Vol.3 水上嘉寿也さん

奈良県発 顧客の愛車も気持ちも 磨きあげる出張洗車サービス

洗匠社 水上嘉寿也 さん
奈良県葛城市

電源 水も持参して顧客の希望場所に出向く、洗車&ポリマーコーティング施工

事業内容は?

自宅や職場など、お客さまが希望される場所へ出張し、手洗い洗車とポリマーコーティングを提供。高圧洗浄コンプレッサーや特殊溶剤などはもちろん、洗浄用の水・電源もこちらから持参して洗車サービスを行っています。

事業はどのような顧客・市場を狙っている?

普通に考えれば富裕層をターゲットの中心にすべきなのですが、僕はもっと大衆的なサービスにしたいと考えたんです。仕事が忙しくて洗車する時間がないビジネスパーソン。子育てや家事に追われて洗車する暇がない主婦。機械洗車は早くて安いけど、キズが付くから本当はイヤだと考えているカーマニア。そういう方々の自宅などへ出張して洗車しますから、目の前でみるみる愛車がきれいになっていく様子も実感できる。これは絶対に喜ばれるはずだと。車は必ず汚れるものなので、ニーズは大きいと思いました。

同業者や競合との差別化ポイントは?

一番は電源や水も持参するため、お客さまにいっさい手間をかけないことです。コストの関係上、半年程度の長期契約を条件にしている業者が多いのですが、僕は単発でも急なご依頼でも、お客さまの要望を最優先にして柔軟対応しています。車が汚いと思った途端、気になってしょうがなくなることってあるでしょう? 僕自身、「あっ、今日散髪に行きたい」と思うと我慢できなくなるので(笑)。気軽に依頼してもらえるよう務めています。

メタボによる病気休職。独学で技術を習得し、奈良を拠点にサービス開始

起業のきっかけや動機は?

家電量販店に勤めていた頃、僕は店で売り上げ成績ナンバーワンでした。ですが、肥満からくる病気で倒れ、退職……。150kgから60kgダイエットし、体調は元に戻ったものの35歳を超えると家電業界での再就職は難しい。それから起業するためのアイデアを模索し始めたんです。出張洗車を思いついたきっかけは、知人の奥さんとの雑談です。「車が汚れているけど洗車しないの?」と聞くと「育児と家事で忙しくて洗車する暇がない」と。昔から人に尽くすことが好きだったので、自己流で洗車してあげたらとても感謝されたんです。何らかの理由で洗車できない人も多いはずだし、人の手助けにもなると思い起業を決意しました。

起業前の予想と起業直後の現実は?

ちなみに起業前の半年間で様々な車種100台以上を無料で洗車し、とことん技術を磨きました。知り合いにお願いしまくって(笑)。実はかなり忙しくなると思っていたのですが、実際に営業を開始してみると、想像以上に需要の掘り起こしが難しくて……。今なお苦戦中です。奈良県は軽自動車の販売台数が多いんですよ。でも、実際は他府県からの依頼のほうが多いのが実態。一番のショックでした。

洗車サービスの認知拡大と、得意な家電関係サポートとの融合も目指して

現在の経営状況を評価すると?

2007年10月に開業して約8カ月。ポスティングしたり、ネットで洗車前後の実例を紹介したり、出張用の専用車もひとつの広告看板になると思ってなるべく高速を使わず一般道路を走ったり。でも、まだまだ売り上げが少ないので、自己評価は30点くらいです。もっとターゲットや宣伝の切り口を変えていく必要があると感じています。

いま、一番課題だと感じる事柄は?

洗車台数をもっと増やしていくこと、会社をもっとアピールすること。それと同時に、出張洗車という言葉自体を世の中に定着させることが課題です。今後は、ネットの活用とクチコミからの販促で活路を見出していこうと考えています。また、年間契約の増加は経営の安定に繋がるので、その獲得にも集中していきます。

事業を継続発展させることよって実現したい夢は?

現在の目標は顧客数を100件までもっていくこと。まずは自分ひとりで回りきれないほどの洗車件数になるまで顧客を増やさないと。そして、洗車以外のいろんな出張サービスとの融合を図って、「洗匠社なら何でも依頼できる」というイメージづくりを目指します。前職の家電量販店では、コンピュータのトラブル対応やサポートもしていましたので、自分が得意な家電関係サポートの出張サービスも提供していきたいですね。将来の夢は、いつかセレッソ大阪のオフィシャルスポンサーになることです。

水上さんのプライベート ストレス解消法

三度の食事より好きなサッカー観戦でパワー充電

体が資本なので、体調管理に注意しています。カロリー計算は得意ですし、外食はなるべくしない。また睡眠時間にも気を配っています。趣味は、サッカーですね。三度の飯よりサッカー観戦が好き。僕は大阪の堺市出身で、セレッソ大阪の熱烈サポーターなんです。以前はアウェーの試合にも応援に行きましたが、最近はスタジアムでライブ観戦する時間がないのが寂しいです。やはりテレビじゃなく、生で見るのが一番。ボールがないところでの選手の動きや駆け引きも全体が見渡せるので。それに、サッカーから学ぶことも多いですよ。躊躇せずチャンスは思い切り打つべき。たとえゴールできなくても、それが次のチャンスにつながる、とかね。


【文】NICe編集委員 岡部恵