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NICe主催 経営者のためのお悩み相談センター説明会&特別セミナー 開催速報





2013年7月3日(水)、東京・田町の「女性就業支援センター」で、NICe主催 経営者のためのお悩み相談センター説明会&特別セミナーが開催された。通常のNICeの勉強会やセミナーは、SNSのユーザーに限らず、経営者・後継者・起業家・会社員・起業予定者など幅広く参加を受け付けているが、今回はNICeのSNSユーザー限定の特別セミナー。埼玉県、東京都、千葉県、神奈川県、そして大阪府から、23名が駆けつけた。





『経営者のためのお悩み相談センター』(公式サイトhttp://www.iikeiei.com/)とは、NICe正会員の上久保瑠美子氏(株式会社ii 代表取締役)が中心となり立ち上げた新規事業であり、NICe認定連携事業の第一弾でもある。NICeが掲げる『共同で新規事業を起こそう!!』の方針にもとづき、NICeの人的資源をお互いに生かしつつ、地域の中小企業経営者を応援するサービスができないかと昨年から準備を進め、ようやく今夏にサービス開始となった。

事業内容は、名称のとおり、経営者のお悩みに対応するサービスだ。特徴のひとつは、経営に関する相談のみならず、オフィシャルからプライベートまで、経営者が抱えるあらゆるお悩みを相談できること。さらに、相談に対応するのは、まさに全国に広がるNICeの“つながり力”の結集。NICeメンバーによる専門家アドバイザーチームだ。法務・契約、商標・特許・ブランド構築,営業・販促、人材育成、資金調達,人事・労務などのオフィシャルなことから、健康管理、慶弔マナー、イメージアップなどプライベートなことまで、20の相談カテゴリーに40名の専門家たちがアドバイザーとなって、経営者の悩みや相談に応える。アドバイザーの得意分野、プロフィールなどについては、公式サイトで閲覧できるほか、利用者には印刷したアドバイザーカタログが郵送される。



同サービスの利用対象者は、日本全国の中小企業経営者や経営幹部、管理部門スタッフ、そして個人事業主などで、特に人的資源が充実していない地域や、地元では相談しにくい案件、ネットが苦手だという人々を主な対象としている。そのため、サイトだけに頼らず印刷物によるアドバイザーカタログを用意したほか、相談スタイルもメールだけでなく、電話でも可能で、また誰に相談してよいかわからないというケースにも電話で対応する点も大きな特徴だ。

利用料金は、半年契約で月々 4,980円+税、1年契約で月々 3,980円+税 、2年契約だと月々 2,980円+税。これで、オフィシャルからプライベートまで何でも相談し放題。専門家やコンサルティング会社と契約し相談にかかる費用と比較するとかなりの格安だ。

今回の説明会&特別セミナーでは、同サービスの概要、なぜNICe認定連携事業となったのか、そして、そもそもの発端は何だったのか。現在に至るまでの軌跡と、新規事業を起こすための3つのポイントについて、NICe増田紀彦代表理事と上久保瑠美子氏が語った。


■「経営者のためのお悩み相談センター」は、なぜNICe初となる認定連携事業なのか?
NICeの合言葉は、「つながり力で、日本経済と地域社会の未来を拓く!」




まず増田代表から、なぜNICe認定連携事業となったか、その理由が語られた。「民間NICeとなって3年、ようやく提唱してきた“つながり力”が強化され、ビジネス連携ができる段階に来た」という。
NICeはもともと経済産業省の事業だったが2010年3月に3年間の実施年度が終了する際、有志が呼応して、「つながり力強化のための取り組みに終わりはない。NICeの本番はむしろここから!」の決意のもと、同年4月、純粋な民間非営利活動としてリスタートした。それから3年。増田氏は、「民間になって3年間、あえてビジネスマッチングをしないように努めて来た」と切り出した。

なぜか。先にビジネスマッチングありきでは、金の切れ目が縁の切れ目になるという。そのためあえてNICeはヒューマンマッチングを重視してきたのだ。人間同士がまずしっかり互いを好きになる。そのうえで、互いの仕事を知り、組んでいく。そのほうが、結果、早道だという。これまでSNSのユーザーや周囲からは、「なぜビジネス連携を進めないのか」と問われたことも多々あった。だが増田氏は、「そのようなものはすでに世の中にたくさんあります。商談会やマッチングフェアなど、その場で意気投合するなんてことは現実的に難しいのです。金は切れても切れない縁づくり。そう思い、NICeはビジネスマッチングを抑えてきました」

その理由は、知らない者同士、ビジネスで連携するとなれば、必ず与信が生じてくるからだ。それでも組む場合に何が頼りかというと、リスク軽減のために、少しでも組みやすい相手や少しでも安い取り引きが最優先される。その結果、値引きの横行、下請け・孫請けのカット、未払いなど、金だけの関係は冷酷だ。今や日本では当たり前のようになってしまったが、デフレーションもまさに、「金の切れ目が縁の切れ目」の延長だ。だが、NICeは、そういう関係ではなく、お互いを裏切らない人間関係をまず構築することをメインにしてきたと増田代表はいう。そして、ようやく強いつながりができてきたという実感を得て、この『経営者のためのお悩み相談センター』をNICe認定連携事業の第一弾と決定したと語った。認定事業として、有形無形の応援を今後NICeは行っていく方針だ。

認定した要因は、この新規事業が、NICeの強みをフルに生かしているからだという。
そのひとつはNICeの人的資源。NICeには、全国各地のさまざまな地域・世代・業種のメンバーがSNSに登録しており、いわば専門家の大集団だ。そのNICeの人的資源をひとつのサービスにしたこと。さらに、もうひとつのNICeの強みである“全国”展開ができる点(NICeのNは、NationalのNだ) 。しかもアナログなサービスがあることも大きな特徴だと述べた。

一般的な企業が全国展開をしようとしたら、大きな会社ならば各地に営業所を開設する。小さな会社ならばネットを駆使する。だが、ネットだけでは埋もれやすく、またネット弱者はそのサービスを利用できない。特に第3次産業が多い都市部と違って、地方の経営者のネット利用率は低い。業種によっては日中、デスクワークができず、PCリテラシーが低いケースも多々ある。それらの層に、同サービスは焦点を充てているのだ。ネットだけに頼らずともそれを可能にしているのは、全国展開しているNICeならば人力があるからだ。ネット全盛の現代だからこそ、その逆を行く。ネット社会の中で取り残されているニーズをつかめるこのサービスは、上久保氏個人の挑戦であると同時に、全国展開の NICeがどこまで役立てるのか、NICeみんなのチャレンジとしてとらえていると述べた。


増田代表は、この後に上映される上久保氏作成の『経営者のためのお悩み相談センターがきでるまでの軌跡(非公開版)』に触れた。
「NICeは“つながり力”と言い続けています。つながるというのは、相手の力を知って、相手を応援することから始まります。つまり、相手ありき、利他の精神です。上久保さんもそうです。原点は、NICeのつながり力の定義にある『他者の利益を優先し、計画し、追求することにより、自己の強みの発見と、自己の成長機会を実現する』そこから始まって、上久保さん自身の強みへ、仲間の強みへとつながって新規事業へと至りました。ビジネスというものは、誰かの為にという思いから始まるものだと思います。私たちが手がける新規事業は、大企業のように市場を見定めて始めるものではなく、人の思いから始まって、だんだん深化していくのだと思います。小さな上久保さんの小さな思いやりが、ここまで展開したのも、NICeらしいなと感じています。これから上映される軌跡の中には真面目なビジネスの話も出てきますが、事業になるまでのドタバタを楽しんでいただけると思います。と同時に、つながり力を今一度、認識していただきたいと思います」


※NICeのキーワードである「つながり力」とは。
他者の利益を優先し、計画し、追求することにより、自己の強みの発見と、自己の成長機会を実現しようとする人々が、あらゆる「境」や「際」を越え、情報や知恵を共有・循環させながら、また様々な経営資源を交換しながら、新たな事業を共同で創出し、経済活動や地域社会に、人間的な喜びを取り戻していく力のこと


■つながりを力に!新規事業を起こすための3つのポイント



同サービス概要について上久保氏から説明があった後、15分間におよんだ『軌跡』が上映された。続いて上久保氏は、この新規事業誕生を経て得た3つのポイントを語った。それは、(1)仲間を増やすこと、(2)起業をし続けること、(3)互いの利益を考えることの大切さだ。もともとは思い入れがある自身の故郷・青森の経営者を応援したい!という熱い思いから、増田代表による経営セミナーを青森県八戸市において3回シリーズで開催した。その際に上久保氏はあらかじめ、青森にゆかりのある経営者、教育機関、公共機関などを回り、丁寧に聞き取りをし、さらに中小企業経営者600人へ手紙を送るなど尽力した。その成果があって、セミナーは大成功。だが一方で上久保氏は、本業であるコンサルティング業でも、多くの経営者がさまざまな悩みを抱えていることも実感していた。自分一人でできることは限られている、だが、つながることで、一組織に対抗できるくらいのチームができると思ったと語り、実際にそれが“仲間を増やすこと”で実現したと述べた。

そして、増田代表による八戸経営セミナー開催後、上久保氏はより個別に対応できるよう、増田代表と組んでコンサルティングサービスを開始。さらに、NICeの小林京子理事らを加え、徐々に専門家を増やしていった。その試行錯誤の結果で誕生したのが、この『経営者のためのお悩み相談センター』だ。上久保氏は、起業家である父親・祖父の事業とその進化についても触れた。そして、「起業家の“家”は、それをし続ける人のことだと増田さんのセミナーで学びました。常にし続ける、常に業を起こし続けることが大事であり、企業不滅の法則だと。八戸経営セミナーの開催から始まり、増田さんとペアを組んでの経営コンサルティング、そしてこの新規事業へと、関わる人がどんどん増えて、つながっていくこと、事業も進化していくことも実感しています。起業すること、進化することでどんどん仲間が増えています。そうすると、次の起業の可能性も広がっていくと感じています。
今、これを私は完成形だとは思っていません。もっといろんなものへと展開できていくと思っています。この新規事業に関わる人すべて、利用くださるお客さまにも、アドバイザーのみなさんにも、推進してくださる仲間にも、そしてNICeにもメリットがあると自信を持っていえますし、さらに今後も、関わる人を増やし、事業をより進化させていきます」と抱負を述べた。



■NICe認定連携事業
プラベートからオフィシャルまで「経営者のためのお悩み相談センター」
公式サイト
http://www.iikeiei.com/






取材・文、撮影/岡部 恵

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