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vol.183 特別号【増田紀彦代表から3.11メッセージ】つながり力で起業・新規事業!



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Vol.183           2023.3.11
つながり力で起業・新規事業!メールマガジン
起業支援ネットワークNICe https://www.nice.or.jp

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今号のメールマガジンVol.183は
特別号として、3.11メッセージをお届けします。

このメルマガは、NICeの活動に参加された方々、
またはNICe代表理事・増田紀彦と名刺交換をされた方々、
および全国の起業家、経営者、農林水産事業者、起業・創業希望者、
地域振興関係者、中小企業支援・創業支援機関、一次産業支援機関の方々へ送信しています。


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  NICe代表 増田紀彦から3.11メッセージ

    震災を、人災にしないために

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東日本大震災が発生した2011年3月は、
その2年半前に起きたリーマンショックの影響により、
日本経済が苦しいやりくりを続けているタイミングだった。

当時の政治状況も厳しかった。

新聞記者に対し、「あなたと違うんです」と言い残して、
首相を辞任した福田康夫氏に代わり、麻生太郎氏が総理に就任。

麻生政権は、リーマンショック対策のため、
定額給付金やエコポイント、エコカー減税、住宅減税など、
積極的な財政出動を行ったが、
緊縮財政死守の財務省やマスコミから目の敵にされ、窮地に……。

そして、政権は民主党へ。

ところが、「政治主導」を掲げた鳩山内閣もまた、
麻生政権同様、官僚との軋轢を深め、
結局、掲げた政策の大半を実現できないまま退陣。
代わって首相に就任したのが菅直人氏だった。
その9か月後、東日本大震災発生。

3.11は、日本の経済と政治が混乱する中での出来事だった。


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「あの時、与党が民主党ではなく自民党だったら、
もっと適切な対処をしていたのではないか」。

そんな見方をする人もいるが、どうだろう?
100年に一度、あるいは1000年に一度と言われた天変地異だ。
誰が指揮を執っても、直後の対応は難しかったと想像する。

むしろ問題にすべきは、3.11よりもはるか以前から、
政府が防災対策視点での公共工事投資を削減し続けてきた事実だ。
この点では、自民党も民主党も変わらない。

政府が耐震化工事やインフラの補強工事を積極的に進めていれば、
どれほどの生命と生活が救われたことか。

原発事故に関してもそうだ。

「原発は決して危険なものではありません」。
そう喧伝してきた人たちでさえ、電源が喪失し、
原子炉が冷却できなくなれば何が起こるか、知らないはずがない。

2022年6月に結審した福島第一原発事故損害賠償裁判は重要だ。

最高裁は国の責任を認めない判決を下したものの、
合議に加わった裁判官の一人、三浦守裁判官は、
「信頼性が担保された長期評価をもとに事故は予見でき、
浸水対策も講じさせれば事故は防げた」と指摘して、
国は東電と連帯して賠償義務を負うべきと主張したからだ。

あの3.11の被害は、
「予見できなかったから大きくなった」のではなく、
「予算を削減し続けたから大きくなった」。私もそう思う。

外交努力を積み重ねれば、戦争は回避できるが、
地震は、私たちの話など聞いてはくれない。待ってもくれない。

400発のトマホーク(ミサイル)に2113億円も投じるなら、
その分を、いや、せめて半分を国土の強靱化に回してほしい。

「万一の侵略に備える」という発想を頭越しに否定はしないが、
地震や深刻な水害は、万一どころか、ほぼ確実に、
これからも毎年のように、この国を侵そうとするだろう。

地震列島であり、原発列島である我が国の未来を考えるなら、
優先して取り組むべき課題は明白だ。


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トルコとシリアを襲った地震による被害も深刻である。

とはいえ、トルコ地震のマグニチュードは7.8であり、
東日本大震災の9.0と比べて、エネルギーははるかに小さい。

にもかかわらず、あれだけ建物が倒壊したのはなぜか?
建築基準(耐震基準)が甘かったからなのだろうか。

米国の構造工学者・ジャイスワル氏は、
「上階が下階に重なって倒壊する『パンケーキ崩壊』が見られるのは、
建物が衝撃を吸収していなかったことを意味する」と指摘した。

ということは、どういうことか?

英国災害学の権威・アレクサンダー教授が述べる。
「既存の建物に適用しうる規制が非常に不足しており、
新築の建物に対する規制も十分ではなかったから」だと。

やはり基準に問題があったのか?

そういうわけでもない。
トルコにも現実的な基準を設けた規制は存在している。
1999年に大地震に見舞われ、それを機に基準を変更したからだ。

ところが、トルコ政府は基準を満たさない建物への過料を免除し続けた。
そうなれば、資金を投じてまで改築する人は減る一方だ。
トルコ政府は、事実上、不良建築物を放置してきたと言っていい。

トルコの建設工学者・ギリトリオル氏は、
トルコ南部の地震影響圏にある地域の約7万5000棟の建物が、
こうした行政処分の免除を受けていただろうと推測している。

しかも、トルコ政府は24年間に渡って「地震税」を徴収してきたが、
この資金を本当に防災のために使ったのかも、疑問視されている。


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残念ながら、私たちには、地震の発生自体を阻止する力はない。
しかし、被害を小さくすることはできる。

耐震化・免震化・強靱化の推進。
震災発生後の関連死や自死を減らすための手立てもある。
防災思想や防災教育の普及にも取り組める。

話は簡単だ。
できることをやるか、やらないか。
それだけではないだろうか。

そして、やらないのであれば、地震は人災になる。

トルコ政府に対する疑問を呈したが、翻って我が国政府はどうか。

阪神淡路大震災、中越地震、そして東日本大震災と、
連続的な地震に見舞われているにもかかわらず、
また、気候変動の影響で、
抜き差しならない水害が毎年発生しているにもかかわらず、
防災のための公共工事予算を小規模にとどめたままだ。

しかも、震災復興のために全国民が納め続けてきた税を、
防衛費に流用するという、信じがたいことまで言い出す始末である。

どこの国も似たり寄ったりか……。

今、トルコやシリアでは、
東日本大震災発生後の被災地と同じ状況が発生している。

インフラがない。住む家がない。そして、使えるトイレがない。
水洗できなくなったトイレは、病原菌発生の温床となり、
せっかく助かった命を、別のかたちで蝕もうとする。

大震災をくぐり抜けてきた日本の知恵と技術と資源を、
一つでも多く、一日でも早く、トルコとシリアに届けたい。
ぜひ、一人でも多くの方が被災地にエールを届けることを願う。


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仏教の倣わしで言えば、
この3月は東日本大震災で命を落とされた方々の十三回忌にあたる。

悲しみや苦しみから、人の心が解放されるに足る歳月ではある。

「12年前の3.11ではひどい目に遭ったが、
その後の日々によって、被災地や日本は、こんなに元気になれた」。

そう思えるのなら、確かに今年を区切りにできたかもしれない。
しかし、実情は違う。

福島第一原発周辺地域の復興計画は、事業期間残り2年になりながら、
昨年6月時点での計画達成率は、わずか13%にとどまっている。
また、いつ発生するかもしれない首都直下型地震や、
東海・東南海・南海トラフ地震への備えは遅々として進まないし、
原発の再稼働もなし崩し的に進められようとしている。

しかも、その間、全国各地で深刻な自然災害が度々発生し、
そこに新型コロナ感染症によるパンデミックが襲いかかり、
さらにはロシアのウクライナ侵攻による影響で、
コストプッシュ型のインフレが起き、
私たちは常に苦しい生活を強いられてきた

要するに、東日本大震災以降の数々の問題を解決できないまま、
次の問題が発生しては右往左往する。そんな12年間だった。

確かに、国を挙げて対処しなければならない課題は増える一方だ。
だが、それらに対して、広く浅くかかわったところで成果は上がらない。

「あれもこれもどれも、ほどほどの対策」を打つのではなく、
「これは是が非でも乗り越える!」と優先順位を決め、
官民一体で、国難を突破しにかかるべきではないだろうか。

政治家が言うところの一丁目一番地は、やはり防災だ。

国民の生命と生活と財産を守る。
政府が本気でそう考えるなら、
防衛予算倍増よりも先に、防災予算倍増を明言してほしい。

むろん、防災は政府だけの責務ではない。
私たち自身にも、防災に対する自覚と行動が求められている。

実際、私たちNICeも一昨日の3月9日、
一人一人が防災対策を立案するための視点と手法の体得を目指し、
ツリーシンキングとグループワークを活用した、勉強会を開催した。

打てる手を打たなかったために、人命や生活が奪われる。
これは人災だ。

繰り返し襲いかかる地震を人災にしないためにも、
私たちは、3.11を忘れてはいけない。忘れるわけにはいかない。

3.11を「過去の話」として語れる日は、まだまだずっと先だ。

<一般社団法人起業支援ネットワークNICe 代表理事 増田紀彦>


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