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NICe代表理事の増田紀彦が、NICe正会員・協力会員・賛助会員、寄付者と公式サポ ーターへ送っている【NICe会員限定スモールマガジン増田通信】の中から、一部のコラムを抜粋して掲載しています。
増田通信より「ふ~ん なるほどねえ」213 トリアージとリストラ 



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<最近の提案> トリアージとリストラ
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新型コロナ感染症患者が急増し、いよいよ医療体制が逼迫してきた。
こうなると、院内トリアージも現実味を帯びてくる。
ことは、入院させる、させないといった判断だけにとどまらない。

「AさんからECMOを取り外して、Bさんに使う」。

こういう状況も現出する。その結果、言わずもがなだが、
奇跡でも起こらない限り、Aさんの命はほどなくついえる。

無論、Aさんは回復の見込みが立たない状態であり、
Bさんは処置すれば、回復可能という状態であることが前提だ。
悲しいが、合理的な考えだと私は思う。

だが、実際にその判断をくだす立場になったらどうだろう。
「未必の故意」とまでは言わないが、
トリアージは、特定の患者の死を確定させてしまう行為である。

現場の医師個人に、その重い判断を押しつけたままでいいのだろうか。
国は、コロナ関連トリアージのガイドラインを作成し、
トリアージに躊躇する医師の背中を押しつつ、
医師の心理的負担を軽減できるよう、早急に手を打ってほしい。

私はもちろん医師ではないし、トリアージの経験などあるはずもないが、
「命の選別」に近い行為を何度も経験した。

従業員の馘首である。

生命そのものの選別と、雇用の選別とでは同列に語れないとは思うが、
突如、クビを切られることになった従業員の苦しみは生半可ではない。

解雇の理由が従業員の側にあるのなら仕方ないが、
不況による業績悪化などの理由でのクビ切りは理不尽だ。
しかも、不況だから再就職も困難。

あのバブル崩壊の時代、私も多くの従業員を整理した。
誰を残し、誰を切るのか?

AさんはBさんより、やや評価が落ちる。
しかし、Aさんには受験を控えた子供がいて、住宅ローンも残っている。
一方、Bさんは独身で生活も楽だが、仕事はできる。
でもAさんもBさんより劣るとはいえ、仕事ができないわけではない。
どうする? どちらも切れない……。
なら、両者を活かすために新規事業を起こせないか?
無理だ。そもそも2人とも、その新規事業開発部門で雇用した人物。
そこが思うような結果に至らなかったから、こうなっている。
だったら、いっそ2人ともやめてもらうか……。
それでは業務が維持できない。どうする? どうする?
ええい、こうなったらアミダクジで決めるか。
何をふざけたことを……。さあ、考えろ。どうするんだ?

深夜になり、さらに空が白み始めても寝つけない日が、どれだけ続いたか。

もちろん最後は決断する。
決めた以上は揺るがない。
泣かれても脅されても殴られても揺るがない。

悲壮な覚悟で、私は、一人また一人とクビを切っていった。
切られたクビから吹き出した鮮血で、私の心はいつも真っ赤だった。

死ねるものなら、むしろ私が死んでしまいたかった。
切る側の苦しみも、やはり生半可ではないのだ。

読者の中には、今まさにリストラの渦中という方もいるだろう。
それをせずに済む手を打てるのなら、それが一番だ。
安易な解雇や雇い止めは厳に慎みたい。
しかし、どうにもならないのなら、断行するしかない。
が、どんなに強がっても、クビを切った側の心も傷つく。確実に。

もし、苦しい胸中を抱えている人がいるなら、私に話して欲しい。
私は100%、あなたを支持する。
医師の力にはなれないが、経営者の力になら、少しはなれると思う。

医療の世界にはトリアージが迫ってきた。
そして私たちビジネスの世界には大リストラが迫ってきた。
日本中でこんな苦しい判断をするのだから、
私たちの社会は必ず強くなる。豊かになる。
そう信じ、そう口にし、そう励まし合って、みんなで未来に進んでいこう。

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増田紀彦NICe代表理事が、毎月7日と14日(7と14で714(ナイス)!)に、
NICe正会員・協力会員・賛助会員、寄付者と公式サポーターの皆さんへ、
感謝と連帯を込めてお送りしている【NICe会員限定レター「ふ〜んなるほどねえ」スモールマガジン!増田通信】。
第213号(2021/0114発行)より一部抜粋して掲載しました。
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