Vol.60 高橋 誠さん

神奈川県発 自分史や社会貢献型クイズサイトなど ネットメディアの企画・制作・運営

株式会社スマイルメディア 高橋誠 さん
神奈川県大和市

自分史創造サイト「Histy」と、社会貢献型クイズサイト「eQuiz」を運営

事業内容は?

メディア関連の企画・制作・編集・運営・コンサルティングをしています。メインで運営しているのは、年表・自分史の創造コミュニティサイト「Histy(ヒスティ)」と、社会貢献型クイズサイト「eQuiz(いいクイズ)」です。「Histy」とは、歴史的なできごと、偉人や有名人、テレビ番組、ヒット曲などの様々なジャンルの年表と見比べながら、自ら自分史や日記、未来計画がつくれ、年表をテーマにいろんな人とつながることができるコミュニティサイトです。個人利用者には無料で、法人や団体には有料で提供しています。また、「eQuiz」は、様々なジャンルのクイズを提供し、利用者は知識を身につけながら社会貢献できるサイト。一問正解するごとに「地球のハラペコを救え。」キャンペーンを通じて、飢えに苦しむ世界の人々へ20粒ずつのお米が寄付される仕組みです。このほか個人的な活動として、「日米メディア協会」副会長、「一旗会ジャパン」の代表も務めています。

その事業はどのように市場ニーズを満たすのか? あるいは顧客の課題を解決するのか?

「Histy」の個人会員は、自分の人生の軌跡をまとめたいと望むシニア層、将来のキャリアプランを考えている大学生や若手ビジネスマン、ネットを活用している社会人、歴史マニアたちです。一般的に自分史の出版や映像化には時間もお金も手間もかかりますが、「Histy」なら無料で、インターネット上でいつでも好きな時に使え、いろいろなテーマの年表を見比べながら自分で自分史をつくれます。また、つくった年表をPRツールとして使うこともできますので、就活やビジネスにも活用いただけます。また有料としている会社や団体、地方自治体などには、見やすくわかりやすい社史や広報・営業ツールとして利用していただいています。「eQuiz」は、社会貢献意識の強い方々や、クイズや雑学好きな方々、勉強意欲の強い方々がターゲットです。

同業者や競合との差別化ポイントは?

大手SNSには若者を対象としたゲームなどを提供するエンターテイメント的なものが多いですが、「Histy」はより年齢層の高い方々に、知的に役立つツールとしての機能を備えている点が特徴です。自分史や年表をテーマにした他サイトと比べ、いろいろなテーマの年表を自由に並べられ、有名人との年表比較もでき、また自分史としてだけではなく、将来計画や日記、育児記録、ペット日記など、複数の年表をつくれることも大きく異なります。「eQuiz」に似たものに、クリック募金サイトがありますが、「eQuiz」は1日1回などの制限がなく、利用者自身もクイズを楽しみながら社会貢献でき、同時にいろいろな知識が得られるところが特徴です。

アメリカで7年暮らし、年表機能を融合させたSNSを実現させようと帰国&起業

起業のきっかけや動機は?

大学卒業後は出版社へ入社し、『モモコ』『ポテト』『ボム』などの芸能月刊誌の編集者をしていました。仕事は面白かったですが、勤続約10年にもなると、そろそろ管理職。現場から離れると仕事がつまらなくなりそうだと思い、独立して自分の力を試してみたいと。退社し、編集プロダクションを設立。しかし結果的に、会社勤めの時と仕事内容はそれほど変わらず。もっと何か新しいことにチャレンジしようと、2000年末にアメリカのロサンゼルスへ留学を兼ねて移住。現地で多くのユニークな方々と知り合い、出版プロデュースや映画ビジネスに関わるようになりました。その後、知人と「日米メディア協会」を立ち上げ、「Chanoma Film Festival」を引き継いで主催したり、それを発展させた「Japan Film Festival ? Los Angeles」を主催したりしていましたが、インターネット関係で何かやりたいと考え始めたんです。ふと、「SNSと年表機能を組み合わせたら面白いサイトがつくれるのでは」と思い付き、2008年春に帰国して会社を設立。日本に戻ったのは、日本語サービスはやはり日本を拠点にしないと難しいだろうと思ったためです。

事業を軌道に乗せるために、どのような創意工夫、改善をしたか?

「Histy」も「eQuiz」も、すぐにユーザーが集まると考えていました。が、甘かった(苦笑)。「Histy」の魅力をもっとPRするために、イメージガールにタレントの岡村麻純さんを起用して、岡村さんが「Histy」の使い方を説明する動画を作成してサイトに載せたり、イメージキャラクターの「ヒスティくん」をつくって使用法を説明するマンガを載せたり、イメージガールの起用とプレミアム(有料)サービスを知らせる記者発表会を開催したり。また「Histy」自体をより使いやすくしていくために、いろいろ改善や機能追加をし続けているところです。

夢は、自分史で日本を元気にし、人類が共有する“知のプラットフォーム”構築

いま、一番課題だと感じる事柄は?

「Histy」の個人会員は徐々に増えてはいますが、まだまだビジネスが軌道に乗るところまではいっていません。今後は、「Histy」をツールとして使った自分史作成講座や、自分史作成による自己分析講座などの研修、セミナーなど、法人向けのサービスに注力していく計画です。また、新聞、テレビなどのマスメディアに取り上げてもらえるように、「シニアだけでなくもっと若い人たちも、自分史を活用して自分を見直していこう」というムーブメントをつくっていきたい。システムの改善や機能追加の開発費用がかなりかかるので、その資金調達に苦労しています。地道に協力者、出資者を探しているところです。神奈川県産業技術センターのビジネス評価事業として認定を受けたことをきっかけに、金融機関から多少融資してもらうことができ、神奈川産業振興センターからも補助金をもらえることにはなっていますが。とにかく今はユーザー目線で、より使いやすく、わかりやすく、面白く、内容を充実させていきたいと考えています。

事業を継続発展させることによって実現したい夢は?

「 Histy」の展開によって実現したいビジョンは、自分史で日本を元気にすること、一人ひとりそれぞれの歴史を共有する知のプラットフォームをつくることです。現在は、モノの時代からココロの時代へ移り変わってきていますが、モノは豊富でも、将来に希望が持てず、夢や目標、生きがいがはっきりせず、心が満たされていない人たちが増えていると思うんです。自分史を簡単につくれるツールを「Histy」で提供することにより、自分史を書くことで自分を見直し、興味や強みを再発見して、生きがいや夢、目標を明確にし、自尊心を高めて自分に自信が持てる人たちを増やしていきたい。また、これまでは歴史というと偉人や有名人の記録しか残ってきませんでしたが、「Histy」を利用してもらうことで、一般の方々の知識・経験も後世に残していけるようにして、あらゆる知識を年表のかたちで共有し、自由に参照、比較、検討、活用できる「人類の知の年表データベース」を完成させたいですね。

高橋さんのプライベート&ストレス解消法

仕事のクイズが趣味&自宅兼仕事場でストレスフリー

趣味は読書、映画鑑賞、ゲーム、クイズ、旅行などですが、最近は仕事に力を入れているので、読書でも仕事関係の本が多く、ほかの趣味もほとんどやっていません。クイズは特技といえるかどうかわかりませんが、子どもの頃から好きで、大学時代にはクイズのテレビ番組に10回ぐらい出場して、「アップダウンクイズ」「アタック25」「100万円クイズハンター」などで5回優勝。優勝旅行でパリにも行きました(笑)。友人と大学にクイズ研究会を創設し、初代会長も務めたんです。その延長か、現在もクイズコンテンツの企画やコンサルティングもしています。仕事場は自宅でもあるので、疲れたら横になってごろごろ(笑)。それで十分ストレス解消はできているようです。


【文】NICe編集委員 岡部恵