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NICe創業セミナー 第2回レポート




2011年11月18日(金)、NICe創業セミナーが東京渋谷で開催された。これは毎回様々なテーマで起業や経営に役立つ情報、ノウハウ、事業アイデアを学ぶNICe主催の勉強会で、10月からスタートした半年クールの6回シリーズ。その第2回目となる今回のテーマは、マーケティング実践のための15の基本チェックポイント。司会進行を務める寺田勝紀氏が自ら講師となり、8名の参加者と双方向で学び合った。


■講演



「マーケティング実践のための15の基本チェックポイント」



株式会社ベンチャーコンサルタント 代表取締役 寺田勝紀氏




「一度に15は実践できなくても、1つや2つを持ち帰り、実行に移すことが今日のゴールです」と語った寺田氏は、まず参加者全員の自己紹介から講義をスタートさせた。条件は2つ。30秒以内にまとめること、そして「なぜ起業したか」の理由を含めることだ。



地元で仕事がしたい、好きな仕事で生きたい、人間力を高めるため、健康のため、など、参加者の起業した理由は様々だった。寺田氏は、なぜ30秒以内でPRすることが大切なのかを説明した後、自身の起業理由をこう述べた。

「自分がやりたいことをやりたいと思ったからです。上に指示された仕事だけでは満たされない。好きな仕事がしたいとデザイナーで独立しました」

26歳で独立した寺田氏は苦労の連続だったという。その当時は、独立のための参考書もビジネス本もほとんどなく、情報量が少ない時代。“喰えるようになった”のは30歳を過ぎてから。広告からインテリアデザインへと展開し、店づくりを主な事業として広げてきた。その分、店の経営者の悲喜こもごもの現実を数多く見てきたという。そして寺田氏は、起業家を応援するため、2年前に仲間と新会社を立ち上げた。1社でも2社でも、いい会社が誕生すれば、日本は良くなる!という信念で、今も無料面談を続けていると語った。

「事業に失敗したら立ち直れない時代には、死を選んだ経営者もいらっしゃいました。今でも命日前後に墓参りをさせてもらいます……。ですが、今は、再チャレンジできる時代です! 起業して10年後に生き残るのは5%と言われていますが、転換すること、止めることを考えるのも大事です。そのうえで、せっかくのいい商品、サービスを持っていながら、経営が続かないのでは意味がありません、もったいない。そのためにも、おしゃれでかっこいいお店ではなく、流行るお店づくりを目指してきました。今日もその経験や実例を交えて、実践マーケティングの基本をお伝えします!」



続いて、「ないないづくし」と自称する寺田氏が、「ないない」のコンプレックスをどのような視点で転換し、強みにしていったかを語った。コンプレックスさえも強みに代える、それをアピールすることが肝心なのだという。そのアピールが相手にうまく伝わっていなければ、宝の持ち腐れ!ということで、さきほどの30秒PRの形式で今度は、「競合他社との差別化」を盛り込んで、また全員の30秒PRを行った。


これは、差別化をPRするには、競合他社を知らないと(マーケティングできていないと)、どこが差別化なのか言えないことを実体験するためのものだという。なるほど!






参加者ひとり一人のPRの後に、寺田氏が質問を重ね、職務や得意分野の違いだけでなく、発信する時の個性や手法も同時につきつめて改善する余地があると個々にアドバイスをしていった。


●マーケティングとは? 販促とは?

そして本題。15の基本チェックポイントに入る前に、そもそもマーケティングとは何か。状況や経験によるためマーケティングに絶対の正解はなく、市場を知る.己を知ることで、“売れるしくみを創ること”がマーケティングなのだと語った。次に独自のマーケティングで成功している3店舗の実例を紹介した。“独自”とは、つまり、いかにマーケティングに絶対の正解はない、というお手本ということが実例からもわかっていく。そのうえで、改めて基本の大切さと、無駄な出費を抑えるためにも個々の条件に則したテストマーケティングの効果を説明した。





●15の基本チェックポイント

ここまでマーケティングとは何か、その基礎と目的を踏まえたうえで、いよいよ15の基本チェックポイントについて。

寺田氏は、それぞれがなぜ重要なのか、その意味と詳細を1項目ずつ説明していった。項目ごとに質疑応答や実例、参加者の経験談も織り交ぜていくので、具体的な作戦プランが明確に。また、「やっていそうで実はできていない」との声に、「やらなくてはと思いつつも後回しになりがちなのも基本だからこそ」とのアドバイスも。




1.明確なコンセプトと“ウリ”をキャッチコピーにしているか
  5W1Hで言えているか

2.極端な方がいい!ブランドは尖っているか
  中途半端になっていないか。ある・ない 極端のススメ

3.プロダクトアウトとマーケットインのバランスは取れているか
  セールスポイントとバイイングポイントを理解しているか

4.最初が肝心!フロント商品に力を注いでいるか
  偶数よりも奇数、広げておいてバイエンドを狙え

5.すべてのデザインはターゲットを意識しているか
  期待を裏切っていないか。統一されているか

6.AIDOMAの法則に従い、買うまでの流れを創っているか
  先の段階を見据えているか。ネットならAISAS

7.いい商品だけでは売れない。バランス良くベネフィットを訴求しているか
  機能的・感情的のベネフィットで何を満たすか

8.みんなと同じ では埋もれてしまう。名刺をきっちり活用できているか
  ツールの棲み分けはできているか。目的を意識しているか

9.チラシやパンフに必要な5つの基本要素はデザインされているか
  ターゲット、ウリ、イメージ、信頼性、アクションへの助走

10.DMやチラシは響くタイミングを考えているか
  早ければいい!は大間違い

11.顧客の階層構造を意識してアプローチしているか
  ピラミッドごとの満足度を意識しているか

12.創っただけではダメ!サイトは活用できているか
  3秒ルール、一等地、トラフィックの重要性

13.少しでも多く使わせる、客単価アップの仕掛けはできているか
  目的と作戦を練っているか

14.リピーター確保の大原則
  何を満たすか。そのタイミングを間違えるな

15.良いものなのに売れないのは情報不足
  定期的にプレスリリースを発信しているか
  

上記15ポイントは、あくまでも基本中の基本であり、その1つでも2つでも実践してほしいと語り、講義を締めくくった。さて次回は、お客さまの怒りを笑いに変えるクレーム・コンサルタント 谷厚志氏によるセミナーだ。お楽しみに!




■創業セミナー第3回 
12月16日(金曜日)18:30〜21:00(開場18:00)
講師/お客さまの怒りを笑いに変えるクレーム・コンサルタント 谷厚志氏
司会進行/寺田勝紀氏


取材・文、撮影/岡部 恵

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