Vol.40 苅田裕也さん

岡山県発 健康関連事業も展開する 地域密着型の総合エネルギー商社

株式会社セキサン 苅田裕也 さん
岡山県津山市

地域にエネルギーを供給し続けて40年! オール電化・太陽光事業も積極推進

事業内容は?

1968年創業の総合エネルギー商社です。LPガス・高圧ガス・石油製品の販売など、ガソリンスタンド(SS)によるエネルギー供給はもとより、オール電化の住宅リフォーム事業にも注力。岡山県津山市を中心とした県北エリアに根ざして、地域の元気を全国へ発信する「地域商社」を目指して活動しています。また、地球規模による「低炭素化社会」実現に向け、暮らしを支えるエネルギー産業の役割も大転換期を迎えていることや、インターネット普及に伴う消費活動の複雑化などを受け、新規事業にも着手。インターネットを活用した健康関連商品の販売を始めています。まず手始めに、天然鉱石ブラックシリカをポリエステルに練り込んだ新繊維でつくったアンダーウエア「BSファイン」の販売代理店としてスタート。大手インターネットショッピングモールに出店しています。

同業者や競合との差別化ポイントは?

従来から取り扱っている化石燃料(石油・LPガス)の使用量は、今後減少していく方向にあるといえます。しかし時代が変わったとしても、常にお客さまに支持される企業であり続けるため、オール電化や太陽光などへの対応を積極的に推進している点です。健康関連事業に関していえば、ネット販売だけではなく、SSでの店頭販売や展示会による既存顧客へのアピールなど、すでに持っている資源をフルに活用することで差別化しています。また、長年にわたって地域に密着した事業を展開しているため、地元企業や商工会議所といった支援機関とのつながりが深い。商材の調達や他社との共同開発、情報収集など、地元でのコミュニケーションが取りやすいポジションを確保していることも、今後事業を発展させていくうえでの強みといえるでしょう。

先代が病に倒れ、事業を継承。転換期を迎え、第二創業を志す

起業のきっかけや動機は?

創業者は父親です。もともと私は、東京で雑誌や書籍などの編集の仕事をしていました。が、父が病気で倒れたことをきっかけに実家に戻り、会社の仕事の手伝いをしながら経営を学び、今から13年前に後を継いだのです。父の時代と比べるとオール電化の進展や脱炭素社会への推進など、エネルギー業界を取り巻く環境や商品・サービスは大きく変わっています。ですが、「地域に根ざし、地域のエネルギーを支える商社」という当社の位置づけや理念は変わりません。しかし、化石燃料を扱う業界は今後間違いないなく斜陽化し、エネルギー業界全体が大転換期を迎えますので、常に新しい展開を模索しています。

軌道に乗せるための創意工夫や改善は?

新しくスタートさせた健康関連事業に関していえば、まだまだ軌道に乗っているとはいえません。売り上げも利益も、まだ目標の半分にも達していなくて……。新たな販路を探したり、収支シミュレーションを見直すなど、事業計画自体を立て直す必要があると痛感しています。一日でも早く儲かる仕組みをつくり、ビジネスとしてひとり立ちさせたい。NICeに参加してから、ほかの起業家の事業経営手法やアイデアを参考にさせてもらっています。NICeは私にとって、貴重な情報リソースなんですよ。

これまであったピンチは? それをどうリカバリーした?

売り上げ、利益、人材、資金繰り・・・いつもピンチです(笑)。健康関連事業は、まだまだ先の見えない新規事業なので、自分たちで先を切り開くモチベーションを常に保ち続けることが大変ですね。もちろん、売り上げや利益の確保も解決すべき緊急課題ではあるのですが、まだ根本的な問題が横たわっていることを実感しています。スタッフがしっかり企業理念を共有してくれているかどうか、実はあいまいなのです。全社一丸となって企業理念を実現するためにも、今後も引き続きそこに時間とパワーを割いていかなければと考えています。

人・モノ・情報を発信し、地方から日本を元気にする事業展開が目標!

現在の経営状況を評価すると?

厳しいです。昨年は、本業のエネルギー部門も原油価格の高騰などに悩まされましたしね。エネルギー事業は性質上、どうしても商品市況に左右されるところがありますが、良いお客さまを数多く獲得することと、石油製品以外の商品の取り扱い品目を増やすことで、経営の安定を図っていきたいと考えています。新規事業に関しても、まだまだ勉強中です。ネットショップは、オープンから順調に売り上げを伸ばしていますが、採算面ではまだ厳しいのが現状です。

今後、実現したい経営上の目標は?

差し当たっては、ネットショップの黒字化を急ぎたい。そのためにも、スタッフ増員による顧客サービスの充実が重要だと考えています。いずれは、地域の人、モノ、情報を全国に発信し、全国の地方や海外とも連携を取りながら地方が元気になるような、物産展やシンポジウムなどのイベントを開催したいです。また、地域商社が集まるポータルサイトを構築することで、人と人、モノとモノをつなぐ事業の立ち上げも計画しています。

事業を継続発展させることよって実現したい夢は?

日本経済が閉塞感に包まれ、地方も疲弊していく中、日本を再び輝かせるための国力となり、国民を元気にできる企業になりたいと思っています。また、当社の社員たちが「セキサンがある限り、日本は大丈夫! 地方経済も大丈夫!」と未来に夢と希望を持って働き、新しい企画や提案がどんどん生まれるような、そんな組織をつくっていきたいです。

苅田さんのプライベート&ストレス解消法

「映画不足」でストレス溜まり気味? 芸術より経営者交流の日々!

学生時代は映画青年で、年間365本の映画を観ることを目標に映画館を渡り歩きました。ヨーロッパ映画が好きで浴びるように観てきましたが、最近は映画館に足を運ぶこともめっきり減ってしまい、ストレスが溜まってるんです(笑)。映画以外にも芝居やミュージカル、落語も好きで、ゆっくり芸術鑑賞をしたいのですが、なかなか……。芸術鑑賞よりも、近頃はNICeをはじめとした異業種交流会によく参加して、経営者の話を聞くことが多いですね。これが刺激になっています。ストレス解消は、何といってもお酒です。毎日飲んでいます。体調管理を考え休肝日をつくりたいところですが、これもなかなか・・・(笑)。


【文】NICe編集委員 石田恵海