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厳しさを増す経済・経営環境に立ち向かうために、NICe増田代表理事が送る、視点・分析・メッセージ 。21日配信のNICeメルマガシリーズコンテンツです。
日本円か、米ドルか



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 「増田紀彦の視点 どうする?日本経済」

   第126回 日本円か、米ドルか
 
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【若い経営者が抱いたシンプルで深い疑問】

私より30歳ほど若い経営者がこんなことを言い出した。

「戦争(第二次世界大戦)のあと、
アメリカはなぜ日本を自国の領土にしなかったのだろう」と。

彼の疑問は、国際史への関心から生まれたものではない。

「日本がハワイやアラスカみたいにアメリカの一部だったら、
英語で苦労したり、円高円安で一喜一憂したりしなくて済んだのに……」。
つまり経営者としてのジレンマから漏れ出た言葉だった。


【日本はアメリカの意に沿う「他人」】

なぜ、領土にしなかったのか?
それだけを考えるなら、さほど難問とは思わない。

仮に日本が金やダイヤモンドや鉄鉱石が無尽蔵に採掘できて、
石油が湯水のように湧き出る列島だったら、
アメリカも自国領土化を進めようとしたはずだ。

だが、実際にそんなことはないし、むしろアメリカ本土から遠く、
得体の知れない日本人ばかりがひしめき合って暮らす島国を、
統治するリスクとコストのほうが重いと考えたのだろう。
だから、アメリカの意図に沿う「他人」でいてくれるほうが得。
合理的な思考を尊ぶ彼らなら、そう考えるはずだ。


【日本語と日本円だけでは立ち行かない時代】

アメリカの古い占領方針よりも深刻なのは、
特別な国家観や民族観を持っているわけでもない普通の青年が、
「フツー」に「日本がアメリカだったら良かったのに」と感じるほど、
日本の生活も産業も、英語と米ドルに攻め込まれていることだ。

日本国内の市場が堅調だった時代は、
日本の企業同士が、日本国内で、
日本語を使って商談し、日本円で支払いをするだけで事が足りていた。

しかし、今はそうはいかない。

事業成長を考えれば、縮小してしまった日本市場に見切りをつけ、
海外市場での展開を考えざるを得ないし、
国内だけで事業を営んでいるにしても、
円安につられて押し寄せる外国人に対応しなければならない。
また、労働力不足を補おうと外国人の活用を進めれば、
やはり英語(もしくはその他の外国語)を使いこなす必要が出てくる。

一方、資源や原料、食料、部品や製品の多くを、
海外から調達するようになった日本の産業は、為替の影響をもろに受ける。

円安(とそれによる物価高)に押しまくられ、
ネイティブの早口英語にも押しまくられて疲労困憊する経営者は、
決して彼だけではないだろう。


【マネーに対してもバイリンガルであれ】

青年経営者の気持ちもわかるが、「たら・れば」を言っても仕方ない。

何が起こるかわからない世の中ではあるが、
それでも日本の公用語が近々英語に変わることはないだろうし、
日本の通貨が近々米ドルに変わることもないだろう。

反対に、日本語が世界の共通語になったり、
日本円が世界の基軸通貨になったりする可能性も、まずない。

であれば、非常に面倒だが、
私たちは日本語と英語の両方を使いこなし、
同時に日本円と米ドルの両方を使いこなせるようになるしかない。


【投資詐欺にはくれぐれも注意を】

エコノミストの森永卓郎氏は、
「お金は汗水垂らして働いて稼ぐもの。
お金にお金を稼がせてはいけない」と訴える。

同感ではあるが、そうは言っても、
持てるお金のすべてを消費や設備投資に回すのも現実的ではない。
一定程度は金融商品で運用してもいいだろう。

そう言えば最近、
ニセの投資案件の広告をSNSにアップしていた連中が逮捕された。
それこそ、森永氏をはじめとする、
金融や経済に造詣の深い人たちの名前と写真を勝手に使い、
ありもしない投資案件に出資をさせて荒稼ぎしていたのである。

なので「有名人がSNSで勧めている商品」に手を出すべきではない。
付け加えると、「安全性と収益性の双方が期待できる商品がある」、
などと吹聴する人がいるが、そんなものは、ほぼ間違いなく詐欺だ。


【投資の手始めに、米ドル建て生命保険】

私がお勧めしたいのは、
日本の金融機関が販売している米ドル建ての金融商品である。

もし、貯蓄や保険や株式投資を、日本円でしかしていないという人がいたら、
一部を米ドル建て商品に変えてみてはいかがだろう。
米ドルを使いこなすための第一歩として頃合いのいい取り組みだと思う。

私はすべての関連商品を比較したわけではないので、
「これ!」とは断言できないが、一例を挙げるなら、
米ドル建ての生命保険は取っ付きやすいと思う。
ほとんどの生保会社(大手生保の系列保険会社)が販売しているはず。

こうしたタイプの生命保険は、死亡時の給付が本命ではなく、
一定期間運用して、ある程度の収益が出たら解約するのが通例だ。

実際に私が購入した商品の中には、
購入者自身が設定した値上がり率を達成したら、
その時点で運用を停止するという生命保険もあった。

私はためしに「元金が110%に達したら解約する」と設定してみた。
いやいや驚いた。1年ほどでその目標に到達してしまったのである。
言ってみれば年利10%(以上)の定期預金をしたようなものだ。
円建ての運用で、こんな短期にこんな収益を得ることはまず不可能だろう。


【1ドル=200円になってもおかしくない】

話の方向性が少しずれたかもしれない。
私は「米ドル建ての金融商品なら儲かる」と言いたいわけではなく、
日本円ばかりを貯め込んでいては危ないと言いたいのだ。

もちろん日本円は普段の決済においては便利な通貨である。
だが、運用(貯蓄や投資)においてはどうだろう?

私は日本の国際的な位置を考えると、
まだまだ円安は続く、あるいはさらに進むと予想している。

高齢化の進捗と出生率の悪化は、
この国の稼ぐ力を総体的に低下させ続けるし、
天然資源もなければ、世界の市場をリードする産業もない日本の通貨を、
誰が好んで手に入れようと思うだろうか。
だから1ドル=200円になっても私は驚かない。


【外貨建て商品への投資増加も円安加速要因】

もちろん為替には相場があるので、
短期的には円高に触れる局面もあるだろう。

実際、今年の4月下旬から5月下旬にかけて、
財務省が為替介入をしたことで、一時的に円安進行に歯止めがかかった。
聞けば、財務省はそのために10兆円近くもの外貨を放出したという。
日本政府があとどれくらい外貨を投入できるのか私にはわからないが、
限りはあるわけで、こんな方法で円高を誘導することには無理がある。

そして何より、私たち日本企業も日本の個人も、
かつてのように日本円一本での資金運用から、
米ドルをはじめとする外貨建ての資金運用を積極的に選択し始めている。
実はこれが円安を押し進める静かな要因になっているのかもしれない。
日本円を売って(支払って)外貨(建て商品)を買うのだから日本円は安くなる。

円が安いから外貨を買う。外貨を買うからさらに円が安くなる……。


【求められるのは、通貨を使い分けられるセンス】

つまり、こうして米ドル建て金融商品を私が勧めること自体、
円安トレンドに加勢することになる。

先輩たちが身を削って築き上げてきた日本経済。
それを弱体化させることに与する行為かもしれない……。
そんな忸怩たる思いを抱えながら私は原稿をここまで書いてきた。

半面、感傷的な動機に固執して、
時代の変化に抗うことの無意味さも理解している。
冒頭で紹介した若い経営者の一言が、時代の流れを的確に表している。

結論としては、
日本円を取るか米ドルを取るか、というような安直さ、
もしくは了見の狭さこそを、私たちは戒めるべきなのだ。
必要に応じて通貨を使い分けることができるセンス。
そういう見識と柔軟性こそが、今を生きる日本人に求められている。


【理想は「円安を奇貨として円高を目指せ!」】

現実的には、上記のような考え方が大事だと思う。
だが一方で、日本経済がなめられっぱなしな状況にも我慢ならない。

幸か不幸か、円が安いおかげで世界中から観光客が押し寄せている。
そして、この人たちは、私たち自身が気付いていなかった、
日本の魅力や日本の資源を掘り出し始めている。

彼らの視点を徹底的に学び、彼らの行動を徹底的に分析することで、
日本が世界にプレゼンできるビジネスを生み出せるかもしれない。

そうなれば、日本円は強くなる。日本経済は元気になる。
言ってみれば、円安を奇貨として円高を目指す道筋だ。

現実対応力とビジョン構築力。
この両方に磨きをかけることが、日本経済の必須課題である。

<一般社団法人起業支援ネットワークNICe 代表理事 増田紀彦>


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「つながり力で起業・新規事業!」メールマガジンVol.212 
(2024.6.21配信)より抜粋して転載しました。
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