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厳しさを増す経済・経営環境に立ち向かうために、NICe増田代表理事が送る、視点・分析・メッセージ 。21日配信のNICeメルマガシリーズコンテンツです。
AI活用を自己成長の梃子(てこ)に



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 「増田紀彦の視点 どうする?日本経済」

 第144回 AI活用を自己成長の梃子(てこ)に
  
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【人気作家の長編『背中の蜘蛛』の投げ掛け】

年始休暇を利用して、ため込んでいた誉田哲也の小説を一気読みした。
その中の一冊、2019年刊行の長編『背中の蜘蛛』は、
情報通信技術の発展が引き起こした「新たな世界的禍福」を題材に、
「正義」と「幸福」の今日的な位相に切り込む作品だった。

誉田にこの小説を書かせたきっかけは、
2013年に明るみに出た「スノーデン事件」のインパクトだろう。

「スノーデン事件」とは、当時、CIAおよびNSAに所属していた技術者、
エドワード・スノーデンが、
アメリカの極秘監視プログラムに関する大量の機密情報を公表した一件だ。

スノーデンが暴露した情報の中には、アメリカ政府が、
市民の通信やインターネット利用を無差別に監視している事実を含んでおり、
プライバシーの保護と国家の安全保障という、
二律背反の課題を国際社会に突き付ける出来事になった。

誉田は、警視庁がCIAやNSA同様の活動を秘密裏に開始したという設定で、
この件に関わる(関わってしまった)人々が、困惑や苦悩を抱えつつ、
一縷の望みや一筋の光明を見いだそうとする姿を丹念に描出している。


【技術によって一新された社会規範は、決して過去に戻らない】

作品中に、こんな一節があった。

「現在の刑事捜査に、防犯カメラの映像解析は欠かせないものになっている。
(中略)防犯カメラが個人のプライバシーを侵害する例は、確かにあります。
でもだからといって、防犯カメラはもうなくせない……必要悪。国民感情も、
すでにそういう向きに傾きつつある」。

ちょっと驚いた。
2026年の今となっては、防犯カメラに対する日本国民の受容度は、
「傾きつつある」どころか、ほぼ「あって当たり前」になっているからだ。

作品発表からたった何年かを経ただけで、
世の中はこんなにも変わってしまうものなのか。

あらためて、テクノロジーが社会規範を一新することに驚嘆する。

しかし考えてみれば、人類史の変遷とはそういうものかもしれない。
言葉と火を手にした時代まで遡る気はないが、
自動車しかり原子力しかりSNSしかり、
新たな技術の確立と実装は、社会に禍と福の双方を撒き散らしながらも、
それらがなかった時代へと逆行することは決してない。

そして今はAI時代である。
人類史の定石どおり、私たちの暮らす社会は、
AIがなかった時代に後戻りすることは、確実にない。


【あらゆる業界でAI活用が通常業務になっている】

実際、産業分野ではすでに大規模な変容が起きている。

金融・保険業界では、与信判断や投資・リスク管理、
保険料の算定などをAIが担うことが多くなってきた。

医療分野でも、画像診断にAIが活用されているし、
新薬の開発プロセスの短縮化にもAIが一役買っている。

交通や物流分野でも最適ルートの割り出しなどで活躍。
細かい話をすれば、高齢者施設の送迎サービスは、
施設にとって大きな負担であり、
これに要する労力が削減できることは福音とさえ言われている。

ほかにも教育産業のAI家庭教師、不動産業のAI査定、
製造業の設計自動化や工程最適化など、
すでにAIが実績を挙げている業務は一般が知るより多い。
また、業界を問わず営業や接客をAIに委ねる企業も増えている。

私が長年携わってきたコンテンツ産業の主力もAIに置き換わっている。
私の知る大手情報企業は、すでに数年前に、
制作や編集に従事してきたクリエイターたちとの契約を打ち切り、
それらの業務をAIに任せるようになった。


【このコラムとて、AIなら代筆できるはず】

もっともコンテンツ産業への影響は、
上記のような情報量産型ビジネスだけにとどまらない。

例えば、この「増田紀彦の視点 どうする?日本経済」とて、
AIに頼めば、嫌がらずに代筆してくれるだろう。

過去の私の原稿を読み込ませ、通底する理念や視点や主張、
全体構成や文章ボリューム、改行パターン、漢字と仮名の使い分け、
言い回し、句読点の打ち方、語頭と語尾の傾向などを把握させて、
そのうえで、例えば「米問題と米国問題」などとタイトルを付けて、
「このテーマで書いてね」と頼めば、大方それで済むはず。

「はず」というのは、それを試してみたことがないからだ。


【私のクローンの生成を許すわけにはいかない】

文章は私の分身である。いや、文字化された私自身かもしれない。

だから私以外の何者かが、私の文章を書くとしたら、
それは私のクローンの生成を認めたのも同然という気がする。
つまり一線を超えてしまうことになる。

一線の向こう側の世界で生じる様々な問題を私は想定できないし、
想定できない以上、対処できない。
対処できないから、AIの力を借りるしかないとなり、
気付けば、ズブズブのAI漬け人生を送ることになる……。

何と恐ろしいことか。
と言いつつ、扉を開けて見たい気がしないわけでもない。
まさに怖いもの見たさ……。
とはいえ、今はやらない。できない。

もっと研鑽し、もっと自問し、もっと成長したうえで、
私の文章が、真に私と一心同体であると言えるレベルに達すれば、
その時は、臆することなくAIに、
「真似できるものならやってみろ」と挑戦状を叩きつけられるだろう。


【AIに頼るのではなく、AIを使うマインドを築こう】

私のAIとの向き合い方が正解かどうかはわからない。
しかし、AIの利便性や生産性、採算性ばかりを崇めたり、
反対に、AIのブラックボックス的な側面を恐れたりしているだけではダメ。

まずはAIを活用してみること。
最初はその迅速性や正確性、情報の豊かさや対応範囲の広さに驚き、
ひどく感心したり、漠然とビビったりすることもあるだろう。

だが、主導権は自分にあることを肝に銘じ、
AIに頼るのではなく、AIを使うというマインドを確立すれば、
自ずと向き合い方も見えてくる。

AIに何ができるのか、何ができないのかを判断する。
同時に、自分(自社)は何ができて何ができないのか、
自分(自社)の重要課題は何か、
自分(自社)は、何のためにAIを活用するのか、
AIを活用したことで自分(自社)は何を得られるのか、
その得たものをどう活かすのか、反対に失うものはないか、
そういった根本的な事柄に対して自分なり(自社なり)の答えを出す。

それを面倒だと思わないことが、AIをより良く使う手立てであり、
同時に、自分(自社)の成長をもたらす契機になると心得よう。


【またしてもAIに指導された私(トホホ)】

実は過熱著しいAIバブルについても本稿で触れるつもりだったが、
さすがにその話題に言及すると長くなるので、別の機会に譲ることにした。

ちなみに、「AIバブルをどう思うか?」とChatGPTに質問したところ、
「AIバブルという言葉はかなり雑に使われています。何がバブルで、
何が本物なのかを切り分けて理解しないと判断を誤ります」と注意された。

くそっ。ムカつく。けど、ごもっともな指摘。

AIは私に「もっと精進しなさいよ」と、隙あらば注文を付けてくる。

<一般社団法人起業支援ネットワークNICe 代表理事 増田紀彦>

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「つながり力で起業・新規事業!」メールマガジンVol.247 
(2026.1.21配信)より抜粋して転載しました。
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2026-02-07 05:19:52Mr.NICe
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