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新たなつながりで誕生した新たなビジネス事例、その起点となる発想と実現へのポイントを紹介
「事例に学ぶ! 新事業実現法」第6回/瀧波裕幸さん(福井県敦賀市)故郷発展のビジョン創出のため、食をテーマに人と感動をつなげる会社を設立


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    「事例に学ぶ! 新事業実現法」

     第6回
     故郷発展のビジョン創出のため、
     食をテーマに人と感動をつなげる会社を設立

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 福井県敦賀市/NICeユーザー・瀧波裕幸(たきなみ・ひろゆき)さん
 (株)夢食堂 http://www.yumeshokudou.co.jp/
 
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◆◆人の集積地にもなる飲食店業、つながる機会を提供したいと奮起◆◆

「同じ釜の飯を食う」という諺があるが、
食事を共にすると、人と人との距離感が一気に近付くことがある。
福井県敦賀市で『お食事処なかや』を経営する料理長・瀧波裕幸さんは、
20年来、何度もお客さん同士が近づき、つながる瞬間を目にしてきた。

瀧波さんは25歳の時、祖母の食堂を改装して3代目を継ぐ。
『なかや』は海鮮料理を得意とする割烹・小料理店で、
福井県外から訪れるリピーターも少なくない。

人と出会うことが子どもの頃から好きだという瀧波さんは、
同じのれんをくぐって店に来た客同士をつなげることに喜びを感じていた。
さらに料理を通して、生産者たちの思いや愛を伝えたい、と、
店を舞台に、グルメの会や釣りの会を幾度となく開催してきた。
地域発展に注力したいと、2010年には『敦賀を元気にする会』を発足し、
さらにその思いを強め、2012年に仲間らと共に(株)夢食堂を設立した。


◆◆地場産業を発展させ、次世代へ引き継ぐ役目が大人にはある◆◆

店は夜もランチもあり宿泊もできる『なかや』。
加えて時には自ら漁に出るため、
料理人であり経営者である瀧波さんに休む暇はない。
また、店から車で10分ほどの海岸沿いの故郷・五幡(いつはた)には、
築60年の実家を改装した3組限定の隠れ家的な宿『お宿なかや』もある。
すでに超多忙なはずなのに、なぜ、新会社を設立したのか?

敦賀市はいわゆる“原発銀座”。
インフラこそ充実しているものの、地場産業は全体の20%にも満たない。
にもかかわらず、
「イノベーションの気運も、それを喚起する機会も少ない」と、
瀧波さんは危機感を抱いていた。

「お客さんたちは資源も多彩で、共感してくださる方も多いですが、
お店だとどうしても待ちの体勢で、お客さんがいらして初めて、出会える。
店主と客の関係ではなく、もっとつながって、産業を創出したい。
地域を発展させ、次世代へ引き継ぐ役目が自分らにはあると思ったのです。
3、4時間寝ればなんとかなります。丈夫な身体にも感謝です(笑)」

瀧波さんは、近道してビジネスを創出することが目的ではないと断言する。
人と人が出会って互いの資源に感動し、協力し合う関係が先にできてこそ、
事業連携や6次化商品が生み出される。それが自然ではないかと。
だからこそ、リアルな出会い、共に食する機会を、何より大切にしている。

その言葉どおり、新会社の事業のひとつである養鶏・農園業も、
会社設立前から継続して取り組んできたことだ。
完全自然飼育・自然食のニワトリから生み出される卵『れもんたま』は、
高品質を求める一流店のみに出荷するほか、地元の洋菓子店と組み、
プリンやケーキなどの材料に。それら加工品の通信販売も始まっている。
また、世界無二の銘柄鶏『なやかスペシャル』も2年がかりで誕生させた。


◆◆「食」の感動連鎖で学び合い、ビジョンを共有する仲間づくりを◆◆

人にとって、食べることは生きるうえで欠かせない行為だ。
同じ食卓を囲んで美味しいものを口に運べば、
立場や職種や年齢に関係なく、みな笑顔になる。
美味しいと感動すれば、その感動をまた誰かに伝えたくなるのも人の習性。
「食」は、人がつながる原点にもなり、感動の連鎖の起点にもなるのだ。

そんな「食」をとおして、
共に敦賀のビジョンを考え行動する人材を育てたいと、
蔵元見学で学ぶ“大人の遠足”をはじめ、食関連のイベントも数多く実施。
後世を牽引するのも自分たちの世代の役目と、
地元の若者たちにも積極的に声をかけている。

そして、飲食店業は一次産業から資源をいただき成り立っているように、
他の産業にも有形無形の影響を及ぼす。
経済を動かしているのも「食」だと瀧波さんは言う。

敦賀は、古くから陸海の交通の要所であり、歴史も文化も色濃い。
また風光明媚な若狭湾は、何より海の幸の宝庫でもある。
美味しいものに感動する人の心がある限り、
夢食堂が展開する今後のメニューも、人のつながりも、まだまだ無限。
“食卓を前に、人はみな平等”がポシリーの夢食堂に、
定員なんてないのだから。

2013.5.21 
「つながり力で起業・新規事業!」 メールマガジンVol.6

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