増田通信より「ふ~ん なるほどねえ」315号 「たぶんが付かないのは……」

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<最近の金言> 「たぶんが付かないのは……」
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夜、歯を磨きながら、テレビの音をラジオ代わりに聞いていたら、
女優の仲里依紗さんが、すごいことを言っていてドキッとした。
「私は、たぶん女優、たぶん母親、たぶん妻……。
たぶんが付かないのは、仲里依紗だけ……かな」。
彼女が何を言いたくて、あるいは、何を質問されてそう言ったのか、
前後を聞いていなかったので何とも言えないが、
とにもかくにも圧巻のセリフである。
むしろ仲さんとは反対に、
例えば「私は起業家で、母親で、妻です」などと、
一気に口にしてしまう人も少なくない気がする。
むろん、私もその一人だ。
「たぶんが付かないのは、増田紀彦だけ……かな」。
なんて、長い人生の中で一度も言ったことも思ったこともない。
ずっーーーーーと、役割に縛られて生きてきたのだと痛感した。
役割をまっとうしようとすること自体が悪いわけではない。
しかし、そこに意識が集中しすぎて、
「そもそもの自分」が何者なのか、自覚しないまま、
いや、それを認識する必要性すら感じないまま、
何十年も生きてきてしまったのではないか。
古い話だが、バブル景気が崩壊したあと、
たくさんの中小企業経営者が、自ら命を断った。
追い詰められた経営者たちは、
「そもそもの自分」と「役割を帯びた自分」を分けることができなかった。
「私は、たぶん社長。たぶん父親。たぶん夫。
たぶんが付かないのは、○○□□だけ」。
あの時代、そんなふうに口にできる経営者がいたら、
どれだけの悲劇を阻止できたことだろう。
あなたは、どうか?
「たぶんが付かないのは、○○□□だけ」。
スパッとそう言えるのなら、安心。
今は昔と違い、そう言える人が増えている気もする。そうあってほしい。
「仲里依紗構文」は、アイデンティティの大切さを深く語っている。
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増田紀彦NICe代表理事が、毎月7日と14日(7と14で714(ナイス)!)に、
NICe正会員・協力会員・賛助会員、寄付者と公式サポーターの皆さんへ、
感謝と連帯を込めてお送りしている【NICe会員限定レター「ふ〜んなるほどねえ」スモールマガジン!増田通信】。
第315号(2025/5.7発行)より一部抜粋して掲載しました。
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