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NICe頭脳交換会inいわき レポート







2018年3月17日(土)、福島県いわき市で、いわき信用組合&起業支援ネットワークNICe主催、相双五城信用組合、日本政策金融公庫東北創業支援センター、福島県中小企業団体中央会の後援により、NICe頭脳交換会inいわきが開催された。NICeは東日本大震災以降、2012年から毎年3月11日前後に福島県を舞台に、東北経済活性のお手伝いを目的にした応援イベントや勉強会を開催してきた。それが2017年は、逆に東北から、全国の起業家を応援する会へ、そして2018年は、さらに協働へ向けた頭脳交換会を同市で初開催。北海道、岩手県、秋田県、宮城県、福島県、茨城県、千葉県、埼玉県、東京都、神奈川県、富山県、愛知県、大阪府から、73名が参加した。

オープニング



総合司会は愛知県から参加した、プロのナレーターでもあるNICe協力会員の梶田香織さん
「みなさん、ご来場いただきまして誠にありがとうございます! さまざまな地域、業種の方々がお集まりになっています。いっぱい発見がある会になると思いますので、濃厚な時間にしていただければと思います」



中小企業者支援機関である福島県中小企業団体中央会 高橋健さんからごあいさつをいただいた。


▲「私たちは福島県内の中小企業者の組織化や運営のお手伝い、連携、協働の支援をしている団体です。震災後ご縁があり、増田さんと運命の出会いがありました。以降、6次化の支援をしていただき、県内の6次化がここまで進んだという感想と共に、増田先生なくしてこの結果はなかったと思っています。引き続き、先生と6次化のお手伝いを全力でしていきたいと思っています。今日は何度も誘っていただいた頭脳交換会にようやく参加することができました。個人的にも楽しみにしています」

続いて、いわき信用組合 江尻次郎理事長より、開会のごあいさつをいただいた。


▲「こんにちは。頭脳交換会という名称を命名されたのは増田先生とのことで、先生らしい命名の仕方だと思いました。みなさんの考えや意見、新しい気付き、イノベーションを期待できる、素晴らしい発想だと思います。
先生とのご縁は中央会さんからのご紹介でした。先生のお話はこれまでいろいろうかがってきましたが、とてもご縁を大事にされている方だなと、本当に遠くからお越しいただき心からお礼申し上げます。
震災以降、いわしんが特に力を入れてきましたのが創業支援関係です。地域振興ファンドをつくり、地域を支えてくれると期待する企業を支援しています。先生にもいろいろな角度からアドバイスをいただき、中央会さんからもあったように、この地域に貢献いただいています。今日は初めて、頭脳交換会を、このいわきでやっていただけるとのことで、とても感謝しております。今日参加されたみなさん、いろいろな業種の方がいらっしゃるので、新しい気付き、発見、アイデアを得て、また素晴らしい事業とされますよう心から祈念しています」


つながりワークショップ



「わずか数分で“つながり”大前進!名刺交換はもう古い?!」
ファシリテーター 小林京子NICe理事


NICeイベント恒例の「つながりワークショップ」。これはNICeオリジナルの交流ワークで、名刺交換や肩書きだけではわからない、その人の“人となり”、人としての経験や資源や想いを短時間でわかり合うというもの。



「短い時間で知り合える、つながる、その時は一瞬でも、後々になって再会しても、『あぁ!あの時の!』というようなつながりにできるプログラムです」と考案者の小林京子理事が紹介し、参加者ひとり1枚ずつ配布されている、6項目の質問が記された『つながりQ6』シートに3分間で記入するよう指示。参加者が一斉に書き始めた

▲記入タイム終了後、場内を見回っていた小林理事は、「みなさんの記入をこうして全部見られるのは私だけの楽しみです!が、せっかくなので少しご紹介しましょう」と、数名にマイクを向け、質問項目の中から「仕事はこれです!」「持っています」「自慢できます!」の記入例を紹介し場内を湧かせた。

続いて、5,6人ごとに着席しているグループ内で、『つながりQ6』シートを掲げて自己紹介をするように促した。半数以上が初参加・初対面にも関わらず、すぐに笑い声や歓声があがり、拍手がわき起こる。





自己招待タイム終了を告げても賑わう場内。まさに、わずか数分で“つながり”大前進!
小林理事は、「みなさん、続きはどうぞ後でまたお願いします。最後に「いわきを褒めてください」の記入例を!」と次々に指名し、「こんなに魅力いっぱいのいわきです」と結んで次のプログラムを紹介した。



NICe頭脳交換会



6組プレゼンテーション&参加者全員で知恵出し大討論 前半
ファシリテーター NICe増田紀彦代表理事


頭脳交換会とは、ひとりで100分間考えるよりも、100人で一緒に1分考えたほうがアイデアが出る、NICe流の勉強会のこと。プレゼンターが自身の事業プランや課題を発表し、それをもとに参加者全員が「自分だったら」という当事者意識で建設的なアイデアを出し合い、ブラッシュアップや問題解決を図っていく。

「自営業、経営者は、何かいい手がないかとひとりで悶々と考えますよね。でも、他人の脳も使って、ひとりのために、頭脳をつないで、課題解決へと向かうのが頭脳交換会です。これから6名に課題を投げかけていただき、みなさんからアイデアやご意見をいただきます。が、もらった人だけが得かというと、そうではありません。アイデアを出した方も、異業種へ対してご自分の知識や経験やアイデアが役に立つというこがわかります。傍目八目で、異業種だからこそのアイデアが実に役に立つということを実感できると思います。ぜひ、前向きなご意見を、アイデアを、この人のこの課題に応えてあげよう!という姿勢でお願いします」と、増田代表から趣旨が説明され、さっそくトップバッターが登場。




○プレゼン1

清水淳子さん(福島県いわき市)
株式会社 夕月 http://www.kk-yuzuki.co.jp/
美味一膳 http://www.bimi-ichizen.com/

テーマ 市場が求める新たな「かまぼこ」とは?




プレゼンに登壇した清水さんの会社は、いわきを代表する老舗蒲鉾(かまぼこ)メーカー。清水さんの父が昭和26年に創業し、関東エリアからの参加者にはかつてテレビCMで流れた「「ゆうゆう、ゆうづきかまぼっこー♪」でおなじみ。清水さんによると、震災後、スーパーマーケットでの売り場面積が縮小傾向にあり、白紅以外の商品化にも注力しているとのこと。そこで、伝統のこだわり製法とおいしさを継承しつつも、栄養素たっぷりのすり身・魚肉を使用した、新商品のアイデアを求めていると述べた。

「残念ながら生産量はピーク時の半分、単価も下がっています。みなさん、どうですか? 蒲鉾を昔ほど食べなくなっていませんか? 新商品は蒲鉾でなくても、魚肉を原料にしたもの、お菓子でも、どんなものでも結構です。ではさっそくグループで話し合ってみてください」と増田代表の掛け声で、グループディスカッションがスタート。




シンキングタイム終了後、挙手制で各グループリーダーから発表。
「いわきにはキャラクターもたくさんあるので、それらをかたどった加工品。また、上質の魚肉は出汁にも使えるので、お出汁にもなる加工品。飾り鯛や尾頭付きなどお祝いものも」
「魚肉を使ったおせんべい、チューブにして離乳食や介護食に、高級ペット食材にもなる」
「柔らかめにしてマヨネーズのようなパッケージにして、野菜にかけて食べられる商品。また、ウイスキーボンボンの発想で、中に日本酒を入れて、酒とつまみを同時に味わえる商品はどうか。バラの花びらのように創る形状にもひと工夫する」
「若者が食べなくなっていると思うので、若者向きとして食べ歩きできる商品、コンビニ販売できるようなもの。味にも変化をつけて、わさびを練り込んだものなど」
「低カロリーをアピールして、コンビニで手軽に買える商品。サンドウイッチもの。また、風味があるので乾燥させて鮭フレークのような商品もいいのでは」
「ゆずみそなどを練りこんだ商品、硬さも好みで選べるもの」
「ミートボール状にして具になる商品。パスタやラーメンなどの麺類に」
「オリーブの葉っぱを練りこんでグリーンにしてほしい。見た目も香りもきれい」
「やってみたい!」(清水さん)
「簡単調理できる食材としての活用法もあると思う。グルテンフリーをアピールする。蒲鉾から発想するのではなく、料理から発想して、フレンチ、イタリアンで利用される食材に替われるものとして打ち出せるのでは。また、子どもに受けそうな、恐竜シリーズ、海の動物シリーズなど、形を変える」
「減塩シリーズ、スモークシリーズ。炭水化物に替わる麺ものにする」






清水さん「とてもたくさんのアイデアをいただきました。オリーブの試作さっそくやってみたいです。みなさん、ありがとうございます!」


○プレゼン2

鈴木ひろみさん(福島県いわき市)
株式会社Rin https://www.facebook.com/kimonorin163/

テーマ「着物リメイク洋服」の認知アップ




いわき市内に店舗を構え、着物をリメイクした洋服やファッション雑貨などを販売している鈴木さん。普段着る機会がない、処分したくても思い出があり処分できない、親の形見とはいえ手入れが大変、専用のたんすも邪魔など、使用されていないが捨てることもできない素敵な着物たちを丁寧にほどき、世界に1つだけの商品にリメイクしている。縫製や製作は、子育てママたちへ依頼しており、販売は現在店舗のみ。販路開拓が課題であり、ネット活用や海外展開をとアドバイスも受けているが、実際にどう広めていいのか。認知度アップと実働のアイデアを求めた。

シンキングタイム終了後、挙手制で各グループリーダーから発表。
「お城やテーマパークなどのキャラクターにリメイク着物を着てもらい、魅力をPRしてはどうか」。
「インスタ映えするので、各地のイベントに出向く。また、協力者を募って、着てもらってリレーマラソンをしてはどうか。県内でもできるし、商圏を定めて実施してもいいと思う。現地で写真を撮ってSNSに投稿してもらうなど話題づくりを」
「海外観光客向けに東京、浅草あたりの店舗に出すか置いてもらう。レンタルで着てもらい、気に入ったら買い取れるしくみに」
「復興庁をはじめビジネスプランコンテストに応募する! ファイナルになれば写真だけでも掲載されるので宣伝になる」
「いわき信用組合さんのユニフォームに採用してもらう!」
「子どもの着物の生地で、押し花のようにする。思い出に残せる」
「リメイクの服はレンタルで、小物は売る、と分けてはどうか。また、成人式、結婚式、入学式などシチュエーションごとの具体例で紹介する。いつ、どのように着たらいいか、着る機会づくりも」
「いわきにはアロハ文化があり、アロハシャツは普通に着るので、アロハに合う柄で制作しては」







○プレゼン3

篠崎良司さん(福島県いわき市)
株式会社エコハイテクコーポレーション
http://eco-hi.jp/

テーマ 果実の熟成を抑制するフルーツキャップの用途を広げたい!




環境問題解決型商品を開発・製造をしている篠崎さんは、現在試作中の新商品『A-スパーレス』について語った。これは、果物や野菜を衝撃から保護するキャップに、篠崎さんの特殊技術により天然素材を練りこみ、成熟を制御させる効果を実現したもの。原料は、年間600トン破棄される植物の茎葉を再利用&有効活用している。プレゼンでは、『A-スパーレス』ある・なしで、トマトや桃を使った実証データも紹介。果実自体から放出するエチレンを制御し、糖度をそのまま保ちながら成熟タイミングを図れるため、生産者・物流機関・販売店・消費者にとってもメリットが大だ。篠崎さんは、さらにどのような用途があるか、アイデアを求めた。

シンキングタイム終了後、挙手制で発表。
「熟成を遅らせるために一般的には農薬を使用するが、その農薬を使用しなくて済むのは画期的! 今日の試作品は、緩衝材の形状だが、シート状にしてはどうか。塗布してラップのような商品にしたら需要はさらに広がると思う」
「塗料にして、流通トラックの内側にも塗る。また、段ボールにも。練りこむよりも塗れるものなら用途が広がるのでは」
「効果持続の期間や効果切れが判るように、何か目印が表示されるとなおいい」
「果物や野菜に限らず、花卉も調べたらいいかでしょう。エチレンを放出する高価な切り花にも需要があると思う」
「ギフト用にふさわしい、見栄えのするキャップ、シートに」
「ジップロックのような小分け袋の商品化すれば、生産者に限らず一般消費者にも広がる」
「生産者、流通業者、小売業、消費者だけでなく、その効果と技術をキッチン用品や収納メーカー、倉庫やコンテナ業者へも。成熟制御のキャップや商品にとどめず、技術そのものを売る!」





○緊急 名称アイデア募集!

ここで頭脳交換会前半戦は終了!のはずだったが、急きょ、増田代表からネーミングアイデア募集の呼びかけが行われた。福島県小野町から参加した、燻製(くんせい)加工食品を製造販売しているタムラ電子 株式会社のスモークハウスhttp://www.kuntama.com/ の新商品についてだ。人気商品の「無添加・手造りスモークハウスのくんせいたまご」は殻付きだが、このたび、殻をむいた新商品を発売することに。突然のお題ながら、挙手制でネーミングを募ったところ、ユニークな新名称が次々に挙がった。




増田代表「みなさん、ありがとうございました! 以上で前半が終了です。ブース交流タイムをはさんで、後半も3組のプレゼンがあります。では、ブース交流タイム、スタート!」



ブース交流タイム



頭脳交換会前半戦を終えて、ここからは、「旨いもの、楽しいもの大集合!ブース交流タイム」。場内にはプレゼンターや自薦他薦による10ブースが出店し、後半開始までの40分間、賑やかに交流を深めた。






▲清水淳子さん&四家正典さん(福島県いわき市)
株式会社 夕月 http://www.kk-yuzuki.co.jp/
美味一膳 http://www.bimi-ichizen.com/
トップバッターでプレゼンに登壇した清水さんと、新商品開発職人でもある四家さんが、自慢のかまぼこ各種を組み合わせたお得パック、アナゴ入りの「イカガール」を特別価格で販売。


▲川上美和さん(福島県大熊町) 
會空 https://www.facebook.com/%E6%9C%83%E7%A9%BA-473517766076706/
大熊町と会津をつなげる 会津木綿の手づくりテディベア『あいく~』『しまく~』を販売。2020年東京オリンピックのロゴを意識した、市松模様の生地を活かした新顔も登場。


▲柳沼美千子さん(福島県須賀川市)
パン工房MANA https://www.facebook.com/%E3%83%91%E3%83%B3%E5%B7%A5%E6%88%BFmana-175489036149622/
山葡萄やあけび蔓の編み組伝承指導者であり、料理研究家でもある柳沼さん。自家製つる工芸品に、天然酵母でつくったオリジナリティたっぷりのパンやアップルパイを乗せ、特別価格で販売。


▲森田安彦さん&周さん・賢さん(岩手県普代村)
http://www.vill.fudai.iwate.jp/
森田さんは親子で参加。三陸の海で育てた良質の若昆布を細くすいて乾燥させた普代村特産品すき昆布、出汁入りの普代ふ吸い物などを販売。


▲青木さわ子さん(東京都台東区)
Kuu Home(クウ ホメ)http://ameblo.jp/yanaka-kuu-home/
東京の下町・谷中(やなか)で、手づくりの刺し子や着物の生地を使った小物を制作販売している青木さん。刺し子ブックカバーやランチョンマット、コースター、アクセサリーなど、オリジナル商品を販売。


▲鈴木尚登さん(秋田県由利本庄市)
Be linked http://www.be-linked.jp/
鈴木さん厳選おすすめの秋田名物 稲庭うどん、かりんとう、りんごジュース、蜂蜜、いぶりがっこなどを販売。


▲前田隆さん(福島県郡山市)
株式会社デハイドレート ジャパン
https://www.dehydratejapan.com/
低温除湿乾燥の専門家であり技術設計者である鈴木さん。これまで手掛けた農産物、水産物、納豆などの加工品例をご紹介。


▲タムラ電子食品 喜島公博さん・滝田さん(福島県小野町)
http://www.kuntama.com/
前半戦ラストに急きょ、ネーミング募集で盛り上げてくださったおふたり。タムラ電子食品のスモークハウス商品から、人気のくんせいたまご、くんたまキムチ漬け、さんま燻製、田村地方の万能調味料・おのっこ一笑漬などを販売。


▲敏感肌のお店 ハナリマ 高玉浩子さん(福島県いわき市)
http://hanalima.me/
後半戦にプレゼン予定の高玉さんは、水・成分・浸透にこだわって製造したハナリマウォーターローション、ウォーターゲル、北海道の職人手づくり石鹸などのお試しと販売を行った。


▲鈴木ひろみさん(福島県いわき市)
株式会社Rin https://www.facebook.com/kimonorin163/
前半戦のプレゼンに登壇した鈴木さん、着物をリメイクした手提げバッグやクラッチバッグ、ポーチ、お財布、ご祝儀袋などを展示販売。






        ●〇● ●〇● ●〇●


頭脳交換会 後半!



ブースタイムの後は、頭脳交換会 後半戦がスタート。
その前に、後援の2団体からごあいさつをいただいた。


▲宮城県仙台市から参加の、株式会社日本政策金融公庫 国民生活事業 東北創業支援センター 角田勝さん。「福島での頭脳交換会は3年連続3回目の参加です。公庫は特に創業支援に力を入れていて、いろいろなご縁があって、こういう場は大事だと思っています。後半も脳みそに汗をかいていきたいです。どうぞよろしくお願いします」


▲相双五城(そうそうごじょう)信用組合 鈴木武彦常務理事。「いわしんさんは浜通り・県の南を、私たちは相馬市に本店があり、県の北にあたります。いわしんさんには大変お世話になっており今回は後援をさせていただきました。震災以降は宮城県の南部へ進出し、広い営業地区を持っています。こういう勉強会をやったことがなかったので、今後の参考にさせていただきたいと思っています」


○プレゼン4
高玉浩子さん(福島県いわき市)
敏感肌のお店 ハナリマ 
http://hanalima.me/

テーマ 「手作り石鹸や化粧品の販路を広げたい」



 
自身の深刻な肌荒れをきっけかに、自然派化粧品とフェイシャル&ボディエステ、ハナリマを開業するに至ったという高玉さん。オリーブの葉やヒバ、ローズハーブ、菜種油などを練りこんだ、北海道の石鹸職人手づくりの石鹸をはじめ、美濃地方の花崗岩地域から湧き出る名水を高濃度水素水として使用している、無添加オールインワンゲルやローションなど、こだわりのオリジナル商品を展開している。現在の販路は、自身の店舗、ネット、イベント出店など。経営課題は、現状の販路では、オリジナル商品の最低ロット数600本を完売するのが厳しいこと。またロット数に加え、使用期限が製造から3年という縛りもある。そのため2年で完売するのが理想だが、消費者のニーズは多様で、安価な商品を望む層への訴求は難しい。品質の良さを直に実感してもらい、丁寧に説明する対面販売が最も効果的だという。他の店舗に卸しても、「ただ置いてある」だけでは購入になかなか結びつかない。良さを伝え、同時に販路を広げるためにはどうしたらいいか、アイデアを求めた。



サンプルを試しながらのシンキングタイム終了後、挙手制で各グループリーダーから発表。
「女性は外出時にお化粧して出るので、外出先で『お試しを』と言われてもなかなか試せない。試せる場としては、温泉や旅先の旅館。原料であるこだわりの名水が採れるご当地・岐阜県で販売してはどうか。ご当地であれば、地産ということで熱心に応援してくれると思う。旅館のアメニティとして置いてもらい、試してもらい、気に入ったら購入できるとすればもっと広がるのでは」
「高玉さんは声もいいしお話もいいので、思い切ってテレビショッピングで販売しては? 水の原産地の岐阜県、石鹸職人さんの居る北海道など、製造現地へ出向く体験ツアーも認知&理解アップにつながると思う」
「観光地で人はお財布のひもが緩むので、温泉はじめ観光地に置いてもらう。それと、女性に限定せず、最近はお肌の手入れをする男性も増えているので、男性をターゲットにしてはどうか。男性客が多く利用する美容室や理容室にサンプルを置いてもらい、試してもらって、購入を勧めてもらう」
「ライザップ方式で、(千葉からの参加者を指さし)南房総市のこの男子が使用前後でどう変わるかを見せる。また、さるぼぼ(岐阜県飛騨地方の伝統人形。飛騨弁では、赤ちゃんのことを「ぼぼ」と言う)のように、若いママ向けに安産のお守りと抱き合わせるとか」
「老人介護ホームや高齢者利用の多い運動施設に。高齢者が身だしなみを気にする、鏡に向かう、は心身に好影響があるので、鏡に向かわせる機会づくりとして貢献できる」
「皮膚科や薬局、無添加オーガニック食品のお店などにお試しで置いてもらう。使ってみて良さが判る商品なので、やはり試してもらえる機会づくり、場づくりがポイント」
「男性だと、スポーツジム、サウナ、銭湯、マッサージ系のところに。また、飼い主にとってはペットの乾燥や皮膚のお悩みもある。ペット用化粧品は少なく、人間の赤ちゃん用は値段が安いものは多いが高級品は少ないので、高級ペット用化粧品のニーズはあると思う」





○プレゼン5
土井啓司さん(茨城県ひたちなか市)

テーマ 「小型クルーザーのシェアビジネス実施のためのプラン強化」




起業準備中という土井さんは、「クルーザーでパーティをしたことがある人?」「ではクルーザーに宿泊したことがある人は?」と参加者へ質問してから、事業内容と動機をプレゼンした。それは、マリーナに停泊しているクルーザーを活用し、一般向けに提供するプラン。クルーザーの値段は一艘で約7000万円するが、マリーナに停泊したままで、実際に乗船して海へ出るのは年間2、3回がいいほうだという。そんな停泊したままのクルーザーを、停泊したままの状態で、パーティスペースとして貸す事業だ。これなら船舶免許がなくても利用できる。土井さんは、いわき市のいわきサンマリーナにこの事業を提案したい考えとのこと。いわきサンマリーナは震災で被災し、昨年桟橋が復旧したものの、マリーナ全体の復旧はまだ。ここに、クルーザーを無料で停泊させ、条件として、一般パーティ&宿泊をOKとすることで、クルーザーのオーナーにも喜ばれ、普段クルーザーに縁がない層には豪華なパーティを、マリーナには人が来ることで活性化できる、という提案をしたいと述べた。この提案について、さらに強化するためのアイデアや意見を募った。

挙手制で。
「ニューヨークのヨットクラブをご存じか? そこのビジネスモデルを勉強するといい。また日本ではヤマハもチェックしたらいい。宿泊したことある?(土井さん:ありません)。停泊していても意外と揺れる。海へ出なくても出入りする他の船の動きで揺れる。船酔いするほどではないが、クルーザーに波が当たって音もするので、慣れない人は眠れないと思う。その辺も、まずご自身が実体験してみるといい」
「いわきサンマリーナまでどうやって行くか、そこでパーティをして飲酒してどう帰るのか、アクセスの問題もクリアにしたらいいと思う。サンマリーナだけで完結せず、アクアマリンふくしまともつなげては。東京から周遊で来てもらい、アクアマリン、小名浜のサンマリーナ、というような広域での考えがいいと思う」
「クルーザーだけに固執せず、利用者のプロローグからエピローグまでを考えたらどうだろう。ホテルと連携したオプションとして、プラスアルファを加えるのも大事だと思う」
「お料理はケータリングにしたり、シェフに来てもらったり、利用者が自分たちでつくるもあり。また、揺れる問題は、逆に子どもたちが喜びそう。ただし、安全面も大事だと思う。不安要素をいかにクリアできるかがポイントではないか」






○プレゼン6

佐藤昌子さん(福島県いわき市)

テーマ 「エディブルフラワーやハーブの加工品、何がいい?」




食べられる花野菜「エディブルフラワー」の生産販売を目指し、起業予定だという佐藤さん。有機種の苗から無農薬・無化学肥料で栽培し、心身への栄養と心の栄養を提供したいと起業準備に取り組んでいるところだと語った。将来的には生産販売のほか、収穫体験できる公開ファーム、カフェ&ショップも併設するなど6次化も視野に取り組みたい考え。課題は、露地栽培のため一斉に花が咲き、出荷が同時期になること。設備に関しては資金等の問題もあるが、長期保存可能な商品、加工品のアイデアを求めた。

5分間のグループディスカッション後、挙手制で発表。
「花を欠かさない場所、結婚式場やホテルとの提携。また、各都市にはそれぞれ市の花があるが、食べられるかどうかを問わず、いわき市の花などを栽培し、ご当地弁当に入れてもらうなどはどうか」
「子どもが口に入れても大丈夫なクレヨンに活用する。その花の香りと発色できる商品」
「栽培を佐藤さんの畑に限らず、保育園などで栽培指導して子どもたちに育てさせてどうか。その花を飴などに入れ、卒園式で親へ渡す記念品に。きっと親は大感激すると思う。また、栽培キットから加工までをセットにして商品化する」
「『桃の天然水』のように、飲み物の中へ入れる」
「子ども関係でいえば、食べられる花があることを知らない人も多いので、学校給食に食育を兼ねて使用してもらう。また花屋さんに、食べられる花のブーケコーナーを設置してもらう」
「生花は短命という価値があると思うが、ドライにして、12月に出荷できるよう加工してはどうか。12月の生花が少なく高価になる時期なので。また、北海道では、お正月飾りにツルウメモドキを使う。乾燥させると球状の実が3裂して、黄色の仮種皮と赤い種子のコントラストが美しく、まるで家の中で花が咲いたかのよう。リースにもなる」
「バラ風呂のように温泉地で利用してもらう。旅館で、季節の花をウエルカムフラワーにしたら宿泊客に受けると思う」
「高値で売れる時期を勉強して、時期に合わせた栽培計画を」



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○3分間スピーチ

前田隆さん(福島県郡山市)
株式会社デハイドレート ジャパン
https://www.dehydratejapan.com/

「たかが乾燥・されど乾燥」
格差商品に対する考察と市場展望




前田さんは郡山市で低温除湿乾燥機器を開発販売するデハイドレートジャパンのCEO。「人類が火を使い始めた時から、人は乾燥を知ってきたが、その奥行きは想像できないほどの格差があります」とのこと。国内の乾燥技術の9割は熱交換技術だが、前田さんが手掛けるのは低温除湿による乾燥技術。密閉空間で1%まで除湿可能で、根モノ野菜、果実、肉魚、鉱物資源、木材などあらゆるものが対象だ。特に前田さんの低温除湿乾燥技術は、熱乾燥により損なわれる食材の「味と香り」に定評があり、さまざまな6次商品化に貢献している。国内外からの視察や相談も多く、つい先日も海外から視察団が訪れ、大手菓子メーカーに採用された事例も紹介。「低温除湿乾燥のメリットがわかるのは、味と香りです。いろんなビジチャンスを持っていますので、機会があれば声かけてください」とあいさつした。



エピローグ



頭脳交換会に3度目の参加で、今回は主催団体としてご尽力くださった、いわき信用組合 本多洋八部長より閉会のあいさつ。



「頭脳交換会には3度目の参加となります。以前にお目にかかった方々とも再会できて嬉しく思っています。また参加者の半数がいわき市以外からとのこと。いわきへお越しいただき、今日はお泊りいただく方もいて、とても有難く思っています。震災から7年、復興へと頑張っていますが、この7年の間に、さまざまな災害が日本各地で起きています。いわきや東北だけではない、ですね。でもこうして、みなさんとつながっていること。こうして来ていただけること。とてもありがたいです。増田さんの考えが浸透しているなぁとつくづく感じます。これからも、金融機関という立ち位置ではありますが、ゆっくり、長く、つながっていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。また、市外からお越しの方で、『ちょっと、いわきが気に入った』『また来てみたいな』と思っていただけたら、ぜひまたプライベートでもいらしてください。相馬・いわき・仙台まで高速でつながっていますので、浜通りへまたお越しいただければと思います。本日はどうもありがとうございました!」

次回のNICe頭脳交換会の開催日と開催地も発表。実行委員長を務めるNICe協力会員・青木さわ子さんからひとこと。



「次回は5月26日、東京の下町で開催します。私の故郷・谷中(やなか)は、かつて普通の住宅地でしたが、ここ数年、観光地化しています。海外からのお客さまも多く、ドラマやアニメ、映画などの舞台やロケ地にもなっています。5月、どうぞお越しいただければと思います」

NICe頭脳交換会 in 東京下町
詳細&参加申込みはこちら
http://www.nice.or.jp/archives/41514






番外編

頭脳交換会翌日の3月18日(日)、いわき信用組合の本多洋八部長、佐藤昭智副部長、佐藤和明課長にご案内いただき、NICe内外メンバー26名が8台の車に分乗して“NICe大人の遠足”へ。

一行が最初に訪れたのは、市外から南東へ約10km、平薄磯に位置する塩屋埼。ここには「日本の灯台50選」にも選ばれ、映画『喜びも悲しみも幾年月』の舞台にもなった白亜の灯台があり、また美空ひばりさんのヒット曲『みだれ髪』のモチーフにもなり、その歌碑も建てられている。灯台をはさんで、太平洋に向かって左側が薄磯海岸、右側に豊間海岸が広がり、かつては多くの海水浴客でにぎわっていた観光名所だ。



その歌碑のすぐ目の前、塩屋埼灯台のふもとにある、土産物お食事処『山六観光』さんへお邪魔した。店舗2階の元食堂には、代表取締役の鈴木一好さん自らが撮影した大震災とその後の写真が壁一面に展示されている。ここで一行は、鈴木さんから当時のお話を伺った。



「ここは浅瀬のため、大きな津波はこないと昔から言い伝われてきました。だからあの日も、地震が起きてもそれほどの津波が来るとは誰も思いませんでした」。だが、約8.5mもの津波に襲われた。その瞬間、カメラを持って外に居た鈴木さんは、歌碑にしがみつき九死に一生を得たという。店舗は奇跡的に被害を免れた。しかし、約300世帯が暮らしていた薄磯地区は甚大な被害を受けた。家屋はほぼ全壊、120名以上の方が犠牲となった。
多くの親族や友人たちを失った鈴木さんは、その悲しみに加え、その後の捜索、身元確認作業や埋葬にも深く携わることになる。水さえも喉を通らない日々が続いたという。現在展示している写真は撮影したほんの一部で、撮影はしたものの、自身がそれを見るまでにもかなりの時間を要したそうだ。こうして話せるようになるまでも同様で、今話せるのはまだ3割、7割はいまだに話せないと語った。それでも、津波被害を風化させない、走って逃げろ!と教訓にしてほしいとの思いから、要望に応え話すようになったという。震災から7年、鈴木さんはこの展示写真を他へ移し、閉鎖していた食堂を近く再開するお考えとのこと。



一行は続いて、防災緑地や高台の宅地などの造成工事が進んでいる薄磯へ。そこで一行を迎えてくださったのは、2017年12月開催の「NICeつながり祭り」に参加され、「第5回NICeなビジネスプランコンテスト」で審査委員長特別賞を受賞された志賀清さん。



震災前に志賀さんは、ここ薄磯で漁業と干物屋を営んでいた。津波で店舗だけでなく、ご家族も従業員も亡くされている。だが、この地での復興の第一号となるべく、2018年に飲食店開業を目指し、現在着々と準備中だ。昨夏には、震災後7年ぶりに薄磯海水浴場も再開している。

造成された更地を見渡す私たちへ向かって、志賀さんは、「ここにお店と水産加工場を建てる予定です。駐車場もつくります。どこにどんな向きで建物を建てからいいか、それにより住所の番地が変わるので、みなさんにご意見をいただきたい」と、訴えた。



そこで!急きょ、あおぞらNICe頭脳交換会がスタート!
「この位置がいいと思う」場所へ、参加者は思い思いの位置に移動。集まったグループごとでその理由をディスカッション。数分後、各代表者から、それぞれの選択理由と細かなプラン、アピールポイントを発表し合った。みんなの発表を笑顔で聞いていらした志賀さんが、どのような決断を下して、どの位置にどんな店舗を建設するのかは、実際にお店がオープンする今夏のお楽しみ。「ぜひ、遊びに来てくださいね!」「また来ます!頑張ってくださいね、お店、楽しみにしています!」とエールを掛け合い、再会を約束して別れた。



昼食は、「いわき・ら・ら・ミュウ」、いわき市小名浜の「海の駅・いわき小名浜みなとオアシス」(1・2号埠頭地区 アクアマリンパーク)にある一大観光物産館だ。「漁師の店 やまろく」でお刺身定職をごちそうになった後、フロア1階に広がる魚介類市場やお土産品コーナーで、立ち食いしたり、買い物をしたりと自由に過ごした。



その後、腹ごなしにいわき市小名浜の三崎公園へ。いわきマリンタワーに上り、360度の大パノラマを一望するのだろう、と思いきや、「こちらのほうが迫力満点!」と向かったのが、公園の一番奥にある「潮見台」。断崖から海に突き出したスリリングな檻状の台だ。歓声をあげながら恐る恐る先端まで進むと、柵の合間から太平洋が広がり、眼下には断崖に波が打ち寄せて泡立つ様子が広がり大迫力。






潮見台の上は展望台にもなっていて、はしゃぐ大人たちはらせん階段を駆け上がっていく。潮風に髪の毛が『みだれ髪』になりつつも、素晴らしい景観にこれまた大喜び。日が沈む夕暮れ時はかなりロマンチックだろうが、惜しくもそろそろ帰りの時刻。
ラストは小名浜界隈をドライブし、常磐線・泉駅へ。ここで自動車組・電車組が互いに見送り、解散!

取材・文、撮影/岡部 恵

【復興庁のポータルサイト】
こちらでも紹介いただきました!
「新しい東北」官民連携推進協議会
http://www.newtohoku.org/works_renkei_069


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