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NICe関東 前夜頭脳交換会@三軒茶屋レポート


2011年9月2日(金曜日)、東京・三軒茶屋で、NICe関東 前夜勉強会が開催された。これは、定期開催のNICe関東頭脳交換会とは別に、ひとりのNICeユーザーがSNS内の日記に投稿した事業の悩みを受けて、「ひとりの悩みは、みんなの悩み。少人数でも集まれる。共に考え、学び、盛り上がろう!」と臨時開催されたもの。東京都内を中心に、埼玉県、神奈川県から12名が集い、小規模事業者共通の悩みを聞き、解決策を探っていった。


顧客拡大&スタッフ増員を

バランス良く展開したい。

小規模事業者が狙える市場は?





相談者/COMFORTABLE  主宰  収納ドクター・長柴美恵氏

長柴氏は2006年に整理収納アドバイザー1級資格を取得し、“収納ドクター”として活動している。事業の主軸は講師業とコンサルタント業であり、ほかにお片づけサービスの提供、収納雑貨ネットショップのプロデューサーも務めている。

講師業は、業界団体からの依頼&主宰で講師を務める整理収納アドバイザー2級認定講座と、自身が企画運営する講座があり、いずれも受講生は多く、毎回好評。コンサルタント業は、依頼主のもとへ赴き、“収納ドクター”診断とプランニングを行っている。診断に合わせてお片づけサービスの依頼があれば、オプションで受けるかたち。このように長柴氏は、ひとりで何役もこなしてきたが、労力と時間と収入のバランスを考慮すると、今後は講師と診断に注力し、お片づけの現場は専門のベテラン協力者に任せたいと考えている。人員を増やせば当然、比例して売り上げのUPも必須。そのため、診断&お片づけの依頼主拡大と、現場要員の増強を図りたいのだと述べた。

現場要員の増強に関しては、整理収納アドバイザー資格保有者が年々増加している点に着目し、資格を生かせないまま、しかしやる気のある整理収納アドバイザー2級資格保有者を見込んで、2名の募集をかけているところ。また同時に、現場での実践と教育は必須と考え、一般家庭にお片づけのモニター募集もしているところだという。

現在の広報・集客ツールは、自社Webサイト、ブログ、プロファイル、メルマガ、ネットショップのメルマガ、埼玉県内のフリーペーパーだが、集客もモニター応募も頭打ちの状態。業界全体で見れば需要は伸びると思えるものの、顧客拡大とスタッフ増員をバランス良く同時進行させる必要があり、その方法と市場に悩んでいる。

 

 



●質疑応答・意見

・現場要員として募集している資格保有者は、お片づけ要員として?それとも診断も?
→お片づけ要員としての募集。ただし現場経験がないと思われるので、ベテランの指導によって教育をしていきたい。また、モニター現場には自分も同行する。

・アドバイザーとはアドバイスだけ?
→ お片づけは、オプションで、その両方を受けている。

・モニターとは?
→ベテランと新人スタッフ2名を教育するための、片付け場所を提供してくれる有料モニターという意味。そこに、ドクターである自分も同行する予定。通常の診断では、2時間2万1,000円に、収納プランニングシート作成追加ごとに1万500円という料金。お片づけ作業は1時間1万3500円。モニターの場合は、2名3時間で1万8900円、1時間6300円計算。
・それでいうとモニターは半額以下?
→はい

・現在の依頼者はどのエリアがメイン?
→埼玉県内から周辺県。どこちらというと東京よりではない地域。

・競合は? 趣味の域やカリスマ主婦という感覚が多いような気がするが。
→資格保有者で事業化している人は多くない。だからこそ、やる気のある有資格者と連携してチーム体制を確立し、ちゃんとした事業として展開したい。

・資格保持者を登録させている人材派遣業から、法人化、趣味的なレベルまで幅広い。同じ資格の名称なので、差別化は必要。セグメンテーションをすすめて事業しているが収入面が低く、産業的には不安定で、未熟な業界という印象がある。そこから、ちゃんとしたビジネスとしたいのですね?
→はい。差別化を図るためにも、個人的には現在1級講座の講師取得を目指しているところ。

・2級資格保有者はどのくらいいるのか?
→自分が取得した2006年は50人ほどだったが、現在は1万8000人弱。資格取得だけで終わっている人、ほかの業種に就いていてスキルアップのために取得する人も多い。

・コーチも同様で、コーチ業で成り立っている人は、コーチになる前のバックグランドがあり、そこにコーチのスキルが生かせるかどうかだと思う。

・FPもそう。知り合いの社労士も、前職と資格を組み合わせて生かしている。そうでないと、行き場がない。ということは、現場要員として加える新人さんも、フックのない人の生かし方として考えるといいかも。

・コーチ達が職を分かち合う組織がある。一緒にやろうよと立ち上げた方がいるが、集う人たちも、雇われる感覚ではなく、「この人と一緒にやりたい」という同レベルの感覚。それが好まれているのかなと思う。

 


 

●課題まとめ
・未熟な業界でビジネスチャンスはあるものの、大手企業が本気を出してきたら一気に市場を持って行かれてしまう。言い換えれば、大手と闘わない別の市場を確立すれば、スタッフを増やして事業展開することもできる。資格保有者も多いが、ピラミッド構造であり、同時にみんながライバルにもなりうる。
  


「整理収納アドバイス市場はどこにあるのか?」

約20分、2チームに分かれてディスカッションを行った。


●各チームの発表

ブタさんチーム
・他人が家の中にあがりこむ、室内の様子を見ながら診断するとなると、どうしてもプライバシーの問題がある。依頼前から家庭内へ入り込んでいるのは誰だろうという観点からスタート。ガス、電気等の検診員。また家に来る人といえば学校の先生の家庭訪問があるとの意見から、家庭教師はどうだろうかと。整理収納のアドバイスができ、それにより学力アップする整理収納術とか。
・大きな市場で言えば介護ヘルパー。ヘルパーは介護事業所に登録し、各家庭へ出向いている。保険適用外の行為は限られている。しかし家庭内の事情にも詳しく、整理状況も把握している。介護保険適用外のサービスを提供することで、ヘルパーの収入アップにもなる。ヘルパーに資格習得してもらい、新サービスの提供もできるとなれば、介護事業者に営業をかけられる。
・新築した親戚の実体験から、引っ越しする時こそモノを捨てるチャンス。新築へ持って行くものから建築設計プランを考えれば、建築費のコストダウンにもつながる。ハウスメーカーや建築士、不動産業者に働きかけられるのでは。
・外国に赴任して帰国する人、特に発展途上国駐在だった場合、駐在時の家は広く、荷物も多くなり、帰国後が大変。海外赴任が多い企業へのアプローチはどうか。
・家だけではなく、車の中はどうか。室内診断にオプションで車もありとする。
・整理収納する対象を室内から外へ広げてはどうか。


ハクチョウさんチーム
・ニーズは、片付けられない人、プラス、防災を絡める視点からスタート。使われていない部屋、単身赴任の部屋、離婚した家。また個人の家だけではなく、企業向け、IT系、士業系など、プライバシーマークの契約のもと、企業へもアプローチできるのでは。
・企業という観点では、まず集合住宅の管理者。煙探知機を各部屋に設置する義務があるので、防災を理由に訪問してくれて、煙探知機の設置も込みでしてくれたら嬉しい。実際に自分は設置サービスしてくれるところがなくて困った。そこまでトータルにやってくれたら嬉しい。それを口述に部屋の使い方、汚し具合をチェックしてくれたら大家は喜ぶ。その料金も家賃に含んでしまえばいいのでは。
・マンション、一戸建てなども購入時に整理収納アドバイスサービスを含んで販売する。「ちらからない家になる」を売りにする。そうなると、提携先は住宅メーカーや管理組合となる。
・会社の労働組合、大手引っ越し業者から底辺の小さな業者。診断をする=入り口になり、モニター価格で安いサービス&スタッフ教育もできるのではないか。
・リサイクルショップ。各家庭へ入る=汚れた家に入る。家財の引き取りだけでなく、整理収納サービスも組み合わせられるのではないか。
・保険。火災保険、地震保険で、お片づけもサービス付加して定期的にきれいにしますとすれば、営業は保険会社がやってくれる

 

各チーム発表後の追加
・ペットショップ。ペットと人間が快適に暮らせる整理収納はどうだろう。もっと安全に暮らせる、両者が快適に暮らせる収納とか。

・ペット関連グッズを室内のどこに置くのか結構考える。衛生的な問題もあるし。
・片付けるというよりも、診断メインにできそう

・全寮制の学校法人。教育の一環にもなる。
・インテリアメーカーに、社内資格として収納アドバイザーはどうか。

●相談者・長柴美恵氏の感想と今後の抱負
「私のひとり言の日記から急遽思わぬ勉強会に発展し、NICeのありがたさを心から感じました。忙しい中参加してくださり、ひとつの悩みから皆さんが真剣に考え、答えを出すことに力を注いてくれました。自分ひとりでは発想の範囲も狭いし、決めつけてしまっていることもあるのですが、異業種だからこそ違う目線から見る発想をいただくことができました。

終了後の懇親会では、家族のように溶け合っている居心地の良さを感じました。ひとりで起業しているといろいろな壁にぶつかります。今回プレゼンするまでは、苦手な営業から逃げて一般の集客方法しか考えていませんでした。でも心強い仲間がいることに勇気をもらい、『また壁にぶつかったときはNICeメンバーがいる』という安心から、皆さんの応えを頂戴し、企業に営業することに決めました。これから来るスタッフの活動の場をつくっていきます。

私はプレゼンに立候補したワケではないのですが、少しでも何かをクリアしたい気持ちがあれば、ぜひ自分の悩みを課題にしてプレゼンされることをおすすめします。必ず道は見えて来るはずです」



取材・文、撮影/岡部 恵

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