Vol.47 清水流美さん

京都府発 「世界一」を企業や地域のPRにつなげる ギネス記録申請コンサルティング

合資会社ピット 清水流美 さん
京都府京都市

ギネス記録申請をサポートして、企業や地域のPRに活用

事業内容は?

ギネス記録申請をサポートすることで、その記録自体や、それにまつわる様々な事実を、企業、および地域のPRに生かすコンサルティング事業を展開しています。企業や地域が、「この件に関してギネス申請しました。これは、ギネス認定を受けているんですよ!」という強いメッセージをつくることにより、訴求力のあるPRにつなげるサポートをしています。

同業者や競合との差別化ポイントは?

対象としているのは、PRの大切さを認識し、また、その部分に予算を割ける規模の企業(中堅から大企業)、および地域団体(市町村・地域活性化のためのボランティア団体等)です。今のところ競合他社はないようです。実は1999年12月に、企業のPC講師とホームページ制作を行う個人事業をスタートしていたのですが、すぐに頭打ち。理由は、社会情勢の変化や、自分の経験のなさ、意識の甘さなど色々ありました。何かを変えなきゃと思い、「変えるなら仕事そのものを変えてみるのはどうか?」と。情報収集をしていたところ、自分の机の上に置いていたギネスブックが目に入ったんです。その時、「そうだ、ギネスの記録は企業の広報に使えるかもしれない!」と。そして2000年の冬、企業の広報に活用するための、「ギネス申請コンサルティング」のWEBサイトを立ち上げたところ、予想以上の問い合せを受け(有名企業もありました)、改善に改善を重ねながら現在に至っています。

合資会社として法人登記。目立つために資本金2円に

起業のきっかけや動機は?

大学を卒業し、半年イギリスに住んで帰国した頃、「のんびりしている場合か!」と父から叱られ、実家に呼び戻されました(笑)。そして、父が経営している株式会社JPD清水(貸土地運営)に入社したのです。主に事務仕事を担当しながら、父が全国各地で講演する時には同行し、かばん持ちをしていました。父の講演を聞き終わった受講者が、明るくなったり、楽しそうになったり、新たな決意をしたりするのを見て、「こんなふうに、人に良い影響を与える仕事をしたい」と思うように。そして、父のように自分も起業しようと。PCスクールでのアルバイト経験と会社のWEB構築に関わった経験がありましたので、企業のPC講師とホームページ制作を行う個人事業をスタート。しかし、思うような展開ができなくて悩んでいた頃、偶然思いついたのが企業や地域のギネス申請によるPR事業だったのです。個人事業のままでは信用力が弱いと考え、2002年に合資会社として法人化しました。合資会社を選んだ理由は、資本金の最低額の設定がないことが理由です。今なら資本金1円で株式会社がつくれますけどね。そして、どうせならニュースにしてやろうと、資本金を2円に(笑)。私(無限責任社員)と、もうひとりの社員(当時の有限責任社員)が1円ずつ出し合い、「日本で一番資本金の少ない会社が、ギネス記録申請コンサルティングを開始」といった内容でリリースをしました。その成果もあり、当時は地元の新聞を中心にたくさん取り上げていただきました。

軌道に乗せるための創意工夫や改善は?

起業当初は、毎日新しい現状にぶつかるので、それを解決するのに必死。しかし、2、3年くらいたった頃からでしょうか、広報やマーケティング、WEBマーケティングなどを意識して勉強するように。プレゼンテーションやスピーチについても、かなり勉強しましたね。特に、この事業の営業はすべてWEBサイトで行っていますので、WEBマーケティングのことはずっと継続して学習しています。いわば、自社サイトで実地研修しているようなものです。学習したことは猛烈なスピードで試し、常に「成果が出たのか、出なかったのか」の確認を怠らないようにしています。また、先輩方から、「こんなふうにやったらどう?」とアドバイスをもらった時も、基本的にすぐに試してみます。良い成果が得られた時も、そうでない時も、感謝の言葉と共に、結果報告をしています。

日本全国の都道府県にギネス記録を誕生させたい!

現在の経営状況を自己評価すると?

顧客獲得力が弱いことでしょうか。「日本で唯一のギネス記録申請コンサルティング会社」というメリットを持ちながら、まだまだそれをうまく活用できていないと思っています。顧客数をもっともっと増やしていかないと。たくさんの企業や地域団体に活用していただけるようにしたいです。いろいろ新しい施策を試してはいるのですが、まだ、コレと思うものが出てきていません。引き続き頑張らないと!

起業前の予想と起業直後の現実は?

起業前の予想は、「バラ色のかっこいい女性起業家になっている」でした(笑)。現実は、事業がかたちになるまで3年くらいかかりましたので、バラ色なんてほど遠く、四苦八苦、試行錯誤するばかり。また、成果を出せない自分が悔しくて、かなりのストレスがたまり、体調不良が長く続きました。ただそれは、勉強不足が原因でしたから、今は、学習しながら何もかも楽しくやっています。ピットという会社、そして清水流美という個人が、社会に対して何ができるのか、そしてその価値を社会に認めてもらえるためにはどうすればよいのか、そう考えながら会社を経営しています。

事業を継続発展させることよって実現したい夢は?

やはり、当社の事業を広く知っていただいて、日本の全都道府県にギネス記録を誕生させることですね。とはいえ、ひとつの事業にこだわる必要はありませんので、この事業で得た経験スキルを活用して、様々なビジネスへと派生させていきたいです。また、今の時点では私自身100%のプレイヤーですので、実務にかなりの時間を使っているのも事実。会社や事業を発展・継続させていくためには、スタッフのマネジメンもしっかりできるようにならないといけないですね。それにしても、私自身は、「夢に向かってジャンプ」というタイプでなく、「夢に向かって歩こう」と考えることでうまくやれるタイプです。「成果は、いつも少し遅れてやってくるもの」と自分に言い聞かせて、焦らずに歩んでいこうと思います。

清水さんのプライベート&ストレス解消法

自宅ではホームパーティを開催し、交流発展のためのイベントも

とにかく体を動かすのが好きです。週に1、2回はテニスを楽しんでいますし、社交ダンスも習っています。あと、月に2回、私が先生になって自宅で書道教室をしています(友人が来る程度ですが)。土日は、自宅に友人を呼んでパーティをすることが多いですね。狭い家ですけど、心おきなく語り合ったり、時にはその場で相談相手になってもらったり、逆に私が相談に乗ったり。それは父から、「人間の真の力は、明日いくらのお金を集められるかではなく、明日何人の人を動員できるか」と教わったことが大きく影響しています。それもあって、年に何回か、私自身が必要だと感じて築いてきた起業家同士や、いろいろな相談に乗ってくれる専門家の方たちをお呼びして、交流会などのイベントを開いています。


【文】NICe編集委員 田村康子