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NICe代表理事の増田紀彦が、NICe正会員・協力会員・賛助会員、寄付者と公式サポ ーターへ送っている【NICe会員限定スモールマガジン増田通信】の中から、一部のコラムを抜粋して掲載しています。
増田通信より「ふ~ん なるほどねえ」284 時々あること



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<最近の教訓> 時々あること
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福岡市で開催されるイベントでの講演を依頼された私は、
当日、羽田からJALを利用して福岡空港へ向かった。
かれこれ、10年以上前の話だ。

その日、日本列島は全国的な好天に恵まれ、
福岡空港への到着時刻も、ほぼ予定通りだったと記憶している。

機内アナウンスが着陸降下態勢に入ったことを告げ、
ほどなくして、機内映像は福岡空港の誘導灯を映し出した。
すでに車輪も出ている。

そろそろ着陸だ。

そう思い、軽く身構えたときだった。
経験したことのない圧力が体にかかったと思うやいなや、
機体が離陸時以上の角度で急上昇し始めた。

何だ? 何が起きたんだ?

機体はなおも上昇を続け、
瞬く間に空港を飛び越し、玄界灘上空をひたすら西へと飛び続けた。

いったいどこへ行くつもりなんだ?

機内はざわめいている。

水平飛行に移ったタイミングで、CAがマイクを握った。
口調は明らかに興奮している。

「お知らせします。
着陸予定の滑走路に別の機体が停止していることを、
機長が目視で発見し、回避しました!
みなさま、安全は確保されました。大丈夫です! 
心配はございません。大丈夫です!
繰り返します……」

危機一髪だったのだ。

のちに航空業界に詳しい人から聞いたのだが、
「福岡や羽田や新千歳では、時々あること」だと。
離発着が過密な空港特有の問題ということだ。
そうは言っても、時々あって許される話ではないだろう。

こういうインシデントが繰り返されてきたのだ。
それがとうとう重大なアクシデントにつながってしまった。

滑走路上での機体同士の接触・衝突は、
決して「想定外」の事態ではない。

たまたま私は良好な視界と、機長の優れた判断で命を救われたが、
あれが夜間飛行だったら、1月2日の羽田の事故と同様か、
それ以上の惨事に巻き込まれていただろう。

航空管制のあり方を、いや、管制だけでなく、
航空安全管理全般に関する抜本的な見直しが図られるべきだ。
「時々あること」の根本原因から目を逸らし続けた結果が、
どのような事態をもたらすのか、はっきり目にしたはずだ。

そのうえで、今回の事故は、決して他人事ではないと思った。

問題があることを知りながら、
軽視したり、放置したり、彌縫策で済ませたりする……。
そんな過ちを、私たちはおかしていないと言えるだろうか。

人命に直結しない仕事であっても、
インシデントを放置した結果生じた問題は、確実に誰かを不幸にする。
当然、その代償は自らが払うことになる。

あなた自身や、あなたの周囲で、
時々起きる問題はないだろうか?

建設業界や製造業界では、
「ひやり」「ハッと」という言葉を使って、
重大事故につながる前兆を発見しようと努めているが、
すべてのインシデントが、
ひやりとしたり、ハッとしたりするかたちで現れるわけではない。

「ああ、またやった……」。
「いつも、ここで引っかかるなあ」。
「これ、前から面倒だと思っているんだけど……」。

そういう「小さな疑義」こそ、
アクシデントを防止するための貴重なヒントだ。

「時々あること」を見逃さない眼と、
それを話題にできる組織風土が、
明るい未来をもたらす礎(いしずえ)なのだと、
今回の羽田の事故を見て、あらためて痛感した。
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増田紀彦NICe代表理事が、毎月7日と14日(7と14で714(ナイス)!)に、
NICe正会員・協力会員・賛助会員、寄付者と公式サポーターの皆さんへ、
感謝と連帯を込めてお送りしている【NICe会員限定レター「ふ〜んなるほどねえ」スモールマガジン!増田通信】。
第284号(2024/1.15発行)より一部抜粋して掲載しました。
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