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NICe代表理事の増田紀彦が、NICe正会員・協力会員・賛助会員、寄付者と公式サポ ーターへ送っている【NICe会員限定スモールマガジン増田通信】の中から、一部のコラムを抜粋して掲載しています。
増田通信より「ふ~ん なるほどねえ」281 インボイス制度「経過措置」の注意点



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<最近の経理> インボイス制度「経過措置」の注意点
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10月のNICeメルマガにも書いたが、消費税収の伸びが著しい。
消費税収を押し上げている理由は、
長期的には税率の引き上げ、短期的には昨今の物価高騰にある。

税率は当初の3%が今や10%。
物価はものによりけりだが、少なくとも1割は上がっている。

ということは、価格100円の場合、以前は税が3円だったわけだが、
今は価格自体が110円になり、その10%だから税は11円になる。
実に3.7倍も税収が上がっていることになる。
桁を変えて言えば、
10兆円だった税収が、37兆円にまで膨れ上がっているということだ。

それでもまだ、消費税を徴収しようと導入されたインボイス制度だが、
これは本当に複雑極まりない制度で、
勉強すれば勉強するほど、かえって謎が深まるばかりである。

そのうえで、ひとつ話題にしておきたい小ネタがある。
インボイスを受け取る側にかかわる「経過措置」について。

「経過措置」は、
受け取った消費税から支払った消費税を差し引いて税額計算をする、
本則課税事業者に向けた制度であり、
免税事業者や簡易課税事業者には直接関係しない。

本則課税事業者の方々なら、すでにご存じだろうが、
念のため説明しておくと、「特例措置」とは、
インボイスではない請求書や領収書を受け取った場合でも、
価格に含まれる消費税相当額を一定割合で仕入税額控除できるルールである。

「経過措置」が適用される期間と、仕入税額控除の割合は以下のとおり。

2023年10月1日~2026年9月30日:消費税相当額の80%
2026年10月1日~2029年9月30日:消費税相当額の50%

数字で説明すると、
●インボイスの場合
11万円(支払額)=10万円(価格)+1万円(税)
→ 仕入税額控除1万円
●「経過措置」の場合(2026年9月30日までの場合)
11万円(支払額)=10万円(価格)+8千円(税)+2千円(自己負担)
→ 仕入税額控除8千円
となる。

ここで問題になるのが、自己負担した2千円をどう仕訳するかだ。
結論は、購入価格を10万2千円にして計上することになるが、
そうなると、備品など償却資産の仕訳が悩ましいことになる。

資産の税抜き価格が10万円以下なら、一括償却できることはご存じと思う。
ところが、11万円のテーブルを非インボイス事業者から購入した場合、
購入価格が10万2千円になるため、一括償却できなくなってしまうのだ。

出っ張った2000円を雑損失などで計上できればいいが、
国税庁は、購入価格として計上するようにと言っている。

そうなると、「インボイスを発行しない相手からの購入は避けよう」、
という方向に、またぞろ話が行ってしまいそうだ。

例に挙げた一括償却の話題はピンポイント過ぎるかもしれないが、
インボイス制度は、
それほどに、経理業務の細部まで影響を及ぼすルールということである。

と同時に、結局、免税事業者など、インボイスを発行しない事業者に対して、
不利益をもたらしかねない制度になっている。

インボイス制度を理解しない、あるいは甘く見る。
そういう姿勢でいると、いろいろな意味で痛い目に遭いそうな気がする。

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増田紀彦NICe代表理事が、毎月7日と14日(7と14で714(ナイス)!)に、
NICe正会員・協力会員・賛助会員、寄付者と公式サポーターの皆さんへ、
感謝と連帯を込めてお送りしている【NICe会員限定レター「ふ〜んなるほどねえ」スモールマガジン!増田通信】。
第281号(2023/11.14発行)より一部抜粋して掲載しました。
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