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厳しさを増す経済・経営環境に立ち向かうために、NICe増田代表理事が送る、視点・分析・メッセージ 。21日配信のNICeメルマガシリーズコンテンツです。
新幹線整備は、災害対策と経済成長を両立させる



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    「増田紀彦の視点 どうする?日本経済」

     第46回 
     新幹線整備は、災害対策と経済成長を両立させる
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【特急といえども、やはり新幹線には敵わない】

今年度の出張スケジュールを確かめてみたら、
福島県いわき市に計25日、茨城県水戸市に計10日ほど出掛けることになっていた。
この2地域と東京は、いずれもJR常磐線で結ばれている。
「ひたち」という特急も走っているし、乗り換えもないので助かりはするが、
そうは言っても、所詮は在来線、けっこうな移動時間を要する。

ちなみに東京駅からいわき駅まで特急で向かうと2時間22分。
ところが東京駅から、いわきよりも遠い郡山駅までは1時間23分で到着する。
東京-郡山間は新幹線が走っているからだ。
思わず、常磐線新幹線があれば……と、思った。


【常磐新幹線構想は、存在していた】

実は、常磐新幹線構想は、とっくに存在していた。
1969年に、自民党国鉄基本問題調査会において、
全国新幹線鉄道整備に関する基本方針が決定され、その中で、
東京-水戸-日立-いわき-仙台を結ぶ常磐新幹線が提案された。

さらに翌1970年には、鉄道建設審議会が全国新幹線整備法案の検討を決議し、
常磐新幹線のルートは、東京-成田-水戸-日立-いわき-仙台に拡張された。
新幹線を指して「夢の超特急」などと言うが、
上記のルートは、日本経済にとって、まさに夢の路線である。
駅の名前を、都市の果たす役割に置き換えると、
首都-新東京国際空港-茨城県庁所在地-日立製作所-小名浜港-東北最大都市だ。


【本格的な新幹線整備をネグレクトする政府】

しかし、その後制定された全国新幹線鉄道整備法では、
なぜか常磐新幹線計画が消えてしまい、結局、今日にいたっている。

実は、整備法制定当時には、多くの新幹線構想が存在していたが、
秋田新幹線や山形新幹線のような「ミニ新幹線」に変更されたり、
計画自体が立ち消えになったりした路線も少なくない。
そして今も、財務省を筆頭に政府は、新幹線整備に消極的なままだ。

この流れを、もう一度もとに戻すべきだと私は思っている。


【自然災害対策と経済成長の矛盾は克服できる】

たびたび書いてきたが、
日本は、自然災害による生活と経済への打撃が看過できない状況にある。
こうした状態が続く以上、
生活圏や産業拠点をできる限り国土のあちこち分散したほうが安全だ。

一方、生産性の観点で言えば、諸々の機能を国土のあちこちに分散させるより、
一定の場所に集中させたほうが、効率的である。
戦後、日本が奇跡の復興を成し得たのは、京浜地帯や阪神地帯などの港湾を整備し、
そこに物流拠点や加工・製造拠点を配し、全国から労働力を集中させたからだ。

かくのごとく、リスクヘッジと効率は矛盾する。
この悩みの解決の一助になるのが、新幹線の整備ではないだろうか。

新幹線ネットワークが充実すれば、地理的に分散した生活圏や産業拠点を、
経済的(市場的)に統合することが可能になる。
現に、東京と名古屋を結ぶリニア新幹線を推進する人々は、
「10兆円を超える経済効果が期待できる」と、言っている。

むろん、地方の新幹線にリニアと同規模の経済効果は期待できないが、
その10分の1でも、100分の1でも、意味はある。
国土の危機のリスクを分散させながら、経済成長を追求できるのだから。

加えて新幹線建設ともなれば、地方企業にも資金が回るし、雇用も増大する。
政府は緊縮財政を見直して、新幹線整備にぜひとも前向きになってほしい。


【そして常磐新幹線に「南相馬駅」を!】

なお、もし常磐新幹線が実現するなら、こんなルートにしてほしい。

東京-成田-水戸-日立-いわき-南相馬(原ノ町)-仙台。

私の案には、もともとはなかった「南相馬(原ノ町)駅」が入っている。
同駅開設は、東日本大震災からの復興のシンボルだ。
この私の夢が、東京五輪に間に合っていれば、素敵だった……。

<一般社団法人 起業支援ネットワークNICe 代表理事 増田紀彦>

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「つながり力で起業・新規事業!」メールマガジンVol.56
(2017.7.21配信)より抜粋して転載しました。
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