Vol.31 伊積研二さん

熊本県発 県内唯一、相続専門の コンサルティング会社

合同会社九州中央相続相談センター 伊積研二 さん
熊本県熊本市

相続関連のプロをコーディネートし、ワンストップで相続にかかわる問題を解決!

事業内容は?

土地や金融商品を多く所有する資産家など、富裕層を主なターゲットにした相続専門のコンサルティング業です。相続問題が発生した場合、その手続きが煩雑かつ複雑なため、どうしても専門家の力が必要になります。たとえば、税金のことは税理士に、法律のことは弁護士に、所有権移転のことは司法書士に……といった具合。それぞれの専門家に依頼すると時間も労力もかかり、コストもかさんでしまいます。また、各分野の専門家による個別対応だと、相続をトータルな視点でとらえた的確なアドバイスが難しい。そこで当センターでは、税理士、弁護士、司法書士などの専門家と業務提携し、専門家集団によるトータル的な相続コンサルティングを実現。相談者の考えを一貫して反映したコンサルティングの提供が可能となりました。

同業者や競合との差別化ポイントは?

熊本県において、現在、競合は一社もありません。当センターのシステムに近しいサービスを始めた税理士事務所が出てきてはいますが、私としては大いに結構なことだと考えています。なぜなら、当センターだけでは地域すべてをカバーすることは難しいからです。相続問題でお困りの方をひとりでも多く支援する必要がありますので、競合は登場してしかるべきことだと。当センターは相続コーディネーターが相続手続きの中心となって一括サポートを行います。やはりこの点が、依頼者にとって非常に便利で経済的。コーディネーターとの連絡、相談だけですべての相続手続きができるシステムが、県内における優位性を保っているポイントだと思っています。

起業セミナーを受講して起業。企業理念を信じて広報活動に注力し、事業を軌道へ

起業のきっかけや動機は?

二十数年間、金融機関に在籍し、FP(ファイナンシャル・プランナー)として金融商品を活用した相続対策を提案してきました。しかし、資産家の資産内容は不動産が7割を占めており、総合的な提案をすることができませんでした。そこで、トータル的に相続対策の提案と実行支援をするために思い切って退職。起業準備では、まずビジネスプラン作成と具体的な実務の勉強をスタート。「創業塾」と「第2創業塾」を受講したことで、起業するにあたって何をどのようにしたら良いのか理解でき、最終的に自分のビジネスプランもそこで作成しました。また、東京で古くから相続ビジネスを展開している会社に数日間訪問して、システム構築や資料作成など、本格的な事業経営を行なう上で注意すべき具体的な実務を勉強させていただきました。そのほか資産税法、民法、不動産など、相続に関連する法規の勉強も同時に行い、起業と本業の両方の知識を身に付けたところで起業しました。

起業前の予想と起業直後の現実は?

初めてのことにチャレンジする時は何でも同じでしょうが、事業開始前に作成したビジネスプランどおりにはいきませんでした。無料の相談は多いのですが、有料の業務にはなかなかつながらず、当然、売り上げも思ったように伸びませんでした。ただ、私のビジネスは仕入れが不要。また、借金なしでスタートし、半年分の運転資金は用意していたので、切羽つまることはなかったですね。最悪の場合でも対応できるように、売上計画のマックスとミニマム両方を想定していたことも良かったと思います。

軌道に乗せるための創意工夫や改善は?

事業を拡大・継続させるために一番大切なことは、企業理念をつくることだと考えました。我社の企業理念は「徳業」。「徳は事業の基なり」という、このポリシーを持ち続けて企業活動を行なえば必ず道は開けると信じることが重要だと。そして、相続相談センターの存在をアピールするための広報活動をスタート。定例セミナーの実施や、ホームページの立ち上げ、テレビCMなどに力を入れました。これによってクライアントや相談者数、当事業に協力いただいている業務提携のプロフェッショナルが増加していきました。

相続ビジネスのフランチャイズ化が目標。クライアントの生活支援事業も構想

現在の経営状況を評価すると?

現在、3期目ですが、売上高は対前年比130%。経費が増えていますので利益はトントンですが、キャッシュフローは問題なく回っています。2008年には、新しく役員を迎えました。NICeのメンバーでもある江浦誠さんがそう。人格、能力共に素晴らしい人物で、私の右腕となって一緒に働いてもらうようになってから経営環境も向上しています。また現在、本業をさらに伸ばしながら、新規事業立ち上げの準備を開始しました。経営コンサルタントに相談しながら進めており、具体的なコンテンツをつくる段階に入っています。現在は、この新たな事業計画のための資金調達が課題になっており、金融機関と折衝中です。

今後、実現したい経営上の目標は?

相続問題で悩んでいる全国の皆さまに安心をお届するために、「相続ビジネスのフランチャイズ化」を目標にしています。そのための準備も着々と進んでいますよ。まずは九州全域で加盟店を募集し、その後、全国に展開していく予定です。そして、各加盟店が「その地域になくてはならない存在」と言われるようにしていきたいと思っています。

さらに伸ばしたいと思う強みは?

相続ビジネスは、クライアントとの信頼関係がないと成り立ちません。この信頼関係を構築する企業理念と事業スキームが、当社の一番の強みといえるでしょうか。ここをさらに強化していきたいと思います。「相続」と一言でいっても、その領域は幅広い。相続は誰にでも訪れることですし、財産を移転するだけでは問題は解決しないのです。老後をいかに安心して楽しく過ごすのかなど、自分自身が生きてきた道のりや価値観を見つめる絶好の機会。相続を考えることは「究極の人生設計」ともいえます。信頼関係を築いたクライアントの皆さまが認知症や要介護になった場合も安心して生活できるような、生活支援事業にも取り組んでいきたいです。

伊積さんのプライベート&ストレス解消法

自然多い温泉でリフレッシュ! 餅つきボランティア歴は18年!

ポジティブシンキングを心がけているのでストレスはあまり感じませんが、時折、南阿蘇山麓や天草などの有明海に面した温泉に、先にも紹介した江浦さんや仲間と出かけてリフレッシュしています。いろんな意味で栄養となる、読書やセミナー受講も積極的です。また、前職時代より18年間、養護施設で餅つきのボランティアを仲間と続けています。昨年の2008年は、施設の皆さんを合わせて総勢100人が参加。70?の餅をつきましたよ。ボランティアは誰かのためにしているのではなく、自分のため。世の中や人の役に立つと思うことであれば、どんどんやってみようと。餅つきも楽しみながら続けています。


【文】NICe編集委員 石田恵海