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新たなつながりで誕生した新たなビジネス事例、その起点となる発想と実現へのポイントを紹介
「事例に学ぶ! 新事業実現法」第3回/ 大刀豊暁さん(福井県越前市)建材業からリフォーム専門会社へ転換、さらに家族の連携で、住・温・食の総合健康業へと拡大


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    「事例に学ぶ! 新事業実現法」

     第3回
     建材業からリフォーム専門会社へ転換、
     さらに家族の連携で、住・温・食の総合健康業へと拡大
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 福井県越前市/NICe協力会員・大刀豊暁(おおだち・とよあき)さん
 (株)オーケン http://www.ohken.org/index.html
 NICe会員情報はこちら
 http://www.nice.or.jp/category/members/members-hokuriku
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◆◆下請けから元請けへ、リフォーム事業への方向転換を提言◆◆

人との出会いによって、人生の方向転換を決断することはある。
恋に落ちた相手の家業を継ぐべく、
未知の世界へと飛び込んだのが大刀さんだ。

大学時代、建材会社(株)オーケンの長女・あゆ未さんと出会い、
一念発起、建築専門学校へと進路を変更。
「跡取りがいないから今の代で終わり」と考えていた大刀家に、
突然養子がふってわいた。

跡取りは大変だろうとか、婿は肩身が狭いだろうとか、
そういうことは何も考えなかったという大刀さん。
だが、ひとつだけ懸念していたことがある。
建材業界の行く末だ。
専門学校卒業後の5年間の修業でひしひし感じたことを
義父であり建材業5代目の隆雄さんに、思い切って進言した。
「これからはリフォームです!」と。

実績も知識も経験も雲泥の差がある婿からの提言。
それを義父の隆雄さんは快く受け入れ、さっそく事業化に取り組んだ。

とはいえ、それは長年の取引先の工務店や大工職人と、
同じ土俵で競うことを意味する。

「父は地元でも有名な人格者で、人徳もあるし人望も厚い。
そのおかげで、今でも同業者とはいい関係です。加えて周囲は、
『婿が勝手にやっている』と、大目に見てくれたのでしょう(笑)」

オーケンは約9年かけて建材業から住宅リフォーム業へと完全移行した。


◆◆幸せに生きるためには健康であること。そのための家づくりこそ責務◆◆

リフォームの目玉にしたのは、
15年前に義父(現会長)が出合ったという抗酸化リバース工法だ。
建材にバイオ技術で開発した抗酸化力の高い酵素溶液を活用し、
シックハウスやハウスダストなどのアレルギー対策、
さらに優れた空気イオンバランスを発生させることにより、
住む人に、癒しと健康の住まいを実現する健康回復住宅と呼ばれている。

この工法の良さは体験してもらうのが一番と考えた大刀さんは、
抗酸化リバース工法を活用した陶板浴室3床を
2006年、事務所を兼ねたショールームに新設し、無料で開放した。

ところが、これが思わぬ事態へ展開する。
体験者から「体調が良くなった」「気持ちいい」と評判が広がり過ぎて、
連日満員御礼となり、常連客から「もう誰にも教えたくない!」
「有料でも利用したいから、もっと大きく(床数を増)して!」との声が続出。

そこで資材置き場だった倉庫をリフォームし、約5000万円を投じて
2007年、浴場施設運営・オーケン抗酸化陶板浴きずなを開業した。

この浴場施設が、健康に関心が高い人たちも呼び寄せることになり、
現在は、週3回、ホットヨガ教室としても利用されているほか、
“健康にいいもの”のホットステーションにもなっている。


◆◆ひとりではなし得ない、一番身近な家族と従業員のつながり力◆◆

人が暮らす家には魂が宿るといわれるが、
大刀家は、明治元年から代々事業を起こしてきた起業家の家系だ。
6代目の大刀さんにも、その起業DNAがしっかりと受け継がれたのだろう。

「住まいの環境づくりだけでいいのか? 人の身体の中の環境づくり、
つまり食生活はどうか? 体内だけではない、心の環境は?」と、
住宅から健康そのものへの関心が高まり、
大刀さんはもちろん、家族やスタッフも総出で、
健康をテーマにした各地の勉強会やセミナーに参加するようになる。

その中のひとつをきっかけにして、妻のあゆ未さんは、
(社)分子整合医学美容食育協会認定の美容と健康と食育のスペシャリスト、
ファスティングマイスター資格を取得し、2012年に福井中央支部長に就任。

こうして現在は、住・温・食の3本柱を事業として展開している。
それは建材業から建築業、そして“健”築業への進化の証拠である。

リフォーム業への転換に賛同し、大刀さんが代表に就任して以降も、
経営には一切の口を出さないという会長の隆雄さんは、
陶板浴きずなの番台に毎日、嬉しそうに座っているそうだ。
そして、進路変更も、大学中退も、学生結婚も、婿入りも、
事前相談なく決めた息子に、何ひとつ反対しなかった実の両親は、
この春、東京からオーケンのある越前市へと移住してくる予定だ。

大刀さんが代表取締役に就任した2009年、
住む人みんなの絆(キズナ)を積んでいくという意味の
「キズナヅミの家」を商標登録した。

未知の世界へ踏み出すには勇気がいるが、
家族という名の仲間がいれば心強いし、決断もできる。
絆を積んでいく大刀ファミリーのつながり力、今後もさらに“キズナヅミ”。

2013.2.21 
「つながり力で起業・新規事業!」 メールマガジンVol.3

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