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第9回 NICe関西@京都 頭脳交換会レポート




2011年10月22日(土)、「NICe関西」主催の第9回勉強会(頭脳交換会)が京都市子育て支援総合センター「こども未来館」で開催された。参加者は京都府を中心に、東京都、神奈川県、愛知県、滋賀県、大阪府、兵庫県、和歌山県、ニュージーランドから総勢17名が駆け付けた。また、「時間が合わないが、せめて懇親会だけでも」と、さらに5名が各地から参加し、賑やかな秋の京都を満喫した。

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■オープニング



実行委員長の住田正則氏から、開会のあいさつと、プレゼンテーターの紹介があった後、さっそくプレゼンテーションがスタート。

■プレゼンテーション

宮﨑要輔氏
テーマ「ストレッチチェア for デスクワーカー」


スポーツ科学理論に基づいた

商品を開発し、広く提供したい!

どうアプローチする? 資金はどう調達する?




▲プレゼンテーターを務めた宮﨑要輔氏

小学生の頃にプロ野球選手を目指したのを機に、スポーツや人体に関心を持ち、現在に至るまで13年間、独学でスポーツ科学を研究し続けてきたという宮﨑氏。この秋に大学を卒業し、起業したばかりだが、既に2100種類ものトレーニング方法を公開し、スポーツ科学を取り入れた商品をいくつか研究開発していることを語った。また、これまでに社会起業家コンテスト「edge」ではファイナリストに選ばれたこと、「京都学生人間力大賞」では優秀賞(芸術・文化・スポーツ部門)を受賞したこと、「ガジェット通信」では高アクセスを誇るストレッチ紹介記事を担当していることなども付け加えた。

商品の説明に先立ち、スポーツ科学の一例についての紹介が行われた。人の体の筋肉は全部で約600あり、一般の人は普段の生活でそのうちの100程度しか使えていないという。肩こりや腰痛になる人の多くがそうだという。ちゃんと筋肉を使えば、それだけカロリーが消費され、脂肪も燃焼され、肥満も軽減できるそうだ。そう語られると、多くの参加者が強い関心を示した。

  

さっそく増田代表理事が実験台になって実演が行われた。体のひとつのポイントを押さえるだけで体の動かし方が変わり、これまで使っていなかった筋肉が新たに動き出したことが増田氏の表情と証言により理解できた。

  

こういったトレーニングを続けていくことにより、誰でも容易に400以上の筋肉を使えるようになるという。実際に、トレーニングによって正座できなかった高齢者ができるようになったり、高血圧が改善されたりしたそうだ。

そして具体的にスポーツ科学理論を取り入れた商品の説明へ。履くと体温が上昇する下駄や、着けると足が速くなるテーピング、バランスボールとストレッチポールが合体した体をストレッチする器具(品名:ディープストレッチャー)などを説明。

  

また宮﨑氏は、健康器具の市場予測もしており、氏が中学生の頃は5〜7年でブームになったが、近年ではそのスピードが速まり、ひとつの商品が流行るのは2〜3年だと予測している。そして2013年には大手スポーツメーカーの市場参入もあると見込んでいる。そのために大学卒業後すぐ起業したのだと述べた。

今後の展開としては、まず手軽な価格の商品から展開し、その利益を活用して将来的にはデスクワーカー向けのストレッチチェアを提供していきたいと述べた。これは背板が左右に湾曲していて体を左右にストレッチできる機能があるという。参加者の中からは、それらの商品の製造を手がけたいという声もさっそく挙がり、「さすが!」の歓声も。

課題は、今後これらの商品を事業化し発展させていくにあたって、どのようにアプローチしていったらいいか。また商品化の資金調達についても意見を聞きたいとし、プレゼンテーションを締めくくった。

■質疑応答

・バランスボールとストレッチポールが合体したディープストレッチャーとはどのような構造か。→ストレッチポールの横幅で、高さがある。→北出氏がイラスト化
・どのくらいの高さ→65センチ
・素材は→バランスボールの素材で効果が高まる
・タイヤじゃだめなの?→はい
・使っているときの状態は、リラックス?それとも修行?→リラックスです
・バランスボールではできないの→できない。ストレッチポールの高さを利用して負荷をかけるのが効果ある
・すでに流通しているバランスボールのメーカーと話し合いは?→していない

  

・具体的にいくら投資を望むか?→とりあえず製造に300万円
・ディープストレッチャーの試作は?→まだ
・ストレッチチェアの試作は?→あり
・ストレッチチェアは販売価格が高いので、まず市場への入り口として、ディープストレッチャーを先に展開したいのか?→はい

・ストレッチチェアはどのような構造か?→北出氏がイラスト化
・素材は?→樹脂プラスウレタン
・どうストレッチするのか?→油圧でリクライニングする。専用のおもりを付けて、負荷をかけていく。面ではなく、点で支えられているので効果が高まる
・ディープストレッチャーとストレッチチェアの効果は似ている?→異なる

  


■頭脳交換会

3チームに分かれ、約45分間のディスカッションが行われた。

  


各チームの主なアイデア

<チーム・村田村>
・商品展開は段階を考え、第1段階をBtoBで計画し、その後、BtoCは第2段階とした。
・BtoBは主に4つに集中して展開する。病院、寺院、ホテル、子ども向け施設。

・病院/京都には大きな病院も多くあり、待合室、入院患者、家族のためにも設置できる。
・ホテル/マッサージチェアを置いている宿泊施設が多いが、高額な割に投資効果か少ないので、「京都発の健康器具」として展開する。京都に来る観光客向けに、宿泊施設や道の駅などにも効果的
・お寺/京都は総本山が多く、高齢者が訪れる場所でもあり、お布施も高齢者層が多い。エスカレーターを付けるなど工面している寺もあるほど。正座できない人ができるようになるということで、ニーズは十分にあるのでないか。ちゃんと正座したい、という高齢者の思いに応える姿勢を寺側も示せる。ただし、ウレタンむき出しだと雰囲気がそぐわないので、本体は木目調や革張りにし、金の房を付けるなど工夫する。また、日本最大の仏具メーカーが京都にあるので、連携できるのでは。
・子ども関連施設/幼少の時期からいい姿勢をということでPR活動が可能。幼稚園、進学塾、児童施設など。
・京都の人間力大賞を生かし、京都の任天堂、ワコール、オムロンといった企業に新規事業として商品を売り込む。CSRにもなるのでは。
・京都オールで展開し、話題性をつかみ、小売りへの展開を目指す。

 

  


<チーム・ジョージ>
・商品展開&PRの方法として話し合った。誰が実際に使うか、どこで使うか、からスタート。組合費で買い入れる、アスリート使用で、理学療法士講習会なども活用できる、

・健康管理や筋力アップなど、ほか商品との差別化は必要。効率、手軽さ、スペース省エネ、をふまえて議論した。

・展開する際の注意点として、使用法を説明する必要は大、健康関連はクレームも多い。その点を逆手に取って、DVDを付ける。
・健康に注力している雑誌出版社に持っていき、モニタリングしてもらうのもいいのでは。
・プロのアスリートや芸能人、スイミングスクールなどで使ってもらう。
・健康器具はスペースを取る、邪魔になるとの意見から、ストレッチチェアは、普段は通常の椅子としても使え、必要な時にストレッチ機能をアタッチメントできるようにするとよいのでは。
・工場のデスクワークは定時でも体操に参加しないことがあるので、自動的に15時になると稼動するような仕組みはどうか。邪魔にならず、健康にも良く、普通のイスでも使えるようにすれば、オールマイティに使用してもらえるし、売りになる。
・徐々に売れて行くのがいいのでは? 健康管理や筋力アップの効果が、他社商品よりも安価で手軽に効率よく得られる事を重点的にアピールして差別化を図るのがよいのでは。

 

  

<チーム・ものづくり>
・どうつくるか、という意見が多かった。
・商品のアピールするためには実演の必要性がある。また、どこで使用するかも大切。オフィスで使用する場合と家庭で使用する場合とでも違ってくる。

・小中学校の体育授業やスポーツクラブ、公園などで実演するのもいいのでは。
インストラクター付きでやってはどうか。
・家庭で使用する人向けに、DVD付きの本を付ける。
・それが売れるために、商品のキャラクターやアイフォンアプリなども必要。
・スポーツ用品メーカーや大学などと、共同開発していくのも売れやすい方法ではないか。
・面白く続けられるものとしての工夫も必要。

・キャッチコピーをつくるといいのではないか。
・筋肉をいくつ使うなど数値でも効果がPRできるので、使用前、使用後の数字を示す。
・デザインをキャラクラー化したり、音楽を内蔵したり、座るだけで冬は暖かく、夏はクールに、というような楽しみをプラスしてはどうか。

 





■ストレッチ講座

頭脳交換後、参加者全員が立ち上がり、O脚の矯正方法などを実体験した。会場からは、普段使っていない筋肉を動かしていることを実感してか、「結構体にこたえる」「明日は筋肉痛になる」などという声が飛びかっていた。


▲5分でO脚を直す運動とは、骨盤の位置を良くする運動のこと。脚を開き、つま先をハの時にする。腕をつむじのあたりで組み、胸を反らす。まず右足を巻き込むように、かかとを少し上げて、ひねる。その際に左足はまっすぐのばし、ハの字もキープ。この状態を30秒キープする。ポイントは、肘を後方へ向けること、ハの字をキープすること。これを左右やると、骨盤が矯正され、O脚も直る


▲オリジナルスクワット。100円ショップなどでゴムを購入して使うとより効果的。お尻を後ろに引きながら、股の間からのぞきこむ。脚の内側に効く。これに、足をハの字にする動きを組み合わせ、膝と膝をつけてやると、脚の外側&おしりのシェイプアップ効果に


▲ウオーキングの際のワンポイントも伝授、人差し指と親指を重ね、手を振る時に外側にひねるだけで、姿勢が良くなり、背筋を使うことができるという。また、信号待ちの際に、脚の指先を上げて立つのも効果的だという

■プレゼンテーター 宮﨑要輔氏の感想と今後の抱負
「頭脳交換会に参加したことで、今後の自分の道筋が鮮明になり、どう動けばいいのか明確になりました。今はとにかく足を動かし、そして人に頼るところはとことん頼っていきたいと思います。自分ひとりではどんなに時間をかけてもたどり着かない発想や展開。こんな手段や方法もあるのかと、心からモチベーションがわきあがってきました。今後は井居さん、松田さんをはじめ、多くのNICeメンバーと共に活動できるよう頑張ります」

■NICe関西@京都 実行委員長・住田正則氏から一言
「今回のプレゼンターは、これまで他のNICeイベントにもまったく参加したことのない宮﨑要輔くんを起用しましたが、果たして本当に彼自身や参加者の皆さんにとって、実りのある場になるのかどうか、正直とても不安でした。当の宮﨑くんともなかなか打ち合わせの時間がとれず……。ところが、いざ始まってみると、参加者の皆さんの方からどんどん場を盛り上げてくださり、また、宮﨑くん自身もお話が上手で、心配や不安は杞憂に終わりました。また、すぐに宮﨑君のアイデアを実現させよう! という動きまで出てきて、結果的には大変実りのあるものとなりました。ただ、自身については、急いで進行しすぎて最後に時間を余らせてしまうなど、司会役としての反省点は残ります。ご参加くださいました皆さんに本当に感謝しています」


▲ストレッチの余韻のまま集合写真の撮影へ 
▼キメのポースがこちら!



取材・文/村田真一氏
取材・文、撮影/岡部 恵

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