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「NICe棚田クラブ 第2回交流会」レポート


〜人とつながり 自然とつながる〜
「NICe棚田クラブ 第2回交流会」レポート


 



 


稲が大きくなっていた!
白羽毛のお米の販売に関する意見交換会は大盛り上がり!
十日町特産「へぎそば」を大いに食して大いに語り!
大喜びに満ちた2日間!


 


2010年7月3日(土)、4日(日)、「NICe棚田クラブ」第2回交流会が開催されました。5月29日(土)の第1 回交流会で田植えをした“NICe田んぼ”には、参加メンバーも驚くほど、すくすくと育った稲が。しかし、田んぼの周辺の雑草も、すくすく。まずは、その草刈りと、カラス除けの設置からスタート!

 


続いて、NICe田んぼの提供と米づくりの指導、日ごろの管理をしてくださっている「白羽毛ドリームファーム」のみなさんとともに、白羽毛のお米の販促に関する意見交換会を実施。夜は、蛍の出現を待ちながら、十日町市の隣、津南町の自慢の逸品、“つなんポーク”のバーベキューで懇親会。

 


2 日目は、北越急行ほくほく線「ゆめぞら号」に乗車。その車内では驚きの体験! 昼食は、知る人ぞ知る十日町の特産品「へぎそば」を食べ、その「へぎそば」を展示販売会で、どう見せるか、どう売るかについてブレスト。2日間にわたる盛りだくさんの作業、意見交換会、懇親会などの様子をお届けします。

 


■□■プログラムの概要

 


●3日(土)
13:00 越後湯沢駅集合、宿泊地に移動
14:00 NICe田んぼの草刈り、カラス除け設置、溝切り作業
16:00 白羽毛ドリームファームのお米の販促に関する意見交換会
18:00 ホタル狩り&つなんポークによるバーベキュー懇親会
●4日(日)
9:30
宿泊地から越後湯沢駅に移動
10:00 越後湯沢駅にて、新潟の地酒や特産品の視察・試食

 


11:30
北越急行ほくほく線「ゆめぞら号」に乗車

 


12:30
十日町の特産品「へぎそば」の昼食
13:30

 


十日町地域地場産業振興センター・クロス10にて
「へぎそば(ふのりそば)」の展示販売会についてブレスト
16:00 解散、十日町駅から帰路に
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■□■1日目/NICe田んぼの草刈り、カラス除け設置、溝切り
草刈りは、鎌で地道に、草刈機で一気に。
“溝切り“って何? 何のために行う?

 


第1回交流会の田植えをから約1カ月。NICe田んぼの稲は、はたして、どんな状態だろうかとワクワク。NICe棚田クラブ代表の池田美佳氏による誘導でNICe田んぼに到着すると、「自分が植えた列もしっかり根付いている」、「ちゃんと、まっすぐ伸びている」、「稲がフサフサしてきた」など、感激の言葉が飛び交いました。

 


しかし、田んぼの周辺には、これも育ち盛りといわんばかりの雑草が。白羽毛ドリームファームのスタッフから、鎌による草刈り、そして、草刈機による草刈りの指導を受けて、いざ作業開始。草の間に生息するカエルや昆虫、土中から出てくるミミズなどに驚きながらも、メンバーは自然の中で過ごしているという新鮮な感覚も。草刈りに続いて、これから実を稔らせる稲をカラスやスズメに荒らされないように、それぞれが持ち寄った不要なCDを棒の先に数枚ずつくくりつけて、田んぼの周辺に設置しました。

 


草刈りやカラス除け設置と同時に行ったのは、田んぼの中での“溝切り”作業。その作業を買って出たのは、茅原裕二氏。溝切りとは、稲の列と列の間を、専用の道具で溝をつくっていく作業。今後、水不足が起きた際に、少量の水でも根に水が届き、かつ、稲刈り前の水抜きの際に、早く水をはかせて渇きをよくするために行うもの。

 


田んぼに到着した時には、「草刈りに、カラス除け設置に、溝切りにと、どれくらい時間がかかるのだろうか?」と不安になりましたが、何でもやりたがり、何でも熱中できるという得意技を備えたメンバーによる作業は、予定時間内に、あっと言う間に終了。近くに流れる清流で手足を洗いながら、「流した汗も、草いきれの匂いも心地いい」と一同。

 




NICe田んぼの周辺は、田植えから1カ月で、こんもりと雑草がはびこっていました。さっそく、持参の鎌で、根こそぎ雑草を除去する岡部恵氏(右の写真左側)とNICeチーフプロデューサーの増田紀彦氏。草の間には、さまざまな昆虫、土中からはミミズが。岡部氏は、「都会で虫に遭遇すると怖いけど、自然の中での遭遇は、不思議なことに、“わりと”平気になってきました」と。

 



写真左は、草刈機での作業を前に、そのための専用ゴムエプロンを着けて、すっかりファーマー気分の北出佳和氏と石井英次氏。草刈り機は、先端にある丸い円盤状のもの(写真中央・右の赤い部分)に取り付けられた2本のヒモをモーターで高速回転させることにより、はじかれた草を瞬時に刈り取る(吹き飛ばす)仕組み。草だけでなく、ヒモが触れた小石なども吹き飛ばすため、たいへん危険。そのため、長袖、長ズボン、長靴、軍手、ゴムエプロン、さらに、養蜂家が被るような、頭の周りに防御網が取り付けられた帽子を被って作業。写真中央は北出吉和氏。右は、どうしても、この姿と作業を体験したかった増田氏。

 



“溝切り”作業を率先して行う茅原裕二氏(写真左)。植えられた苗1列を両足の間に置き、さらに、その横の列の脇にある隙間を掘っていくという作業は、想像以上に難しい。掘られた溝には、さっそく水が流れ(写真右)、稲の根の深いところまで水を行きわたらせていく。

 



不要になったCDを数枚ずつテグスで連ねるようにして並べ、それを棒にくくりつける作業(写真左)。これを田んぼの
周辺に並べて鳥除けに(写真右)。CDに反射する光で、何者かが田んぼにいるように錯覚させるという作戦。現代版の案山子といったところ。

 



棚田クラブメンバーが、すっかり作業を終えて一息という頃、田んぼに肥料を撒き
始めた白羽毛ドリームファームの樋口利一氏。肥料は根の張りをよくして稲の緑の
濃さを増すものだという。NICe田んぼの稲は、少し田植えが遅かったため、わずか
に成長が遅く、肥料の助けで、緑の濃さを増したほうがよいとのこと。

 


 


■□■白羽毛ドリームファームのお米の販促に関する意見交換会
≪白羽毛ドリームファームのお米について≫

 


新潟県十日町市白羽毛は、旧中魚沼郡中里村白羽毛。上越新幹線が通る越後湯沢駅、および十日町駅から車で約30分。十日町市の中心地を抜けて白羽毛地区に近付くと、斜面のあちこちに大小の棚田が広がっています。

 


白羽毛地区を含む魚沼地域一帯は、毎冬2〜3mもの雪が積もる特別豪雪地帯。しかし、その雪は、かけがえのない恩恵をもたらします。春にはミネラル分が豊富な雪解け水が山を下り、川を流れ、地域の田んぼを潤します。また、魚沼地域は周りを山に囲まれており、夏の間、昼夜の寒暖差が大きく、それがお米の味をよくする重要な要素となっています。

 


白羽毛ドリームファームで使用している肥料は有機肥料の「きくぞうくん」。カニのツメ・鯛・米ぬか・野菜残飯・貝化石・発酵菌が混ぜ合わされたものです。これらが田んぼの中の微生物を活性化させ、稲にとっても格好の環境をもたらす、というわけです。

 


新潟県では「特別農産物栽培認証制度」を設けており、農薬の使用回数、および化学肥料の使用量を慣行栽培の5割以下に削減して栽培された農産物を、特別栽培農産物として県が認証。わりやすく統一された適正な表示を行うことで、安全・安心な農産物を生み出しています。白羽毛ドリームファームでも、その認証を受けたお米を栽培しており、NICe田んぼのお米も特別栽培農産物です。

 



「白羽毛の米」は、特別栽培米、普通栽培米ともに、1kg、2kg、5kg、10kg単位で販売。ほかに、「白羽毛のもち米」、「白羽毛の餅」(白餅・草餅)も。いずれも、白羽毛ドリームファームのWebサイトから購入可能。
右の写真は、東京・港区の「表参道・新潟館ネスパス」での十日町物産展の様子。通りに面したテントで行う白羽毛
のお米の試食と1合ずつの量り売りは毎回人気。

 


 


都会の人は、どこでお米を買う?
スーパー? ネット?

 


白羽毛ドリームファームのお米は、いわずと知れた魚沼産コシヒカリ。しかし、ドリームファームのお米の袋に大きく書かれているのは「白羽毛の米」のみで、袋の片隅に小さく魚沼産コシヒカリと書かれているだけ。コシヒカリはお米の一大ブランドですが、もはや、コシヒカリというだけで大量に売れる時代ではなくなっているのも事実。袋に大きく「白羽毛の米」と書いているのは、コシヒカリだからでなく、“白羽毛の米だから”という理由で買ってくれるお客さん、ファンを増やしたいから。それだけ、米づくりに専心し、自信と責任を持って販売しているということです。とはいえ、現在は、農協や問屋を通しての販売がほとんどで、農協や問屋への平均販売価格は1俵(約60kg)あたり2万円ほどだと。

 


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ファシリテーターを務めるNICeチーフプロデューサー増田紀彦氏の、「みなさんは、お米をどこで買っていますか?」という問いかけで始まった意見交換会。参加者は、全員が都市部に住む者で、大手スーパーマーケットで買っているという意見が大半だと、誰もが想像していたのですが・・・。

 


●青森県十和田市の実家から送ってもらっています。実家は電気店ですが、うち以外はみな田んぼを持っていて、お米はいつでも安く手に入ります。子どものころからそれが当然で、スーパーでお金を払って買うという感覚はまるでなじみません。(上久保瑠美子氏)

 


●お米は生協の宅配を利用していますが、やはり、特別においしいお米が食べたくなることがあって、かまどで炊いているというお店に、わざわざ食べに行くことがあります。(剣持由紀氏)

 


●実は、実家が米屋ですので、農協を通さないで、生産者から直接仕入れているケースがあることも知っているのですが、あまり多くは聞かないですよね。(茅原裕二氏)

 


●親戚の農家から玄米の状態で買っています。しかも、30kgを3000円という格安で。(石井英次氏)

 


● 石川県の実家から新米の時だけ送ってもらっています。それ以外はスーパーで。スーパーで買う時は、あまり銘柄にはこだわっていないですね。でも、30歳を超えてから、お米のうまさを再認識するようになって、ご飯と、それに合うおかずを数点そろえて食事するように。以前は丼物など一皿料理で満足していましたが、その違いは何でしょうね。(北出佳和氏)

 


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「いやー、みんな、スーパーで買っていないんですね。驚きました。都会では、ほとんどの人がスーパーで買うものと思っていました」と増田氏。そして、「しかし、これからの高齢化社会、とくにニュータウンなど、住人がそろって高齢者になる地域では、配達をしてくれるお米屋さんの存在も欠かせないのではないかと」と問いかける。

 


●確かに、うちのお米を直接購入している方は年齢層が高いですね。(樋口利一氏)

 


●十日町の清津峡温泉のお土産にもらったけど、おいしかったので買いたいと電話をくれたお客さんも年配の方。ほかにも、東京の新潟館ネスパスで買ってみたけど、送ってくれるのならうれしいと連絡くださった方も。(樋口徹氏)

 



NICe棚田クラブメンバーが宿泊した清津峡の旅館の大部屋で、白羽毛ドリームファームのスタッフ5人が加わり、車座になって繰り広げられた意見交換会。「都会の人は、お米はスーパーマーケットで購入するんだろう」と思っていたドリームファームの生産者にとって、「米屋で購入」という話が続出して、議論は意外な方向へと進み白熱。どんどん出される意見は、剣持由紀氏により、窓に貼られた紙に書き出されていきました。

 


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ここで、「お米屋さんといっても、都市部にどれだけの米屋が残っているでしょうか」と増田氏。

 


●実家は東急田園都市線沿線の「たまプラーザ」ですが、地域一帯で残っているのはうちだけになりました。(茅原裕二氏)

 


●私も横浜の自宅近くのお米屋さんで購入しています。ちなみにお米屋さんはそこ一軒だけになってしまいました。私は商店街育ちなので、個人店を応援したいということもあり、スーパーで購入することはありません。(岡部恵氏)

 


● それまでスーパーで買っていたお米を、妊娠したことをきっかけに近くにあるお米屋さんを探して購入するようになった友人がいます。何しろ、5kgや 10kgのお米を妊婦さんが運ぶのは負担になるし、出産後の子育てに忙しい時期も、電話一つで配達してくれるからありがたいと。そんなきっかけもあるので、妊婦さんや、子育てで忙しいママたちに呼びかけるという方法もありですね。(田村康子氏)

 


 


米屋への直販、
それにはどんな訴求が大切か?

 


「お米屋さんが生産者から直接仕入れて、そのお米を、消費者が『いい、ほしい』と言えば、直接仕入れるというケースは増えるでしょうか?」と増田氏。

 


● 今、白羽毛のお米を扱ってくれているお米屋さんは1軒だけです。それも、妻の親戚ですから、見ず知らずのお米屋さんではありません。玄米が人気ですが、お米は、白米とぬかの間に農薬が残留しやすいので、農薬をほとんど使わずに栽培しているうちの米は、玄米でも自信を持って販売できるものなんですがね。お米屋さんにとっては、仲卸しを通してでないと、必要な量が確保できないかもしれないという不安があるかもしれません。
(樋口徹氏)

 


● たまプラーザの実家の米屋では、直接仕入れているのは1軒のみです。やはり、合鴨農法で栽培された特別なお米です。たまプラーザは富裕層が多く住むエリアなので、食にもこだわりがある住人が多いはず。もっと言えば、こだわりのお米でないと訴求力がないのではと。(茅原裕二氏)

 


そして増田氏は、「お米屋さんがどう思うか、また、消費者どう言うかが重要ですね。棚田のお米だからいいのか、それだけでは訴求力がないですよね。白羽毛のお米を売ってほしいとお願いする時に、どんなことをアピールできるでしょうか」と。

 


●とにかく、水がきれい、うちの棚田に入れている雪解け水は、飲んでもおいしい清らかな水です、ということは訴えられますね。(樋口利一氏)

 


● 使っている肥料は常に持ち歩くようにしています。カニのツメや米ぬか、野菜くずなどをブレンドした有機肥料ですが、肥料も自慢ですので、出して、においをかいでもらったり、さわってもらったりしています。日本人好みのふりかけのような、「わー、おいしそう」というにおいがほのかにしますので、肥料を見てもらうのは、かなりの説得力があります。(樋口徹氏)

 


●その肥料は小規模の肥料業者がわずかに生産しているものなので、ほかに使っている生産者は多くはないはずです。新潟県に、県全体で使ってもらえないかとお願いしたこともありますが、高価だから使えないと。それだけ貴重な肥料だということです。(樋口元一氏)

 


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参加者たちの「お米屋さんで買っている」という話に、米屋談義は大盛り上がり。増田氏は、「もともとは、利益率の高い直販を増やすにはどうしたらいいか、という議論に持っていくはずが、米屋談義になりました。都会でも米屋で買いたい人が多いなら、米屋に売るという方法に何か道が開けそうですね。米屋での販売を増やすということは、白羽毛ドリームファームのみなさんにとっては、意外な意見だったと思います。さらに話を続ければ、もっともっと貴重な意見やヒントが出てくるはず。これからも、継続的な情報交換を続けていきましょう」と、意見交換会を締めくくりました。

 


また、それぞれが交流会から帰宅した後、実家が米屋だという茅原氏は白羽毛のお米を扱うべく行動開始。さらに、地元の米屋しか使っていないという岡部氏など数人が、さっそく、白羽毛のお米と、使われている肥料を持ち込んで米屋営業をすることに。米屋での販売を増やす。白羽毛ドリームファームのみなさんと、NICe棚田クラブのメンバーともども、そのための動きを続けていこうと確認し合いました。

 



意見交換会の後は、今回の宿となった清津峡温泉ホテルせとぐちの玄関前広場で“つなんポーク”のバーベキューの懇親会。十日町の隣町、津南町にある、つなんポークは、新潟県クリーンポーク認定農場。豚の足の丸焼の登場に、皆、まだかまだかと焼き上がりを待ちました(写真右)。宿の脇には清流の清津川。広場の真横には、小さな支流(写真中央)。そこにホタルが現れるのを待ちながらのバーベキュー。やがて川の上に、ほのかなホタルの光が続々と。ホタルの光は、雄から雌への求愛行動で、その光より強い光を見せると、そちらにひきつけられてしまうということで、残念ながら撮影はできず。しかし、バーベキューを楽しむメンバーの頭に足にと、ホタルに好かれた者も何人か。増田氏は、文庫本を用意し、ホタルの光で本が読めることを確認し、大満足。

 


 


■□■2日目
■ほくほく線「ゆめぞら号」に乗車
トンネルに入ると、
電車の天井が、まさしく“夢の空”に!

 


1日目の作業の疲れは宿の温泉ですっかり癒した棚田クラブの面々ですが、2日目の最初のプログラムは、朝から再び心地よい癒し体験をすることに。それは、北越急行ほくほく線「ゆめぞら号」への乗車。ほくほく線は、新潟県魚沼市の六日町駅と上越市の犀潟駅を結ぶ路線。六日町方面はJR越後湯沢駅に、犀潟方面はJR直江津駅まで乗り入れており、1997年の開通以来、石川県や富山県と首都圏とを結ぶ重要な路線に。

 


「ゆめぞら号」は、いわば、“シアタートレイン”。路線にある5つのトンネルに入ると、電車の真っ白な天井が、そのまま巨大スクリーンになり、「海中編」、「花火編」、「宇宙編」など、コンピューターグラフィックスでつくられた夢のような映像が上映されます。

 


NICe 棚田クラブのメンバーが、「ゆめぞら号」に乗車したのは、ローカル路線の新しい広報や、広告収入以外の収益確保の方法を実際に目で確かめるため。土日と祝日にしか運行されない「ゆめぞら号」ですが、普段、ほくほく線の各駅停車は地元の人の足となるものの、多くの乗客数は見込めず。そこで、この斬新な手法で休日の乗客を呼び寄せて、かつ、大きな話題に。メンバーが乗車した便も満席でした。

 



越後湯沢から乗車した「ゆめぞら号」)。魚沼丘陵駅を過ぎると赤倉トンネルに。トンネルを通過する5分30秒の間、写真のような海中の映像が映し出され、一同大感激。すると、トンネル通過中に電車が停車。なんと、トンネル内に美佐島駅。それにまた感激する一同。その駅を出ると、再び、イルカやエイ、イカ、クラゲなどが舞い踊る海中映像。言葉も忘れて楽しむひと時となりました。

 


 


■昼食は、後のブレストに備えて「へぎそば」を
十日町の「へぎそば」は、「ふのりそば」

 


「へぎそば」といえば、写真のように木枠の箱に3〜4人前が盛られた状態で出されるそば。十日町の「へぎそば」は、そのつなぎに、“ふのり”が使われていることから、「ふのりそば」とも呼ばれています。古くから織物の産地である十日町。その織物の板張りに使われていたふのりを、そばのつなぎにも利用したことが発祥といわれています。

 


昼食として、十日町の「へぎそば」をたっぷりといただいた棚田クラブメンバー。海藻ならではのツルっとしたのどごしに、へぎの中のそばは、あっという間にからっぽに。

 


この、「へぎそば」を昼食に選んだのは、この後に続くブレストのため。物産展で、いかに「へぎそば」をアピールして販売へとつなげるか。さまざまな意見が出されました。

 



写真は4人前の「へぎそば」。「へぎ」とは、漢字で書くと「片木」。お祭りやお祝いの席で、
ご祝儀袋やお祝い品が置かれる木枠の箱ですが、それにそばを入れるようになった由来は定か
ではない。おそらく、お祝いの席で、大勢の人が集って一緒にそばをいただくために「へぎ」
がちょうど都合がよかったのではないかと。

 


 


■「へぎそば」の認知・PR・販売数アップについてブレスト
物産展での動線をどうするか?
かけ声、試食、湯気や香りによる誘導も!

 


第1回NICe棚田クラブ交流会に地元メンバーとして参加したのが、十日町地域地場産業振興センター「クロス10」のみなさん。9月に予定されている東京 での物産展で、十日町の「へぎそば」をPRし、Webサイト「なじだねっと」での販売数アップにつなげたいと、起業家やマスコミ関係者が集まるNICe棚 田クラブの面々に意見交換会の要請。

 


物産展が行われる場所は、東京・港区の「表参道・新潟館ネスパス」。通りに面した広場ではテントを張 り、そこで、「へぎそば」試食への誘導を。建物内の決められたスペースで、いかに多くの人に試食してもらうかが勝負だというものの、テントから試食スペー スまでの誘導に関しては、経験も浅く、不安が、と。

 


そこで、棚田クラブメンバーから出された意見は、
・試食ができるということを 通りのテントで明確に。
・一人ではなかなか試食しずらいので、2人連れ以上のお客さんに声をかける。
・お祭りの時の「へぎそば」が発祥な ら、そろいの法被を着て、お祝いムードを醸し出す。
・テントでも、ゆでたてのそばの湯気や、そばつゆの香りで食欲をそそるように、などなど、具体 的なPR方法が続々と出されました。

 


また、過去の物産展では、木枠の「へぎ」が使えず、お椀での試食を行ったと。それに対して、「へぎ」 に入れられているからこその「へぎそば」。今度は、ぜひ「へぎ」に盛られた状態での試食を、と。実店舗とは違う、さまざまな制約もある物産展。その制約の 中で、いかに十日町の「へぎそば」を味わって帰ってもらい、注文に結びつけるか。ブレスト終了後、物産展担当の進村洋子氏は、「みなさんの意見をお聞きし て、ますますやる気が出てきました。がんばります!」と。引き続き、今後の交流も約束して閉会しました。

 



写真上は、東京での物産展の概要説明と、PR方法の意見要請を求める進村洋子氏(左端)。
写真右は、左から、振興事業課・課長補佐の庭野方資(まさただ)氏、新村洋子氏、物産
普及課でWebサイト担当の佐藤大資(だいすけ)氏。

 



柏崎からもNICeなメンバー、
「笑足ねっと」のリラックス体操でブレスト中の頭ほぐし

 


2時間におよぶブレストの途中、約20分間のユニークなリラックス体操を行い、冴えわたった頭を、ますます冴え冴えに。指導してくれたのは、同じ新潟県内の柏崎市から参加したNICeのメンバー、「笑足ねっと(わらかしネット)」の白川正志氏と田中琴美氏。

 


片手はグーにしてヒザをさすり、もう一方の手はパーにしてヒザをたたく。そして、合図とともに、さする動きとたたく動きをチェンジ。やってみて、できることに喜び、なおかつ、できないことにも大笑いとなり、参加者の皆が満面の笑顔に。それこそが笑足ねっとの狙いという白川氏。「コーディネーショントレーニングといういわゆる運動神経に着目。ヒトとヒトとヒトをつなぐ『支え合う・笑かし合う運動のサポート』による生きがい・健康体力づくり支援の事業化を推進しています」と。

 


2日間で、さまざまなプログラムを経てきた棚田クラブメンバー。少し疲れを感じていたところに、このリラックス体操を体験し、笑うこと、笑い合ってこそ、頭も冴えることを実感。続くブレストでも、途切れなく意見を出し合うことができました。

 



写真上、中央は、元気なかけ声と、満面の笑顔で皆をリードする田中琴美氏。左が白川正志氏。
二人一組で、どちらかがタコとタイに。呼ばれたほうが相手の手を引っ張るという簡単なゲーム。
このゲームでも、大人たちが大騒ぎの大盛り上がり。

 


■最後に
NICe田んぼの草刈りに始まって、多数のプログラムを体験したNICe棚田クラブのメンバー。5月の第1交流会では、都会からのメンバーを、お客様を迎える面持ちだった目白羽毛ドリームファームのみなさんも、今回は、まさしく膝をつきあわせて語る、リアルにつながり合った仲間たちという雰囲気に。また、第1回交流会の意見交換会の題材となった、十日町・三ヶ村の山うどの酢漬け。意見交換会がきっかけとなり、地元の惣菜業者により、お弁当の付け合わせに使えないかと打診があったという嬉しい知らせも。

 


第3回NICe棚田クラブ交流会のメインイベントは、植えたお米の収穫はたして、どれだけのお米が、どんなにおいしいお米が収穫できるでしょうか。乞う、ご期待!

 


取材・文・撮影/NICe編集委員 田村康子

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