Vol.35 大野和浩さん

広島県発 広島・岡山への Uターン転職サポート会社

株式会社OK4U 大野和浩 さん
広島県広島市

Uターンして転職したい人と、優秀な人材を求める地元企業とをマッチング

事業内容は?

メインの事業は、広島・岡山へのUターン転職のサポートです。社名にある「4U」は、「FOR YOU」の意味。「みなさんに、“OK!”と喜んでいただけるUターン転職を」をコンセプトとして事業展開中です。また、転職を希望される個人だけでなく、法人を対象にした事業プランニングやコンサルティング、大学など教育機関の広報物に関するプランニングとディレクションも。ほか、企業向けに新入社員研修など組織内教育、ビジネスマンや経営者向けに経済新聞の読み方による経済教育など、様々なセミナー講師も行っています。

その事業はどのように市場ニーズを満たすのか? あるいは顧客の課題を解決するのか?

転職サポートの対象は、主に東京や大阪など、大都市からのUターン転職を希望する方たち。顧客は、優秀な人材を求める地元の優良企業です。ふるさとを離れて大都市で長年過ごしてしまうと、いくら地元でも、その地の企業や、企業が求めるもの、仕事環境などわからなくなっていますよね。当社ではそんな転職希望者に、それぞれのご要望を聞きながら情報を提供し、転職のサポートをしています。大都市で働いている転職希望者に、地域の企業が期待するものも大きいです。優秀な人材に対して、どのようなアプローチが大切か、企業へのアドバイスも提供しています。当事業による狙いといいますか、私が最終的に望んでいるのは、地域活性化の促進です。企業や教育機関を対象に行っているプランニングやコンサルティング、それにセミナーなども、広島・岡山の経済発展につながることを願って取り組んでいます。

同業者や競合との差別化ポイントは?

おそらく現在、転職支援関連では当社が広島で一番小さな規模の会社でしょう。今、スタッフは私ひとりだけですし(笑)。それだけに小回りがきき、いろいろなパートナーとのアライアンスによって、最大限の効果を発揮するフォーメーションを組めることが強みだと思っています。

人材事業や転職情報誌の編集長など、16年間の経験を生かしIターン起業

起業のきっかけや動機は?

起業する前、株式会社リクルートに16年間勤務していました。起業した直接のきっかけは、病気で約1年間休職したことですが、回復した後に会社を円満退職することができました。そこで、もともとやりたいと考えていた事業の計画を立てて、広島で会社を設立。実は、広島は妻のふるさとなので、私自身はIターンしての独立です。リクルートに入社したのは1990年ですが、その年の10月から広島にある中国支社の人材事業部門に配属され、その後、福山・岡山と異動。最終的には転職情報誌の「広島版」「岡山・備後版」の編集長として、2004年3月まで勤務しました。その間に、広島・岡山エリアで培ってきた地元優良企業との信頼関係、また仕事やプライベートでの人脈が、今も大いに生かされています。2004年4月からは東京に転勤となり、人材事業部門のエリア担当統括マネージャーとなりましたが、休職期間を経て退職し、その2カ月後の2006年3月に起業しました。広島にIターンしたのは、人生の長い年月をお世話になったこのエリアに貢献したいという気持ちがあったからです。今後は、広島や岡山で独立を考えている方の応援もしていきたいですね。

起業前の予想と起業直後の現実は?

起業当初は、自分の判断で自由に事業計画を立てて進めていくことが面白くて、「これこそが仕事を楽しむという状況だな」と感じていました。しかし、今年(2009)年の3月で丸3年が過ぎ、今実感しているのは、まだ完全に軌道に乗っているとはいえないということ。とはいえ、起業当初からのスタンスは変わらず、依頼された仕事に対して真剣に取り組み、顧客に満足していただくことを心がけています。また、常に新しいことにチャレンジしていくことも、エキサイティングで楽しいです。

会社経営と並行し、ベンチャー支援NPOで広島の活性化に取り組む

いま、一番課題だと感じる事柄は?

あえて、「自分のやるべきことはこれ」と範囲を限定したくないこともあり、変化のあるビジネス展開を楽しんでいます。スタッフを雇わず、自分ひとりでやっているからできることですがね。そのせいで、と言ってはなんですが、毎月の売り上げに変化がありすぎて、年間を通じて安定した売り上げ・利益が立たないんです。これが課題と言えば課題でしょうか。ですが今はまだ、この最少単位の会社形態で、世の中の変化やニーズに合わせて、心に余裕を持って、楽しみながら会社そのものを変化させていきたいんです。

事業を継続発展させることよって実現したい夢は?

誰かの役に立っているという実感を常に持っていられることが私の理想とするところです。それもあって、現在、会社の経営と並行する形で、広島のベンチャー育成に関わるふたつのNPO法人の活動にも携わっています。ひとつは、「NPO法人広島経済活性化推進倶楽部」、もうひとつは、「NPO法人 ひろしまコミュニティカレッジ」です。ベンチャー育成の活動に時間をさいているのは、やはり、地元で起業したり、ベンチャー企業で働いている人たちを応援することで、ここ広島という地域を活力ある街にしていきたいからです。私自身も、広島で会社を経営する者として、地域が元気になることを一番望んでいますからね。また、広島は妻のふるさとですが、自分のふるさとは九州ですので、将来的には九州でも起業したいと考えています。

大野さんのプライベート&ストレス解消法

プールで歩くことでストレス解消。30kgの減量にも成功!

仕事以外にも、いろいろなことを楽しんでいますよ。音楽を聴いたり、映画を観たり、おいしいものを食べたり、おいしいお酒やワインを楽しんだり……。また、スポーツジムにも週に3、4回通っています。中でも一番のストレス解消は、プールをひたすら歩くこと。会社員時代に太ってしまったのですが、2年4カ月で約30kgの減量に成功しました(笑)。ベンチャー支援のNPO活動に携わるのも、私自身の活性化に欠かせないことだと実感しています。そんなに深く時間配分を考えているわけではないですが、ビジネス、NPO活動、そしてプライベート、それぞれ1/3ずつくらいのバランスで、精神的にもかなりいい状態が保たれていると感じています。


【文】NICe編集委員 田村康子