Vol.2 本部映利香さん

鹿児島県発 ブライダルをトータルで演出するウエディングカンパニー

株式会社ドゥーイット 本部映利香 さん
鹿児島県姶良町

結婚式、披露宴、パーティー、そのすべてがオーダーメード

事業内容は?

お客さまのご要望に応じて、レストランやホテルの紹介、披露宴、パーティーの演出、さらに、ドレス、ペーパーアイテム、引き出物などの提案まで、ブライダルに関するトータルプランニングを行っています。また、起業家としての経験を生かすことも私の使命だと思っていますので、最近は売り上げアップや集客のためのコンサルティングや人材育成事業も進めています。

同業者や競合との差別化ポイントは?

1件1件の結婚式や披露宴、パーティーなどを、すべてオーダーメードで提案している点が当社の強みです。演出に関しては、新郎新婦から希望をじっくりお聞きして、プランナーが最初の相談から結婚式の当日までつきっきりでお世話しています。特に新婦にとっては、ドレスや着物だけでなく、アクセサリーやブーケなど、アイテムの一つ一つが一生に一度だけ身につける大切なものとなるわけですからね。提携している専属の美容師がヘアスタイルを決め、ティアラやアクセサリーなども各種取りそろえてご提案しています。なにしろ結婚式前の準備は多岐にわたります。できるだけご本人たちの負担が減らせるように、どんな質問やオーダーにも即座に的確に応じるが私たちの役割です。たとえば、「案内状の文章をどうすればいいのか」、なんてことで悩まれる方も多いんです。そんな時も、「こんな文章がいいでいよ」と、すぐお答えしています。

資金が底をつくという経験から、経営者としての自覚や責任が確固たるものに

起業のきっかけや動機は?

最初の起業は、16歳の時です。祖父の代から続いていた家業が傾いてしまい、このままでは高校の授業料も払えないと宣言され、「だったら自分で稼ぐしかない!」と奮起してしまった(笑)。当時の仕事は香典返しのカタログ販売。授業が終わったら制服からスーツに着替えて営業する毎日でした。初年度に300万円の利益を上げることができ、その後も順調でしたが、当時、本当にやってみたかったのは旅行関係の仕事。それもあって高校卒業後はいったん社長も卒業し、旅行関連会社に就職しました。しかし、「起業したい」という気持ちが心の底でうずいていたのでしょう。仕事でアメリカに行った時に、プロのウエディングプランナーの存在を知って「コレだ!」と。会場やアイテムの手配だけでなく、さまざまな演出まで提案するこの仕事に成功の可能性を感じたんです。それで、ウエディングビジネスを個人事業としてスタートしたのが21歳の時。会社を設立したのは23歳の時でした。

これまであったピンチは? それをどうリカバリーした?

本当に恥ずかしいことですが、法人化して3年目に資金が底をついて、財布の中に残り400円という状況に。感触だけで業績好調と思い込んでしまって、キャッシュフローの管理を怠っていたんです。思いきって信頼しているコンサルタントの方に相談したら、「3カ月間、私のカバン持ちをして勉強しなさい」と。お客さまへの対応から金銭管理まで、すべてを実地で見させていただいたうえに、その間の交通費や食事代まで……。それまでの自分を猛反省し、経営者としての自覚や責任を持つことができました。

先輩起業家として、今後は起業家予備軍の支援にも力をそそぎたい!

いま、一番課題だと感じる事柄は?

今年30歳になるのですが、世間では30歳というとまだまだ若造なんですよね。仕事内容や業績よりも、まず「若いおネエちゃんが……」と見られてしまう。でも、これは自分の責任でもあると思うんです。事業を正当に評価してもらうためには、「自分自身を、わかりやすく売る」、そして「若い人たちをどんどん育成しながら実績を高める」。これからはこの2点に注力していきます!

さらに伸ばしたいと思う強みは?

やはり、私の強みは16歳で起業したこと。挫折を繰り返しながらも、経営者としての経験すべてが今の私にとってかけがえのないものになっていることも確かです。私が培ってきたことを若い人たちに伝えながら、「起業したい」という明確な目標を持っている人には、きめ細やかな支援をしていきたいと考えています。スタッフも成長して、ある程度仕事を任せられる状況になっていますので、そのための時間を割けるようになりました。そこでスタートさせたのが「ドリーム ドゥーイット プロジェクト」という若者育成事業です。起業や独立を計画している人たちの中には、ノウハウがない、資金がないなど、初めの一歩で躊躇してしまう人も多いはずです。そんな人たちが、起業家としてのスタート地点に立てるまで、先輩として応援していきたいと思っているんです。

本部さんのプライベート ストレス解消法

カラオケ歌いまくりでひとりステージ状態 出張先でプチ観光

実は4歳の男の子の母でもある私。出張も多いので、休みの日にはできるだけ子どもと遊ぶようにしています。彼の楽しそうな姿を見ているだけでも、「あー、この子の母でよかったー」って思います。ストレス解消は、カラオケで歌いまくること。いつもひとりステージ状態になってしまい、周りの人にとっては迷惑かもしれないですが(笑)。いや、でも、仕事でいろいろな人と出会えることが私にとっての何よりのリフレッシュなんですよね。あと、出張の際はスケジュールを工夫して、できるだけ周辺をプチ観光するようにしています。ご縁のあった方たちの地元環境を知ることも大切ですし。たとえ短い時間でも、その場所の景色や空気感を満喫するようにしています。


【文】NICe編集委員 田村康子