さまにきちんと伝わった時。それが仕事につながるかどうかは二の次というと変ですが、受け入れていただけたと実感できることが最大の励みとなり自信につながります。弊社のような小さな企業は「社長の想い」が重要だと思っていますので、一つひとつの喜びが、必ず後につながるものと信じています。

子育て支援事業を強化すべく、新しい視点で地域の実例を紹介する冊子を発行

いま、一番課題だと感じる事柄は?

個人としての自分と、会社代表としての自分の使い分けです。特に今は少人数による運営なので、家族的な温かい関係が築けているのはいいのですが、ともすると、言わなくてもいいことまでスタッフに口走っている自分がいて反省しきりです。私自身、会社の代表としての自覚を持って、自分自身の鍛錬とスタッフの育成、その両方が急務だと考えています。

さらに伸ばしたいと思う強みは?

来春、本格的な定期発行を予定している子育て支援冊子ですが、つい最近、創刊準備号を発行することができました。誌名は『Agenda/アジェンダ』、アジェンダとは、「議題、取り組むべき課題」といった意味。コンセプトは、「今までとは違った視点から考える子育て支援冊子」。たとえば特集ページでは、親の心、子どもの心に焦点をあてて、精神科の医師やカウンセラーなど、専門家の話をじっくりと紹介。さらに、地域社会で活躍する人をピックアップして、家庭、子ども、仕事と生活の調和、他文化共生や環境問題など、グローバルな視点で実例を取材して、多くの人に役に立つ情報を提供していきます。これを子育て世代の親を応援する行政、地域、企業をつなぐコミュニケーション情報誌として、小学校、幼稚園、保育園に置かせてもらい、子どもを通して保護者に配布。また、青少年育成関係施設、病院や協力企業、地域のショップなどにも設置する予定です。

事業を継続発展させることよって実現したい夢は?

社名のクリフはアルファベットで「C・R・F」と記載しています。これは、「Communication・Renaissance・Fukushima」の略です。ここ福島という地域社会に新しい息吹を興し、弊社を、子どもの育成や女性の地位向上、そして、多文化、多世代によるコミュニケーションを図るための拠点へと成長させることが私の夢です。

ドラビゾンさんのプライベート&ストレス解消法

移動の車の中で、好きな曲を一人で熱唱!

会社と家庭、仕事と子育てとがうまくかみ合い、いいバランスで保たれていることが最大の心の安らぎとなりますね。子育てそのものがストレス解消の源だと感じているので、どちらも存分に楽しんでいます。とはいえ、仕事でトラブルが続いた時など、思いっきり発散したい心境になることも。そんな時は、カラオケ店に直行といきたいところですが、今はその時間をつくるのも難しい。そこで、移動の車の中で、好きな曲をかけてひとりで熱唱(笑)。もちろん、窓はピシッと閉めて。コレ、けっこう効きますよ!


【文】NICe編集委員 田村康子