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つながり力で、日本経済と地域社会の未来を拓く!第22回NICe全国交流セミナーin和歌山レポート後編








2014年3月15日(土)、和歌山市のルミエール華月殿にて、NICe主催、和歌山県・和歌山市・和歌山放送・テレビ和歌山後援「つながり力で、日本経済と地域社会の未来を拓く!第22回NICe全国交流セミナーin和歌山」が開催された。参加者は、地元和歌山県内を中心に、宮城県、埼玉県、東京都、神奈川県、滋賀県、大阪府、兵庫県、ニュージーランドなどから101名が結集。

6部構成のプログラムのうち、第3部・増田紀彦代表理事による基調講演、第4部・方言の魅力と可能性を探る「「方言ビジネスの時代が来た!」、第5部・和歌山を舞台にした日本・トルコ合作映画『軍艦エルトゥールル号(仮題)』紹介、第6部・NICe和歌山からのお知らせをこちらにレポート。

プログラム前半の、第1部“つながり力”の第一歩「つながりワークショップ」、第2部・参加者全員の知恵と頭脳をかけあわせる「頭脳交換会」は、こちらレポート前編http://www.nice.or.jp/archives/22198をご覧ください。



■第3部 基調講演 
  
「実例! 連携ビジネス、成功の秘訣

  つながり力で、チャンスをつかめ!」



一般社団法人起業支援ネットワークNICe 増田紀彦代表理事



「前のプログラム第2部でみなさんとはやり取りしていますから、こんな“おいやん”(おいやん=和歌山方言で、おじさん・おっちゃんという意味)かとおわかりのことを思いますので、今日の講演はクイズ式で楽しく話を進めます。テーマは、連携ビジネスです。新規事業をひとりで始めるのはなかなか大変です。先ほど、みなさんに考えていただきましたが、“誰に、何を、どうやって”は、大企業ならば、それぞれの部署があり、人材も資金も豊富ですが、中小企業や個人事業主はそうもいきません。できることも限られてしまいます。景気が良ければ、小さな企業へも仕事が回ってきますが、今はそういうチャンスが回ってこないのが現実です。であれば、小さなもの同士が別々の業界でも、資源と能力を重ね合わせ、つながっていけば連携ビジネスはできます。個々は小さくて弱くても、市場のニーズを捕まえて十二分に商売ができる。そういう話を今日はします。NICeもそのような活動を目指しています。力を合わせ、互いの得意技を組み合わせて、強い力にして行く。これは言葉で言っているだけではなく、実際に実践しているチームがたくさんあります。まさか?!と思うような組み合わせ、そんな会社が組んで商売ができるの?!というような実例です。“つれもて頑張る”(つれもて=和歌山方言で、連れ立って~という意味)ということがこれから大事です。さっそくクイズ形式で連携ビジネス事例を紹介します。考えながら聞いてください」


建築会社+水稲農家+水産加工会社による新事業事例をはじめ、次々と連携ビジネス事例を紹介した。「これとこれが組んで何ができたでしょう?」「どこに・誰に、売ったのでしょう?」「どうやって販路を見つけたのでしょう」と、参加者との問答形式が繰り広げられた。



そしてなぜ、各社が、本業だけでなく異業種と組んだのか。その時代背景、業界の事情、地域性、経営課題など、さまざまな“ピンチ”が、自社の強みと経営資源を他社(他者)と組み合わせることにより、また組む相手を変えることにより、販売先を変えることにより、チャンスにと変わり、市場をつかむことに成功したのかを解説。会場からは「へ〜〜」「ほ〜〜」という驚きの声とともに、熱心にメモを取る姿も。



「まさか!?」の4事例、身近な組み合わせによる「あ、そうか!」の2つの連携事例をクイズ形式で紹介した増田氏は、連携する際の重要ポイントについて語った。

「6つの事例を聴いて、へ〜なるほど!と思ったでしょうし、自分でもできそうと思う事例もあったでしょう。しかし、後から知ればそう思うでしょうが、最初に思いつく、最初に始めるのが難しいのです。家族でもご近所でも、商売上手じゃなくても連携はできます。では、どうやって? です。

今日のような機会を使って違う業種、違う地域、こんなことができるのか、こんなことで困っているのかと、人と交流する・関わることでわかってきます。ここで重要なのは、あわてて組もうとしないこと。表面的な関係は、金の切れ目が縁の切れ目で、いずれ破綻してしまいます。まずは、人間として信頼できる関係をつくっておくことが重要なのです。円の関係ではなく縁ができている関係だと、一緒に頑張ろうと強くなれます。ここが、まさにNICeの精神です」



増田氏は連携ビジネス事例紹介ラストとして、NICe正会員・上久保瑠美子氏が、全国のNICeな仲間の強みを活かして立ち上げた連携ビジネス『経営者のためのお悩み相談センター』を紹介した。



これは、オフィシャルからプライベートまで、経営に関することにとどまらずあらゆるお悩みを、40名を超える専門家アドバイザーチームに相談できるサービスだ。利用者は、経営者、企業幹部、プロジェクトリーダー、起業準備中の人など。相談に対応するのは全国のNICeメンバーであり、その分野のプロフェッショナルたち。さらにネット全盛のこの現代に電話での相談ができる点も大きな特徴で、悩みを相談するだけではなく学びながら成長したい経営初心者や企業準備中の人向けに、上久保氏は相談付き勉強会なども各地で積極的に開催している(公式サイトhttp://www.iikeiei.com/)。



「NICeが訴えるつながり力とは、自分が、自分が、ではなく、まずは利他です。あなたの強みはこれですねと見つけてあげる。その強みを欲しているのは誰だろう、生かせる市場はどこだろうと考えてあげる。多くの人は自分が役に立てるのは、今いる業界だと決めつけてしまいがちです。でも、端から見れば、『これも資源ではないですか?』『あっちでも役に立てるのではないですか?』ということが意外にわかるのです。そういうものを見つけてあげる、そうすることが結果、自分もまた自分の発想や知恵や視点がほかでも通用するのだと発見でき、自分の資源にも気がつく。利他は、他者のためだけでなく、結果的には自分のため、自分の成長にもつながるのです。ぜひそういう傍目八目で、利他の精神で、人と関わり、つながってください。

自分ひとりだけ、小さなままでは、限界があります。いろんな得意分野を持つ他者と組んで、大きな企業に負けない強いつながりを目指してください。他者とつながって、しっかり事業展開していけるような事業者を、ここ和歌山から、全国へと輩出していきましょう。NICeはそういう活動をしています」




■第4部 「方言ビジネスの時代が来た!」




  ゲストスピーカー:株式会社目良建設 代表取締役 目良 敏氏 
  ファシリテーター:NICe小林京子理事
  アシスタント:黒江政博氏




休憩をはさんで始まったのは、「方言ビジネスの時代が来た!」。
ファシリテーターを務める小林京子氏は、会場を見回して声をかけた。

「みなさんに参加していただくラストプログラムです。
スタートから3時間ですので、少し疲れてきましたよね。
ここ一回、伸びをしましょう!
声に出して、のびーーーーーっ!」




「すっきりしますね。ところで、あ〜、気持ちいい!って
 和歌山方言ではなんと言うのですか?」

参加者「あぁ、きしょくいよー」
参加者「ここらええ」

会場内に笑い声が起こり、伸びもしてリラックスしたところで、小林氏はプログラムの主旨を説明した。
「全国にいろいろな方言がありますが、山形弁の女子が、相手がどこの人だろうがかまわず方言でインタビューする番組があります。それを見てとてもほっこりしたので、和歌山も方言豊かな地域、何か使えないかと考えたプログラムです」

小林氏は、ゲストスピーカーとしてお招きした「和歌山弁の会」会長 目良敏氏と、小林氏のアシスタントとして実行委員会メンバー・黒江政博氏を紹介した。黒江氏は和歌山県出身だが、古い和歌山弁を知らない世代で、この会のために『持ち歩き、和歌山弁』というガイドブックを急遽購入したという。




小林氏「山形弁とか大阪弁とかは、県外の人でもなんとなくイメージつくのですが、和歌山弁ってイメージつかないのです」
目良氏「「あんね、いっこね、問題。そのプロジェクター ワシ、かってきた」
黒江氏「借りてきた?」
目良氏「はい。こうてきた、と間違う。我々の年代は、リースしてきた、レンタルしてきたを かってきた」


小林氏「大阪の人もいますので、聞いてみましょう」
大阪府からの参加者「「借りてきたは、かりてきた」
小林氏「有田弁だと?」
有田市からの参加者「借りてきたものは、かってきた、ですね」
小林氏「ということは、基本、大阪弁ではないですね(笑)。
ほかに和歌山方言の例をご紹介くださいますか?」





目良氏「にえてる」
会場「笑!」


小林氏「県外の人、意味は何だと思いますか?」
東京都からの参加者「予想がつかない!」
埼玉県からの参加者「鍋が煮えている?」
神奈川県から参加者「熱くなっている?」
小林氏「和歌山県人で一番若い参加者は、わかりますか?」
最年少「忘れました!」
会場「笑!」
目良氏「ええ? にえてるは、和歌山弁なんや?!」
会場「笑!」
目良氏「コケて、転んで青あざができること、にえている」



小林氏「ほかに、和歌山の方で面白い方言はありますか?」
参加者「紀中のほうですが、おいやん、このすいか、たなってるかい?
おじさん、このスイカは十分に熟れていますか?という意味です」
会場「笑!」




小林氏「方言を、テレビの番組や商品名に使うという事例はすでにありますが、ほかにどのような活用法があるのか。今日は東京からNICe正会員で弁理士の茅原裕二さんが参加しています。茅原さん、方言の活用事例をご紹介くださいますか?」



茅原氏「東京から来ました弁理士の茅原です。岩手県の集まりに参加した時に、方言がとてもかわいいなあと思い、これは将来ビジネスにしたいと考え、『方言女子』という商標を取りました。
方言というのは、聴覚と視覚というような感覚にとても訴える言葉だと思います。同じものでも、その音を変えることができるので、その語感パワーがあると思います。また文字にした時には、視覚でいうと、ひらがな表記をしますから、女子高生へも狙えることができます。実際にテレビで『方言彼女。』というバラエティ番組が人気になり、続いて『方言彼氏。』もできているらしいですし、飲料メーカーのダイドードリンコでは、ご当地自販機もあります。
また、先ほどの、かりてくる、かってくる、のような同音異義語もあります。例としては、『かきくけこ』というCMがありますが、なんだかわかります? 柿を食べに来なさい、という意味です。商品名では、焼酎『いいちこ』も大分県の方言で、いい・良いの意味ですし、『じぇ!じぇ!じぇ!』も商標になっています。ヒーローものでは、秋田県の『超神ネイガー(ちょうじんネイガー)』。ナマハゲが言う『泣ぐ子(ご)は居ねがぁ!』が由来です。ほかにもいろいろありますが、このように方言にはビジネスでの可能性がまだまだあると思います」

小林氏「たとえば、すぐ思い浮かぶのが、宮崎県の元県知事の言葉『どげんかせんといかん』は流行語大賞になりました。また山形新幹線の車内では、山形弁で販売するカリスマ販売員がいるそうです。『コーヒーにミルクはつけっぺか?』と聞かれたら買いたくなりますね(笑)。実際に売り上げは倍だそうです。どうでしょうみなさん、和歌山弁も何かに使えませんか? 思い付く方いますか?」

参加者「紀州のヒーロー つれもて軍団いこらー」
参加者「和歌山国体のキャラクターきーちゃんも和歌山弁で!」



参加者「特急くろしおの車内販売も和歌山弁で」
参加者「和歌山駅のアナウンス」
参加者「30年間、和歌山を離れてて帰って来て、一番萌えっときたのが、『ちゃる(~してあげるよ)』。ちゃる、ちゃら、ちゃれ、ちゃろのような、ちゃるの4段活用をぜひ、きーちゃんにはしゃべってほしいです」



目良氏「今思い出した。つうじやなんだ(通じなかった)和歌山方言。やったらかす(放りっぱなしにする)、どしゃげる(衝突する)、にんこ(おにぎり)、ほる(捨てる。放っておく)、もじけてる(壊れている)」
会場「笑」

小林氏「もっとたくさんの方にお聞きたいのですが、時間となりました。今、みなさんは笑ってアイデアを出してくださいましたが、そんなふうに軽い気持ちで考えたり言ったりしてみる、そこからビジネスしてみるのも一歩かと思います。目良会長、みなさん、どうもありがとうございました!」





■第5部 



日本・トルコ合作映画『軍艦エルトゥールル号(仮題)』のお知らせ

NPO法人エルトゥールルが世界を救う http://ertugrul.or.jp/
理事 冨田博文氏




冨田氏より日本トルコ合作映画『軍艦エルトゥールル号(仮題』のお知らせと、軍艦エルトゥールル号についてのショートムービーの一部が上映された。



明治23年、現在の和歌山県串本町沖にある紀伊大島の樫野埼東方海上で遭難したのが、トルコの軍艦エルトゥールル号(Ertuğrul Fırkateyni)だ。エルトゥールル号は明治天皇との謁見を終えトルコへの帰国の途中だったという。この事故で500名以上もの乗組員が亡くなったが、遭難を知った島民が総出で救援救助にあたり、69名がその後トルコへ無事に帰還した。この時の献身的な救援救助・介護活動は、日本とトルコの友好関係のきっかけになったともいわれ、当時の様子が今も語り継がれている。この物語が、日本とトルコの合作で映画化されることになり、今秋にクランクイン。監督は映画『サクラサク』の田中光敏監督で、公開は2015年予定とのこと。お楽しみに!





■第6部



今秋予定、NICeな1泊2日食べ尽くしツアー in 有田
実行委員会・佐藤寛治氏




実行委員会の佐藤寛治氏より、2014年秋に開催予定のツアーについてのお知らせ。
佐藤氏はツアー概要を説明する前に、なぜ実施を決定したのかその経緯を語った。8年前、勤務先の配属で横浜から和歌山へ移っててきた佐藤氏は、和歌山には、海あり、山あり、魚ありと好印象のイメージを持っていたが、いざ、来てみると、昼間なのにシャッター街が多いことに愕然。こんなにいいところがあるのに。それから8年間、和歌山で暮らしてみて、ますます和歌山の魅力に触れ、良いもの、優れたものがたくさんある!もったいない!と思うようになったという。自分たちの手で何かイベントを開催し、和歌山を活性化できないか!と、NICe内外の和歌山のメンバーと頭脳交換会で話し合い、その第一弾として1泊2日のツアーを計画するに至った。



ツアー協力者としては、本日の第2部にもご協力くださった松林裕次氏、そしてNICeの増田紀彦代表理事の名を挙げた。松林氏には、伊勢エビ、鯛、クエなど、和歌山の美味と民宿を提供していただく予定とのこと。さらに民宿から船で行ける無人島ツアーやみかん狩りなども計画しているという。
「美味しいものを食べに和歌山へ全国から来ていただき、また帰って宣伝していただき、多くの方にまた和歌山へ行きたいと思っていただけるようなツアーを計画しています。ぜひみなさん、お越しください。また和歌山では3カ月に1回ペースで頭脳交換会を実施しています。プレゼンターも募集していますので、いろんなアイデア欲しいという方はどうぞ、初めてでも立候補していただきたいと思います」

■エピローグ


▲実行委員長の太田美香氏から閉会のあいさつ。
「本日は長時間おつきあいいただきましてどうもありがとうございます。
またみなさまとお目にかかれることを楽しみにしています。
本日は本当にありがとうございました!」




■懇親会





「和歌山を元気に。和歌山から日本中へ。」を合い言葉に歌い続けるTONPEIさんのライブも行われ、心にしみいるパワフルな歌声に魅了。なお、5月20日(火)京セラドーム大阪で行われるプロ野球公式戦交流試合オリックス vs 阪神戦の試合前に、TONPEIさんが国歌を斉唱することも懇親会場にて発表され拍手喝采!
TONPEIさんのオフィシャルサイトhttp://www.tonpei.net/


プログラム前半の第1部“つながり力”の第一歩「つながりワークショップ」、第2部・参加者全員の知恵と頭脳をかけあわせる「頭脳交換会」の模様は、こちらレポート前編http://www.nice.or.jp/archives/22198をご覧ください。


撮影/柏木健児
取材・文、撮影/岡部 恵

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