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起業したては誰もが新人。独立してから遭遇する、 始動して初めてわかる、直面するピンチや悩みの数々。 そんな先輩たちの実体験から学ぶ「起業あるある!」&ワンポイントガイド。
第53回 叩き上げの職人気質な父との攻防。尊敬の念で言葉と心を通わせ、互いに全幅の信頼へ



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「先輩経験談 あるある!ピンチ&リカバリー」

第53回 叩き上げの職人気質な父との攻防。
尊敬の念で言葉と心を通わせ、互いに全幅の信頼へ

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起業したては誰もが新人。独立してから遭遇する、
始動して初めてわかる、直面するピンチや悩みの数々。
そんな「起業あるある!」事例から学ぶシリーズ。
今回は、「継承」です。

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 永田宗士さん 
 1969年創業・2003年承継・法人化
 愛知県名古屋市
 
 有限会社永田印刷 
 代表取締役
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印刷機の回る音が子守唄だったという永田さん。
創業者の父親から、一度も家業を継ぐように言われたことはなく、
永田さん自身も、考えたことはなかったという。
大学卒業後は食品原料の貿易会社に10年弱勤務し、営業職に就いていた。
しかし、父親が65歳の頃、
「少しずつ取引を減らして、店仕舞いをしようかと思う」と言い出した。
父が自ら拓いてきた、東海エリアの歯科業界の印刷物を手掛ける個人経営の印刷業。
閉じるのは惜しい。ならば!と、永田さんは家業へ入る決意をした。

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「幼少の頃から見知っていたとはいえ、畑違いの世界。
せめて最新のデザインや印刷ソフトを扱えるようにと
社会人向けの夜間学校へ通い、最低限学んでから家業へ入りました。
あと数カ月、前職の会社に勤めれば、
10年以上勤務で退職金の額が上がると知っていましたが、
馬鹿正直に待ちませんでした。
どうせならばと、私の入社と同時に法人化して代表に。

お客さまは、父が長年ご縁をいただいてきた医療関係で、
診察券、チラシ、薬袋、カルテ、カタログなどを印刷します。
電子化されつつありますが、まだまだ紙が現役というお客さまも少なくありません。

店仕舞いと言っていた父は、印刷会社の丁稚奉公から腕を磨き、
独立したバリバリの職人です。
叩き上げでやってきた父に私は敵わないので、
私は職歴を活かして、新規開拓していこうかと考えていました。
お客さまのところへ行く機会も多いし、
前職が営業でしたので、スーツは当たり前の仕事着。
当然のことのようにスーツ姿で出勤、すると父が、
『なんでそんな恰好しているんだ!』と怒るのですよ。
もちろん機械を扱う時は、作業着に着替えますが、スーツ姿が気にくわない。
経理などの事務仕事を日中にやっていても、
『なんで印刷機を回していないんだ!そんなことは夜やれ!」と。

父の流儀では、日中は印刷機を回す、それ以外は夜。
お客さまのところへ出向くのも夜。
お客さまである歯科医師も、個人経営の方が多いので、
訪問時間は診療時間後になるのは自然なのですが、
とにかくよく怒られましたよ。
今でこそ笑えますが、継いだのを機に税理士を依頼したら怒るし、
私がパソコンに向かっていると怒るし(笑)。
売り言葉に買い言葉で、継いだばかりの頃はどうなることやらと思う日々でした。
父に反抗するかのように、私もわざとスーツを着たり。

でも、抗っても私の勝ち目はないなぁと。
腕前も段取りも、さすが叩き上げの印刷職人。
ただ父は、売上こそ把握していたでしょうが、
利益をあまり意識していないようでした。
私からすれば、なんでこんなに安く受けているんだろうと思う案件や、
昔気質の職人だからか、印刷だけにしか興味がないのか、
儲けることに興味関心がないと思えるような見積もりも多々。
それでも長年、私たち家族が食うに困らず、私を大学まで行かせてくれた。
つまりは、それだけ量をこなしてきたということであり、
しかも大手からの下請けはなく、父がご縁を広げてきた直受けばかり。
すごいことだなぁと、改めて尊敬の念も深まっていきました。

売り言葉をそのまま買わずに(笑)、
真意や意味を理解してもらえるよう、より良くするためのアクションだと伝えて、
関係性も信頼も積み重ねられるような、言葉選び、とでも言うのでしょうか。
言葉かけ、心がけ、ひとつひとつを大事にするように努めました。
親としてもちろん尊敬していますが、仕事中は、
「プロフェッショナルな職人さん」としてリスペクトして接するように。
もちろん時間はかかりましたが、
無茶苦茶なことを言われなくなってきました(笑)。
アナログ機械は父、デジタル系の案件は私、と棲み分けもできて、
お客さまにもご理解いただき、少しずつ価格設定の見直しもさせてもらいました。
過去、集金のこげつきは1度もなく、100%の回収率というのも、
父が広げたお客さまに恵まれているのだと感じます。

その昔、夜遅くに呼びつけられても文句ひとつ言わず、
逆に、喜んで馳せ参じたと言う父。
印刷機を回さない夜の時間帯のほうが自身もありがたかったのでしょう。
そんな父の仕事ぶりを快く思ってくださったお客さまが、
『いい印刷屋がいる』と、同業者仲間へ薦めてくださり、
その輪が広がって今があると聞いています。
65歳で店仕舞いと言っていた父ですが、今86歳、まだまだ現役です。
私に継いでほしかったから、そう言ってみたのか、
真意はわかりませんが、父が築いてきた信頼をより強固にすべく、
これからも父と一緒に家業を育んでいきたいと思っています」


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   あなたの挑戦を応援しマッスー☆
      ワンポイントガイド
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真面目という言葉は、あまりに手垢にまみれて
しまった感があります。その手垢をきれいさっ
ぱり落として、ピカピカに磨いた真面目さを体
現しているのが永田さんです。今回のインタビ
ューを通じて、お父上に対しても、心底誠実に
接して来られたことを知りました。「跡継ぎ」
と呼ばれる方々には、いろいろな思いや考えが
あるでしょうが、先代に対してただ反発するで
はなく、ただ尊敬するでもなく、永田さんのよ
うに、畏敬の念を持ったうえで、冷静な評価と
感謝の念を抱くことが、後継者としての理想的
なあり方なのだと痛感しました。日々を真面目
に生きていれば、これだけの境地に到達するこ
とができる……。人生の何たるかまで、永田さ
んから教わった気がしています。(ますだ)


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「つながり力で起業・新規事業!」メールマガジンVol.209
(2024.5.13配信)より抜粋して転載しました。
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