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【次の10年、20年を展望した私たちの選択】 原点に立ち返り、ビジコンとつながり祭りの開催を取りやめ、「頭脳交換会とSNSのNICe」として活動を強化します。



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  ~ 次の10年、20年を展望した私たちの選択 ~

 原点に立ち返り、ビジコンとつながり祭りの開催を取りやめ、
 「頭脳交換会とSNSのNICe」として活動を強化します。

一般社団法人起業支援ネットワークNICe 代表理事 増田紀彦
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いつもNICeメルマガをご愛読くださり、ありがとうございます。
通常、このタイミングでは「どうする?日本経済」をお届けしていますが、
今回は、あらためて「NICeとは何か?」「何を目指す活動なのか?」について、
皆様にお伝えしたく、特別原稿とさせて頂きました。
普段より多少長い文章になりますが、最後までお読み頂けましたら幸いです。

【当初、NICeは経済産業省の事業として発足】

NICeを運営する母体は、一般社団法人起業支援ネットワークNICeです。
法人設立は2010年。ですから今年が10年目の節目の年になります。

もっともNICeが誕生したのは、さらに3年遡る2007年でした。
当初は経済産業省の事業として発足し、
現代表である私は、同省の委託を受けてこの事業を推進しました。

事業内容は、経済産業省直轄のSNSを作り上げ、
そこに全国の起業家と支援者、起業希望者を集め、
業種や地域、世代を超えて、知恵と情報を共有・循環することで、
個々の事業の成長や複数企業の連携による新事業の開発、
さらには新市場の創出を目指そうというものでした。

しかしながらSNSという「顔の見えない」交流には限界もあり、
ネットのやり取りだけで未来を共に切り拓こうとする仲間を見つけるなど、
どう考えても現実的ではないと私は考えました。

そこでSNSと並行して、全国各地での勉強会や交流会の開催を提案し、
「ネットとリアルの相互媒介による、つながり力の強化」、
という活動方針をこの事業の柱としました。

また、この事業の正式名称は「起業支援ネットワーク環境整備事業」でしたが、
このようなかしこまった名前では躍動感がありませんので、
通称としてNICeという名称を冠することにしました。

NICeとは、National Incubation Centerの頭文字をつなげた造語です。

新たな起業や事業の芽は、
初期段階では当該地域もしくは当該業界の中でしか認知されません。
ゆえに成長を促す有形無形の支援や、連携・協働のためのリソースが不足し、
「もっといい出会いがあれば伸びたのに……」、
という課題にぶつかりがちな状況が存在していました。

そこで、ローカルなインキュベーションにとどまらず、
SNSとイベントを活用した全国的な、さらに言えば全業種・全世代横断的な、
起業家育成システムを構築すべきと考え、ナショナルの文字を冠したのです。


【民営化後も一貫して取り組み続けてきた頭脳交換会】

2009年、NICeがいよいよ民営化というタイミングで政権交代が起き、
民間NICeの船出は予想以上に厳しいものとなりました。
さらに民営化の翌年の3月には、あの東日本大震災が発生しました。

国の看板もなく、公的予算もない中での創業期は困難の連続でしたが、
今思えば、そうした時期が、NICeの足腰を鍛えてくれたと思っています。

以降、NICeはリアルとネットの両面で、様々な取り組みを行ってきました。
中でも、「NICeならでは!」と言える活動が、頭脳交換会です。
皆様の中にもご参加の経験がある方がいらっしゃると思います。

頭脳交換会とは、プレゼンター(もしくは相談者)が自身のプランや課題を発表し、
それをもとに参加者全員が「自分だったら」という当事者意識をもって、
ブラシュアップや課題クリアのための建設的なアイデアを出し合う勉強会です。

教科書の理屈ではなく、まさに目の前に「生きた教材」がいて、
その人の顔を見ながらリアルタイムで提案を行う展開は、
「脳味噌に汗をかく」ような臨場感と緊張感と一体感を味わえるものです。

例えば30人が集まっていれば、参加者は5人×6グループに分かれて、
プレゼンテーションをヒアリングします。
その後、各グループのリーダーの進行もと、
「こうしたらいい」「こういう情報がある」「こんな見方もできる」などと、
プレゼンターの相談内容に対するアイデアを次々と出していきます。

一定の時間を経たところで、各グループがアイデアをお披露目します。
まず間違いなく、プレゼンターは驚いて目を丸くします。

プレゼンター本人が、想像もしていなかった妙案が、
必ずいくつも飛び出してくるからです。

この展開を指して私は参加者にこう投げ掛けます。
「一人で30分間考えるのと、30人が1分考えるのと、どちらが有効か?」と。
答えは言うまでもありません。

なぜ、毎回、このような成果が生まれるのでしょう?
それは、プレゼンターと参加者の業種が違う、地域が違う、世代が違うからです。
普通、人は自己の属性にかかわる部分での知識や経験しか有していません。
異業種の常識、異地域の常識、異世代の常識には、うとくて当然です。
その「未知の世界」に、自分を救う知恵が存在していたことに、誰もが驚くのです。


【頭脳交換会は、誰もが主人公になれる次世代型コミュニティ】

嬉しいのは、いい知恵や情報をもらったプレゼンターだけではありません。
いわば門外漢である自分のアイデアがプレゼンターの役に立つという経験は、
参加者にとっても言いようのない喜びであり、参加者自身もまた、
自己の能力や才覚の通用範囲をあらためて認識することができるのです。

私はこの頭脳交換会という場を、
誰もが主人公になれるコミュニティだと考えています。

真面目な人も面白い人も、うるさい人も静かな人も、全員が主人公です。
どのような人にも、持って生まれた才能があり、
人生を重ねることによって築いてきた知見があります。

頭脳交換会は、その人のキャリアも地位や立場も関係ありません。
社会人1年生のアイデアが、経験豊かな社長を助けることなど茶飯事です。

反対に、頭脳交換会が特定の知識を求めたり、
ある種の力関係が働く場だったりしたら、どうでしょう?
きっと疎外感を抱く参加者が何人も出てくることになるでしょう。

効率を優先するなら、特定の知識を持つ人たちが、
ヒエラルキーに基づいて会合を開くことにも意味はあります。

しかし、課題の本質を見つけ出そう、
あるいは新たな視点を獲得しようと考えたときには、
そうした会合のあり方は適切ではありません。

参加者一人一人の異なる知恵や情報を可能な限り表舞台に引っ張り出し、
さらに意外な視点や斬新な見解に刺激を受けた他者が、
「そういうことでいいのなら私も」と、自らの知恵を開陳していく、
そういうコミュニケーションを発生させるほうが間違いなく有意義です。

私はこうした考え方が、今後の日本にとって大切だと思っています。
安定した産業構造と国家運営を謳歌していた時代であれば、
とにかくどんどん事を進めていけばいいのですが、
現在のように社会も産業も成熟し、
これまでとは異なる多様な価値観が広がりつつある時代には、
「そこに存在するあらゆる頭脳」を動員し、活用することが、
従来手にし得なかった成果を生み出す力になるはずです。


【今年度、ビジコンや「つながり祭り」は開催しません】

上記したように、民営化後の10年間、NICeは様々な活動を行いました。
中でも「NICeなビジネスプランコンテスト」は6年連続で実施し、
多くの秀逸なプランを世に送り出してきたと自負しています。

その甲斐あって、「NICeと言えば、ビジコン!」というくらいの、
看板活動に成長したのですが、私は、それが問題だと思うようになりました。

どうも本筋からズレ始めている……。
NICeと言えばビジコンではなく、NICeと言えば頭脳交換会。
そうあるべきなのに……。

例年12月に開催を続けてきた「NICeつながり祭り」も同様で、
あれもこれもと、プログラムを鮨詰めにしたために、
せっかくの100人を超す頭脳交換会も、
時間不足で満足感の得られないものになってしまったと反省しています。

ビジコンやつながり祭りは華やかであり、
NICeの存在を社会にアピールするためには有効な手立てではありました。
しかし、これだけの大イベントに限りある活動資源を投入したため、
肝心の頭脳交換会の開催に力を注げないという事態を引き起こしました。

また、NICeはリアル活動とセットで、
ネットを使ったコミュニケーション活動も行っています。

ご存じの方も多いでしょうが、NICeには専用SNSがあります。
現在、1600名を超すユーザーの登録があり、
いつでも自由に情報交換や意見交換を行うことができます。
しかし、この活動の推進も手薄になってしまいました。


【「頭脳交換会とSNSのNICe」として精進を重ねます】

これからの10年間、20年間の社会にNICeが果たせることは何か、
それを展望したとき、答えは自明でした。

社会のあらゆる場所に存在する一人一人を肯定し、
その人たちがつながることで生み出される価値を社会に反映することです。

そのために推進すべきは、
頭脳交換会であり、他者と知り合うきっかけとなるSNS活動だと。

「NICeなビジネスプランコンテスト」や「NICeつながり祭り」に、
期待を寄せてくださっている方々には、本当に申し訳なく思っています。

NICeが、これからも長く、社会の役に立ち続けるための選択をしたと、
どうかご理解ください。


「つながり力で日本経済と地域社会の未来を拓く!」。
この合い言葉を私自身がもう一度しっかり噛みしめ、
10年後、20年後の日本に貢献できるよう、精進を続けます。

読者の皆様、今後とも「頭脳交換会とSNSのNICe」を、
ご支援くださいますよう、心よりお願い申し上げます。



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「つながり力で起業・新規事業!」メールマガジンVol.97
(2019.9.24配信)より抜粋して転載しました。
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