Vol.61 大関一弘さん

茨城県発 環境対応型で高性能&低コストの クリーンルームユニットの開発・販売

有限会社ユニテック 大関一弘 さん
茨城県下妻市

地元の地の利と、低コストのプレハブを生かし、研究開発施設でひっぱりダコ!

事業内容は?

研究開発施設を中心に、食品工場、半導体工場、手術室など、様々な施設で必要とされるクリーンルーム。当社は、プレハブを用いたユニット型の開発・販売に注力しており、この商材は国内と海外の特許も出願中です。そのほか、空調・衛生設備工事や水道施設工事も行っています。

その事業はどのように市場ニーズを満たすのか? あるいは顧客の課題を解決するのか?

当社はもともと空調・衛生設備工事事業から始まっており、茨城という地の利を生かし、研究開発施設の多いつくば市で、設営や工事を多数実施。その経験や実績から、低コストで高性能、設営が簡単なクリーンルームの必要性を実感しました。特に研究施設の場合、研究期間が決まっているので、研究ミッションが終了すると、クリーンルームなどの研究施設は新たな研究のために更新され、不要な設備は産業廃棄物として処分されています。しかし、それでは処分のコストもかかりますし、環境にも良くない。そこでリサイクルが可能なものができないかと考え、プレハブに行きつきました。これであれば、設営、増床・減床も簡単ですし、再利用も可能です。ですので、資金力のない研究開発施設や中小企業から喜ばれるだけでなく、最近注目されている植物工場などでも活用することができます。

同業者や競合との差別化ポイントは?

私が調べたところによると、現在のところ、当社のようにプレハブユニットを活用したクリーンルームを開発・販売する企業はほかにないようです。先にも言ったように、プレハブを使いますので、リサイクルできる点、設営や増床・減床がスムーズな点が、他社の一般的なクリーンルームとの違いで、総合的な価格でも圧倒的な優位性を持っているといえます。

リーマン・ショックのダメージをリカバリー中。「植物工場」でリベンジをかける!

起業前の予想と起業直後の現実は?

設備工事会社から独立したばかりの頃は景気が良かったこともあり、「起業したぞ!」という意識も薄く、アルバイト的な感覚でスタート。それが工事の仕事を請け負っているうちに従業員を雇うようになり、「これって起業なのか」と後々気づいた。そんな感じです(笑)。ですので、起業前には特に計画を立てていたわけでもありませんし、起業直後は働いたら働いた分、跳ね返ってきましたから。ただ、法人化して従業員を雇って体裁が整ってからは、そう甘くなかったです。

これまであったピンチは? それをどうリカバリーした?

「リーマン・ショック」で、様々な企業が一気に設備投資をストップさせたので、オーダーが無期限延期になったり、キャンセルになったりしましたね。まさに、どん底ですよ。そのリカバリーを今まさにしている最中だといえます。その戦略としてはふたつ。ひとつは、販売力と知識力の強化です。クリーンルームは一言で言うと、空気清浄を保つ部屋ですが、用途によってニーズは様々。対応する業界を広げるとそれだけ知識が必要になるので、なかなか情報収集が追いつかないのが現状です。また、当社は技術力には自信がありますが、開発会社にありがちなことでもあるのですが、販売力が弱い。そこで、医療・半導体・食品などの分野を専業にしている外部の販売会社との連携を強化していこうと考えています。もうひとつは、植物工場へのチャレンジです。国が水耕栽培などを行う「野菜工場」を強く推進し始めたのを見て、これはチャンスだと感じ、猛勉強。そして、空調の省エネ、遮熱など環境配慮をした、植物工場向けのクリーンルームユニットを開発しました。主要種苗メーカーと連携することで、植物工場プラントとしての販売に力を入れていきたいと考えています。

販売力をますます強化し、クリーンルームの「世界スタンダード」を目指す

現在の経営状況を評価すると?

10段階で言ったら「2」程度ですね。まだまだ企業としては過渡期。夢と希望はいっぱいですが、それに売り上げがついていっていない。販売力が弱いので、積極的にビジネスプランコンテストに出たり、展示会に出たりして、当社をアピールするようにしています。

事業を継続発展させることよって実現したい夢は?

当社が開発したクリーンルームユニットを、クリーンルーム業界の「世界スタンダード」にしたいと本気で考えています。大手企業は、中東や東南アジアなど砂漠地帯や水のないところにも設営できる大型クリーンルームを販売しようとしていますが、低価格の当社のユニットでしたら、資金力の少ない開発途上国にも導入可能のため、大変喜ばれると思います。その他にも、プレハブ内をアマゾンのような高温多湿に調節したり、逆に雪を降らせたりする、環境調節室の技術も持っていますから、用途も多岐にわたって対応できます。いつか、商店街にある漬物屋さんの食品工房や、精密部品などを扱う町工場など、いろんな場所で当社のクリーンルームユニットが使われている。そんな存在にするのが夢であり、今の目標ですね。

大関さんのプライベート&ストレス解消法

仕事のことを考えない努力と料理で、いつも心をフレッシュに!

ストレスが溜まらないよう、会社を一歩出たら仕事のことは考えないように努めています。とはいえ、考えちゃうんですけど(笑)。たとえ1時間でもいいので、仕事を忘れることが大事かなと思っています。それと最近、料理を始めました。これまで恥ずかしながら、カップ?をつくるくらいしかできなかったのですが、子どもが自立したことで、少し心に余裕が生まれたのか、自分のことは自分でできるようにしようと、料理にチャレンジ。やっと卵焼きができるようになりました(笑)。魚を三枚に下ろすくらいは、楽にできるようになるのが目標です。


【文】NICe編集委員 石田恵海