Vol.50 日高知宏さん

熊本県発 お客様の立場に立って式を執り行う、 冠婚葬祭コンサルタント

冠婚葬祭会議 日高知宏 さん
熊本県熊本市

謎だらけの冠婚葬祭業界で、お客様の不安・不満を解消するための交渉人に

事業内容は?

金銭面、内容ともに、納得できる結婚式やお葬式を行うための知識やノウハウを提供しています。皆様の代理人として、式場や斎場を相手に、式の具体的な内容や金額などの交渉を行います。それ以外に現在、積極的に取り組んでいるのはコンサルティング事業です。ホテルやレストラン、レジャー施設などは、結婚式や披露宴・パーティなど、ウェディング部門を対象に、寺院や教会・料亭などでは、葬儀部門の運営に関してコンサルティングを行っています。

その事業はどのように市場ニーズを満たすのか? あるいは顧客の課題を解決するのか?

冠婚葬祭に関して、多くのお客様が業界への不安や不満を抱かれています。一番の問題は、「初めてなので何が標準かわからない」ということ。特に問題となっているのは、冠婚葬祭業者がそれを逆手に費用を高騰させてきたこと。あまりにも企業側だけが有利な状況へと導き、結果として不透明で、かつお客様に疑いをかけられるような業界となってしまったのです。そこで、お客様の救世主と言っては大げさかもしれませんが、そんな疑問や、不安・不満を解消する冠婚葬祭の交渉人として日々動いています。様々な冠婚葬祭の初めてに直面する皆様の足りない知識をカバーし、不安や不満を解消できればという思いで活動しています。すごく大事な仕事をさせていただいていると実感しているのですが、現在のところ、同一地域に同業者は存在していません。

業界の悪習が問題として取り上げられ、それが起業直後の追い風に

起業のきっかけや動機は?

大手の冠婚葬祭互助会会社で店長として約8年間勤務していました。仕事に励む中で、常に悩み続けていたのが、「利益主義の会社と、少しでも安く済ませたいお客様との板挟み状態が解消されない」という問題。悶々とした日々を過ごしていました。究極の問題点は何かと考えていくうちに、「組織の一部として働く」のか、それとも、「お客様の立場で働く」のかということ。悩み続けていても、それはらちの開かない問題と判断。最終的に、「自分はお客様の立場で、喜んでいただける冠婚葬祭実現のために活動しよう」と、自ら起業することを決意しました。当然と言えば当然ですが、業界団体は良い顔はしませんでした。でも、「お客様の立場に立って、必ず“ありがとう”と言っていただける仕事をしよう」と心に誓ったことで、清々しい気持ちで仕事に取り組めました。

起業しての醍醐味は?

冠婚葬祭に関するサービスに対して、対価を払うお客様の立場に立って仕事が展開できること。それが最大の喜びですね。お客様から、「いい結婚式になりました」とか、「故人も喜んでいると思います」など、具体的な喜びを表現していただいた時、起業して良かったと実感できます。ですが、起業当初は、「日本の冠婚葬祭は、お金がかかりすぎているのでは?」とか、「あの業界はおかしい」などと言われるようになり、マスコミでもよく取り上げられるタイミングでした。そんな時代の風潮が逆に私にとって有利に働いてくれたおかげで、予想を反して、オーダーが増えたんですよね。やはり、多くの人が、「それはおかしい!」と感じていることが、起業する際のネタなのだと思います。

式場対象のコンサルティング事業を強化し、従業員の雇用・育成にも注力したい

さらに伸ばしたいと思う強みは?

結婚式と寺院や教会、料亭などの集客コンサルティング事業を強化していきます。現在のクライアントは4社ですが、来年度までに10社にすることが目標です。また、そのためには、そろそろ従業員の雇用と育成が必要だと。というのも、冠婚葬祭のサービスを受ける一般のお客様だけでなく、会場となるホテルや寺院・教会の皆様からも、「コンサルティングしていただいて良かった」「お客様からの評判も上々」と、喜びの言葉をたくさんいただいているからです。やはり、世の中に必要とされている仕事をしていると実感できることは、起業した者にとってかけがえの喜び。もっともっと喜んでくれる人々を増やすべく、日々邁進していく決意です。

事業を継続発展させることよって実現したい夢は?

葬儀の事前相談を常識にしましょうという認識を広めていくことです。最近は、自分のお葬式を生前にプランニングしたり、生前葬を行う人もおり、それなりの情報は得られるようになりました。しかし、実際に、そのようなことが実行されているのは都市部でのこと。また、葬儀は突然のこととして対処しなければならないケースが多いですが、それでも、「業者の言いなりでなくていいのですよ」ということを、より多くの方たちに知っていただきたいのです。お葬式はいわば、故人と新族とのお別れの会。お葬式を終えた後に、「思わぬ出費になってしまった」とか、「金額の割には、イマイチだった」と、後味の悪い式はイヤですよね。「良いお葬式だった。これで、故人も安らかに旅立ったね」と、そう感じていただくために仕事をするのが私の使命ですから!

日高さんのプライベート&ストレス解消法

女子サッカーチーム「ルネサンス熊本」の応援と、“海ほたる”観賞

仕事が趣味なので毎日が楽しいです。でも、週1ぐらい、きっちりとお休みがあったら、もっといい仕事ができるのではと感じることも(笑)。最近のリフレッシュは、女子サッカーの「なでしこリーグ」に参戦している「ルネサンス熊本」というチームを応援すること。女子サッカーの選手は、オリンピックに出場するような選手でも、日中はしっかりと仕事して、毎夜練習。休みの日も朝から晩まで練習に励んでいます。とことん頑張っている彼女たちを応援することで、自分も頑張ろうという気持ちになり、仕事へのモチベーションもアップ。あとは、天草の海に“海ほたる”を見に行くこと。青く輝く光が海一面に広がって、それはそれは幻想的な世界です。


【文】NICe編集委員 田村康子