Vol.6 柏田稔さん

福岡県発 開発から運用まで手がける  ITソリューション企業

株式会社コラボレーションシステム 柏田稔 さん
福岡県福岡市

多分野でのシステム開発・保守・運用の技術力を融合し、幅広い市場を視野に

事業内容は?

現在、当社には大きくわけて3つの柱があります。大学など各種教育機関の情報処理センターでIT機器の保守運用管理や利用サポートを行っているのが文教システム部。Windows、Linuxサーバーのシステム構築をはじめ、パソコンの大規模導入からシステム運用管理まで任せてもらっています。あとは、ASP開発やWebコンテンツの制作を行うシステム開発部。そして今年の2月には、モバイル推進部を立ち上げました。

その事業はどのような顧客・市場を狙っている?

文教システム部はこれまで大学の情報処理センターをメイン顧客としていましたが、今後は学部や事務部門など、他部署にも営業展開していく予定です。また、モバイル推進部では様々な業界の店舗に向け、お客さまの収益向上に役立つ効果的な販促ツールを提供しています。そして当社が最も得意とするシステム開発力を武器に、文教システム部・モバイル推進部とコラボしながら、大学や官公庁などから始め、さらに幅広い市場に進出していきます。

同業者や競合との差別化ポイントは?

幅広い業務ノウハウと高い技術力ですかね。社員はそれぞれが専門分野を持っており、個性も豊かで、顧客である学生さんや教職員からも信頼を得ています。たとえば先方からの質問内容は多岐にわたりますが、サーバールームを任されているシステム屋として、全学的な運用を考慮したうえで常にベストな解決策を提案できています。また、当社が手がけるシステムは大規模なものが多いのです。ゆえに最新のITツールをフル活用せざるを得ませんから、日々、最先端のテクノロジーナレッジが蓄積されていることも強みとなっています。

起業前に「行動理念」を固めて始動。収益確保につながらない雑務は外部委託

起業のきっかけや動機は?

両親はそれぞれが別の事業を行う自営業者で、私はかなりの時間を祖父の家で過ごしていました。祖父の家も商売を営んでいたんですよ。自営業の苦労を味あわせたくなかったのでしょう、家族からは「サラリーマンになれ」と言われ、そのままソフトウェアハウスに就職してシステムエンジニアに。でも、やはり育った環境なのでしょうか、会社の立ち上げにだんだん興味を持ち始め、転職や分社化で2社ほど創業期から軌道に乗せるまで携わりました。すると今度は自分自身が経営者目線で物事を考えるようになり、思い切って起業したというわけです。でも、今では「サラリーマンになれ」と言われた理由が理解できます(笑)。

起業前の予想と起業直後の現実は?

起業前から自分なりの行動理念を考え始め、会社を辞めた翌日には個人事業主の開業届けを提出。ヤル気満々です!(笑)。その後、商工会議所主催の創業塾に参加し、半年後に法人登記しました。予想以上に大変だったのが、会社運営上必要となる様々な雑務の煩雑さですね。中小企業とはいえ、経営者として法人運営の大変さを痛感しましたよ。1期目の法人決算を終えるまでは、かなり四苦八苦していたことを思い出します。

軌道に乗せるための創意工夫や改善は?

事業を軌道に乗せるためには社長自ら陣頭指揮を取り、収益確保に貢献する必要がありますよね。売り上げに貢献しない会社運営上の雑務をいかに減らすかが課題だと痛感し、法令が絡むことは士業(社労士、税理士、行政書士など)へ全面的に委託することに。2期目からは日々の経理処理も妻に任せています。とにかく一番大切なのは時間。社長は会社の収益に貢献できる時間を最大限に確保し、会社を大きく発展させる義務があると思いますから。

知名度アップと新規開拓の難題に挑みつつ、目標は5期目で東証マザーズ上場

いま、一番課題だと感じる事柄は?

営業力と知名度を上げることです。今現在、モバイル推進部の新規開拓の難しさを痛感しています。名も無い企業が社会から認知されることがこんなに大変だとは思っていませんでした。「良い製品でお客さまの役に立つのであれば必ずニーズがある」との思いで、最後まで絶対にあきらめず、この状況を打破したいと励んでいるところです。

今後、実現したい経営上の目標は?

モバイル推進部の将来が楽しみです。ユーザーの利便性を第一に考えたモバイルフェリカの新たな活用方法の開発、タッチパネルや情報掲示端末と連携したシステム提案などを計画しています。さらに、店舗や施設などに配置したディスプレイに、映像と情報をタイムリーに表示するデジタルサイネージ(次世代インフォメーションシステム)を駆使した販促ツールや、文教システムではより利便性を追求した提案をしていく予定です。

事業を継続発展させることよって実現したい夢は?

創業前から東証マザーズへの上場を目標にしています。5期目で実現したいのですが、現実はかなり厳しいですね(笑)。急激な成長はできなくても、地に足をつけて着実に業績を伸ばし、いずれは絶対に上場させます。そして、当社の社名を誰もが知っているような未来をつくることが、上場後の夢です。

柏田さんのプライベート&ストレス解消法

家族との時間&お酒の誘いには必ず快諾

一番のストレス解消法は年数回の家族キャンプ。この時だけは仕事を完璧に忘れます(笑)。定期的な解消法は週末のゴルフ練習。最近は下の娘(小2)が付き合ってくれて、ニコニコ顔で応援してくれるんですよ。やはり娘たちにはすごく癒されます。寝る時も娘たちの間に入り、時には手を繋いで寝ることも。家内をはじめ家族がいるから頑張れるんだと思います。あとは異業種交流かな。利害関係の無い地元のオヤジ連中(笑)とよく飲みに行きます。お誘いはありがたいので、3連ちゃんだろうが構わず参加。自分の都合を後回しにすることがお付き合いの基本ですから。また、博多法人会は年配の方が多く、視野や人脈、人として、経営者としての見聞が広がっています。それを社員へフィードバックすることも私の役目だと考えています。


【文】NICe編集委員 岡部恵