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新たなつながりで誕生した新たなビジネス事例、その起点となる発想と実現へのポイントを紹介
「事例に学ぶ! 新事業実現法」第17回 /佐藤浩司さん(東京都中央区)障害者を雇用する全国の先輩経営者たちと出会い 、会計・経理の専門性を活かし障害者自立支援事業へ


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    「事例に学ぶ! 新事業実現法」

     第17回
     障害者を雇用する全国の先輩経営者たちと出会い
     会計・経理の専門性を活かし障害者自立支援事業へ
     
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 東京都中央区/NICe正会員・佐藤浩司(さとう・こうじ)さん
 株式会社 サポートケイ 代表取締役
 HP http://www.support-k.com/
 障害者自立支援HP http://www.jiritsushien.com/
 NICe会員情報はこちら
 http://www.nice.or.jp/category/members/members-tokyo/page/3
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◆経営者として次の10年を拓くために大学院へ

10年ひと区切りというが、次の10年へ向け何をすべきか、
思い悩むより、行動を起こした先で拓けたと語るのが佐藤浩司さんだ。

佐藤さんは、飲食店に特化した経理代行・人材紹介業の(株)サポートケイが
創業10年目を迎えた秋、経営の基礎をしっかり学び直したいと、
2011年4月、法政大学大学院政策創造研究科へ入学した。

授業は週3日の夜間と、土曜日の昼夜、さらにゼミは
全国の中小企業や商店街への視察も多い坂本光司教授の研究室を選択した。
『日本でいちばん大切にしたい会社』(あさ出版)の著者でもある教授とは、
勉強会などで入学以前から顔なじみ。
教授の現場第一主義に共感し、自分の目と耳で体感し学びたいと飛び込んだ。

一方、本業のほうでは入学半年後に、社内にセミナー室を設け、
基金訓練(厚生労働省 緊急人材育成支援事業)にも取り組んでいた。
だが、危機感も抱いたという。
「訓練校はほかにも多く、独自のカリキュラムの必要性を感じました。
もうひとつ、受講生の中に、精神障害かなと思われる方がいたのです。
職業訓練を経て就職したとしても、就職先のサポートは十分なのだろうか」
この思いと大学院での数々の出会いが、後に、新規事業へとつながっていく。


◆業務工程であり経営資源である簿記を、独自カリキュラムの講座に

大学院入学の翌5月から、ゼミでの視察も始まった。
視察先はこれまで250カ所、うち障害者を雇用している企業は150に及ぶ。
勉強会でも研究室でも、準備や後片付けなどを自発的に行う佐藤さんは、
視察を通じて、経営者の考えを聞き取ると同時に、
職場の雰囲気や従業員の意欲にも触れ、毎回感動を覚えるという。

「視察で学んだことが私の会社とどのようにつながるか、手探りでしたが、
障害者の自立を支援したいという思いはずっと持っていました。
当社には簿記を教えるスタッフも、実践の場もあります。
それらを生かして、精神障害者に専門知識やノウハウを習得してもらい、
社会へ送り出していきたい、障害があっても仕事ができることを証明したい。
自社でやりたい、いや、できる!やれる!やろう!と」

とはいえ、精神障害のある受講生を募集するには
基金訓練の実績しかない状態では信用度が足りない。
そこで佐藤さんは精神障害者用に独自のカリキュラムを作成し、
複数の支援機関や支援団体を訪ね回り、出張講座を提案した。

こうして2013年3月、NPO法人 WEL'S 新木場で出張講座がスタート。
手応えを感じた佐藤さんは、同年11月、
講座開催と受講後の訓練、就職斡旋までをサポートする新事業を立ち上げ、
翌月、東京しごと財団の障害者委託訓練も受諾した。


◆10年先にとどまらず、さらに未来へ。障害者の自立と企業の架け橋に

2014年2月には、受講生のうち精神障害者2名を雇用した。
ひとりは、日商簿記検定試験2級に96点で合格、
もうひとりも簿記学校への入学を決意するほど意欲にあふれているという。
「専門知識を学び、試験へ挑むことで、目標にも自信にもつながります。
その手応えは障害者本人だけではなく、私にとっても同じく自信に。
彼らを雇用したことは、ほかのスタッフにもいい刺激になっています」

とはいえ、紆余曲折も試練もあった。
佐藤さんが大学院に入学してから、学業・視察出張と不在がちになり
社内コミュニケーションが低下。
次々と社員が去り、現在のスタッフはすべて入れ替わっている。
また、多忙を極めた疲労からか、今冬、軽い脳梗塞も起こした。
「退職した社員たちには申し訳ないことをしたと思いますが、
今は社内のモチベーションもとても高く、
病気を機に酒断ちしたおかげか、体重が10キロ減りました」
と、今でこそ元気に笑うが、
新規事業の立ち上げまでの道のりは容易ではなかっただろう。

だが、その分得た成果と未来への目標に、佐藤さんは燃えている。
近い将来、視察するだけでなく、視察を受け入れる側として態勢を整え、
思いを共有できる経営者の仲間も広げたい。
会計事務所や上場・大企業への人材斡旋、さらに複数の支援を担える
「障害者総合支援法にもとづく多機能型事業」にも取り組む考えだ。
何よりも、以前は曖昧だった経営ビジョンが明確になったと喜ぶ佐藤さん。
Webサイトに今は堂々と記している。
目指すは10年先、どころか、さらに未来へ。
「100年続く良い会社」と。


2014.4.21 
「つながり力で起業・新規事業!」 メールマガジンVol.17

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