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新たなつながりで誕生した新たなビジネス事例、その起点となる発想と実現へのポイントを紹介
「事例に学ぶ! 新事業実現法」第20回/齋藤幸子さん(山形県鶴岡市)合併町村の魅力再発掘で人の輪を広げ、ふるさとの心を伝える旅の本 出版事業へ


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    「事例に学ぶ! 新事業実現法」

     第20回
     合併町村の魅力再発掘で人の輪を広げ、
     ふるさとの心を伝える旅の本 出版事業へ

     
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 山形県鶴岡市/NICeユーザー・齋藤幸子(さいとう・ゆきこ)さん
 アイスリー株式会社  取締役
 季楽会 代表
 https://www.facebook.com/%E5%AD%A3%E6%A5%BD%E4%BC%9A-258749037618433/?tn-str=k*F
 
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◆娘の独立決意を機に法人設立。定款作成時にかつての夢を棚卸し

いつかやりたいと考えたことを、ふとしたきっかけで思い出し、
時を経た今だからこそ、行動に移した。そういう経験はないだろうか。

山形県鶴岡市に暮らす齋藤幸子さんは、
地元・庄内地方の魅力を伝えるイベントやツアーを企画運営する、
季楽会(きらくかい)を2004年に発足し、地域応援活動を続けてきた。

そんな齋藤さんが、「いつかやりたい」を思い出したのは、2012年。
函館のバーで店長を任されていた娘・礼子さんがUターンし、
地元鶴岡市での独立開業を決断した時だった。

「彼女が決断したなら、自分も頑張ろう」と、
礼子さん、嫁の寛子さんと女3人で、アイスリー(株)を起ち上げ、
季楽会の活動を一事業部門として組み入れた。

その会社の定款に事業目的を記入する際、
かつて季楽会の発足時に、いずれは地域の魅力を活字で伝える
出版事業を手がけたいと考えていたことを思い出す。
出版経験はない。だが、本を出したい、証を残したい地域があった。


◆薄れゆく伝承文化や暮らしの知恵、地域への誇りに再び光を

庄内地域の南端に位置する旧朝日村は、
平成の大合併により、6つの市町村が鶴岡市となったその一部だ。
齋藤さんとは縁もゆかりもなく、これまで季楽会のツアーでも未踏の地。
知らない、ならば、知りに行こう!と、旧朝日村を訪れるように。

こうして訪れるたび、その土地の人々に触れ、
継承されてきた伝統や文化が今なお息づいていることに感動する一方、
加速する過疎化と高齢化により、それらが失われつつあることを知る。
今こそ伝えたい!と、人生初の出版のテーマを旧朝日村に決めた。

「旧朝日村で暮らすみなさんに、
『とてもいいところだ』と誇りに思っていただきたい。
村を出た方にも、ご自分の故郷に誇りを持って応援してほしい。
受け継がれてきた心を、子孫の代へと伝えていきたい。
それができるのは、やはり本だと思ったのです」

取材も制作も、何もかもが齋藤さんには初体験。
手探りで人を訪ねてはアドバイスを請い、取材先やスタッフを広げていった。
自分の故郷でもないのにと、中には齋藤さんの行動を不思議に思う人もいて、
「行政の仕事ですか?」「そんな個人の趣味みたいな本を?」と
驚かれたこともあったという。だがそんな苦労よりも、
半年以上に及ぶ取材同行を通じて、齋藤さんはますま旧朝日村に惹かれていった。


◆未経験にひるむことなく取材同行。点と点をつなげる1冊の作品へ

準備から1年後の2014年6月、
『ふるさとの心を伝える 第1号 朝日人(あさひじん)』を創刊。
A5判フルカラー全80ページには、30組以上の人や団体が紹介され、
そのほとんどの取材に、齋藤さんは同行している。

「経費節約のため、私が取材陣を車に乗せて、運転手役を務めたのです(笑)。
これがとても良かった!!やはり、自分で行って、会って、触れて、
より思い入れが深まりましたから」

今後は50音順に、ほかの合併前町村も出版する計画で、
すでに2号目の『温海(あつみ)人』の企画がスタートしている。

「何もかもが初めての経験で、正直、手応えはわかりません(笑)。
ですが、荘内日報、山形新聞、朝日新聞、河北新報が紹介してくれて、
ぽつりぽつりとネットからの注文や問い合わせも入ってきます。
何より、取材させていただいたみなさんが喜んでくれていることが嬉しい。
都会で暮らす元住民が読んで、ご実家や幼なじみへ久々に電話がかかってきたと。
再び交流のきっかけになれば、それが何よりの願いです」

時を経て齋藤さんの心に灯り、踏み出した出版事業が、
再び人と人をつなげ、ふるさとへの思いを再燃させていく。
市町村合併により、その地名が人々の記憶から、地図上から失せても、
その心までは、誰にも消せない。
齋藤さんのような人がいる限り。


2014.7.23 
「つながり力で起業・新規事業!」 メールマガジンVol.20

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