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「NICe棚田クラブ 第1回交流会」レポート


〜人とつながり 自然とつながる〜
「NICe棚田クラブ 第1回交流会」レポート


 

 




棚田で田植え、山で山菜とり。
見えてきたものとは?


 


■□■はじめに
2010年5月29日(土)、30日(日)、NICe連携事業第1弾となる「NICe棚田クラブ」第1回交流会が開催されました。

 


新潟県十日町市にある田んぼ1枚をNICe棚田クラブで借り上げ、そこを舞台に、米づくり体験や農作業体験。さらには実際に農産品や地域特産品に触れながら、起業家として、それらの資源をどうビジネスに生かしていくかを仲間とともに考え、見識と人脈を広げていく学習交流活動です。もちろん秋に収穫した魚沼産コシヒカリは有志のもとに。

 


それでは、両日のプログラムに沿って、棚田での田植え体験、山に分け入っての山菜とり体験など、参加者による感想と、また、地域資源をどのようにビジネスとして生かしていけるかなど、白熱した意見交換会の様子をお届けします。

 


■□■プログラムの概要

 


●29日(土)
13:00 十日町駅東口に集合
ホームセンターにて作業着、作業道具等の視察、購入
14:30 白羽毛地区の棚田(NICe田んぼ)にて田植え(手植え)
終了次第、田植え機による“現代の”田植え作業を見学
19:00 懇親会
●30日(日)
9:00
集合
「三ヶ村いきいき館」の山菜収穫所・加工所見学
近くの山で山菜とり体験
販路開拓についての意見交換
12:30 いきいき館のお母さん方 手づくりの「重箱パーティー」
13:30 解散
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■□■1日目/棚田で田植え体験
田植え体験者が声をそろえて言うこと、
それは、五感が研ぎ澄まされた!

 


新潟県十日町市の旧中里村にある棚田の里、白羽毛(しらはけ)。 NICe田んぼを好条件で提供してくれ、おまけに田植えから収穫までの指導と管理を担ってくれるのが「白羽毛ドリームファーム」のみなさん。NICe田んぼの面積は約400㎡。うまくいけば3俵のお米が収穫できます。田植えの指導は白羽毛ドリームファームの樋口利一氏にお願いしました。
http://www.shirahake.com/

 



左/「NICe棚田クラブ」代表の池田美佳氏。2010年3月末で十日町市役所職員を辞し独立したばかり
中央・右/ 田植えの前 に、十日町市内のホームセンターにて必要なものを視察・購入。田植え用の丈の長い地下足袋も初めて見るもの。帽子一つ選ぶにも、東京でも使えるものを、というメンバーも。しかし、やっぱり十日町風の(?)麦わら帽子に。

 



“手植え”による田植えについて、解説してくれる「白羽毛ドリームファーム」の樋口徹氏(左)と、樋口利一氏(右)。後方の“NICe田んぼ”で、ワクという道具を転がして苗を植えるポイントの印付けをしているのは中島弘智氏。右写真のように、見事な升目が描かれる。

田んぼには、写真のような苗入れカゴをしょって、適量の苗を持って入る。

 



いよいよお待ちかねの田植え開始。吸いつくと離れないというヒル
を気にしてハイソックスを履いて入る人もいれば、裸足で泥の感触
を味わいたいという人も。ワーキャー言いながらの田植えが展開
されるが、だんだんと速度の差が。

 



さあ、完全に苗を植え終わりました。中には「自分が植えた
列だけ育たなかったりして」と、不安にかられる参加者も。

 



今回の「NICe棚田クラブ」では、子供プログラムも設けて、田んぼ
周辺の自然観察などを、行いました。最初は虫やカエルに驚いて
いた石井英次氏の長男・瑛都くん(写真左・5歳)。永山仁氏の長男
・心くん(写真中央・4歳)は、お父さんが田植えを終え
ようとしている頃に、にわかに田んぼに入って仲良く田植え。

 



田んぼや畔には何十匹という青
ガエルも。水がきれいなところにしか
生息できないという青ガエル。
NICe田んぼがきれいだという証拠。

 



田植えを終えたメンバーを待ち受けていたのは、ここ白羽毛でつくられたお米のおにぎり。
事前に聞かされていなかったことなので、皆、感激もひとしお! なんといっても、このお米は、
新潟県が認証した「特別栽培農産物」。農薬の使用回数及び化学肥料の使用量を慣行栽培
の5割以下に削減して栽培されたことを県が認証しているもの。もちろん、皆で植えた苗も
「特別栽培農産物」に。

 



田植え前に欠かせない作業「代かき」も見学。色が変わって泥状になっているところが
代かきを終えた田んぼ。機械による田植え見学では、田植え機に乗せてもらった子供たちが大喜び!
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田植え体験後の「NICe棚田クラブ」メンバーは、どんなことを感じ、これからの過疎地の農業、そして、自身のビジネスと照らし合わせて、どのような可能性を探ることができたでしょうか。

 


●横山岳史氏 (株)バーティック 代表取締役社長
横山岳史氏 五感は大事ということを強く感じました。田んぼのヌルっとした感触、指の間にくい込む土のきめ細かさ。それは、とても心地よい感触。とはいえ、田植えはす ごい重労働だと実感。私が進めている通販支援ビジネスの視点で考えると、お手伝いはできても、農作業や耕作放棄地をどうするかなど、根本は変えられない気 がします。都会の人が入り込むことで、今までになかったような発想の転換など、私自身も模索しながら参加したいですね。

 


●石井英次氏 レインズ 代表
石井英次氏 全国各地で増え続けているという耕作放棄地ですが、まずは、そのような現状があることを知ってもらうために楽しいイベントを開催するのはどうでしょうか。油が気になりますけど、休耕田でモトクロスとか、泥団子合戦、泥んこ騎馬戦など。自身の自動車関連事業で考えると、耕運機って、なぜ、青・白・赤・黒だけなんだろう、と。 お好みの色にペイントしてウキウキ気分で田植えというのはどうでしょうか。

 


●石田恵海氏 フリーランスライター
石田恵海氏 田植え合コンとか流行っているようですが、絶対いい!と改めて思いました。自分のアウェーにおいて頼りがいがあるよう見せるのはグッとくるポイント(笑)。初めての共同作業が田植えで、一緒に収穫までするうちに愛を育み、冬、そこで結婚式。いいんじゃないでしょうか。

 


●北出佳和氏 キタデザイン 代表
北出吉和氏 何らかの画期的な活用方法で田んぼを後世まで維持できるといいなと思いました。その土地ならではのビジネスを継続できたらと思っている都会の人も、は多いはず。地方でなんとかなっていない企業の力にもなりたいですが、逆になんとかなっている企業も見学してみたいです。お互いを結びつける道もあるかもしれないですしね。

 


●永山仁氏 (株)日鐘 代表取締役社長
永山仁氏 今回の体験を通じて、都市部での農業にも想いを馳せました。空きビルや工場に手を少し加えるだけで農業できるんやで〜、ということを追求していきます。弊社では野菜の水耕栽培実験を行っていますが、今回の体験で稲の水耕栽培にも着手しようと。さっそく白羽毛ドリームファームさんに稲を送っていただき、実験を開始しています。

 


●野崎ジョン全也氏 エイ・ブイシステムサービス(株)
野崎ジョン全也氏
稲の生育という観点で手植えの良さについてお聞きしましたが、手植えに戻るのは無理。そこで、田植え機を手植えに極限にまで近づける研究が必要ではないかと。耕作放棄された田んぼは、開発途上国に無償もしくは破格値で貸与し、当該国の労働者を住まわせ米づくりをさせるというビジネスプランを思いつきました。農業指導による手数料、できた作物を当該国に送る際の手数料、日本国内における米不足の際は買い取り、マージンを抜く(当該国にとっては外貨獲得の大きな機会創出になるはず)。実施できるレベルまでの企画ができたら、NICeの仲間たちで取り組んでもいいかと。

 


●小林あおい氏 会社員
小林あおい氏 仕事に追われる毎日からのリフレッシュを求めて、という実に都会人的な考えで参加しました(笑)。最近流行っているプチ農業は、都内で高いお金を払って畑を借りているケースも耳にしますが、それを白羽毛でやるというのはありかもしれません。貸し田んぼ料金に新幹線代の○回分付きとか、いつでも泊まれる宿付きとか、そういうオプションをつけて。

 


●岡部恵氏 フリーランスライター
岡部恵氏 5時間おきに「水見」をするのが大変な作業だと樋口利一さんから聞いて、増田さんのかつてのNICeの講演で紹介された雌牛の発情を探知して酪農家に知らせる「牛歩」を思い出しました。田んぼの水温、水量を知らせるセンサーがあれば作業軽減できるんじゃないかと。ちなみに三重県にあるベンチャー企業が、小型コンピュータ、カメラ、各種センサー、無線LANなどを搭載したユビキタスセンサーネットワーク機器とソフトを開発していて、このフィールド・サーバを農業現場に設置すると、リアルタイムに画像、気候・日照量・CO2・土壌データが収集できます。問題は価格ですね。

 


●久田智之氏 NICe事務局
久田智之氏 水温や気温、天気や風、地質のアルカリ度などなどの情報を常時収集して、統計分析して、指標的な数値をはじき出し、経験値が低い農業素人にも1年目から、おいしいお米をつくれるようにできる。そういったオートメーションな仕組みを開発するのはどうだろうかと。未来に匠の技術を情報として残す、というロマン。いつか、火星で稲作する、という時にも使えるデータになりそうですし。しかし、簡単に5年〜億年単位かかりそうですかね(笑)。

 


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■□■田植えを終えての懇親会

 


田植えを終えた夜は懇親会で盛り上がる! お酒がすすむと、笑い話
から真剣なビジネスの話へと話題が展開していく仲間たちも。池田美佳
氏は、新潟県内の棚田で栽培された酒米「越淡麗」でつくられた「特区
酒」を調達。地域、季節、数量限定のお酒だけに、日本酒好きの
メンバーは感激。

 


■□■2日目/山菜採りと加工所見学・販路開拓についての意見交換会
自身の仕事からの発想など、ユニークな意見も続出。
しかし、販路の拡大には、さまざまな障壁も
2日目は、山菜採り体験と、山菜加工品の販路拡大についての意見交換会。山菜採りをリードしてくれたのは、「三ヶ村いきいき館」の水落久夫さんと水落貢さん。まずは、近くの山に分け入っての最終。マムシが出るよ、という話にドキドキしながらも、完全装備の参加者は朝から興奮状態。

 



山菜の採集にあたって、山の中で注意することについて話して
くれた「三ヶ村いきいき館」の水落久夫氏(左)と、水落貢氏(右)。

 



採集ポイントまで徒歩にして10分ほどの山に登る予定でしたが、
「軽トラックに乗りたい人はどうぞ」の声に、こぞって飛び乗る
メンバーたち。 採集開始前から山の土手に自生する山菜や植物
の種類の多さに驚く参加者たち。食べごろの山菜の見分け方にも
「へーーーーーっ!」。

 



どんどん山に分け入り、次々と山菜を採る水落両氏についていく参加者たち。山歩きに
慣れてくると、毛虫やハチに出くわすだけでもワクワク。写真のようにワラビをどっさりと確保した参加者も。
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山菜採集体験に続いて、チーフプロデューサーの増田紀彦氏がファシリテーターとなり、山菜加工品の販売ルート確立についての意見交換会。十日町市三ヶ村地区の26世帯が一丸となって取り組んでいる山菜加工品づくりは、これからどうすべきか。水落久夫氏から事前に「ウドの酢漬け」を送ってもらい、それを試食していたこともあり、議論は白熱しました。

 



参加者全員に事前に送られていた「山うどの酢漬」。山に自生しているウドの、ハカマといわれる根元の部分だけを使ってつくられる酢漬け。きれいな桃色は、漬けている間に自然に出てくる天然の色。参加者は、「この酢漬けについて、忌憚のない意見を聞かせて」と求められていた。

 


■増田/まず、この商品を誰にどう売るか?

 


●日本酒が好きなので、セットにして販売するという方法はアリ(茅原裕二氏)
●トンカツと一緒に食べましたが、こってりしたものとはとても合う(石井英次氏)
●意外な組み合わせですが、クリームチーズと一緒に食べたらとてもマッチ(石田恵海氏)
●ご飯のおかずとしてもいいですが、やはり、お酒のつまみとしていいですね。お寿司のガリのような感じ(永山仁氏)
●そうすると、牛丼のショウガのように、付け合わせとしてもいいですね(岡部恵氏)
●付け合わせとして考えると、業務用にある程度の量を卸すという方法は探れそうですね。お寿司屋さん、牛丼屋さん、トンカツ屋さんなど(増田紀彦氏)
●高級なおにぎり屋さん、有機野菜の料理を出しているシルバー層向けのカフェがありますが、そんなところでも受け入れられそう(石田恵海氏)
●焼酎にガリを入れて飲むとおいしくて、このウドの酢漬けもけっこうイケるのでは(前田和幸氏)
●ウドの焼酎は十日町だけの特産品。いいですね!(池田美佳氏)
●老人ホームなど、高齢者福祉施設でも喜ばれそう(小林あおい氏)

 


●ウドは芽の部分が食べられないと聞きましたが、食べられなくてもウドとわかるように1本だけ芽を入れてみるのは?(小林京子氏)
●きれいな桃色ですが、それが自然に出てくる色ということは説明書きを見ないとわからない。ともすると、よくないイメージも(田村康子氏)

 


■増田/この色、何かめでたい感じの色ですが、それをウリにできませんか。ピンクに染まらないウドの上のほうの部分も使って、紅白の酢漬けにすれば縁起ものにも

 


●紅白饅頭のイメージですね(久田智之氏)
● 紅白○○ということでは、結婚だけでなく、還暦のお祝いにも(池田美佳氏)
●桃色が着色料ではなくて自然な色だということを訴えれば、マクロビオテックに興味がある人の興味はひきますね(小林あおい氏)
●結婚式のギフトはどうでしょうか。クッキーやティーバッグなどが多いですが、お漬物というのは聞いたことがない。ブライダルビジネスと結び付けることで、かなりの消費量が見込まれるし(石田恵海氏)

 


■増田/ギフト関連の企業など、卸す、ということには活路が見えそうですね。では、「これが欲しい」と思ってもらうための、加工の工夫などは?

 


●切っても切っても同じ模様が出てくる千歳あめのように、輪切りにするとハート型になるとか(小林京子氏)
●結婚式の引き出物は、人と同じことは避けたいという人も多く、高級梅干しなどが人気。それに和装がはやっているので、ウドも引き合いが多いのでは? ラッピングに凝ることで、商品は素朴な今のままでもいいかも(細谷裕代氏)

 


■増田/お父さんが山で収穫して、お母さんが漬けものにする、という夫婦円満のイメージも打ち出せますね。
では、パッケージについてはどうでしょうか? ウドは漢字で書くと「独活」ですが、そこからイメージできるものも。

 


●「独活」なら、独立開業のお祝いにもいいですね(岡部恵氏)
●透明な瓶に入っていれば、中身のピンクがすぐわかります(小林あおい氏)
●ラミネートしたように、透明な袋に薄く並べて「寿」という字を描くとか(久田智之氏)

 


■増田/業務用に卸すとしたら、どのような言い方でアピールするといいでしょうか?

 


●材料はあっても、現状のままでは生産が追い付かないという問題がありますね(水落貢氏)
●年間の収穫量や、加工品として生産できる量、取り引きとなったらその量の提示を求められるので把握しておく必要はあるでしょうね(野崎ジョン全也氏)
●仕事でそば屋さんの販売サイトをつくって支援していますが、季節ごとにパッケージデザインを変えています。そのような工夫も大事ですね(横山岳史氏)

 


■増田/たくさんの意見が出されました。三ヶ村のみなさん、ぜひ参考にしてください。

 



「三ヶ村いきいき館」のお母さんたちの手づくり山菜料理が次々
に出され、早く食べたいと息を飲む皆。でも、食事は意見交換会
の後、というプログラムを思い出し、中央の写真のように料理を
新聞紙で覆って議論。ワラビやゼンマイなど聞き慣れた山菜
もあれば、知っていても食べられることを知らなかったアケビ。
コシアブラは聞いたことがなかったという者も。

 



我がことのごとく真剣な議論が続き、
それを図解で書きだしていくのは小林
京子氏(左)。もっと議論したいというの
が参加者の共通意見。今後の「NICe
棚田クラブ」への期待もふくらむ。

 



いよいよ待望の食事タイム。実際に食べてみることで、あらためて
自然に成る食物のおいしさ、大切さを実感するメンバー。時間いっ
ぱい、いつまでも食べ続けている者も。

 



先に出発した関西組を除いて全員で記念撮影。
疲れのはずの面々ですが、未知の体験続きゆ
えに、ますます生き生きの表情。

 


取材・文・撮影/NICe編集委員 田村康子
撮影/石井英次

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