異業種×異地域で、新規事業を創造しよう! NICe頭脳交換会 in 柏崎(新潟県)Part1レポート

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2015年5月23日(土)24日(日)、新潟県柏崎市にて2日間に渡り、「異業種×異地域で、新規事業を創造しよう! NICe頭脳交換会 」が開催された。頭脳交換会とは、プレゼンターが自身の事業プランや課題を発表し、それをもとに参加者全員が「自分だったら」という当事者意識で建設的なアイデアを出し合い、ブラッシュアップや問題解決を図るもの。同時に、互いの経営資源を生かし合い、やがては参加者同士が連携して、新規事業を生み出そうというNICe流の勉強会のこと。今回は、初開催地となる柏崎市で、しかも2日間連続で実施した。新潟県内各地をはじめ、秋田県、福島県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、富山県から, Part1には28名が、Part2には18名が参加した。
プログラムのうち、1日目のPart1から、第3部 異業種×異地域で参加者全員の知恵と頭脳をかけあわせる「NICe頭脳交換会」をこちらにレポート。
Part1全編はこちらレポートを、2日目の
Part2レポートはこちらをご覧ください。
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関東からは、NICe増田紀彦代表理事らがレンタカーに相乗りして柏崎へ。往路の途中では新潟県十日町市に立ち寄り、2010年10月開催「NICe棚田クラブ」(参考レポート
http://www.nice.or.jp/archives/672)でお世話になり、以降もNICeと交流がある若井明夫さんの棚田を訪問した。
若井さんは地域活性に長年尽力しているリーダーで、本業は測量技師、農業も兼業し、「貸民家みらい」
http://mirai-net.com/ 運営のほか、越後妻有地域 一帯(新潟県十日町市、津南町など)でおよそ200の集落そのものをキャンパスとして3年に1回開催される「大地の芸術祭」を運営するNPO里山協働機構の理事長も務めている。また、休耕地を耕し、田植え体験の受け入れや、さらに日本初のどぶろく特区も取得。自家製どぶろく、納豆、甘酒、味噌の生産者としても有名だ。
この日はちょうど、東京・世田谷から「せたがや棚田倶楽部」のみなさんをはじめ、家族連れや若者らが田植え体験をする日。NICe一行は、これから手植えが行われる水田の前で、若井さんとの記念撮影をさせていただき、田植え体験のみなさんへエールを送ってから、一路、柏崎へ!
※「大地の芸術祭 越後妻有(えちごつまり)アートトリエンナーレ2015」
http://www.echigo-tsumari.jp/
2015年7月 26日(日)~ 9月13日(日)の50日間、この越後妻有地域 (新潟県十日町市、津南町) 一帯で「大地の芸術祭」が開催される。これは2000年から3年に1回開催され、人口約6万人の地域に、50日間で約49万人もが来場するという一大イベントだ。このボランティアや農業体験+市内宿泊施設利用を条件に、東京〜十日町では無料直通バス「緑の直行便」(グリーンライナー)が運行されている。詳細はこちら
http://www.tokamachishikankou.jp/modules/content02/index.php?content_id=29
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【Part1 異業種×異地域で、新規事業を創造しよう!
NICe頭脳交換会 in 柏崎】
■第3部
異業種×異地域で、NICe頭脳交換会
テーマ1
「柏崎の魅力を内外に発信するには? 柏崎の魅力総選挙2015春を受けて」
○プレゼンター 秋山博一さん:柏崎市シティセールス推進協議会運営委員
○ファシリテーター NICe増田紀彦代表理事
「I♡KZ(アイラブ柏崎)」のユニフォーム姿で登壇した秋山博一さんは、プロフィールからプレゼンをスタート。(株)ミタカに勤務する39歳。仕事の傍ら、柏崎市景観計画策定委員、柏崎まちづくり元気塾一期生、柏崎リーダー塾一期生、(社)柏崎青年会議所2014年度理事長も務めている。「1期生ばかりで性格がわかると思いますが、1番じゃないと気がすまない」と少し照れながら、その活動を紹介した。また、越後柏崎のPRキャラクター『えちゴン』も誕生させ、年間100回ほど各地へ出向き、この日も午前中に小学校の運動会に参加してきたところだと語った。2014年には、ソチ冬期五輪にちなみ、柏崎市曽地(そち)にて、「曽地2014冬の大運動会」(別名・曽地オリンピック)を催したり、名産の鯖にちなんでサンバを呼んだり、ドラマのロケ地として協力スタッフをするなど、地域貢献に尽力している。
柏崎市シティセールス推進協議会運営委員もそのひとつだ。これは2年前の2013年に、地域産業の活性化・市民のまちへの誇りと愛着の醸成を目的に、市内民間団体や企業、大学など市内12の団体により設立された協議会。その実行部隊となるのが運営委員。秋山さんはそのメンバーとして、さまざまな取り組みに携わっている。
2015年3月には、東京有楽町駅前で2日間に渡り、イベント「柏崎の魅力総選挙2015春」を開催した
http://www.city.kashiwazaki.lg.jp/sesaku/shise/city/senkyo.html 。さまざまな魅力がある柏崎のPRをするとともに、一番の魅力は何かを実物の投票箱を用いて来場者に投票してもらったという。魅力総選挙のエントリーは8部門。柏崎産コシヒカリ・もち・越後姫(イチゴ)などの農産物、日本海太鼓や綾子舞などの文化・芸能、市内四つの酒蔵、海の大花火大会、ズバリ海、鯛茶漬け・鯛めし・サバサンドなどのご当地グルメ、ものづくり、の8項目。投票の結果、一位は海の花火、続いて、海、お酒、ご当時グルメとのこと。秋山さんはその結果を示しながらも、単純な投票結果だけが目的ではなく、データ収集と本命イベントに向けたプレイベントだったと説明した。
「今回、アイデアをいただきたいことは、このように柏崎には魅力がたくさんあるが、外部へ発信するやり方で一番効果的なものは何か? お知恵をよろしくお願いします」と述べ、プレゼンを締めくくった。
増田代表「外部へ発信するとのことですが、外部とは、主にどの地域でしょうか?」
秋山さん「関東です」
増田代表「発信して、その先で得たいものは何ですか? 何が起こると嬉しいのでしょうか?」
秋山さん「ゆくゆくは居住人口の増加ですが、まずは柏崎へ来てもらいたいです」
増田代表「1回も来たことがない人に、まずは来てもらうために魅力を発信したい、ということです。さぁ、何を、どのように、発信したらいいでしょうか。内容、発信方法、発信範囲。いろいろ考えられると思います。5分くらい、各グループでリーダーが進行して話し合ってみてください。ではスタート!」
テーマ1 発表タイム!
「柏崎の魅力を内外に発信するには? 柏崎の魅力総選挙2015春を受けて」
○鯖石川グループ
・選挙に立候補した中で、ご当地グルメのサバサンドが印象的だった。名前を聞いたことはあるが、それが柏崎と結びついていないのでは。総選挙をするほど多くの魅力があるのはわかるが、一点に集中してインパクトがあることを打ち出したほうがいいとの意見でまとまった。どのように発信するかはまだ。
○黒姫山グループ
・ふたつアイデアが出た。ひとつは、海岸線の距離が42kmとあるので、マラソンの距離と同じではないか。この海岸線の砂浜でビーチマラソン大会を行う、そして疲れた身体に海の幸とお酒を提供する。
・もうひとつは、関東圏の人に来てほしいということなので、関東の人が見たことがないだろう日本海の冬の荒波はどうか。荒波を見てもらうような宣伝もいいのでは。冬の荒波を見に来ないか!と呼び込む。
○八石山グループ
・水球の街ということで発信してはどうか。社会人、大学などの合宿の誘致、全国大会など。それとサバサンドをセットにして、若い人に食べていただく。
○米山グループ
・プレゼン後に、特に若い女性がターゲットだと聞いたので、一番人気の海の花火を見てもらい、ご当地グルメとお酒などもワンセットにしたパッケージ化をした婚活ツアーをつくり、来てもらう。そして柏崎へお嫁入り!
○鵜川グループ
・東京湾でも大きな花火大会があるので、東京湾で柏崎の大きな花火を打ち上げて見てもらう。本物はもっとすごいから柏崎へ見に来てくださいと、イベントを仕掛ける。
増田代表
「一点突破のサバサンド、海岸線42kmを生かしたマラソン、冬の荒波、パッケージ化した婚活ツアー、花火、アイデアが出ましたね。実は魅力の種類が多ければ多いほど、逆に分散してそれぞれの魅力度が落ちていきます。これは多くの自治体が陥る課題です。複数あるとあれもこれもと均等にしないと角が立ち、各所への説得や根回しも必要となり、いいアイデアも薄れがちになります。また1位に選ばれた魅力が本当に人が来る理由になっているのか、疑問です。またイベントは人が来ても逗留せずにすぐに帰ってしまうなどの問題もあります。
そこで、みなさんにお聞きしたいのですが、総選挙にエントリーしたもの以外に、魅力はないですか? 海と酒とグルメ。これは、日本の海岸線の都市のほとんどがPRしていることですよね。花火大会も多いです、供給過剰状態とも言えます。
さきほどの8候補で、出ていない魅力はないのでしょうか?
同じ柏崎市とはいえ平成の大合併で海から遠い山間の集落もありますよね。棚田の風景が広がる高柳エリアは海から遠いですが柏崎市です。どうでしょう? 柏崎のみなさん、ほかにありませんか?」
参加者「富山から来る途中で、海岸線を走る電車をたくさんの人が撮影していました、有名なのですか?」
秋山さん「撮りテツさんに人気です」
増田代表
「まだまだ見落とされている地域資源があるのではないでしょうか。地域資源は5分類あります。自然資源、文化資源、産業資源、そして意外と見落とされがちなのが、人的資源と公的資源です。あの人に会いたい、あの団体と何か一緒に活動したいと、人の魅力で会いに行く。また公的資源では、たとえば北海道の何も観光がない街にある、ナイター施設の野球場がそうです。東京だと草野球をするにも、その場を予約するのが大変です。それが、ナイターで思い切り野球ができて、その後で温泉やグルメも楽しめる。これを誘致して大成功しました。使いたい放題ですからね。関東の人を狙う場合、珍しいものを打ち出す必要はないのです。ほかにもたとえば、弘前駅前の元ボーリング場も、そこをサバイバルゲームの場にしては?と提案しました。サバゲーの人たちが思う存分楽しめて、ゲーム後に温泉でゆっくりできると喜ばれています。このように廃屋も使い途があります。秋田も廃工場ツアーが人気ですよね。柏崎にも、そういうものがあるのでないですか?
予約しやすい公共施設とか廃屋とか、会いたくなるような人とか。柏崎のみなさん、きっと当たり前すぎて、普通にあるものすぎて、わからないのですよね。よそ者・バカ者の目で、市内を回って発見させると、気がつくようなものがきっとあると思います。そういう発見させるような取り組みもできるかもしれませんね。
ところで冬は何で観光客を引っぱるのですか?」
参加者「引っぱれません」
会場「笑」
増田代表「何もない? 冬だからあるものは? 冬の幸は?」
参加者「タラ。でも漁師さんが漁へ出られないです。
山のほうは雪を生かした催しもありますが、海側は動かないです」
増田代表「それも逆手に取れますよね! 人が動かない、静かな街。
でも荒波は烈しいのですよね?!」
参加者「昔は柏崎の風の音を聞いてもらおうという取り組みもありました」
増田代表「どんな音?」
参加者「びゅ〜〜と」
会場 「笑」
増田代表「青森では地吹雪体験ツアーを考え注目されています。柏崎の風と荒波、選挙の項目に出なかっただけで、関東の人からすればこれも魅力といえます。身近すぎてごく普通と思っているものは、えてして見落としてしまいがちですし、意外と思われるかもしれませんが、嫌がりそうなもの、変なものも、ひとつの価値に基づいてつなげると、ほかにない面白い魅力を打ち出せるのではないでしょうか。いずれも大切なのは、誰を喜ばせるのか、です。もっとアイデア出しをしたいところ、時間がないのは惜しいですが、嫌がりそうなもの、変なもの、普通と思っているもの、にもぜひ着目して、シティセールスのみなさん、頑張っていってください!
ところで、今、とても夕焼けが綺麗です。これも魅力では?」
市外からの参加者「わーーーーっ!」
異業種×異地域で、NICe頭脳交換会 テーマ2
「不動産会社の2階スペース(約20坪)をコミュニティースペースに。
どのように運用したらいいか?」
○プレゼンター 飯塚政雄 さん:八幡開発株式会社 代表取締役
○ファシリテーター NICe増田紀彦代表理事
「ハンマー投げの室伏選手に似ていると言われています(笑)」と自己紹介からプレゼンをスタートした飯塚政雄さんは、30歳の時に父が経営する不動産会社・八幡開発株式会社に就職し、34歳で代表取締役に就任、現在39歳。会社は賃貸物件管理戸数・売買物件数ともに市内ナンバーワンで、近年は主にアパートのリノベーション提案に注力しているという。さらに2015年7月1日より、自社オフィス2階を『リノベーションモデルルーム』としてオープンさせ、クロス1部屋張り替え無料をサービスとして提供する予定。そのモデルルームのフロアにある一室を、市民や近隣住民のコミュニケーションスペースとして開放し、近隣市民の方に喜んでいただき、これまでご縁がなかった層とのご縁づくりや、クチコミ、紹介により潜在顧客につなげたい考えだ。
飯塚さんはその2階平面図を示し、説明した。
2階には全部で6部屋あり、リノベーションのモデルルームとして、8帖のベーシック、6.7帖のナチュラル、6.7帖のシックノスタルジック、6.7帖の自然素材の4部屋を用意。ほかに、打ち合わせ・商談ができる12.8帖のミーティングルーム、ミニキッチン、トイレも完備。そして、テーマである、コミュニケーションスペースとして開放する約20坪のスペースだ。1階から階段を上り、このスペースへ行くためには、ちょうど4つのリノベーションモデルルームの前を通っていく、つまり、リノベーションが目に付く導線がちゃんとつくられている。このスペースの活用方法について、飯塚さんはセミナーやカルチャー教室なども考えられるが、そのほかにムク材を使って居心地の良い空間にするなど、自由な発想でアイデアをいただきたいと語り、プレゼンを締めくくった。
増田代表「利用料はどうお考えですか?」
飯塚さん「実費でと考えています。ちなみに近くの市民会館は1時間約600円なので、500円くらいを予定しています」
増田代表「民間の貸しスペースは通常、公的機関と比べてやや割高ですが、かなり安い。公的機関並みかそれ以下ですね」
飯塚さん「はい」
増田代表「アパートのモデルルームは珍しいと思いますが、来ていただきたいのは家主さん?入居者さん?」
飯塚さん「入居者さん、家主さんはもちろんですが、それだけではなく一般の方にも来ていただき、活性化につながればと思っています。自分でいろいろリノベーションできるこを当社の売りにしようと考えていますので、入居者さんであれば1部屋お好みに無料でサービスしますし、ほかの不動産の家主さんへも伝わって、遊びに来ていただいて、リノベーションの促進につながればと思っています」
増田代表「たとえばアパート1棟で、各部屋がみんな違っていてもいいのですね?」
飯塚さん「です!」
増田代表「コミュニケーションスペースの利用料で儲けるのではなく、話題にしてほしいのですね?」
飯塚さん「はい。いろんな方に来ていただき、クチコミや紹介、活性化につながればと思います」
増田代表「ちょうどこの会場の半分くらい、かなりの広さですね。さぁ、人が来そうなアイデア、5分で話し合ってください。スタート!」
テーマ2 発表タイム!
「不動産会社の2階スペース(約20坪)をコミュニティースペースに。
どのように運用したらいいか? 活用アイデアは?」
挙手制で!
・子どもの向けのコスプレスタジオ。スーパーヒーローの写真が撮れるよう。当然保護者も一緒に来るので
・新婚さんごっこができるスペースに
・ウエディングのパーティや二次会の会場に。新婚さんが最初に暮らすのはアパートなので
・企業の会議室、個人的には自習室が欲しいので自習室にして開放してくれると嬉しい。学生さんも多いので喜ばれ、入居にもつながるのでは
・楽器の演奏ができる練習スタジオに
・お試し事務所。リラクゼーションなどの資格を持っている女性は自宅ではできないので。人も出入り入やすいし喜ばれると思う
・クラフト作家の発表・販売の場に。ネット販売では素材感が伝わりにくいが、ここなら実際に手触りもわかる
・オープンサロンにしてママの学びの場にする。子ども連れで勉強できる場。あわよくば1部屋は託児スペースに。子どもができると引っ越しも検討するので客層に合う
・曜日によってお試しショップやギャラリーに
・柏崎市では65歳の方への「コツコツ貯筋体操」を推進している。そいういう高齢者をターゲットにする。独り住まいの方も多いので、こういうところに住んでみたい!となればなおいいのでは
・高齢者、子ども連れが、一緒に使えるといいと思う。子どもをお年寄りが見る
・wifi環境にして、一人でも入れるようなスペースに
・簡易宿泊施設にしてシェアハウス
・仮ひとり暮らし体験ができるスペースに
・柏崎に来ている単身赴任の人向けに。パソコンルームや貸し場所のような
増田代表「単身赴任者が困っていることは何でしょう? 活用アイデアは?」
・なるべくアパートに居たくないので、居場所が欲しい
・ランドリーしながらおしゃべりしたり。ちょっとビール呑みながらトランプしたり
・衣替えの服を預かってほしい。スペース利用できたらいい
増田代表「高齢者、子ども連れ、学生、起業家、単身赴任者、貸しスペースにと、いろいろ出ましたがいかがでしたか?」
飯塚さん「たくさんのアイデアありがとうございました。ヒントいただきました。ターゲットを絞って、それごとにどうやっていこうか具体的に考えていきたいと思います」
●Part2の体験付きNICe頭脳交換会 in 柏崎レポートこちら
http://www.nice.or.jp/archives/29704 へつづく
●NICeのイベント、勉強会 今後の予定一覧はこちら
http://www.nice.or.jp/real_schedule
取材・文、撮影/岡部 恵
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