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第3回 たまビジネス元気塾 レポート


2012年8月29日(水)、第3回たまビジネス元気塾が開催された。これは、東京・多摩地区在住のNICe会員らが2012年6月に立ち上げた勉強会だ。「個人事業主や中小企業経営者はひとり何役もの職種をこなさねばらないが、それらに必要な専門知識や情報を学ぶ機会がなかなかない。ならば、学びたいことを自分たちで学び合おう」と、毎月テーマを決め、各分野の専門家を講師に招き開催している。第3回目となる今回は、「本当の強みを発見する方法」と題してコーチの吉田裕美子氏が登壇し、自身が気づいていない強みを発見する方法、またそれを生かした環境づくりなどについて学び合った。

たまビジネス元気塾実行委員会代表の佐藤浩祟氏が会の趣旨を説明した後、さっそく勉強会がスタート。




テーマ:「本当の強みを発見する方法」
講師/
Y2研究所代表、(財)生涯学習開発財団認定コーチ 吉田裕美子氏




吉田氏は自己紹介をした後、「今日はコーチングの考えに基づいて、気づいていない本当の強みを発見していただき、明日からでも、仕事にプライベートに生かしていただければと思います」と勉強会の目的を明確にした。そしてまず、同じテーブルに座ったグループ内で、個々の参加理由をシェアするように促した。実はこの「周りの人に関心を持つ、少しでも意識すること」が、この後のワークでも効いてくるのだ。


●「強み」とは何? どんなイメージ?

さっそく本題である「強み」について。吉田氏は参加者に、「強み」のイメージを問いかけ、意見を出し合った。さらに、メジャーリーガーのイチロー選手を例に挙げ、彼の「強み」は何かを話し合った。いずれも様々なイメージがあり、「強み」と判断する人の価値観次第で、とらえ方が異なることを共有した。



「強み」とは、その人に顕著に現れる特徴のひとつであり、たとえば同じ山の風景でも、どこから陽が当たるか、どこから眺めるか、またその角度によって、美しく見えたり、影が見えたりする。このように、視る側によってまったく異なるが、いずれも顕著に現れる特徴と言える。その陰の部分にも光を当てることが、「強み」の発見法なのだと紹介した。長所、個性、魅力、資源など、ほかの言葉に置き換えられることも多いが、善し悪しは度外視して、顕著に現れる特徴、が「強み」なのだと定義した。


●自分の「強み」がわかりにくいのはなぜ?

「強みを3つ挙げてください、と言われたら?」
目立つはずの自分の特徴・強みが、自分ではわかりにくいのには理由があるという。
たとえば、
・自分では簡単にできてしまい、人から「すごい!」と言われること。
・子どもの頃から難なくできてしまうこと。
それらの行動パターンや思考パターンに、自分では気付かない「強み」があるのだという。つまり、「強み」とは、特に努力しないでできてしまうため、自分ではわかりにくいものなのだ。

せっかくの「強み」なのに、それを自分では短所ととらえている例も紹介された。「強み」を長所・短所と考えると見つけにくく、「顕著な行動パターンや思考パターン=強み」と定義すると自他ともに見つけやすくなる。さらに、ほんの少しでも意識して、それらをどう生かすかを念頭に置くことが大切なのだという。


●自分の「強み」を人に見つけてもらおう!

自分のことはわかりにくくても、人の「強み」は見つけやすく、また人を見ようと努めることで、“見つけようとする・気付く”アンテナが立ってくるのだという。冒頭で吉田氏が何気なく述べた、「周りの人に関心を持つ、少しでも意識すること」がここにも通じてくる。

次にワークを行った。お題は、「成功事例を振り返ってみよう」だ。
過去の成功体験を基に、あらかじめ用意された6つの質問をしていくことで、隠れた「強み」が引き出されていくという。まず、吉田氏がコーチ役に、佐藤氏が回答者となり、デモンストレーションが行われた。

 

コーチング後に、コーチ役は発見した「強み」を伝えてあげる。ここでのポイントは、より具体的に言葉に出すことだ。さっそくふたり1組のペアになり、コーチ役と回答役を交互に実践した。

質問1/自分でもよくやったと思えることを振り返ってください。
それはどんなことですか?
質問2/その時、あなたは何を考え、どんな気持ちでしたか?
質問3/工夫したこと、心がけたこととは何ですか?
質問4/そのできごとを通じて、あなたが得たこと、気付いたことは何ですか?
質問5/今、あらためて振り返ってみて、誇りに感じることは何ですか?
質問6/ここまで話してみて、見つけたことはありますか?

終了後、全員で感想を述べ合ってみると、「すごかったんだな自分!と思えた」「自分が成功と思っている部分と、コーチ役が光を当てた部分が違っていて、新たな発見があった」などの声が聞かれ、過去の体験には隠れた「強み」が眠っており、また他者が感じ取る「強み」を知ることの大切さも実感した。




●突発的な行動から「強み」を見つける、生かし合う

次に、「30階建てのビルの12階で研修中に、5階で火災発生とのアナウンス。あなたはどんな行動をとろうとしますか?」というストーリーを基に、グループワークを行った。突発的に取る行動にはその人の「強み」が現れやすいという吉田氏の言葉どおり、グループ内で出た意見はまさに人それぞれ。不思議なほどに、誰ひとり同じものがなかった。それぞれが述べた行動予測は、どのような「強み」だと言えるのかを互いにフィードバックし、また新たな「強み」を発見し合った。と同時に、人の「強み」を聞き取ろうと聞き入ること、意識することにより、『それならば!』と、自分の「強み」を生かした役割を、自然と人は行動しとうとするのだということもここで発見した。

 


●強みを生かすための環境をつくる

成功している人たちの特徴(強み)から、何が見えてくるかを参考に、今日発見した自分の「強み」を明日からどう生かすかについて考えていった。まずは自分の「強み」を知ること。その「強み」に磨きをかけるよう努めること。そして、周囲とシェアをすること。
また、自分の弱点を矯正することに多くの時間を費やさず、弱点は弱点として認識すること。その弱点を補完してくれる人とペアを組むことで、互いの「強み」は生かし合える。これらを念頭に、今後チャレンジしてみたいことについて、各自考える時間が5分間設けられた。

 

最後に、吉田氏から“出る杭は打たれる”という諺に絡めて自身の体験談が語られた。ひとつふたつでは目立つ杭も、たくさんの“出る杭”になればいいのではないか。そのためにも、自分だけでなく周りの人の「強み」を見つけ、互いに讃え、“出る杭”を組み合わさることで、自分も他者も「強み」を生かし合える。そんな意識で、「強み」を生かし合ってほしいと述べ、講義をしめくくった。



■次回の第4回たまビジネス元気塾は9月19日開催
詳細はこちらhttp://www.nice.or.jp/archives/11307

取材・文、撮影/岡部 恵

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