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第5回「営業白熱カフェ!」レポート


第5回「営業白熱カフェ!」レポート




自分の性格が商品になる!    

コミュニケーションUPにつながる

心理学交流分析とは?




2011年3月9日(水)、第5回「営業白熱カフェ!」が東京渋谷で開催された。この会は毎月第2水曜日に、営業改革コンサルタントの鬼頭秀彰氏(ZACCESS Consulting株式会社 代表取締役)が主宰する勉強会で、営業をテーマにした講義と、少人数の参加者のフリートークで営業力を学び合い、人間力を磨くことがコンセプト。第5回目となる今回は、「自分の性格をきっちりつかむ」がテーマで、第6回(4月13日開催)とのシリーズ第一弾。NICe内外から6名が参加し、交流分析を用いた性格分析方法を実践した。

「営業白熱カフェ!」NICeコミュニティ


■勉強会の内容 
講義テーマ「自分の性格をきっちりつかむ」

まず最初に鬼頭氏は、「営業の現場では、どんなにいい企画書を作成しても、最終的にはその場での人対人のやり取りが大事と実感することがありますよね。その『人対人』に踏み込むにはどうしたらいいか、営業力強化を突き詰めていくと最後に辿り着くのが『性格力』なのです」と今回のテーマと目的を述べた。これは営業的に言えば、“自分の性格を売りにする、強みに転換する”ということだ。その第一歩として今回は、科学的な性格分析手法である『交流分析』を用い、「自分の性格」を実験台に分析法の手法を学ぶという。ちなみに、講師である鬼頭氏は、日本交流分析学会正会員でもあり、RTAなど最新の研究成果も踏まえての講義をスタートさせた。

 
▲小人数制で参加者全員が学び合う勉強会「営業白熱カフェ!」。参加者には19ページのレジュメが配布された


●交流分析とは

交流分析とは、人と人のやり取りに着目し、対人関係を改善するために1960年代にアメリカの精神科医エリック・バーン氏が提唱した心理療法の一体系であり、Transactional Analysis、略してTAと呼ばれている。
営業現場では、このTAにより相手の心をつかみ、的確に対応するための実践的な活用が可能になるが、その実践活用については、第2弾として次回の営業白熱カフェのテーマとなるそうだ。

交流分析で覚えるポイントはただひとつ! それは「人には、異なる5つの心の部分がある」ということだという。
異なる心の部分とはこの5つ。

親   CP(Critical Parent:批判的な親)
    NP(Nurturing Parent:擁護的な親)

大人  A(Adult:大人)

子ども FC(Free Child:自由な子ども)
    AC(Adapted Child:従順な子ども)

この5つの部分は、大人でも子どもでも誰もが持っているもので、その強弱やバランスをグラフ化したのが、エゴグラム(egogram)と呼ばれ、視覚的に人の性格を捉えることができるのだという。


▲大人でも子どもでも誰もが持っている5つの心



●さっそく自分の性格を分析!


「講義はほどほどに、まずはやってみましょう!」と配布されたのは、東京大学医学部心療内科TEG研究会が作成した質問表「TEG2(Tokyo University Egogram NewVer2)」。そこには、短い質問項目が53あり、「はい、どちらでもない、いいえ」から答えを選択する。そして用紙に書かれた計算方式で加算すると、5つの心の部分が数値化でき、それをグラフにするという仕組みだ。

 

 
▲東京大学医学部心療内科TEG研究会が作成した質問表「TEG2」。右は、グラフ化した見本

鬼頭氏が読み上げるスピードに合わせ、53問の設問を感覚的に選択し、用紙に丸をつけていく。そして計算。
「グラフのカタチの数だけ性格があります。この人間の多様性を理解することが対人関係能力を高めるためにとても重要です」との鬼頭氏の言葉どおり、できあがったグラフをお互いで見比べてみると、実に様々な形がそこに現れている。参加者全員、同じものがふたつとない形のグラフになった!

●グラフをどう読み解くか、5つの心の部分それぞれについて

さて、気になるのは、そのグラフをどう読み解くかだ。さっそくCP、NP、A、FC、ACそれぞれの意味、分析方法についてレクチャーを受けた。「うーん、納得できる」「自分で思っていたのと違う。なんでこうなったかな?」と言う参加者それぞれの性格について、鬼頭氏のサポートを受けながら各自「自己分析シート」に書きとめていった。


▲ひとり一人のエゴグラムの特徴を鬼頭氏が解説

ちなみに、5つの心の部分とは、下記の特性を持つ。

CP(Critical Parent:批判的な親):父親的な心の特徴を示す。
特性/他人に対して緊張感を与えやすく、よく言えば、道徳的であり、威厳があり、頼りがいがある。言葉使いに「〜すべき」が多い。低い場合は、人の意見に惑わされやすく、まぁいいか的。

NP(Nurturing Parent:擁護的な親):母親的な心の特徴を示す。
特性/他人に対して優しく、安心感を与えやすく、よく言えば、面倒見が良い、心使いがある。言葉使いに「〜してあげよう」が特徴。低い場合は、思いやりに欠けるが、その反面、情に流されない。

A(Adult:大人):コンピュータ的、事実に基づいた客観的な心の特徴を示す。
特性/理論的、客観的、知的な印象。言葉使いでは、「比較検討すると」「私の意見では」が特徴。ただし、ロボット的、傍観者、批判家になりやすいなどの弊害もあり、低い場合は、現実離れした発想ができると言えるため芸術家タイプ。

FC(Free Child:自由な子ども):持って生まれた自然な心の部分を示す。
特性/本能的、行動的で、ストレスも少ない。低い場合は、我欲に走らず、組織では安定調和をもたらす。

AC(Adapted Child:従順な子ども):親や上司の期待に応えようとする心の部分を示す。
特性/おとなしく、人に併せる。組織の中では調整役。自信のなさから「どうせ私なんか」。低い場合は、他人の目を気にしない、マイペース。行動力には優れるが、協調性に欠ける。

以上のように、5つの心の部分にはまず特性があり、高い・低いの両方にメリットもデメリットもある。つまり、いい面が表に出ればいいのだし、マイナス面が出ないように意識することが大事だということ。そのためにも、まずは自我を知り、その特性を生かすことで、コミュニケーションが円滑になればいいということなのだ。ざっとここまでで小一時間。このわずかな時間の中で、自己分析をしつつ、科学的な性格分析手法の基本をマスターすることができた。


●大事なのはバランス!自分の性格を掘り下げてみる

ここから先は、「営業白熱カフェ!」の特徴である少人数制の勉強会の利点を生かし、参加者同士でのフリートーク。なぜ自分の性格がこのように形成されてきたのか、なぜ今このようなグラフになっているのかなど、いろいろな話題で盛り上がった。

鬼頭氏からは、父親に厳格に育てられ、50歳を過ぎてもその影響を脱し切れていない人、いつも自分以外に原因を探してしまい、理想郷を追い求めてしまう人などの事例が紹介された。過去を変えるのと同じくらい、他人を変える、性格を変えることは不可能だという。対人関係で変えられるのは、互いの性格ではなく、人対人の間のやりとりであり、その部分を改善するためにも、まずは自分自身をよく知ることが重要なのだ。

また、身体と同じように、心の健康診断として定期的に自己分析してみることも勧められた。さらには、他人なら自分のことをこう答えるという想定で分析してみると、自己分析とのギャップがまた参考になるとの教えも。確かに、自身のことも他人のことも、5つのバランスで見てみると、多面的に判断することができそうだ。
多種多様なエゴグラムの話題が織り交ざり、「性格」についてより深く理解する時間となった。

 


●エゴグラムを名刺に!?

最後に、自身のエゴグラムを名刺に入れるアイデアが提案された。“自分を売り込め”とは営業ではよく言われることだが、「名刺の裏側に、自分の性格分析結果を書き込む」というわけだ。「子供っぽい性格の人でも、それを最初からお客様にわかっておいてもらう。良い面だけでなく、マイナス面もわかってもらう事で、ものすごく楽に人間関係を築くことができます」。まさに自分の性格を「売り物」にできる究極の自己開示方法だ。
「さらには、それをTシャツにプリントして町を歩くという手も(笑)」との鬼頭氏の言葉に、さすがにそこまでの勇気はないけれど、今日のエゴグラムをブログに載せてみたい!という参加者も。

次回は、次のステップである「他人の性格をどうつかむか、どうやりとりをするか」の実践編。お楽しみに!

  
▲今回のスイーツは、地元密着型の名店「ウイーン菓子 ノイン・シュプラーデン」のザッハーカステラと焼き菓子(横浜市青葉区柿の木台)。シェフが現地で修業されたとのことで本格的なウィーン菓子を提供している。男性も楽しめる大人の味、いつも新しい発見のあるお店で、このチャレンジ精神を見習うべし!ということでセレクトしたとか。BGMは、フランスの『bossa tres jazz Ⅱ』。ヨーロッパの音楽は日本にはあまり紹介されていないが、良質な音楽がたくさんある。自分の目と耳で本当に良いものを見つけていく。そんなことも営業力を磨く上で大事なこと、という思いを込めて


▲写真右から、八木京子氏、細谷裕代氏、鬼頭秀彰氏、中野啓子氏、菱田邦宏氏

●主宰・講師の鬼頭秀彰氏より一言
「今回参加者の中で、起業して活躍している皆さんは、それぞれの性格を生かした仕事をされていることが良くわかりました。たとえば、いろいろな人のことを理解でき、受け止めることが出来る人、きちんと人に道を示し、道を拓いていくことができる人。このような性格そのものが武器、強みになる仕事をしているのです。それは自分自身にとって、とても幸せなことですよね。これを「天職」というのかもしれません。特に、個人事業主にとって、「自分を知る」ことはとても大事なことだとご理解いただけたと思います。
次回4月13日は、今回の続きとして「他人の性格をつかみ、的確に手を打つ」(仮題)を行います。ただし、次回だけは今回の講義内容を理解している前提ですので、新規の参加は受付けておりません。ご了承ください」

取材・文/鬼頭秀彰氏
取材・文、撮影/岡部 恵

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