一般社団法人起業支援ネットワークNICe

ユーザーログイン
最新イベント


東北応援スペシャル 第21回NICe全国交流セミナーin須賀川 レポート







2014年2月11日(祝・火)、福島県須賀川市の須賀川コミュニティプラザで、「東北応援スペシャル 第21回NICe全国交流セミナーin須賀川」が開催された。2月11日に、NICeが福島県内で震災復興支援イベントを開催するのは今年で3回目。2012年の同日は、「飲んで食べて買って福島を応援しよう!」を合い言葉に、全国の仲間を福島市に集めた「NICe大宴会 n 福島」http://www.nice.or.jp/archives/8934を。2013年は「やろうぜ福島! 売ろうぜ農産物!」を合言葉に、郡山市で「NICe福島スペシャルin郡山」http://www.nice.or.jp/archives/19048を。そして2014年は、福島県の起業家と出会い、思いや知恵を伝えることで、経済の再興・活性を応援しようと、被災地で初となるNICe全国交流セミナーを開催するに至った。プログラムのメインは「頭脳交換会」。プレゼンターが自身の事業プランや課題を発表し、それをもとに参加者全員が「自分だったら」という当事者意識で建設的なアイデアを出し合い、ブラッシュアップや問題解決を図ると同時に、互いの経営資源を生かし合ってやがては参加者同士が連携して、新規事業を生み出すためのNICe流の勉強会のこと。参加者は、宮城県、福島県、栃木県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県から28名が結集。うち12名はNICeそのものを初めて知ったという初参加にもかかわらず、「頭脳交換会」の進行とともに多彩な知恵とアイデアが飛び出した。


 オープニング




千葉県から参加した飯田真一氏による司会進行でスタート。NICe理事であり全国活動推進委員会委員長の小林京子氏、実行委員長を務める福島県須賀川市の柳沼美千子氏のあいさつで開会。


▲全国活動推進委員会委員長 小林京子理事
「福島県には何度もお邪魔していますが、震災から2年11ヶ月。2.11開催が今回で3回目となります。何かできることをアクションとしてやっていこうという気持ちのもと、NICeは活動してきました。そして今回、その3段目のアクションとして、この全国交流セミナーを開催することができました。いろいろな方の知恵と知識と情報と熱意を掛け合わせて、小さくてもいいから、一歩を踏み出すきっかけにしていただけたらと思います」


▲東北応援スペシャル 第21回NICe全国交流セミナーin須賀川
実行委員長 柳沼美千子氏
「須賀川での開催が決まってから、どういう方を集めてどういう形でみなさんの事業のプラスになるかと思いめぐらせながら準備企画し、今日を迎えました。こんなにたくさんの方にお集まりいただきありがとうございます。大企業の方からこれから事業を興す方もお越しです。今日のことが何かしらプラスになってお持ち帰りいただければと思います。どうぞよろしくお願いします」


 第1部 つながりワークショップ



ファシリテーター NICe小林京子理事

つながりワークショップとは、昨年2013年11月開催のNICe全国交流セミナーin八戸から導入された新プログラム。考案者の小林氏は次のように説明した。
「NICeは、人と人がつながることをスタートラインにしています。一般的なビジネス交流会だと名刺交換して、『こういう仕事しています、何かあったらつながりましょう』という形式だと思います。が、NICeは、この人おもしろそう!からスタートし、互いを知ったうえで次に、仕事でもつながろうかということを大事にしています。そんな互いを知る、共通点を見つける、魅力を見つけ合うことを目的にしたのが、つながりワークショップです」



参加者には「つながりQ10(キューテン)」と呼ばれるA3サイズの用紙が配布されている。中央には氏名欄があり、周囲には「仕事はこれです」「ここに住んでいます」「持っています」「持っていません、足りません」「得意です」「嬉しかったです」「プチ自慢です」「欲しいです」「これからしてみたい」「大切にしています」の10個の空枠がある。まずは5分間で、記入するよう小林氏が指示した。



書き終わったところで、参加者全体の共通点を見つけ合っていこうと小林理事が呼びかけた。
「ここに住んでいます。この会場から車で15分以内の人は?」 以外と少ない、2名。
「ここに住んでいます。この会場から一番遠いと思う人は?」 一番遠い神奈川県から参加した小林氏自身だった。



住まい、持っています、プチ自慢など、参加者全体の共通点を見つけ合った後、4、5人で1グループとなり、ひとり2分ずつ「つながりQ10」を見せながらの自己紹介タイムとなった。初対面同士が多いにもかかわらず、会場内のあちらこちらで笑い声や拍手が起こり、打ち解けた雰囲気に。




「短い時間でしたが、共通点や発見が多々あったかと思います。この後のプログラムでも同じグループで話し合いますので、つながりの第一歩を感じて、共に臨んでいただければと思います」と小林氏は語り、第1部のプログラムを締めくくった。




 第2部 頭脳交換会



ファシリテーター NICe増田紀彦代表理事




「NICeは、National Incubation Center、その略称でNICe(ナイス)と呼んでいます。Incubationは、卵をふ化するという意味です。NはNational、全国をつなげようとしています。どうしても人が集うとローカルな関係になりがちですが、そうではなく、業種や地域や世代を超えてつながろうというのがNICeです。大企業ならば広告宣伝費も人材も潤沢でニュースでも取り上げられ、企業情報は全国に広まります。しかし小さい会社のことはわからない。そこで、ネットを使ったSNSで知り合って、互いを認め合って、いろんな思い、才能、技術をしっかり育て温め合い、必要な情報、知恵、販路を共有し、こういう仕事なら一緒にやれるよと、つながっていく。そういう活動をしています。

さて今日は頭脳交換会がメインです。異業種の課題に触れることで、頭の隅にしまいこまれているような知恵や情報を引っ張り出す。そうすることで、自分の中に眠っている資源を認識できるのです。今日は伊達市梁川の横山さん、引地さん、須賀川市の柳沼さん、さらに棚倉町の小田さん、合計、4組の取り組みを発表いただき、その事業課題をどうやったらクリアできるか、という頭脳交換会を行います。初めて参加するみなさんも、1組やってみればパターンがわかると思いますのでさっそくやってみましょう。まずは、最初に横山さんです」


頭脳交換会 テーマ1

テーマ:
「新たな販路をどう開拓? 高濃縮・高吸収力カルシウムサプリメント『だてカル』」
有限会社ヘルシーサポート 代表取締役 横山茂氏




健康食品と自然食品の卸販売会社を創業して12年目という横山氏は、自社製品の中から『だてカル』という、福島県6次化商品として販売している高濃縮・高吸収力カルシウムサプリメントをテーマにしたいとプレゼンをスタート。
まずは『だてカル』を福島県6次化した経緯と背景を説明した。
伊達市はかつて養蚕業が盛んな地域だったが、繊維業の衰退とともに低迷し、今は桑畑がジャングル化しているという。地元の産物であるこの桑を使って何かできないかと考え誕生したのが、カルシウムサプリメント『だてカル』だ。
桑の葉と実は地元の農家から、牡蠣殻とアワビ殻は宮城県東松島から仕入れ、それらのサプリメント加工は地元の精密部品メーカーが担当し、そして卸販売は自社でという構想でスタートしたという。
商品化にあたり、一番の課題だったのがカルシウムの吸収率だ。横山氏らは、牡蠣殻やアワビ殻を高熱で風化処理し、さらに高圧抽出した濃縮エキスとして使用することで、カルシウム含有量と吸収率を高めることに成功。さらに自身が培ってきた中国漢方の理念と知識に基づいて、成人病予防に効果がある桑の葉、桑の実、補腎効果のある女貞子(じょていし)などの薬草成分を加味し、主に年配の方、成人病・骨粗鬆症予防向けのアンチエイジングサプリメントとして、『だてカル』(1瓶180粒入り・1日3粒服用で約2カ月分・小売価格4800円+税)を2012年から販売開始。現在は主に関東や関西の漢方薬局へ卸しているが、新たな販路開拓とそのアプローチ方法のアイデアを求めて登壇したと述べプレゼンを締めくくった。


質疑応答

増田氏からの補足説明
『だてカル』のカルシウム含有率と吸収率は他社製品と比較して5倍〜10倍。それを可能にしたのは、横山氏が連携している地元の精密部品メーカーの高技術にある。ここは水晶クオーツ部品のメーカーのため、高度な粉砕技術を有しており、さらに細かく粉砕した貝殻をエキス化しているため、高い吸収率も実現したという。異業種と組んだことで模倣困難な商品になっていることが強みのひとつと言える。もうひとつ、横山氏の苦労話も披露した。プレゼンでも述べられたように、『だてカル』発祥の原点は、桑の利用にあった。だが、2011年3月に『だてカル』が完成し、福島県6次化認定も受け、意気揚々と千葉県の幕張メッセで開催された『FOODEX JAPAN 2011』に出展。そこで好評を得て、伊達へ戻ってから関係各所へ礼状を出そうとした直後に大震災。『だてカル』もしばらくは出荷できなくなった。その後も、地元の桑の葉、東松島市の牡蠣殻が原材料として使用できなくなり、現在、桑は島根県から、牡蠣殻は広島県から仕入れざるを得なくなっている。そのため、コストも計画以上にかかることになってしまった。でもいつかは、福島県産でと頑張っているところだという。

増田氏「現在の卸先は主に関東と関西の漢方薬局とのことですが、吸収率が高いということは、激しい運動をする人にもいいですよね?」

横山氏「漢方ブームが来ていて東洋医学への関心も高まってはいますが、まだまだです。ただ、小学生のバスケットチームとサッカーチームに半年間、『だてカル』を飲ませたら疲労骨折する子どもが激減したとの報告があります。スポーツする人へ、大学のチームへも提供しています」

増田氏「ご年配の方や骨粗鬆症を今はターゲットにしていますが、スポーツ、成長期の子ども、も視野に入りますね。ではそれらを念頭にして、漢方薬局以外にどういう販路があるか、今の販路以外にどんなところへどんなアプローチが考えられるか。まずは自由に考えてみてください。6分間!」


グループディスカッション





発表タイム

Aグループ


・スポーツを中心ターゲットに考えた。
 スポーツ用品店、大学の運動クラブ、スポーツジム、接骨院、ヨガ教室、ネイルサロン、
 フットケアサービス、手もみ、化粧品店、コンビニ、カイロプラクティック、
 スタントマン業界、消防・警察署、幼稚園・保育園、建築関係の人へ
・スポーツ関係の大会の賞品に
・保険会社や金融機関などでのノベルティ
・ガソリンスタンド、パーリングエリア(長距離 ドライバーの腰痛防止)
・骨密度を測定できる場所に商品があると購入しやすい。計測器メーカーとのコラボ


Bグループ


・Aグループと同意見が多く重複しないものでは、アウトドアショップ、
 テレホンショッピング、居酒屋、自然食品店
・Webのブロガーにストーリーを書いてもらう


Cグループ


・福島県の認定という強みを生かす、地元密着させるのはどうか。
 地元Jリーグ、大学や高校などの部活、地元のスポーツクラブなど、
 地元貢献度からマスコミに取り上げてもらうことで話題づくりを
・パッケージがスポーツ向けではないので、スポーティなパッケージに改良したらどうか


Dグループ


・父の日や母の日などのお祝い商品“愛のだてかる”として
 記念日やイベントなどでの販売も
・介護施設、道の駅
・県の認定だけではなく、さらに安心を演出するようなトクホなどの
 認証機関のお墨付きを得ては


Eグループ


・Cグループと同じくパッケージについて意見が出た。インパクトが弱い
・こむらがえりする年頃にも効果あると思うので、スポーツブランドと組む
・子ども向けに甘いもの、ガテン系にはドリンク、一食分のパッケージ化など
・保育園や幼稚園で配給されていた肝油ドロップのような商品化


増田氏
「狙う相手を若年層へ意識してはという意見がありました。
そうするともっとお徳用がいいとか、味があったほうがいいとか、パッケージ改善など、誰を狙うかで決まってきますね。ネイルサロンはお客様と企業側が密接で長時間対面しますから、営業しやすい環境でもあります。横山さん、ご感想は?」



横山氏
「まったく考えてもいませんでした。スポーツジムなどは考えていましたがドライバーや建設業など考えたことがありませんでした」
増田氏
「スポーツ関係は意見があるだろうとは思っていましたが、身体を酷使する職業、若年層が出てきましたね。では、保育園や幼稚園、子ども向けへどうやって売ればいいですか? 身体を酷使する職業へは?」



フリートークでのアイデア
<子ども向け>
・最近の子どもは、落ち着かない、イライラだと精神系の病院へ行ってしまう。
 カルシウム摂取でイライラ軽減すると思うので医療関係へ
・塾。切れにくい子どもになる
・幼児のダンスやお遊戯のようなリトミック教室へ
・トイザラスなどのおもちゃ屋さん
・スイミングスクール
・大手の塾、通信教育の塾も

<ガテン向け>
・サービスエリアに干し梅を無料で置いてあるサービスがあった。
 そういう場所でサンプリングしてみては
・現場へ向かう朝、コンビニで朝食を買って移動車で食べるパターンが多い。
 パッケージを見て、「これで今日は頑張れそうだ!」と思ったら買いたくなる。
 ドリンク系で飲めると朝飯と一緒に買いやすい
・工事現場へ出入りする弁当屋さんとコラボ
・ガテン系には「これひとつ!」という強力なパッケージデザインが効く。
 狙う相手ごとにパッケージを変える

増田氏
「気づかなかったことが多々出てきたと思います。自分のアイデアが異業種のヒントになる、アイデアになることを、みなさん実感していただけたかと思います。では続いて、ふたり目のプレゼンを聞きましょう。須賀川市の柳沼さんです!」



頭脳交換会 テーマ2

テーマ:
「山葡萄のつる・あけびつるでつくる伝統技術を伝承するには?」
パン工房MANA 代表 柳沼美千子氏




自家製の自然酵母の開発、パンの製造販売、料理教室での指導もしている柳沼氏は、料理研究家であると同時に、山葡萄やあけびのつるの組み編み工芸にも長年携わってきた。猪苗代町の実家が民芸店だったこともあり、そのキャリアは40年近く前から。1975年には、第17回日本民芸公募展で最優秀賞を受賞。2001年には福島県未来博でネイチャーツアーの森の案内人・籐工芸の指導も務めている。柳沼氏は、山葡萄でつくるパンの酵母開発から、パンづくり、そしてその山葡萄のつるでかごや小物づくりなど、一貫性ある山葡萄の商品を提供していきたいという。そのための計画として、磐梯山の麓にあたる猪苗代町に500坪の土地を確保し、2014年3月に山葡萄100本を植樹。10年計画で新技術の開発、伝統工芸の継承をはかりたいと意気込みを語った。
なぜ植樹までする必要があるのかというと、山葡萄やあけびのつるの組み編み工芸品は近年ニーズが高まっているのだが、その価格は手さげかごで15万円以上と年々エスカレートしている。理由は原材料が少ないことと、組み編み工芸職人の高齢化だ。そこに安価な中国製品の輸入増加が拍車をかけている。その現状に危機感を抱き、伝統技術をつないでいくのは自分世代に課せられた役目と感じたことが、植樹から手がけるまでの決意に至った理由だと述べた。将来は、福島県と言えば山葡萄!と言われるような、福島県人ならみんながつるの組み編み工芸ができるような発祥の地としたい考え。そのためには、誰にどのように働きかければいいのか、アイデアをいただきたいと述べプレゼンを締めくくった。

増田氏からお題
「つるでつくる伝統工芸が価格競争に巻き込まれ中国産におされています。福島県の山葡萄やあけびを使って、おいしいパンと工芸品を提供していきたい、植林からという壮大なテーマですが、自由に考えてみてください。5分間!」

グループディスカッション





発表タイム

Dグループ


・材料を潤沢にする必要があるので、一口山主制度のように1坪でも売り、
 全国各地どこからでも応援できるしくみにしては
・伝承の裾野を広げるために、子どもの学校の教材として、小さな工芸品からつくらせる。
 また、総合学習の授業の先生として、お年寄りを呼ぶ。
 子どもだけでなく地元のカルチャースクールでママを対象に教室を
・柳沼さん自身のキャラを立たせるのも話題づくりになる、和服で登場いただく


Eグループ


・やりたい人を育てるのがポイントだと思う。すぐには難しいと思うので、
 貴重なつるではなく他の果実のものを素材にして入門編をやってみたらどうだろう。
 少しずつステップアップしていく考え方で


Bグループ


・編み物教室の延長で
・学校の授業の一環で体験させて裾野を広げる


Cグループ


・製品そのものに、ドリームキャッチャーのような民芸品のストーリーをつける


Aグループ


・ほかグループと同じく伝承方法としては小学校へ提案
・材料が不足しているので、いっそ高級工芸品のブランドに特化する。
 500万円でも売れるよう、中の生地には天然シルクを施すなど徹底的に高級にこだわり、
 柳沼ブランドにしてしまう


増田氏「底辺から押し上げる、と同時に上を引き出すというアイデア。
柳沼さん、どうでしたか?」

柳沼氏「低学年に教えるなんて思いもよりませんでした。籐工芸教室で2000人くらいに教えましたが、100円ショップができてからは一気に関心が薄れてしまい、職人さんたちも技術開示をしなくなりました。価値があがればまた別だと思います。500万円のをつくってみたいです」

増田氏「当初の予定ではプレゼンは2名でしたが、あと2名に登場してもらいます。その分、時間も短くなりますが、みなさんの頭脳は温まっているので大丈夫でしょう。では、棚倉町の小田さん、お願いします!」


頭脳交換会 テーマ3

テーマ:
「サプリ+調味料の商品化、食卓でのウコン活用法は?」
東日本薬草研究所 代表 小田八洲雄氏




地元農家と恊働で、きくいも、ウコン、ヤーコンなどを生産し、それらを健康食品に加工して販売しているという小田氏は、サプリメントと食べ物を掛け合わせた「サプリフード」の開発を目指しているという。家族が毎日数種類ものサプリメントを飲んでいるのを見て、サプリの原料もブルーベリーやウコン、アロエなどが使用されていることに着目。さらに友人から沖縄のウコン塩をプレゼントされたのを機に、同じように粉末にして調味料と組み合わせられるものがあるのではないかと。調味料にすれば、ウコンやヤーコンも自然と食べることができ、健康にもいい食事になるのではないか。食卓で食べながら元気になるような「サプリフード」を考えたい。どのような組み合わせ、どのような形状、どのような使い途、品質がいいのか。ふりかけやドレッシングなどのように食卓に乗るようなものにしたいので、そのアイデアを求めたいとプレゼンを締めくくった。

増田氏からお題
「ウコンの効能はご存じですか?」 参加者「二日酔い」「肝機能」
「ということは居酒屋以外でアイデアをお願いします。日常的な食習慣、もともと使うものと抱き合わせてつくりたい。そしてそれをどこへ売ればいいか。3分間で!」

グループディスカッション


あっという間のに3分間!!!


発表タイム!

Aグループ
・学校給食、お弁当屋さん、お米屋さん、映画館の売店(ポップコーン買うところ)、
 串揚げ屋さん、屋台、焼き鳥屋。タレか塩ではなく、タレかウコン塩か
・横山さんのカルシウムと合わせた塩も可能では

Bグループ
・ファストフードのフライドポテト
・ウコンバター

Dグループ
・そば店で七味の代わりに、天ぷら店にも
・タクシーや新幹線車内で販売
・からしと混ぜておでん屋に。ウコンからしチュープ

Cグループ
・漬け物加工業者

Eグループ
・まつたけのお吸い物のようなウコン汁
・漬け物の着色にもなるので一般家庭や農家にも




小田氏「考えてもいなかった案をたくさんありがとうございます!
参考にさせていただきます」
増田氏「もうひとり。伊達市梁川から雪かきして来てくれた引地さん、お願いします!」


頭脳交換会 テーマ4

テーマ:
「癒飲(ゆいん)柿酢セラピーで起業準備中、販路は?市場は?」
柿のファイトケミカル研究中 引地理江氏




白衣で登場した引地氏は、「温故知新!古くから伝わるもので、今でこそ必要で大事なことがあるのではないか、というのが原点です!」と元気よく宣言し、梁川町の名産である柿の栄養成分を紹介した。柿が色づくと医者が青くなるということわざがある通り、柿のビタミンCはミカンの2倍、ポリフェノールはブドウの5倍。柿特有のシブオールは二日酔い防止にも効果を発すると言われ、最近は疲労回復のオルニチン、リラックス作用や脳細胞促進のあるガンマ‐アミノ酢酸(GABA)が含まれていることも判明しているという。また橙色の色素β−クリプトキサンチンは人参の5倍と、柿はまさに栄養の宝庫。引地氏はこの素晴らしい柿100%のお酢をつくり、柿酢で癒す癒飲(ゆいん)柿酢セラピーでの起業を目指している。最近ではフルーツをお酢に漬けた商品も出回っているが、引地氏は、漬けるではなく、熟した柿を醸造し、柿そのものを酢にして広めること。甘味料ゼロで毎日飲める健康に良いものとして提供していきたい考えだ。
この事業計画の背景には、故郷への思いがある。あんぽ柿の名産地としても有名だが、大震災後、手塩にかけて育てられてきた柿が廃棄されている。柿の木々もあと10年、20年したらジャングル化してしまうのではないかと危機感を抱き、今のうちにできることをと起業を決意した。温泉のお湯を飲む「湯飲」をもじって、飲んで癒される「癒飲」とし、柿の酢を飲んでもらい癒しを提供する「柿酢セラピー」と命名したという。柿酢にリンゴや桃など伊達市名産の果物との組み合わせも今後は検討していく考えだ。
柿酢のターゲットは、健康志向の高い中高年の女性。温泉宿で湯上がり後に、アルコールでは強い、ビールではちょっと品がない、と思うような女性に試飲いただき、購入いただければと考えている。引地氏は、これから経営や経理なども勉強し、4月には商工会で名称などを相談、秋には経理の簿記3級試験を受け、実現に向けて邁進していきたいと熱く語り、プレゼンを終了した。


増田氏からお題
「引地さんは元教師で、20年間塾で生徒さんを指導してきました。さすがにわかりやすいプレゼンでしたね。福島は果物王国、柿も素晴らしいです。この柿酢をどこで売るか。すでに温泉宿、女性客を考えていますが、そのほかにどこに売れるでしょうか! 短いですよ、2分間で!」

グループディスカッション


あっという間に2分間!!


発表タイム!!

Cグループ
・中華料理店、料理にも使える!

Bグループ
・エステサロン、マッサージ終わったあとのお茶代わりに
・保育園、幼稚園、おやつタイムに牛乳と混ぜていける

Eグループ
・飲み切りサイズのサプリメントドリンク
・健康ランド、カフェ、居酒屋で柿酢サワー

Dグループ
・オフィスに販売に来たら買いたくなる。ヤクルトさんみたいに
・おしゃれなカフェ、道の駅でも
・ショットバー

Aグループ
・スポーツジム、サウナ
・飲食店で新しい習慣として食前酒ならぬ食前酢として提案




増田氏「2分間で出ましたね!
たくさんの知恵とアイデア、みなさんどうもありがとうございました。本当に短い時間でしたが、それでも頭脳がたくさん集えば、これだけのことができます。プレゼンした人だけのためだけでなく自分にも返ってきます。今日この場に集ってくれたみなさんに、何か持って帰っていただければ幸いと思います」


 エピローグ1




▲実行委員会 副委員長の武藤洋平氏から閉会のあいさつ。
「今日は県内外、遠いところからどうもありがとうございました。
地域も業種も違いますが、僕自身もとても勉強になりました。
また機会あれば参加して、つながっていただきたいと思います。
おつかれさまでした!」






エピローグ2 そしてプロローグ



2014年3月11日 NICe増田紀彦代表理事からのメッセージ
「復興4年目突入!」




取材・文、撮影/岡部 恵