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第9回 NICe関東 頭脳交換会レポート





2012年4月5日(木)、東京・港区の女性就業支援センターで、第9回NICe関東・頭脳交換会が開催された。頭脳交換会とは、プレゼンテーターが抱える事業の悩み・課題などを聞き、参加者全員の頭脳でディスカッションしながら、建設的な解決策をさぐっていくNICe流の勉強会のこと。今回は、開業を1カ月後に控えたNICeな仲間がプレゼンテーションに登壇した。東京都内を中心に、埼玉県、千葉県、神奈川県、さらに愛知県、大阪府から合計18名が参加し、共に学びながら熱いエールを贈った。


■プロローグ

まずはNICe関東実行委員長の石井英次氏があいさつ。昨年11月開催の第6回NICe関東頭脳交換会(レポートはこちら)でプレゼンテーターを務め、2012年4月に逝去したNICeの仲間、渡邊真弓さんに全員で黙祷を捧げた。


■頭脳交換会

ファシリテーション役を務める小林京子氏から頭脳交換会の進行方法とルール説明があった後、さっそくプレゼンテーションがスタート!


●プレゼンテーション

プレゼンテーター Nola Coniglietto(ノラ・コニリエット)代表・池邊洋子氏


▲プレゼンテーターを務める池邊洋子氏



花をメインに雑貨も扱う店を5月にオープンする予定で、現在準備中だという池邊氏。まずは準備状況と店舗概要について説明した。

店舗は3月末から借り、5月5日にオープンする予定で、すでに内装工事に着工している。
場所は、埼玉県上尾市。JR上尾駅から西側へ徒歩17分に位置し、周囲は住宅街で近くに小学校や幼稚園もあるというロケーション。店舗はテナントで、2階は賃貸アパートになっている。同じつくりの建物が道に面して3棟並び、左から介護サービス店、空き店舗、化粧品店、美容室、そして池邊氏の店舗と並んでいる。店舗は公道に面し、店の前にはバスの停留所がある。店舗面積は12坪。半分を売り場に、半分を作業場の工房とする予定だが、今後の展開に合わせて変動できるよう可動式の内装にする計画。

商材は、生花、鉢花、プリザーブドフラワー(ドライフラワーよりも瑞々しい)アレンジメント、花関連の雑貨、ガーデニング用品などの苗や鉢など。小売だけでなく、ウエディング・フラワーデコレーターとしての長年のキャリアを生かし、いずれはアレンジメント教室、ブーケ受注販売、ブーケ製作指導もしていきたい方針。また、雑貨は量販ものではなく、ガーデニング&花関連の作家もの、オリジナル製のあるものを厳選して取り扱う。そのほか、ショッピングモールなどのディスプレイ製作のオファーも受ける予定。

店名は、花と雑貨の店『Nola Coniglietto(ノラ・コニリエット)』。
ノラは固有名詞で、コニリエットはイタリア語で子ウサギという意味。以前に黒いウサギを飼っていたことがあり、ロゴは娘さんがデザインした。そのまま店の看板にする予定。ゆくゆくは、いろんなキャラクターを生み出していきたい。

当面は自分ひとりとアルバイト1名でスタート。住宅地の中なので、地域の20〜50代の女性客がメインになると思うが、見込み客はゼロ。どんな花屋なら行きたいか、また花屋に縁がない男性客にも来ていただけるような店にしたいので、アドバイスを求むとしてプレゼンをしめくくった。

 



●質疑応答


Q:花を買うという興味がなかったが、自分でアレンジしてクライアントに贈るサービスを考えているところ。20代〜50代とのことだが、独身、家族持ちで異なると思うので、どんなアドバイスをしてもらえるのか?
A:自分用やプレゼントでも、じっくり好みを聞き、どこに飾るのか。四方から見るのか、フロントから見るか、その場所で異なるので、ヒアリングしてアドバイスします。プレゼントならば、贈る相手の好みやイメージを聞き、また薫りの好みなどもうかがいます。

Q:教室は今後?
A:当初はお店で教室も始め、人数が増えれば、近くのコミュニティセンターあるいはセミナー講師の教室でも開催していきたいです。

Q:店舗の間口はどの方向に面しているか?
A:南西です。日当りはいいです。

Q:仕入れはどこから?
A:鴻巣の市場、仲卸から仕入れます。少量からオーダーできます。

 

Q:近くに競合店は?
A:半径2キロ以内にはありません。駅周りにはありますが、駅周りを出ると他に花屋はありません。
Q:店舗の近くに人が集まるところは?
A:コンサートなどが開催できるホールを備えた市立のコミュニティセンターがあります。
Q:個人客を想定しているか? それとも企業も相手になるか?
A:はい、個人も企業も両方です。

Q:店舗の住所は?
A:上尾市弁財1丁目です

上尾市民の参加者から補足:上尾駅前には大きな病院があり、また住宅街の先に大きな団地があります。お店はその中間に位置し、団地から駅へ向かう、団地から病院へ向かう、その通りに面しています。またお店には駐車場もあり、車が2台停められます。
Q:地域住民の生活スタイルは車がメイン?
A:車利用者は多いです。それと住宅街なので、自転車利用も多いです。

Q:住宅街とのことですが、年配の方が多いのか? それとも若い世代か?
A:小学校が3校あるので、世代は幅広いと思います。駅側に大きなマンションがあり、それを通り過ぎると一軒家の住宅街が続き、その先に団地が位置します。



Q:その住宅地の方々との親密度は?
A:私の自宅は別の場所で、これまではご縁がない地域です。
Q:生花と鉢植えの割合は?
A:キーパーを置かないことにしました。キーパーで保管する生花はどうしても弱く、そこから出すと一気に保存が低くなりますから。小売りの生花の量は抑えめにし、鉢物を多めにしようと考えています。
Q:園芸屋さんに近い感じ?
A:はい、そうです。

Q:生け込みや配送はするか?
A:どの程度そのご依頼があるかで、アルバイト人数を増やそうかと思っています。郊外での店舗には配達が必須かとも考えましたが、当初から「配達はしません」としておくといいと、アドバイスをいただいたので、当面はその方向で。もし、ご依頼があるようなら、対応していこうと思っています。生け込みも同様です。
Q:近くに飲食店などはない?
A:美容院は多いのですが飲食店は少ないです。

 



●ディスカッション/テーマ1

個人・法人問わず、自分の立場で、「こんな花屋さんになら行きたい、頼みたい!」

3チームに分かれて20分間のグループディスカッションがスタート!

  

●筆者が参加したチームでのアイデア&意見。
(日頃、花屋さんを利用しないメンバーばかりのチーム)

・花屋はなんとなく照れくさい
・自分のために買うことはない、買うとしたら誰かに贈る時
・鉢物でも水やりが面倒くさいし、日当りがどうのこうのと手間
・花屋さんには入らない。お客さんに贈るなら食べ物!
・観葉植物なら買っていた。帰宅して緑があるのは癒しになる。花ものなら花期が長いものがいい。手間がかからないもの。男性でも、人には言わないが、部屋で緑を愛でている人はいる。
・もらうのも嫌い。かさばるし、後始末大変。ただ精神的に落ち込んだ時に、観葉植物は買った。こういう緑があるといいかも〜と買った。

・マニア度が高そうな花屋なら入りたいかも。研究者的な。実物は置いていなくても、そんな冒険心が感じられるような店。子どもの夏休みの自由研究に行かせたくなるような店、花のことなら何でも博士!みたいな店。花粉の顕微鏡写真があるような。
・カツカツしている企業に、オアシスステーションあれば。
・病院や薬局と取り引きして、薬じゃなく、花屋に行きなさい処方箋みたいな
・「緑の処方箋」
・お店の看板に「緑の処方箋」とかあると、入りたくなるのでは
・花言葉のように、世代別、気分別、悩み別、男性になら嫁に冷たくされて居場所がないあたなへ。みたいな。
・社内報のコラムに、対ウツとかではなく、癒しの花関連で記事を提供する
・知り合いが頻繁に行く花屋は猫屋敷になっていて、猫目的での来客がある。ウサギ目的で来る客もいそう
・ウサギの花屋さんということなれば、ファミリー層に受ける

・いかにも花屋だと入りにくい。インテリア店みたいなディスプレイだと入りやすい。
・引っ越しや開業のお祝いに、花より緑がいい。
・アキバのイメージで、アイドルが鉢植とかもやる。上尾アイドルをつくる
・そうなれば、子どもをスケーブゴードにして出かけていく父親もいるかも
・年に何度か家の中を掃除した後、一輪挿しを飾ると、空間も自分もクオリティUPしたような気がする。自分を上げたい時。そんなことが年に何度かある。自分を上げる時に。
・気分を盛り上げたい時、反対に落ち着かせたい時。いろんなテーマで、いろんなシチュエーションで提案するといいかも。今日は何の花みたいに。
・お店への贈呈用で最近はバルーンが多い。
・ママさんパーティとか多いのかな?
・パーティの時にお花&バルーンで、プロデュースしますよと。
・イベント企画会社との契約ができるのでは
・企業の歓送迎会、新入社員、定年退職での社内パーティもある
(池邊さんにQA)
Q:内装プランは?
A:できていますが、どこまでつくりこむか、です。路面は全面ガラス張りです。
 間口は一間で、店内に工房スペースも設けます。
Q:店の奥が工房?
A;そうです

・オーダーで完成したお花を路面に出して、アピールするのは→日当りがよ過ぎでは?
・外ではなく、見えるように飾るとか、つくっている過程を見せれば?
・いっそ、そば屋さんのそば打ちみたいに、ガラス張りを生かして路面で作業を見せる!
・工房が奥なのはもったいない!



●テーマ1/発表タイム

<Aチーム>
・緑の処方箋:病院や薬局と組んで癒しの処方としてお花チケット。あるいは、店単独でも、「こんな気分ならこのお花」みたいな提案をする。看板の中にも緑の処方箋と入れてアピールする
・黒ウサギをお店で飼う→鳥獣類の飼育禁止なんです!
 →着ぐるみとか。バニーちゃんとか。
・贈答品の花バスケの中に、バルーンもコラボする。個人向け、企業向けにも提案できる
・おしゃれな感じで、インテリアのお店?と思われるような店が入りやすい
・ガラス張りとのことなので、そば打ちのように、池邉さんが作品をつくっている作業風景を店のバックヤードではなくフロントで見せる!
・男性客はマニアが多いので、何かを見つけられる、変わったものを置く。花粉の顕微鏡写真とか→鴻巣の市場は変わったものが仕入れられる!



  

<Bチーム>
・日替わりで今日の花言葉にあわせて販売する。今日の花は1本売りも。
・男性客、スナックへ贈るアレンジニーズがある。センスが良いと、どこの店?と話題になる
・それでも売れ残ったら、叩き売りもする。

 

<Cチーム>
・花屋と何かのコラボがいいな。カフェとか
・やはり女性客が大事。上尾のセレブ“アゲネーゼ”向けに、素敵な写真集を置くとか、高級雑貨を置くと、アゲネーゼが集まる。単価もアゲネーゼとなる。
・アゲネーゼ志向の店づくり。

  



●テーマ2/スタートダッシュ大作戦!



横山岳史氏から素質統計学(参考:第8回NICe関東頭脳交換会レポート)に絡んで次のお題が投げかけられた。まずは、池邊氏のタイプを説明。結果目的志向であり、表面は、人柄志向なのでコミュニティの形成に実力を発揮できるという。意思決定に必要な要素は、変わったもの、オリジナル性、自分らしさ。さらにスピード感があるので、スタートダッシュが重要とのこと。

「5月と言えば何でしょう?」と横山氏は会場に問いかけた。

「母の日!」

母の日は5月13日。つまり、カーネーションが最も売れる日であり、花業界の繁忙期。この重要なスタートダッシュを意識し、テーマ2は「オープンに向けたスタートダッシュ大作戦!」。
池邊氏の開業までの計画は、内装工事のほか、サイト製作、facebookをこれから勉強する、地域の折り込み広告、友人知人にお知らせする予定だという。それらをより具体的に、ほかにも今すぐできること、こうやったらスピードUPできること、を第2テーマとして頭脳交換することになった。そのほか「NICeの仲間とこういうコラボができる」などのアイデアも求めた。

●テーマ2/質疑応答

Q:サイトは、ネットで買い物できるか?
A:できるようにカート機能を設けます。
Q:となると、ターゲットは全国?
A:ブリザードは全国です
Q:実現可能かどうか問わず、数多くの大作戦のアイデア出しでOK?
横山氏:ですです!

グループディスカッションがスタート!

 


●テーマ2/発表タイム

 

<Aチーム>
・近所でクチコミを広げるためには、すでに女性客を抱えているお店とつながることを重視。協力お願いに花を持ってあいさつに行き、母の日の先行予約クーポンを置かせていただく。女性向けのスポーツジムを全国展開している企業にコネクションがあり、調べてみたら市内にもジムがあるので、ぜひ私の名を利用してつながってください

  

<Bチーム>
・オープン前の工事中でも毎日花言葉を出すなど、通行人に見えるよう宣伝する

  


<Cチーム>
・準備中の取り組みは重要。どんな店ができるのかを素敵に見せる工夫。工事中だがイーゼルを置き、そこにカウントダウンや花言葉、花が飾ってあったりすると、「どうもおしゃれな花屋さんができるらしい」と期待が高まる。また、工事中に池邊さんも店舗に居ることが多いと思うが、その服装も大事。白いTシャツにジーンズではなく、アゲネーゼな奥さまたちに愛されるような服装で居ること。
→夜もライティングするとか
→髪には生花を飾るとか


発表直後、池邊氏の感想/1年前に起業セミナーを受講し、今、こうして開業目前なのが不思議です。たくさんのアイデアをいただけて良かったです。まだまだ手探りですが、いろんな可能性を探りながらやっていきたいので、NICeのみなさんとのコラボレーションも考えていきたい。オープンしたらNICe正会員になろう!と思っていたので、よろしくお願いします。今日はどうもありがとうございました!

「オープンまでの経過を見守りつつ、みんなで応援しましょう!!!!」
「おおおーーーっ!!!」

 


■プレゼンテーター 池邊洋子氏の感想と今後の抱負

「2011年1月、初めて起業セミナーを受講したのと同じこの場所で、一年後に自分が開店を目前にしてプレゼンを行うとは、夢にも思っていませんでした。
頭脳交換会に参加するのも今回で2回目。プレゼンテーターのお話をいただいた時、すぐにお受けしたものの、どんな風に進行していくのか見当もつかず不安でした。が、小林さんと横山さんの的確なアドバイスと進行のおかげで、本当に有意義な時間を過ごすことができました。
いろいろな分野の頭脳が集結すると、こんなにも新しい見方・考え方ができるのだということを知り、会が終わった後も、さっそくご意見・情報の提供があったことにも感激しました。
そしてまた、新しい出会いとつながりができたことにも感謝です。今回いただいたご意見を生かし、事業を継続・発展させていきたいと思います。貴重な機会を与えていただきありがとうございました」


取材・文、撮影/岡部 恵


■頭脳交換会アフター NEWS!!


▲プレゼン後、内装工事は着々と進み、
4月中旬には店の看板が完成!(撮影/石井英次氏)

そして、2012年5月5日(祝)、埼玉県上尾市弁財1丁目に誕生。
店名『Nola Coniglietto(ノラ・コニリエット)』で、愛称は「ノラ・コニ」。
Webサイトはこちら http://www.nola-coniglietto.com/index.html


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