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増田紀彦代表から3.11メッセージ「復興4年目突入!」



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    NICe増田紀彦代表からメッセージ 2014年3月11日

          【復興4年目突入!】 
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【たとえば、親を亡くした子どもたちのこと】

東日本大震災の被災者はおよそ13万人。
その中には、親を失った震災遺児が1500人以上もいるという。
子どもの時分に親を失う悲しみや苦しみ、その後の長く続く困難は、
小さな胸を押し潰しかねないほどの重圧だ。
私も小学生の時に母を亡くした経験があり、他人事ではない。

ところで一体、誰がこの子たちを大人へと育てていくのか……。
志の篤い方々が精神的、金銭的な支援を続けてはいるが、
いかんせん、この人数である。

遺児のことに触れたのは、今の今、震災による苦しみの渦中にいる人が
どれだけたくさんいるのかに、思いを巡らせてほしいと願うからだ。

私たちは、被災地や被災者のことをだんだん忘れ始めている。
あるいは、時間が経過したゆえに生じる様々な問題に無知だったりする。


【「3年も経った」が通用しない巨大災害】

2月末、私は宮城県気仙沼市におじゃましたが、
壊滅的な被害を受けた町の光景は、震災直後とさほど変わっていなかった。
(むろん、復興への取り組みは日々行われている)

「東北は、もう、建物が立ったんでしょ?」と、私に尋ねた人がいた。
その人のことを責めることはできない。
「3年間も経ったのだから、さすがによくなっているはず」。
そう思うのが一般的な感覚だ。

もちろん建てられた施設や住宅もある。
だが、多くの被災地は地盤沈下が激しく、容易に建設を進められる状況にない。
昨年11月、岩手県大槌町におじゃました際、
ちょうど盛土の計画が発表されたところだったが、
工事に着手して完成を見るのに3年間はかかるとのことだったし、
では、盛土が済んだら、建物を本当に建てて大丈夫なのかといえば、
誰も、大丈夫だとは保証できない。

東日本大震災の威力は、これまでの私たちの常識的な感覚では、
まったく計ることができないもの、そういうことなのだ。


【被害の大きさが、そのまま復興の困難さに】

言い古された言葉だが、想定外の被害としか言いようがない。
それゆえ、復興を進めるにも、様々な問題が立ちはだかってしまう。

被災地の集団移転は合意形成が容易ではない。
防潮堤建設と景観保護や生活しやすさの問題も決着がつかない。
放射能汚染されたガレキの最終処分も悩ましい。
補償や賠償の問題もまだまだこれから。
汚染水を垂れ流す福島第一原発は、事態収束の展望もない。
死亡や移住により人口が減少し、存続が危ぶまれる自治体もある。

産業や仕事にも暗い影が落ちる。
やはり人口減少が原因で、従業員を確保できない事業所が増えている。
あるいは、復興特区制度を利用して他地域から進出してきた企業に、
経営を圧迫されてしまう企業も出始めてきた。

一方、働く側も勤務先の閉鎖や自らの移転により、
勤務先に復帰できないままの人がたくさんいる。
また、この3月いっぱいで終了してしまう復興支援事業も少なくない。

巨大地震と原発事故の爪痕は、
たかだか3年程度で消し去ることなど、とうてい不可能だ。


【今日は、復興に向けた取り組みの中の1日である】

だから間違っても、「3年で一区切り」などと考えるべきではない。
その勘違いは、被災地の方々を激しく落胆させるし、
また、大地震の被害を、その程度の歳月でクリアできると思い込むことは、
今後発生が予測されている、太平洋側大地震の恐ろしさを過小に評価し
防災意識を減退させてしまう危険もある。

2014年3月11日は、復興という大きな取り組みの中の1日に過ぎない。
そのくらいの気持ちを持たなければ、
この歴史的な大事業に取り組み続けることはできないと、私は思う。


【今日を、新たな挑戦開始の日ととらえて……】

ただ、今日は4年目の復興チャレンジが開始される日ではある。
ゴールはまだまだ先だが、
官民挙げて取り組んできた3年間の努力と成果の上に立って、
さらにこの1年間を、どう取り組むのか、
決意を新たにするには、やはり3月11日の持つ意味は大きい。

NICeはこの1年間、
東北の仲間と連帯し、東北地方の経済活性に貢献することをもって、
震災復興と「つながり力の強化」という、2つの目的成就に挑戦してきた。

◆2013年8月、新宿駅東口での東北3県応援ブースの活動
◆2013年11月、名古屋市でのN-1ブース出展とトークショー
◆21014年2月、福島県須賀川市でのNICe全国交流セミナーの開催

これらの取り組みを全力で準備し、実施した。
そして、通期的に福島の仲間たちが運営するラジオ番組を支援し、
私は東北3県各地において起業セミナーの講師を12回務めた。

むろん、ささやかな取り組みであることは自覚している。
だが、どんどん複雑化し、専門化する復興活動の半面で、
私たちのような普通の市民や企業も、
震災復興活動に取り組めることを証明してきたという自負もある。

1年目より2年目、2年目より3年目と、
NICeの東北応援=震災復興=つながり力強化活動は、進捗している。

その日々の中で、確信したことがある。


【最後の最後は、人は、人に生かされる】

自然災害がもたらす被害や悲劇を完全に阻止することはできないし、
また、そこから立ち直ることも容易ではないが、
それでも傷ついた人々が前に進もうと立ち上がることができたのは、
その人々の傷に思いを寄せ、その人々の強さに敬意を払い、
その人々から、大切なことを学ぼうとする人間が少なからずいたからだと。

だから私たちは、まだまだ被災者の悲しみと苦しみを思うべきだし、
もっともっと、彼ら、彼女らの頑張る姿を讃えるべきだし、
さらにさらに、多くのことを、この人たちから教えてもらおうとすべきだ。

この日本においては、いつ、どこで大地震が発生するかわからない。
たとえば私の暮らす東京を、首都直下型地震が襲ったら、
いったいどれだけの被害になるのだろう。
仮に、その地震の中で私が生き残った場合、
私は、どれだけの悲しみと苦しみを背負って生きていくことになるのだろう。

想像を絶することになるはずだ。だが、それでも……と思う。
それでも、水と食料と愛があれば、私は生きていくだろうと。


【つながり力の強化は、日本の未来を拓くキーワード】

結局、「お互い様」の精神が、この地震列島にとっては一番の宝物だ。
国土強靱化のハード面は、専門家の方々に頑張っていただくしかないが、
国民の心の強靱化は、私たち自身でやれることであり、やるべきことだ。

NICeの理念である、
「つながり力で日本経済と地域社会の未来を拓く!」は、
そのまま復興支援活動の根本になる考え方だと、あらためて感じる。

今日から復興に向けての4年目の取り組みが始まる。
NICeと、NICeの代表者である私は、
東北経済活動の活性化に向けたお手伝いを通じて、
つながり力の大切さと素晴らしさを、さらに強く訴えていこうと思う。

一般社団法人起業支援ネットワークNICe 代表理事 増田紀彦


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