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NICe増田代表理事が送る、新たなビジネスチャンス発見法と実現へのヒント。11日配信のNICeメルマガシリーズコンテンツです。
第14回 海藻大国ニッポン!



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   増田紀彦の「ビジネスチャンス 見~つけた」 第14回 

   海藻大国ニッポン!

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【ウレタンの代わりに海藻を詰め込んだデンマークのベッド】

出張先のホテルで見るでもなくテレビをつけていたら、
「デンマークの家具はデザインがすごい」、
というレポーターのコメントが聞こえてきた。

「おおっ、まったくもって同感」と、
仕事の手を止め、急遽その番組に集中することにした。

私個人の印象だが、デンマーク製品のデザインは、
椅子にせよ机にせよ何にせよ、線の表現がセクシーだ。

いつしか番組はベッド職人の仕事ぶりを紹介し始めた。

「ん? 何をしてるんだ?」と首を捻る私。

職人は、木製のベッドフレームの中に、
大量の褐色の乾いた草のような物を、せっせと詰め込んでいく。

「海藻を詰めています」。

マジか? ビックリした。
要するにウレタンの代わりに海藻でマットを作っているのである。
さすがに感触まではわからないが、
見る限り、硬すぎず、柔らかすぎず、絶妙な反発具合。

とにかく素材は、海から毎日のようにただで供給される。
日本でも、人気(ひとけ)の少ない海岸を歩くと、
海藻がびっしりと打ち上げられている光景を目にする。
あれらが家具の材料になるとは……。

しかも職人によると、その素材は不燃(難燃?)だという。
実際、ライターであぶっても着火する様子はなかった。
天然素材、不燃性、原価無料。
「これはいい!」と思ったところで、思い出したことがある。


【デンマークや中国には、海藻葺きの屋根の家もある】

以前、名古屋の女子大で教鞭を取る建築の専門家から、
「デンマークには海藻葺きの屋根がある」と、教えられていたのだ。

海外の人から見れば、日本の藁葺きや茅葺きの屋根も驚きだろうが、
海藻を好んで食べる私たちにすれば、
それで家屋の屋根を葺くなど、想像外の工法である。

確か、その話を初めて聞いた時も、
「雨が降ったら出汁(だし)が染み出るのだろうか」などと、
くだらない想像をして、ニヤニヤしていたことを覚えている。

しかし真面目な話、
島国日本は海藻天国なのに、なぜ、デンマークのように、
それらを建材や家具の材料にしなかったのだろう?

早速、デンマークで使っている海藻の種類を調べたところ、
瞬時に回答にたどり付くことが出来た。
使っているのはアマモだそうだ。

アマモなら、日本にも昔からたくさん生育している。
今でも、沖縄各地の浅瀬の砂地に生えているのをよく目にする。

というか、アマモはデンマークや日本以外でも普通に見られる海草だ。
※アマモは「海藻」ではなく「海草」である。
「海藻」は根と茎と葉の区別が判然としないが、
アマモなどの「海草」は草花のようにそれらがハッキリ区別できる。

なのに、なぜデンマークだけ……と思ったのだが、調べていくと、
中国のある集落にも、海草葺き屋根の建物があることがわかった。
ここでも材料は、アマモの仲間を使っているそうだ。


【究極の天然素材、アマモ。しかし日本沿岸では減少の一途】

要するに、アマモの特性に気付いた人たちがそれを建材にし、
気づかなかった人たちは使わなかった。そういうことだろう。
我ながら、実に大雑把な結論だと思う(笑)。

むしろ大事なのは、というか、注目したいのはアマモの特性である。
毒性なし。耐火性抜群。しかも耐水性に優れているらしい。
おまけに絶縁体でもある。
日本でも、このエコなスーパー素材を活用しない手はない。

と、言いたいところだが、今、日本沿岸のアマモは急速に減少している。
先ほど名前を挙げた沖縄県でも、
ボランティアたちが懸命に植え付けをして、藻場を維持している状況だ。

ということで、今回のテーマはアマモに限定せず、
海藻や海草の多彩な用途開発にビジネスチャンスあり、である。


【ローテクからハイテクまで、無限に広がる海藻(海草)ビジネス】

すでに「コンブ発電」の研究も進んでいる。
微生物を使ってコンブからメタンを発生させる仕組みだ。
いわば、水産バイオマス発電である。

一方、海藻の抗腫瘍作用や抗血圧作用、抗動脈硬化作用、
抗血栓作用、抗菌作用などに着目した医薬品開発の研究も盛んだ。

もちろん海藻は農作物の肥料になることも知られている。
化学肥料と違い、海藻は長く使用しても地力を衰えさせることがない。

また古くから、そばの「つなぎ」にも用いられてきた。
海藻つなぎで有名なのは新潟県の「へぎそば」だが、
そういう製法に至ったのは、
もともと同地方で盛んだった染色に使用する「のり」として、
大量に確保していた海藻を転用できることを発見したからだ。

さらに三重県では海藻で作った折り紙もある。
折った鶴を写真で見たが、何とも愛らしかった。

活用例はまだまだある。
いわばローテクからハイテクまで、
海藻の可能性は無限と言ってもいいほどに広がっている。

国土のすべてが海に面した日本ならではの競争力の源泉として、
もっと多くの人が、海藻や海草の事業化に注目して欲しいと願う。


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「つながり力で起業・新規事業!」メールマガジンVol.96
(2019.9.11配信)より抜粋して転載しました。
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