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全国交流セミナー

第17回 NICe全国定例会 in 千葉 基調講演レポート







2013年3月2日(土)、「地域格差から相乗効果を生み出す」を大テーマに第17回NICe全国定例会in千葉が開催された。NICe全国定例会とは、地域や業種や世代の異なりを超え、異なるからこその視点、発想、情報を交換し合い、共に学び合うイベント型の学習交流会のこと。今回のプログラムは、増田紀彦代表理事の基調講演、参加者全員の頭脳と頭脳をかけあわせ、事業プランをブラッシュアップするNICe頭脳交換会を2テーマで実施。参加者は地元千葉県を中心に、埼玉県、東京都、神奈川県、福井県から27名が結集した。

3部構成のプログラムのうち、第1部・NICe増田紀彦代表理事による基調講演をこちらにレポート。



■第1部 基調講演


一般社団法人起業支援ネットワークNICe 増田紀彦代表理事

テーマ

「NICeが目指す「地域社会の未来」とは? 
 〜つながり力は、ソーシャル・キャピタルの中核を担う〜」






地域の問題と経済との密接な関係
勝ち組・負け組の悪影響とは?


「今日は地域が大テーマです。根が深い問題に、経済の問題を絡めて話します。
こんな言葉知っていますよね、勝ち組、負け組。嫌な言葉ですが、いつから日本で言われるようになったでしょう。大昔ではないですよね?」

「バブル崩壊後?」
「ITバブルの頃?」

「21世紀になってから、就職氷河期とITバブルが同時期に出てきました。主に所得的な格差の意味で言われるようになりました。日本の国民総資産が減っているわけではないのですが、ある・ないの差が生じ、この日本で貧困の部に属する人が増えています。経済格差、勝ち組と負け組に分かれることで、世の中に何が起こっていくかという話しから始めます。勝ち組が羨ましいとか、負け組でも仲間が多いからいいとか、そういう単純な話しではありません」

ここで増田氏は、飲みかけのペットボトルを示し、お得意の参加者と問答をするスタイルで格差のたとえ話を披露した。



「これは1本150円です。(最前列に座っている)長柴さんが150円、私も150円持っていれば、ふたりとも買えます。格差がないので、欲しければ購入できます。でも、勝ち組、負け組となれば、どうでしょう? 私が200円、長柴さんが100円としたら……。今は世の中の仕組みで、かつて150、150で富が均等に分配されていたものが、均等ということが減って来ています。そうすると、何が起きるか? 
格差がなければ、2本売れていたのに、格差が生じたことで1本しか売れなくなります。そうすると、メーカー側に何が起きますか? 1本150円という単位ではなく、売れていたものが半分と考えると、企業は倒産してしまう。そうならないために、どう対処しますか?」

「価格を下げる」

「ですよね。長柴さんにも買わせたいから、販売価格を落とします。これを英語で何と言うでしょうか?」

「デフレーション」

「正解です。国内の中でモノが売れなくなる理由は、所得の中間層がいないからです。もし勝ち組が300円持っていても、1本買えば十分、2本は要らない。では、余った150円はどこへいくでしょう? モノを買わないとしたら?」

「貯金とか」

「そうです。生産や流通や消費にお金が使われなくなります。単位を上げて150円を150億円としましょう。それを普通預金にしている人はいませんよね。では、その余ったお金はどこへ行くでしょう?」



「投資」

「ですよね。資産経済と言いますが、お金が余っていると、交換したいモノは限りがありますから、余った分は投資へ向かいます。片方の負け組は、欲しいものすら買えない状況です。投資というのは何を買っているかというと、そのお金がより増えるかもしれない可能性を買っているので、モノではありません。その可能性が消えれば、終わりです。その繰り返しです。ではなぜ、中間層が居なくなったのか。居ないから市場が苦しい。その理由を、本日の話の中で触れたいと思います。とても地域の問題に密接です。今日はこれまでの定例会と少し違って、お勉強の基調講演です。たまにはいいなと思って聞いてください」



なぜ中間層がいなくなったのか?
社会進化論から見る人間社会の在り方とは


「いきなりドイツ語です。高校生の頃にこの学説に感銘を受けて覚えていました。
これまでなかなか話す機会がありませんでした。聞いたことありますか?」

ほとんどの参加者が首を横に振った。

それは、「ゲマインシャフト」「ゲゼルシャフト」という共同体の定義だ。ドイツの社会学者フェルディナント・テンニースの学説で、『人間社会が近代化すると、自然発生的なゲマインシャフトとは別に、利益や機能を追求するため、人為的にゲゼルシャフトを形成する』という社会進化論だ。
ゲマインシャフトとは、人間が本来そなえている意志によって統合した共同体組織のこと。ベースとするのはパーソナルで親密な人間関係だ。一方ゲゼルシャフトは、人間がある目的達成のために作為的に形成した機能体組織。ベースとするのはインパーソナルで打算的な人間関係だ。テンニースは、社会が進化していくことで共同体が、ゲマインシャフトからゲゼルシャフトへ変わっていくと説いた。

「テンニースは、明治時代から大正時代に活躍した社会学者で、社会の在り方と生物の進化論を合体した社会進化論を説きました。人間は共同体で生きています。生産、分配、再生産を集団でやっていく特有の生き物で、知恵や労働を交換して喰っていく。その共同体には、2つの種類があると説いたのです。言葉にするとわかりにくいので、こういう図をつくってみました」

増田氏は、ゲマインシャフの減少とゲゼルシャフトの増加の概念図を示し、産業の変化とともに人間社会の組織体がどのように変化していったのかを解説した。



「原始人の暮らしぶりはよくわかりませんが、大昔でもかなり計画的に組織的に暮らして生きたことはわかります。狩猟、採集を中心にした生活でした。やがて、農耕という技術が発展し、計画して食物の生産ができるようになってきました。その結果、何が起きたかというと、剰余価値が生まれました。マンモスを食べた頃には余らなかった、魚を採っても余らなかった。人数分が採れれば十分という暮らしだったでしょう。ところが、農作物の栽培が始まると、保存ができるようになります。そこに、富の蓄積が生まれてきます。豊作ならば、それでもう労働しなくてもよくなります。

そうすると、たくさん生産するためにどうすれいいのかを考える組織へと生まれ変わっていきます。
豊かな蓄えを生み出すためには、能力分担したほうがいい、稲作なら田んぼを整地したほうが作業効率がいい、力仕事や分別作業など、それぞれ役割分担され、その作業の重要度によって地位も変わっていきます。

もうひとつ。富は倉庫にある、ということは、自分たちの生産がうまくいかなければ、ほかを襲って奪えばいいという考えが生まれます。こうして戦争が始まっていきます。その戦争もまた、意図的な組織がつくられていきます。

このように自然発生的にあった集団が、農業が始まったことで、意図的な組織が増えていきました。さらに工業化の進展によって、富の蓄積とともに人間はそちらへ向かって、利益を求める組織へと変わっていきます。

偶然的に集まっていた人間の集団が、工業化によって労働を一定地域に集約させ、利益をさらに求めていく。そうなると、共同体で回っていた地域社会も変化していきます。自分たちで自分たちのグループを守るという組織が減っていきました。そうして21世紀、先進国は目的によって組織化された集団ばかりになっています」




日本型ゲマインシャフトの原型
「地域恊働体」とは? その変化とは?


「ここまでは一般的な話です。テンニースは、遠く離れた日本の研究はしていません。では、日本はどうでしょうか?」

日本も一次産業労働を中心とした“恊働体”と呼べる地域恊働体が形成されていた。労働、消費、教育、祭祀、衛生・医療、遊び、スポーツ、芸能などの活動に住民が関わり合い、自治的で互助的な集団が形成されていた。住民は契約関係ではなく信頼関係で結ばれ、活動を維持して来た。が、戦後、それは急速に減少し、変化していく。それでもまだ昭和30年代には、東京でも“恊働体”の名残はあった。増田氏は、映画『ALWAYS三丁目の夕陽』を例に挙げた。主人公の六子が、東北を離れて東京下町の自動車整備店に住み込み、そこで家族のように“恊働体”をつくっていく物語だ。

「戦後すぐの日本に個人主義など存在していませんでした。その地域の人とうまくやっていくこと、と同時に、抜け駆けもしない。が、工業化が進展する中で、地域恊働体は、企業恊働体、会社恊働体へと移行していきました。この職場が家族化することには海外から奇異に見えたようです。海外では早くからゲゼルシャフトが発達しています。儲けるために植民地を確保したり、し業態に投資をするという会社恊働体の発想が早くから定着しました。一方日本は、地域の代わりとして、会社でも家族のつながりのようなものが生まれました。大きな会社ではもちろんトップと平社員が家族のようにというわけにはいきませんが、それでも、労働組合に代表される家族のつながりのようなものがありました。地方から都会へ出て来ても、『この会社の一員だ、この職場の一員だ』という帰属意識を持って、安心して生きてこられました。人間は、どこかに属しているという安心感が生きていくうえで大事です。ところが、ご存じのように、です」



戦後の高度経済成長期、日本の地域恊働体は、機能体組織へと変化していく。それでもまだ居住する地域が変わっても、ゲマインシャフトの残滓はあり、属していられた、温かなつながりがあった。だが時代とともに、グローバル経済の進展、資産経済の蔓延、終身雇用制度の崩壊、派遣労働の活用の増加など、企業自体が家族恊働体のようだと評された日本の企業風土が大きく変貌していく。派遣はうちの家族ではない、名前も知らない、どこの誰かも知らない人と働く関係……。今や社会のあらゆる単位で恊働体が希薄になっている。

「こうなると、恊働で頑張ると言う精神が見受けられなくなっています。本型のゲマインシャフトは、契約関係ではなく信頼関係です。地域の中で生きていくのに契約書を交わしたり実印を押したりしませんよね。労働を提供し、知恵を提供し、お金も動かす。そういう自治機能があったのですが、今や自治は役所が肩代わりするようになりました。今はそれさえも、役所ではしきれなくなっています。この会場も指定管理者が管理運営しているはずです。落札受注で。契約関係です。信頼関係ではなくなってきました。ですが、地域恊働体はいいことばかりでもありません。外部に対しては閉鎖的です。

よそ者や地域外には情報を教えない、入れないということもあります。逆に内部に関しては、過度な干渉もあります。それがいやで都会へ出る人もいます。付き合いの強制、何か変わったこと言えば排除される。村八分という言葉がありますよね? 二分は何かというと、葬祭と、火事です。ご葬儀と火事の火消しに関しては手伝うけれど、それ以外は没交渉ですよという意味です」

ここで増田氏は、エリノア・オストロムというノーベル経済学賞を受賞したアメリカの政治学者・環境学者が説いた『共同体の効用』を紹介した。地域共同体は内部に対してマイナス面だけではなく、山林や海・川などの共有資源の過剰利用を制御するプラス面があるという学説だ。木を切り過ぎない、水をくみ上げ過ぎないなど、行政や民間ではなく、地域に管理させることが、適切な共有資源(コモンズ)の環境保護につながるという説。だがオストラム氏は、違反者が出たら罰則を与えなくてはならず、その分コストがかかる。それでは経済的な同意制が成り立たないのではないか、という課題を研究する前に亡くなったという。
増田氏は、「もし、オストラムさんが生きているうちに日本の村八分をご存じならば、どう考えたかなと思います。コストをかけない罰則・村八分の制度がある日本の共同体の仕組み。これは共同体の運営に長けているのではないかと私は思っています」


地域恊働体の劇的衰退をもたらした理由とは?
日本の戦後近代史からわかる経済の仕組み


日本にかつてあったはずのゲマインシャフトの原型・地域恊働体は今や崩壊している。それはなぜか? 工業化が進展する中で、地域恊働体から企業恊働体へと映っていくプロセスと、産業の変化だけではない歴史的な転機を増田氏は解説した。地域問題は世界経済と密接に関わっていることを歴史から思い知る。



・1945年9月2日 第二次世界大戦終結。東京湾のアメリカ戦艦ミズーリ号で降伏調印式が行われ、日本は無条件降伏。連合国(米国)は日本の軍事力と経済力を解体し、「当時のベトナムやインドネシア程度の経済水準に押さえ込むこと」を決定する。英語を公用語に、貨幣は軍専用で後にドルとする方針だった。だが外務省の尽力により撤回。
・1949年 冷戦本格化。米国は日本の統治方針を180度転換し、日本を西側の防波堤とすべく、日本の経済力回復を全面支援。円の対ドルレートを1ドル360円に制定。平和憲法を変えて軍隊を置くよう示唆。憲法は変えず警察予備軍(陸上自衛隊の前身)を設置。
・1950〜53年 朝鮮戦争特需で日本の経済水準は戦前レベルに復興。
・1955〜73年 高度経済成長。製造・加工・物流拠点を太平洋沿岸に集積し、大量の労働力も集中させる。世界でも類を見ないほどの偏った人口分布に。
労働力を失った地方を交付金と公共事業で支える。
・1971年 ニクソンショック。米大統領が電撃的に発表したドルと金との固定比率での交換停止。ドルの大暴落
・1985年 G5プラザ合意、対ドル235円だったレートが一気に上昇、円高ドル安へ。
・1989年 マルタ会談、冷戦終結。
・1990年代 米国経済成長が限界に。同時に、日本を米国が支える時代も終焉。
 労働力と産業の多様化を失った地方は、経済も恊働体の維持も困難になり、地方は衰退、都市圏は荒廃。


さらに、かつて世界経済を牽引してきた米国経済が衰退した今、日本経済はどのような状況にあるのか、その現状と課題について掘り下げた。

日本の最大顧客であった米国経済の限界。輸出産業の業績悪化と生産拠点の海外移転。雇用の減少、所得の減少、国内購買力の減少。その一方で、余剰資金の投資市場流入、バブル景気とその崩壊の繰り返し。プラザ合意以降のアジア通貨安ドル高、輸出シェア拡大。そして最近ではアベノミクスの影響による為替・株式市場の乱高下。金融緩和、さらなる金あまりの危険性。企業業績の悪化、デフレスパイラル、税収不足による財政悪化、増税、さらなる消費減退。そして、不況大国・米国の渾身の反撃=TPP、外資による日本市場奪取など。増田氏は、オバマ大統領の所信表明演説と議会の反応、TPPの規制緩和についても言及し、日本で報道されている日米関係と米国とのギャップを示した。そのうえで、「すべては自由主義社会で起きていること、文句を言うことはできません。そんな状況で、私たちはどうするか!です」。ここでもう一度、元来あった日本型の地域恊働体を新たにつくらねばならないと増田氏は言葉を続けた。




新たな恊働体を確立し、
人間関係を資本にした経済を


地域恊働体も企業恊働体もその基盤を失っている今、その地域の中だけで、企業の中だけで、行政だけで、経済の不安も生活の不安も人間関係の希薄さへの不安も解決できない。ボランティアでは限界がある。であれば、日本型の地域恊働体を新たにつくろうではないかと、増田氏は語りかけた。それは、ゲマインシャフトとゲゼルシャフトの要素を両方兼ね備えた、広域ネットワーク型恊働体組織だ。



この広域ネットワーク型恊働体組織とは、地方と都市部が連携し、コミュニティビジネスや6次産業化で、人間関係を資本とした経済活動を実現しようという考え方。そのモデル図を示し、地域の課題を事業手段によってどう解決できるのか、経済成長モデルを紹介した。そして、事業化するためにはまず地域の何が資源なのかを正しく発見することが必須と語り、そのための取り組み方法を以下のように示し、それぞれの具体例を紹介した。

・地域資源を、自然資源・人的資源・産業資源・文化資源・公的資源の5つに分類・列挙し、関係を探る
・既存資源の再利用・用途転換利用を考える
 (一見ありふれたものの活用。普通の「普」を「富」へ)
・地域の弱点や問題点を逆転して強みと考えてみる
 (不利、負けている、「不」「負」を「富」へ)
・地域外の視点を活用する
 (I・Uターン者、来訪者、専門家)
・上記4つを経て、地域を学ぶ機会を創出する
 (探訪会、聞き取り会、10選・100選など)

「地域の中だけではなく、地域外の人とネットワークをつくるのです。地方なら地方で、都市なら都市で、自分が住んでいたいところで、どこにいても関われるビジネスを起こしていく。そうすると、小さな経済ですが、他者と喜びを分かち合える、助け合える、そして自身も家族も生活できていけたら幸せじゃないですか。人として豊かな関係を育んで生きていけます。地域にある課題を事業として解決するコミュニティビジネス、地域にある資源を活用して川上川下の格差を解決する6次産業化ビジネス。ぜひこの視点で考えてみてください。その事例を紹介します」


「普」「不」「負」を、「富」へ逆転した
雪国起業家たちの地域資源活用事例


紹介したのは、北海道での事例だ。帯広市の隣に位置する音更町、冬はマイナス15度近くまで下がる厳寒の地。ここで熱帯フルーツのマンゴーを生産し、しかも冬場の収穫に成功したのが、地元起業家らが設立した「ノラワークスジャパン」。一昨年、増田氏は現地を訪れ、マンゴーのビニールハウスにも足を踏み入れている。

国内でのマンゴーの主な生産地といえば、宮崎県や沖縄県で、当然、収穫時期も温かい夏だ。『北海道でつくれるはずがない』マンゴーを、実際どうやってつくっているのか。それはビニールハウス内の温度を逆転させたのだという。冬は、放置されている温泉の源泉からパイプを引いてビニールハウス内を加温する。これで夏の栽培環境になる。夏は、冬の間に降り積もった雪に土をかぶせて保管し、冷媒として活用。これで冬の栽培環境をつくるという。温泉も雪も、北海道では「普」「不」「負」の存在。どこにでもあり、不要であり、不利な“負け”のものとして扱われている。というのも、北海道には温泉の源泉が多く点在するが、そこに温泉施設を建てるとなれば莫大な費用がかかる。仮に施設を建てたところで、冬場は観光客も少ない。それらの理由で、道内には温泉の源泉があちこちで放置されているのだ。もちろん雪も多い。その放置されていた温泉、あり余るほどの雪、それら「不」「負」を自然エネルギーとして活用し、氷点下での熱帯フルーツ栽培というストーリーと価値を生み出して「富」へ逆転させた。



「『白銀の太陽』というブランド名も素敵です。ではなぜ、わざわざ冬に出荷するよう栽培しているのでしょうか?」と増田氏は会場に問いかけた。

「時期がずれているから」

「そうです。冬場に市場へ出るマンゴーは海外産です。冬は品薄で価値が高くなり、いい値段がつきます。音更町の起業家たちはその市場を取りにいったのです。大手の青果卸業者さんがぜひ欲しいと挙手しています。どうでしょう、雪と温泉。このセットは、北海道だけの話ではないですよね?」と、この後に予定されている頭脳交換会への含みを持たせて次の事例を紹介した。

続いて紹介したのは、同じく北海道の帯広市。十勝特有の広大な小麦畑の活用事例だ。畑の中には農機具を管理したり苗づくりのためのビニールハウスある。当然、冬の間は使えない。ここを『スノーフィールドカフェ』と命名して、お洒落なカフェにしているのだという。
「夕暮れの中で見ると、空と雪原が一体化して紫色に染まります。北海道の人から見れば、見慣れたなんともないシーンでしょうが、都会の人から見ると。とろけるような美しい世界です」。

もうひとつ、同じく十勝の鹿追町にある然別湖の事例も紹介した。ここは冬の期間限定で、凍った湖面に氷を積んだバーがオープンするという。なんと氷上露天風呂まであり、今や大人気のスポットだ。 「いずれも逆転の発想です。こういう事例は枚挙にいとまがありません。邪魔と思えるものも、活用次第で売りものに、富になるになるのです」




ソーシャル・キャピタルの中核を担う
「つながり力」とは


講演の締めくくりに増田氏は、NICeがスローガンとして掲げる“つながり力”について説き、地域社会の未来を自分たちの手で切り拓こうと呼びかけた。



「つながり力」とは、
他者の利益を優先し、計画し、
追求することにより、自己の強みの発見と、
自己の成長機会を実現しようとする人々が、
情報や知恵を共有・循環させながら、
また様々な経営資源を交換しながら、
新たな事業を共同で創出し、
経済活動や地域社会に、人間的な喜びを取り戻していく力のこと。


「その地方にいるから、都会だから、この業種だから、それぞれにわかること・できることがあります。違う視点だからわかること。それらを組み合わせ、そして新たな事業を共同で起こしていく。まさに今日話した、人としての喜びをベースにした恊働体・ゲマインシャフト型の進化系・広域ネットワーク型恊働体組織の中心にあるのは、“つながり力”です。日本中の地方と都市でいくつもネットワークができれば、新しい内需の喚起にもなっていくと思います。時代は大変です、ぼうっとしている余裕はありません。アメリカも必死に日本の雇用や市場を狙っています。世界は闘いに打って出ています。それを個人ベースで押し返すことは難しい。だったら、自分たちで自分たちの資源とお金を使って、仕事を生み出すような取り組みを日本人がしていかないとなりません。ぜひ、異なりを生かして、違うからこそ助け合える、支え合えるネットワークをつくって、それを経済活動に生かしてください。私はそう考え、NICeの活動に取り組んでいます。今日この後の頭脳交換会の参考になればと思います」


「第17回 NICe全国定例会 in 千葉」全編レポートはこちら
http://www.nice.or.jp/archives/15336


UST配信/横山岳史氏
撮影/前田政昭氏
取材・文、撮影/岡部 恵

■次回の第18回NICe全国定例会は、2013年5月25日(土)開催。
舞台は、九州!福岡大学の中央図書館です。詳細・参加申込みはこちら
http://www.nice.or.jp/archives/14423
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