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第18回 縁起物は売れる ~『伊達巻き讃歌』~


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   増田紀彦の「ビジネスチャンス 見~つけた」 第18回 

   縁起物は売れる ~『伊達巻き讃歌』~

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まったくと言っていいほど、私は食べ物の好き嫌いがない。
というか、調理を失敗していない限り、何でも美味しいと思う。

なので、質問されて回答に窮するのが、「好きな食べ物は?」だ。
若い頃はそう聞かれると「大盛り!」と、ふざけて答えたりしたが、
齢(よわい)六十。さすがにそういう嗜好も収まってしまった。

「たとえば好きな魚は?」と、ジャンルを絞って尋ねられてもダメだ。
青い魚も赤い魚も、海の魚も川の魚も、冬の魚も夏の魚も、みんな好物。
それが野菜だろうが、肉だろうが、麺だろうが、パンだろうが何だろうが、
すべてにおいて甲乙付け難し、なのである。

ただし、唯一、お節料理に関しては、好きな具材のランクが付けられる。
中にひとつ、飛び抜けて大好きな食品が含まれているのである。

それは何か?
を、告白する前に、お節の代表的な具材と謂れについておさらいしておこう。

★数の子→卵がいっぱいだから子孫繁栄。
★ごまめ(田作り)→ごまめは五万米と書き表せるので豊作祈願。
★栗きんとん→きんとんは金団と書く。まさに金銀財宝が団子に!
★黒豆→道教で黒は魔除けの色。「まめ」に働くの意味もある。
★蒲鉾→半円の断面が初日の出のよう。赤は魔除け、白は清浄を表す。
★蓮根→穴が開いているので見通しが良い。
★海老→腰が曲がっているので長寿祈願。
★鰤(ぶり)→出世魚なので、それにあやかり出世祈願。
★くわい→大きな芽が出るので、出世。くわい=快でもある。

まだまだ、いくらでもあるが、とにかく、
日本人の縁起を担ぐ発想は、いや執念は、凄まじいばかりである。
では、私の大好物の発表。

「伊達巻き」だ!

どうだろう。「私も同じ」という人は、さほど多くないのではないか。
あの微妙に甘い味わいは、飯にも酒にも……合わない。
言うまでもなく、他のお節の具材との相性も……良くない。

言ってみれば、完全に浮いた存在。

私自身、なぜ、目の色を変えて、伊達巻き伊達巻きと騒ぐのかわからない。
恐らく、子供の頃に初めて口にした時の感動が、海馬の底に取り憑いていて、
「正月」というキーワードで、その記憶が顕在化するのではないかと思う。

でも、あれは、今食べても、やはり美味しい。私はそう感じる。
彦麿呂ふうに言えば、「日本のお正月のロールケーキや~~」である。

極上の白身や海老に溶き卵と出汁を擂(す)り混ぜた肌理(きめ)の細かさ、
ふっくらしつつも歯ごたえが残る奇跡の焼き加減。
そして、味醂と砂糖が醸しだす芳醇な旨味……。

ああ、やはり私は伊達巻きが好きだ。大好きだ。大大大好きだ!
世界の中心で、そう叫ぶことを厭わない覚悟も、すでに出来ている。

もちろん、伊達巻きもピンからキリまである。
関東圏だと、つきじ入船の1本数千円の伊達巻きが抜群に旨い。
もっとも正月用の伊達巻きは、各社ともレベルを上げて製造している。
全国ブランドの紀文もいいし、小田原の鈴廣や籠清、まるう田代、杉兼も、
焼津の川雄や足平も、新潟のイチマサも、仙台の阿部蒲鉾も、
そして福島県はいわきの夕月やかねまん、貴千も、みんな絶品だ。

要するに、伊達巻きなら何でも旨いということかもしれない(笑)。

ところで、お節料理としての伊達巻きの謂れをご存じだろうか?
実は、学問成就や文化興隆を願って食するものなのである。

他の具材が、長生きとか金持ちとか、本能的欲求丸出しなのに比し、
伊達巻きの、なんと奥ゆかしいことか。
簀(す)で巻いた出来上がりの形状が、書物の巻物の姿に似ることから、
こうした謂れを持つようになったそうだ。

それなら、お正月以外にも、口にすべきタイミングがあるだろう。
言わずとも知れた受験シーズンである。

前段でも記したが、日本人の縁起担ぎ意欲は世界有数である。
とくに現代は、正月よりも受験に対する縁起担ぎのほうが顕著だ。

試験会場に向かう日の朝、伊達巻きを食べよう。一口でいいから。

もちろん、学生さんだけの話ではない。
国家試験や民間試験など、社会人向けの試験にも効果はある(と思う)。

さらに言えば文化興隆にも御利益があるので、
各種の芸術イベントの成功を祈願して、
スタッフ全員で口にする、なんてのも、いいかもしれない。

恵方巻きがブームになったように、
伊達巻きだって、やればできる。 絶対にできる! 頼む、やってくれ!

ということで、今回の教訓。縁起物は、売れる。以上。

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「つながり力で起業・新規事業!」メールマガジンVol.104
(2020.1.14配信)より抜粋して転載しました。
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