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【東北応援スペシャル】 地域ビジネス10組連続プレゼン&みんなで大討論 NICe頭脳交換会 in 郡山レポート










2016年3月19日(土)、福島県郡山市のビッグパレットふくしまで、「東北応援スペシャル 地域ビジネス10組連続プレゼン&みんなで大討論 NICe頭脳交換会 in 郡山」が開催された。

NICeは震災翌年2012年から毎年2月11日に、東北経済活性のお手伝いを目的にイベントや勉強会を福島県内で開催してきた。2012年は「飲んで食べて買って福島を応援しよう!」を合い言葉に、全国の仲間を福島市に集めた「NICe大宴会 in 福島」。2013年は「やろうぜ福島! 売ろうぜ農産物!」を合言葉に、郡山市で「NICe福島スペシャル in 郡山」。2014年は「第21回NICe全国交流セミナー in 須賀川」。2015年は、東北の食ビジネスを知恵で応援しようと、「食ビジネス 14組連続プレゼン&みんなで大討論!NICe頭脳交換会 in 福島」。そして5回目となる2016年は、NICe流の勉強会・頭脳交換会を実施。今回は、東北でのビジネスを知恵で応援しようと、NICe内外に参加を呼びかけた。福島県内の浜通り・中通り・会津の3地域をはじめ、岩手県、宮城県、茨城県、栃木県、埼玉県、東京都、神奈川県、新潟県、そして愛知県から総勢42名の「異なる頭脳たち」が結集。「みんなで大討論!」のタイトルにふさわしく、多彩な知恵とアイデアがスパークした。


オープニング



オープニングは、NICe恒例の「つながりワークショップ」。これはNICeオリジナルの交流ワークで、名刺交換や肩書きだけではわからない、その人の“人となり”、人としての経験や資源や想いを短時間でわかり合うというもの。



▲参加者ひとり1枚ずつ配布されているA3サイズのシート『つながりQ10(キューテン)郡山スペシャルヴァージョン』。考案者の小林京子理事が、5分間で記入するよう告げると、みなさん一斉に書き始めた

▼次に、『つながりQ10』を掲げて、5,6人ごとに着席している各グループ内で自己紹介し合った。初対面が多かったが、あちこちから笑い声が上がり、わすか数分で和やかな雰囲気に包まれていく






最後に小林理事から、どの地域から参加したのかを挙手するよう順番に促した。最遠方となった愛知県からの参加者へは、自然と拍手もわき起こる。「というようなメンバーで今日は進みます。みなさん、どうぞよろしくお願いします。この次は、いよいよ頭脳交換会です。その前に、以前プレゼンテーターを務めてくだった柳沼さんからのご報告をお願いします」と、須賀川市から参加したパン工房MANA代表・柳沼美千子さんを紹介した。


○NICe頭脳交換会 その後報告
柳沼美千子氏(須賀川市) パン工房MANA 代表 料理研究家

http://www.nice.or.jp/category/members/members-tohoku



「自分で作ったパンを、自分で編んだかごに盛って、みなさまへお披露目したいというのが夢でした」。しかし東日本大震災以降、何も手に着かず、その夢をすっかり忘れていた時期もあったという。だが、柳沼さんは発起し、福島県の6次化創業塾を受講、そこで増田代表と出会った。

「創業塾でいろいろなレクチャーを受けました。私の実家は造り酒屋で、商売屋に生まれてはいましたが、商売の基本のABCがわかりませんでした。3年間、創業塾で学び、NICeともつながっていきました」。

第1回NICeなビジネスプランコンテスト(2013年12月14日開催 http://www.nice.or.jp/archives/20299)にファイナリストとして出場し、「山葡萄で作るパンの酵母と米粉のパン開発、山葡萄の蔓の栽培やあけび蔓で作るかごの技術の伝承」をテーマに、見事グランプリを受賞した。その後も、NICeの頭脳交換会にプレゼンターとして2回登壇している。

「コンテストの翌年、猪苗代町に山葡萄を植えました。2年目で芽が出てきて、ちょうど良く成長するのは7年目ということで、後5年ほどあります。パンのほうではつい先日、3月10から16日まで、東京の京王百貨店新宿店の催事(みちのく いいもん うまいもん)に、パン屋として出店することができました。個人企業で出店していたのは私だけで、ほかは大きな企業さんや会社さん、5,6人で来ていました。この歳で(笑)、こんなに私ひとりでバタバタしなくちゃいけないのかとも思いましたけれど、ひとりでもこうしたことができる、頑張ればできる!という夢が叶ったのは、素晴らしく、信じられないくらいです。増田さんやNICeのみなさん、つながりのおかげで、ここまできたと思います。ご協力いただいたみなさんにこの場を借りて感謝申し上げます」


▲▼京王百貨店新宿店「みちのく いいもん うまいもん」にて




10組連続プレゼン&みんなで大討論

NICe頭脳交換会 前半!



ファシリテーター NICe増田紀彦代表理事



「柳沼さん、素晴らしいですね。入れ物のカゴも乗っているパンも、全部ご自分でつくっています。東京での催事でも、応援が次々でしたね。1週間の長丁場の催事、しかも東京ですから、大変でした。商品をつくるのも大勢の応援があったし、できた商品を冷凍するのも、地元の道の駅さんが協力くださった。本当に、つながりがあれば、個人ひとりでも頑張れる。今日はこの後のブース交流タイムに出店されますが、実は私がつくったパイも入っていると思うので、ぜひアタリを手にしていただければと思います。

さて、NICe頭脳交換会。きっと全組が終わる頃には、ぽんぽんアイデアが出る、そんな自分に驚かれると思います。始めのうちは、『アイデアを口にしてすべったらどうしよう』、と思われるかもしれませんが、何を言ってもOKです。固く考えず、なんでもありありのアイデア出しをお願いします。お題に対してグループで話し合っていただき、その後、各リーダーに発表してもらいます。前半1時間、4組に登場いただきます。後半は6組です。では口開けは、いわき市の新谷さん、トップバッター、準備はいいですか?」


○プレゼン1

新谷尚美さん 福島県いわき市
食処くさの根株式会社 http://kusano-ne.net/

「サンマのポーポー焼きをヒット商品にするには?」




「兵庫県生まれの山育ちなので、海の福島、気に入っています!」と自己紹介からスタートした新谷さん。仲間とともに『道の駅 よつくら港』の中に、直売所と食堂を兼ねた店舗を構えていたが、震災による津波で全壊。「町もぼろぼろ、店もぼろぼろ。なんとかせねばと、人生で一番仕事した5年間でした」と振り返った。震災2ケ月後には移動販売車で営業を再スタートし、同年10月には現在の店舗をオープンさせ、従業員も全員復帰を果たす。さらに、「全世界が注目している今こそ、世の中へ発信できる商品の開発が大切」と考え、加工食品の商品開発にも着手。そして、いわき伝統のサンマのポーポー焼き、海老しんじょう、サンマのみりん干しをはじめ、今年2月からは、じゅうねん(エゴマ)ドレッシング、ゆずドレッシングなどの販売も開始した。いずれの商品も好評を博しているものの、今年中には工場稼働予定のため、販路拡大も急務だ。「商品そのものも、まだまだ改善の余地があると思っています。食堂では人気商品ですが、もっともっとヒット商品とするためのアイデアをよろしくお願いします」と、特にサンマのポーポー焼きについての改善策を求むとしてプレゼンをしめくくった。

増田代表「みなさんにまず考えてほしいのは、商品をもっとこうしたらいいんじゃないか?というアイデアです。量でも色味でもパッケージでもいいです。見た感じでこうしたら、もありです。まずグループ内で話し合ってください。今でも完成系に見えますけれど、もうちょっと良くなる方法、何でしょうか! さぁヒット商品にしましょう。では、シンキングタイムスタート!」







○プレゼン1 アイデア発表タイム

各グループで話し合った時間はわずか3分半。
それぞれのアイデアをリーダーが発表


Eグループ
・大きさを見直してはどうか、ひとくちサイズ、お弁当サイズなどいいのでは
・お団子の形にするのも食べやすそう
・食べ方についての説明があるといい。「焼いてどうぞ」のような一言の記載があるといい
・野菜とサンマのミンチとのことだかが、どうつくったかストーリー性を示す
・ハンバーグ風など、名前に対するイメージがあるとよりわかりやすいのでは


Aグループ
・Eと同じく、食べ方について意見が出た。料理方法、レシピがあると、初めてでも食べやすいのでは
・このままですぐ食べられる商品があるといい。食べやすさは大事
・ポーポー焼きそのものを活かした新商品はどうか。ポーポーバーガーのような
・大量生産できない=少量販売、ならば、高級感ある包装にして単価を上げる方法もあり


Bグループ
・ポーポー焼きは現在2枚入りだが、1枚入り商品も必要では
・食べ方は、そのままでも湯煎でも焼いても揚げてもいけそうなので、それぞれのレシピを
・海老しんじょうの海老、ポーポー焼きのサンマ、よりわかりやすく海老やサンマのイラストをパッケージに


Cグループ
・原材料がこれだけ入っているのに無添加なのは、珍しいと思うし、アピールポイントなのでは
・無添加・国産であることをわかるようパッケージに。安心感、信頼感が増すと思う
・大きさについて。誰へ向けた商品なのかで大きさも変わってくると思うので、検討したらいい


Gグループ
・大きさについて。2枚入りだと、ひとり暮らしの人は食べ切られないので買わない、とならないよう、
1枚ずつ使えるよう、2枚入りでもパッケージに切れ目を入れたらどうか
・販売する時に商品名を言うが、商品名が長いので、説明したいキーワードは別に記す。
包装に言いたい情報を全部載せてしまうと、一見して、
欲しい・いらない、が判断されてしまうので販売員が売り口上を言う余地を残したほうがいいのでは
・移動販売車があったということなので、ポーポーと、音を流しながら販売してはどうか


Gグループ
・包装にシールが張ってあるので商品そのものの中心が見えない。パッケージ改善しては
・1枚ずつ切り取れるようにするのであれば、ポーポー焼き2枚入りではなく、
ポーポー焼きと海老しんじょうのセットにしたほうがお得感があるのでは
・ご飯のおかずで食べるのか、酒のおつまみなのか、はっきりさせたほうがいい。
「なんでも対象です」が一番よくないので


Fグループ
・なぜポーポー焼きというのか、ストーリーでアピールする
・商品には「秋刀魚」と漢字で表記しているが、サンマ・さんま、のほうが読めるのでは
・ロゴはカッコいい
・サンマのキャラクター化をしてはどうか。一見するとサンマには見えなかったので、
もっとサンマだと判るものがワンポイントであったほうがいい。
かわいいのか手作り感か、海老も一目でわかるように


増田代表「すごいですね!NICe頭脳交換会のキャッチフレーズ、“ひとりで100分考えるよりも、100人で1分”の通りでした。アイデアが続々出てきます。頭の数の多さは、本当に大切なことです。今、かなり勉強になったと思いますが、では次に、どんな売り方がいいでしょうか? 用途や相手によって変わってきますよね。どういうところへ提案したらいいでしょう。挙手で」





・同じ商品でも、売り先によってパッケージを変えていいのでは
・日本酒のコーナーにおく
・お子さんにもいいので別パッケージ、別売り先へ。
・お花見シーズンに合わせて
・量産が今はできないとのことですが、通販でセットにして売る
箱も可愛くデザインしてもらうとギフトに向く
・浜通り・中通り・会津の連携で、海のもの山のもの、組み合わせて福島ギフトセットにする


○プレゼン2

遠藤文章さん 福島県金山町 株式会社会津金山大自然
http://www.daisizen.biz/

「マコモワカバパウダーの新しい使い途?」




高齢化率が県内トップクラスで、離農者も多いという福島県金山町。そのため遠藤さんらは、町内の耕作放棄地を再利用し、いわき市のマコモダケ生産農家『彩花園』(さいかえん)遠藤菊男さんの協力を得て、2015年からマコモ生産に取り組んでいる。マコモとは、日本では古くから自生しているイネ科の植物で、茎の部分から肥大する食用マコモタケは主に中華料理の食材として使われている。一方マコモの若葉は、粉末化すると爽やかな緑色で、抹茶のような香りが特徴であり、さらに若葉には、ビタミンA、C、E、βカロチンがほうれん草の5〜9倍、葉酸も3倍以上含まれている。遠藤さんらは町をあげて、この若葉粉末を生かした6次化商品の開発に取り組んでいるところだという。現在すでにお餅に練り込み商品化させているが、今後はアイスクリームやお茶にも活用する計画。そのほかの使い途についてアイデアを求めた。



▲シンキングタイムはわずか3分! だが、食品分野・非食品分野、さらに美容・健康品、ペット用品など、さまざまな応用案が飛び出した。小林理事がみなさんからのアイデアを模造紙にまとめ、お開き後、それぞれのプレゼンターへお土産として手渡した


○プレゼン3

川上美和さん 福島県大熊町 會空(あいくー)
https://www.facebook.com/%E6%9C%83%E7%A9%BA-473517766076706/

「會空(あいくー)を首都圏以南のイベントにも出展したい。
どこに、どんなアプローチで?」




會空(あいくー)とは、大熊町から会津若松市へ避難し、そこで出会った会津木綿を素材に、川上さんら大熊町のみなさんで手づくりしている熊のぬいぐるみ。「大熊町にはもともと黒い熊のキャラクターがいました。会津に避難した母たちと、大熊町を忘れてほしくないとつくり始めました」と川上さんは誕生のきっかけを紹介した。この會空は、四肢が自由に動く造りになっており、実用新案と特許も取得。独り立ちして自立して歩いて行けるように、との思いも込められているのだという。現在の販路は、ネット販売やイベントでの催事がメイン。川上さんらはこの催事が現在は東京どまりなのが課題だとのこと。名古屋、関西、九州へと、西のほうへも広げていきたい考えだが、つてがない。東京以西のイベントへ出店するアイデア、販路を広げる方法、つてのつくりかたについて、知恵を求めた。



▲すでに會空を持っているファンに呼びかけ、ネットに写真投稿してもらい広める利用法、ご当地の布や名産品と組み合わせる、旅行会社や音楽フェスなどイベント会社とのコラボ、企業ノベルティ、ミニ絵本化、ふるさと納税、卒業や就職など独り立ちする層や送り出す層へ向けたアプローチ、さらに「東海エリアで開催する私のイベントで!」と力強い協力の声も


○プレゼン4
曳地一夫さん 福島県伊達市
五十沢(いさざわ)あんぽ柿 生産者

「あんぽ柿をどうやって広める? どうやって売る?」




あんぽ柿の発祥の地・伊達市梁川町五十沢(いさざわ)で、柿を生産し、干しあんぽ柿を加工販売している曳地さんは、まさに柿色オレンジ色のパーカーでご登壇! 五十沢の柿農家のみなさんは、震災後、原発事故の影響を受け、これまでと同じように当たり前のように丹誠込めて手入れをして成った柿を、すべて廃棄せざるを得なかった辛い時期が2年間も続いた。3年目から全量検査により安全性を示し、ようやく出荷できるに至った。だが、出荷できるようになったものの、販売量は震災前の7割にしか回復しておらず、ほか地域の安価な干し柿との価格競争にも脅かされている。おおぶりで肉厚が特徴の五十沢あんぽ柿を、もっと広めたい。パッケージを変えて、1個売りいしたらどうかとの意見もあるが、検査機械に合わせるために現在のパッケージ形状は今しばらく変更ができない状況にある。現在のパッケージで、安売りせずに販売する方法、販路を広めるアイデアをお願いしますと語った。



▲試食しながらアイデア出し。冷やして食べても美味しいとのことで、夏用として出荷してはどうか。他食材と組み合わせた食べ方レシピの提案、袋の形状はそのままでもデザインで高級感を出せるのでは、高級料理を想定した新レシピの提案、ほかの干し柿との差別化にネーミングを変更するなどアイデアが続々!



交流つながりタイム



頭脳交換会前半戦を終えて、ここからは、「交流しよう!つながろう!」を目的にした交流タイム。場内にはプレゼンターや自薦他薦による、さまざまなブースが出店し、後半開始までの40分間、賑やかに交流を深めた。




▲プレゼンにも登壇した川上美和さん(福島県大熊町)
大熊町と会津をつなげる 会津木綿の手づくり熊『あいく〜』『しまく〜』を販売。熊の首に巻くスカーフは、購入者が多彩な会津木綿から好みで選べる楽しみも提供


▲後半のプレゼンに登壇する本山実里さん(新潟県十日町市)
プレゼンテーマとなる『ふしぎの種』をはじめ、本山さんオリジナルの自作絵本をお披露目・販売した


▲JAふくしま未来相馬地区本部のみなさん
(福島県相馬地区:新地町・相馬市・南相馬市・飯館村)
黄色いハートがシンボルの、カボチャの種茶ティーバッグを参加者へ無料配布




▲冒頭の報告に登壇した柳沼美千子さん(福島県須賀川市)
自然酵母でつくったオリジナリティたっぷりのパン、砂糖不使用の「キクイモパン」、新作アップルパイなどを特別価格で販売


▲後半のプレゼンに登壇する北條睦子さん(福島県白河市)
エコファーマー認定農業者・北條農園のしぼりたて100%の無添加りんご・桃ジュース、しあわせリンゴケーキなどを販売。キウイパンの無料試食も


▲プレゼン前半に登壇した遠藤文章さん(福島県金山町)
テーマにもなったマコモワカバパウダーをはじめ奥会津・金山の食材を練り込んでつくった田舎餅、フリーズドライの商品など、金山の名産商品を販売


▲後半のプレゼンに登壇する荒 淳子さん(福島県南相馬市)
会津美里町産の厳選したお米を使用した手づくりの切り餅、全12種類を御主人と一緒に販売


▲プレゼン前半のラストに登壇した曳地一夫さん(福島県伊達市)
曳地さんがつくった大ぶりの伊達名産あんぽ柿と、地域の仲間がつくった昔ながらあんぽ柿を販売。
甘味料も砂糖も使用しない、自然の甘みと美味しさが自慢!


▲後半のプレゼンに登壇する普代村すき昆布応援隊(岩手県普代村)
三陸の外海で育てた良質の若昆布を、細くすいて乾燥させた普代村特産品すき昆布を販売


▲▼プレゼンのトップバッターを務めた新谷尚美さん(福島県いわき市)
サンマのみりん干し、ポーポー焼き、海老しんじょう、新発売のドレッシングなど自慢の加工品を販売



▲当会実行委員長を務める須藤芳浩さん(福島県棚倉町)
お米&イチゴ農家の須藤さんが手塩にかけてつくった旬のイチゴを10パック限定で販売


▲株式会社日本政策金融公庫 国民生活事業 東北創業支援センター(宮城県仙台市)
角田 勝さんによる事業資金融資なんでも相談コーナー





株式会社日本政策金融公庫 国民生活事業
東北創業支援センター 角田 勝さんからごあいさつ




「最初のつながりワークで、20年前に比べて体重が二倍になったという方がいましたが、私のことではと思っているような視線を感じています(笑)、でも私ではありません。私は1.5倍に増えているかな〜という感じです。
さて私は、仙台にある日本政策金融公庫の東北創業支援センターで仕事しております。増田代表には、私たちが主催しました女性起業家セミナーの講師でお越しいただきました。非常に盛会で、その時にご縁をいただき、本日参加させていただきました。日本政策金融公庫については、ご存じの方も多いと思いますが、政府が全額出資している政策金融機関で、全国に152支店の「創業サポートデスク」があり、福島県内にも、福島市、郡山市、会津若松市、いわき市と4支店があります。事業資金融資などのご相談、こういう商品を売り出したい、など、お気軽にご相談お声かけいただければと思います。

今日、私はNICeのイベントには初めてですが、脳に汗をたくさんかきながら、私自身もない知恵を、アイデアを、出させていただき、とても勉強になっています。人の前で発言をすることにより、いろんなアイデアが出てくるものですね! 尊敬するコンサルの方に教えていただいた言葉なのですが、儲かる、という字。にんべんに、言うに、者です。人に、言う者が、儲かるのだと。なるほどなと思いました。こういう場を通じて、いろいろな情報を発信することで、商売繁盛の秘訣を体得できるのではないかと思います。今日は勉強になります。後半戦もみなさんとご一緒にいろいろ考えてまいりますので、よろしくお願いします」



10組連続プレゼン&みんなで大討論

NICe頭脳交換会 後半!



ファシリテーター NICe増田紀彦代表理事

増田代表「さぁ後半です! 討議しながらどんどん手を挙げてもらいます。今日は全国各地から起こしいただいていますが、(参加者のおひとりを指差し)彼女は、水戸市から水郡線で来たんですよ!(会場から驚きの声があがる) 路線は1本ですが、全区間乗る人はなかなかいないでしょう(笑)。水戸から郡山まで乗り通して3時間! 次は、さらに遠く、片道6時間かけて岩手県から来たプレゼンターです」

○プレゼン5
普代村すき昆布応援隊 岩手県普代村
http://www.vill.fudai.iwate.jp/wp/recipe/recipe_top

「すき昆布をどうやって広める? どうやって売る?」




交流タイムで普代村すき昆布を販売した応援隊のふたり。そのひとり森田さんは、「私も漁師の息子なのでなんとかしたい」との想いで、今日は参加したと述べた。三陸の海に面した普代村は、山海の幸が豊富な地だか、外海が時化るとそれだけ漁業被害は深刻だ。そのため先人の漁師たちは、昆布と若布の養殖施設を築き上げ、昭和40年代からは村の特産品として、昆布の商品化をすすめてきた。そのひとつが、すき昆布。新鮮で若い昆布を茹で、2〜3mm幅に切り、ぬめりをとって平らの板状に干したもの。 一度茹でて干してあるので塩気が程よく薄く、食感も柔らかく、水やお湯ですぐ戻せるので、煮物やサラダ、汁の具にと楽しめる。だが生産ピークだった平成4年以降、売り上げが落ち込み、漁師の高齢化・人手不足により、すき昆布の生産継続が危ぶまれているという。村の特産品であるすき昆布を守りたい、もっと広めたい。どこへどのように販路を広げたらいいか、アイデアを求めた。


▲▼各テーブルには試食用として、柔らかなすき昆布に、同じく普代村の若手経営者・上神田敬二さんが開発した、昆布入り特製生だれ(上神田精肉店さん)で味付けしたものが振る舞われた。味わいながらのグループディスカッションはわずか1分半。にもかかわらず、この味付けで瓶詰めにして商品化する。ほか食材を組み合わせて商品化させる。栄養面と低カロリーをアピールしてOL向け・学生向けへ販売する。1食分の小分け包装にしてカップ麺とセットに。タタミイワシのように炙ってもいいのでは。揚げる・スイーツ系に、キムチに、などのアイデアが寄せられた



○プレゼン6
荒 淳子さん 福島県南相馬市
食品工房 ジュン

「自家製の12種類のお餅。どんな楽しみ方がある?」




荒さんは餅米をさまざまなニーズに応えて加工し、現在は12種類のお餅を販売している。震災前は、白餅、豆餅、かき餅など4種類だったが、「震災で自宅も機械も流されたという方から、お餅が食べたい、ついてほしい」との要望を受け、そのリクエストに応えるうち、紫芋、カボチャ、ほうれん草、えごま(じゅうねん)、しそなど、12種類にまでに増えたという。お餅と言えば食べ方は主に、焼く、お雑煮に、というような和風が一般的だが、郡山では「キャベツ餅」(キャベツなどの野菜を炒め煮して、焼きあがった餅を入れて食するローカル料理)もあるとのこと。このような定番以外の食べ方のアイデア、お餅の幅広い楽しみ方を求めて登壇したとあいさつした。



▲▼荒さんのお餅は自然な色彩も魅力。それを活かしてはどうかのアイデアとして、何色が出てくるか食べてからのお楽しみ餅巾着に。ラジャニア、ピザ、しゃぶしゃぶ、モザイク画風に、との提案も。また、「うちの地元では餅文化があります、餅懐石のフルコースはどうか」、フレンチトースト風に食している、クルトンにいい、オニオングラタンのバケットの代わりに、白米と同時炊飯で子どもたちも喜ぶなど、実際にこうして愛食しているという参加者から具体的な楽しみ方も紹介された



○プレゼン7
北條睦子さん 福島県白河市
北條農園 https://twitter.com/momonasiringo

「黄色いキウイのコンポート。 どんな利用方法がある?」




ぶどう・桃・梨・キウイ・りんごなどを多様な品種で生産している北條農園の北條睦子さんは、北條家で「メガキウイ」と呼んでいる1個200gを越える大きなキウイを紹介した。娘婿の仁さんが丹誠込めて栽培しており、収穫後、追熟させてから、透明パックに4、5個を入れて500円で販売している。北條さんは、生で売る以外に、珍しいコンポートでの販売を構想中とのこと。そのままデザートで楽しんでもらえるほか、生のキウイにはアクチニジンという酵素があるため、生のままでゼリーをつくろうとしても固まらない特性がある。コンポートにして販売すれば、スイーツづくりが好きな消費者へ、素材としても勧められると考えた。そのほか、キウイのジャムも考案中とのこと。デザートやスイーツ以外に、この「メガキウイ」コンポートをどのように利用してもらえるだろうか。また地元の直売所で販売する場合と、ほか地域で販売する場合の、「誰に」を想定した販売の知恵を拝借したいとプレゼンした。


▲▼美しい切り口を見せつつ、色鮮やかに形良く詰めたコンポートに、絶賛の声が多々あがった。ふるさと納税のセット商品として喜ばれるのでは? 見た目の高級感を生かして高級飲食店へアプローチしては。商品名も見た目と同じようにお洒落なネーミングにして高級感あるパッケージにする。ブランド化する。酒類に、飲料に、などのアイデアも。また、北條さんがこれでパイをつくるならば自分の店で売りたい!とのオファーも
 





○プレゼン8
大竹律子さん 福島県喜多方市
おおたけファーム

「業務用としてアスパラを買ってくれそうなところって?」




大竹さんは喜多方市の慶徳町(けいとくまち)で、露地栽培と20棟のハウスでアスパラガスを生産している。「夫婦ふたりで7反(たん)やっています」と述べると、その広さが判る参加者からは驚きの声があがった(1反=300坪。7反=2100坪!)。ほとんどは農協へ納めているが、規格外の歪曲したC級品の需要も少なくなく、会津若松市内の旅館や個人客へ納めているという。ほかに業務用としてどのようなニーズがあるか。シーズン中は農作業で多忙なため、自身が販路拡大やPRなどで出向くのは難しい状況だ。できれば会津管内か近県で、業務用のC級品の販路拡大へ向け、アイデアを求めた。

増田代表「旅館でアスパラの天ぷらに、またバイキングならばカットして提供しますから、ちょっと曲がったC級品でいいわけですよね。ほかの産品にも言えることで、みなさんにもヒントになると思います。さて、宿泊施設や個人商店、個人客のほかに、給食施設など、形にこだわらないところ、ありそうです。考えてみてください!」



▲シンキングタイムは2分弱。さっそく、大手有名小売店と会津野菜の販売プロジェクトを計画中だという参加者からオファー! 生産者が企業と直に商談するのは農作業もあるため厳しいこともあるが、このように仲介者がいれば心強い。このほか、業務用で20、30kg欲しい。収穫が大変だろうから収穫体験そのものを売りにする。アスパラガスだけにガス会社と連携してショールームでの調理デモ用に活用してもらう、などのアイデアも


○プレゼン9
本山実里さん 新潟県十日町市

「自作絵本『ふしぎの種』をどう販売する?」




趣味で絵本をつくってきたという本山さん。最初のきっかけは、知人の結婚祝いとして、ふたりのなれそめを絵本にして贈ったこと。以降、友人の誕生日プレゼントなど創作活動を続けてきたが、なるべく多くの人に、いろいろ人に、自分の作品を読んでほしいという気持ちになったという。とはいえ、自身は十日町市役所に務める公務員の身。副業としての考えはなく、営利目的でもない。自作絵本の販売は公務に抵触するか人事に確認したところ、問題はないとの回答を得ている。現在は、地元のワークショップでの展示、Facebookでの紹介などをしているところ。より多くの人に読んでもらえるアイデア、どのように販売したらいいか、ご意見をいただきたいと語った。



▲作風は、画用紙に水彩の色鉛筆で描き、筆で流して仕上げるという趣のある作品。手作業で製本した絵本タイプと、紙芝居風に1枚ずつ小分けにした作品もある。この日は本山さんと同じく公務員・公職の参加者も多く、3分半のグループディスカッションを経てさまざまな角度・立場からのアイデアが寄せられた。知り合いの歯医者の待合室に置きたい! 小型化して商品タグにつける、紙芝居屋さんへそのまま売れるのでは、地域貢献度を高めれば公的協力や地元ニュースにもなりやすい、地元の図書館との連携、グリーンツーリスムとのコラボ、映像趣味の友人に協力してもらう、などなど


○プレゼン10
山内憲司さん 福島県会津若松市
福島アダプトネットワーク https://dog.fukushima.jp/

「動物保護団体によるペット用品店。 既存店との差別化は?」




動物保護の活動をしている山内さんは、保護した動物たちを一時的に預かり、譲渡会を開催するなどして新しい飼い主との橋渡しに尽力している。このような活動の多くは個人によるものが多い中、山内さんらは団体として、個人活動へのサポートまで行っている。また、飼い方の指導や相談にも応じ、「飼い主さんを育てていくという考え」でいるとのこと。犬猫を捨てる飼い主をひとりでも減らし、殺処分ゼロにするのが最終的な目標だと述べた。とはいえ、その運営費は大きな課題でもある。福島県は面積も広く、移動距離も長い。山内さんらは県内すべての保健所をめぐり、保護し、シェルターに預かり、健康状態を回復させ、里親へと手渡すため、その総費用は犬1匹あたり10〜15万円を要するとのこと。それら運営費を賄うために、ペット用品販売をスタートさせたい考えだ。併せて6次化によるペット用フードやおやつの新商品開発も考えたが、今のところは既存商品、手づくり品を念頭に置いている。このような活動への賛同者は多いが、金銭での寄付は継続も厳しい。そこで山内さんは、金銭での寄付は難しくても、販売商品にドネーション(寄付プラス)ならば、貢献したいという方もいるのではないかを考えている。ここ最近、生体販売を止めて用品だけを売るペットショップが増えてきたものの、ペット用品店そのものは競合も多い。どのような特色を出せば、当店を選んでいただけるのか。保護団体で売る場合の差別化アイデアをいただきたい!と語った。





▲つい先日愛犬を亡くし、とても賛同できる!という参加者からは、自身も出向いたことがある保護犬猫と触れ合えるカフェの事例が紹介された。同じ方法ができるのでは。また、愛犬家の参加者からは、通常のペットショップでは置いていない具体的な商品例と制作者、ペットフードの選択基準、フード業界の事情などが述べられ、差別化できる具体案が多く示された。ほかにも、人間・飼い主向けの手づくり品の販売、里親になった飼い主への特典や割引制度などのアイデアも寄せられた



増田代表
「山内さんは農家でもあるので、農家がペットショップをやったらどうかという発想も大いにありますね。さて、以上、頭脳交換会、10組やり遂げました!
みなさん、よく途中で逃げたり帰ったりしませんでしたね(笑)。頭脳を使っていただき、脳みそにたくさん汗をかいたことと思います。どうでしたか? みんなで楽しく討議すると、難しい課題やテーマでも、決して苦しい作業ではなかったと思います。直接自分の事業とは関係ないようなテーマも、勉強できたことは多かったのではないでしょうか。プレゼンしたみなさんも、ほかの方の話題も含めて、たくさんの知恵を持ち帰って生かしてください!」


フィナーレ

実行委員長・須藤芳浩さん(福島県棚倉町)からあいさつ


「本日の主役でもある、プレゼンターのみなさん。勉強になり、得るところの多々ある凝縮されたプレゼン、大変お疲れさまでした。ありがとうございました。

常々思っている、こころ掛けている事なのですが、どんなに秀逸なアイデアでも、思いついただけでは
価値がない、意味のないモノだと私は思っています。今回、みなさんで出し合ったアイデアも、行動をおこしてこそ、生きるアイデアばかりと思います。もしかしたら、なかなか完成をみない、あるいは一度は失敗に終わるかもしれない。だけど、やってみる。自分で、やってみる。それこそが、自分の世界を変え、未来をぐっと引き寄せるものだと思います。今日のこの時間が今後のみなさまの活動につながることを願っております。

それではこの後、懇親会へご参加のみなさまへは、ワタクシの一押しの日本酒、会津坂下(あいずばんげ)の『天明』(てんめい)と、最近人気で地元でもなかなか買い難くなってきている古殿町(ふるどのまち)の『一歩己』(いぶき)をお持ちいたしました。ビール党のみなさまにおかれましては、お店にあるとは思うのですが、本宮市産のアサヒスーパードライをお楽しみください。
というわけで残念ながらご一緒することができない方は、くれぐれもお気をつけてお帰り下さいませ。
では、めくるめく郡山の夜をどうぞお楽しみください。
本日はどうもありがとうございました!」



次回、東北でのNICe頭脳交換会は……
2016年5月21日(土)に、会津で初開催決定!

参加申込みスタート!詳細はこちら
http://www.nice.or.jp/archives/34522


取材・文、撮影/岡部 恵

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