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「事例に学ぶ! 新事業実現法」第13回/横見全宣さん(大阪府吹田市)ご縁と開発技術力と行動力をつなぎあわせ、放射線量測定器の製造販売会社を新設

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    「事例に学ぶ! 新事業実現法」

     第13回
     ご縁と開発技術力と行動力をつなぎあわせ、
     放射線量測定器の製造販売会社を新設

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 大阪府吹田市/NICe正会員・横見全宣(よこみ・まさのぶ)さん
 株式会社ヨコミケミカル 代表取締役
 環境計測機器製作株式会社 代表取締役

 NICe会員情報はこちら
 http://www.nice.or.jp/category/members/members-osaka/page/2
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◆被災地の中小企業経営者や個人事業主が望む“次の”支援とは?

「何か自分に役立てることはないのか?」
東日本大震災で、多くの人が自問したことだろう。
大阪府吹田市で印刷資材卸業を営む横見全宣さんも、そんなひとりだった。

大阪から被災地へボランティアに向かう仲間に、
幾度となく車両を貸し出し、活動資金の援助をし、物資搬入も手伝った。
ほかに何かできないだろうか。次に求められているのは何だろうか。
そんな思いで、2012年2月11日、福島市で開催した「NICe大宴会」に参加。
福島県を訪れたのは初めてのことだった。

その時に衝撃的な言葉を聞いた。
二次会で、たまたま同席した地元の青年が、「セシウム万歳」と叫んだのだ。
ブラックジョークに胸が痛んだ。
福島県の人たちが抱える問題の深刻さ、目に見えない不安との闘いを痛感し、
対放射能問題での支援を考えるようになっていく。

それから2カ月後、支援活動が縁で知り合った友人から、
持ち運び可能な放射線量測定器があるとの情報を得た。
重量25kg。食品と水の計測が可能な国産製品だ。
その測定器を購入し、福島県内の中小企業や農産地へ寄贈すれば、
事業・創業支援ができるのでは?と、横見さんは思いつく。


◆測定機を寄贈するつもりが一転、事業そのものを引き継ぐことに

だが直後、その測定器メーカーが事業撤退するというではないか。
まさにこれから必要なのに!
ならば自分で!と、横見さんは事業そのものを買い取る決心をした。

実はこの1カ月前に父親が急死し、本業の印刷資材卸業の代表を継いだばかり。
そんな多忙を極める中、新規事業になぜ取り組む決意をしたのか。
「必要性を感じたからです。現場で求められている、提供できる機器がある、
使ってみたいという声もある。開発意欲が高い優秀な技術者も知り合いに多い。
あとは自分が動くだけだと思った」

「動くだけ」とはいえ、採算の見込みはない。が、横見さんの行動力は凄まじい。
放射能に関する猛勉強を開始すると同時に、現場の要望を付加するため
試作機を車に積み、足しげく福島県へ通い実証データを収集、実機開発に取り組んだ。
大阪~福島は直線距離でも往復1100kmを超える。
にもかかわらず、訪問回数も、出会った人の数も、今や数えきれないほどだ。

2012年8月、放射線量測定器を製造販売する環境計測機器製作(株)を設立。
11月には表示方法、操作順序、操作方法など、使いやすさを追求し、
ポータブル25kgのベクレル計『Becler(ベクラー)REA-01』を誕生させた。
このブランド名は、友人知人らから募り、
型番は、震災後に知り合った福島県在住の友人の案を採用した。


◆使う現場とつくる現場、両者の求めに応え進化しやすくするのが責務

現在は、福島県内の食品販売店で本格稼動を始めた主力製品『Becler』ほか、
簡易型空間線量計や、大学などの研究機関レベルで測定する
スペクトラルメータータイプ(重量160kg)など4機種を自社で製造販売する。
また、縁がさらに広がり、
中型測定器の共同開発や、設置環境検証機器の開発にも着手しているほか、
測定器の扱い方の指導、数値の読み方はもちろん、
測定環境の整備サポートなど、ソフト面の展開も広めていく方針だ。

そして今なお、福島県へ月に数回赴き、生の声と検体を持ち帰っては
高機種での実証を重ね、『Becler』のバージョンアップに取り組む。
常に進化を追求する姿勢は、印刷資材でも測定器でも同じことだという。

「印刷資材でも父の代からずっと、開発改良を進めてきました。
お得意様の希望に応えるためには、開発現場の進化が必要。
そのために必要なデータを収集し、方向性を示すのが自分の役目です」

震災、原発事故から2年9ヶ月。
復興の遅れも風評被害もまだまだ深刻だ。
それでも一歩でも希望へ向かって前進してほしい、と
現場の次の声に応えるため、
横見さんは今日も明日も、東へ西へ、“その次へ”とひた走る。

2013.12.24 
「つながり力で起業・新規事業!」 メールマガジンVol.13
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