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NICe創業・新規事業セミナー

アントレフェア第2日目レポート

2012年1月20日(金)・21日(土)東京・蒲田で、株式会社リクルートアントレ主催・NICeほか6団体協力の『アントレフェア』が開催された。2日間連続の「特別セミナー」では増田紀彦代表理事が講師を務め、先輩起業家の実体験を双方向で聞ける「先輩交流セッション」でも増田代表理事がファシリテーターに。また場内には様々なビジネスプランを提供する50ものブースが並び、その一画に総合相談コーナーとしてNICeも出展。NICeのブースには、2日間で53名が訪れた。

アントレフェア第1日目レポートはこちら


【1月21日】


【特別セミナー1】




「独立資源発見ワークショップ」 第2日目・未来を見る


テーマ:誰を幸せにするのか? 狙う相手を知ろう!


一般社団法人起業支援ネットワークNICe 増田紀彦代表理事

「2日間連続で受講いただくことを参加条件にした独立資源発見ワークショップ、2日目のテーマは、狙う相手を知ろう、です。昨日は、自分自身を知ろう、でした。“敵を知り、己を知れば、百戦危うからず”。

ビジネスというのは、人間が人間に対して行います。たとえその間に自動販売機や機械が入ろうと、働きかけるのは人間、その働きかけた価値を受け取るのも人間です。人間というのはいろいろいますよね、十人十色です。どういう能力・適性を持った人間が、どういう種類の人間に働きかけると一番効果的なのか。ここがわかっていないと、無駄な動きをしてしまいます。
マグロでたとえるなら、自分のどこの部位が一番美味しく、いい値がつき、そこを欲しがってくれる人間がどこにいるのか。ここを見つけていけば、ビジネスはスムーズです。

あまり得意ではないこと、好きではないことでビジネスをしても、それが得意で好きな人にはかないません。また、欲しがっていない人間に売ろうとすると苦労をします。理想の夫婦のように、対等に結ばれる客層と自分とをつなぐことが大事です。ですから、自分を知らないとどうしようもありません。自分のことはわかっていると思うでしょうが、忘れていること、過小評価していることが非常に多いです。できることが当たり前と思うことや、自分の業界ならば常識だと思うことも、他業種にいけば非常識、新しいこと、驚かれること、喜ばれることがたくさんあります。これは全業界に通じて言えることです。ですから、自分ができること、知っていること、体験してきたことを冷静に、過小評価せず、しっかり把握してください。これだけできる自分を、では、どこに売れば高い評価が得られるか、を考えることです。ここまでが昨日の復習であり、本日の前置きです」


●ビジネスを始めるうえで大事な基本

増田氏は、「2日間70分ずつの間にすべては伝えられませんが、ビジネスを始めるのにとても大事な、基本的なことを伝えます」と語り、自身の胸に手を当てた。

「まずハート。信念がないと商売はできません。どうしても自分はこれを世の中に出したい、提供するもので誰かを喜ばせたい、こういう生き方がしたい、雇われないで生きたい、人を幸せにしたい。そういう信念です。ここから“し”で始まる言葉が続きます。ぜひ覚えてください。

2つ目の“し”は、仕組みです。大事なポイントですが、やる気があって、強い信念があっても、この仕組みがないとビジネスは成り立ちません。どのようなものを、どのようなタイミングで、そのような形で、いつ、いくら、どのくらい提供したら喜ばれるか、ここが仕組み、つまりビジネスモデルです。ここを考えるのが一番大変です。自分の力と志向がわかり、相手がわかり、その要望がわかり、どうつないでいくか、です。ここを考えるのが最も大変であり、その善し悪しで成否も大きく変わります。

3つ目は、資金。仕組みとの関係はとても密接です。対価を払って仕組みを教えてもらう方法もありますが、逆に言えば、いい仕組みを考えられれば、必要資金を下げることができます。今日は後ほどこの点もお話します。

そして、4つ目の“し”は、支援です。
いくらいい仕組みを考え、資金もあり、信念があっても、支援してくれる人がいないと成功は難しいものです。『そんな信念を持っているなら、よし、ぜひ応援するよ、頑張れ』という応援者を得るには、何がしたいか、どうしたいのか、自ら発することが大事です。実際に私が独立したのは25年前。思いを訴え、いい仕事がしたい、と言って、たくさん応援してもらいました。物品に文房具に原稿用紙にカーテンまで(笑)。友人や先輩の応援たくさんいただきました。そんなに頑張るならばと、と嬉しい応援、仕事も来ました。

信念がある人を、人は応援したくなる、してくれます。みなさんも、そうではないですか? お金があるから事業を始めた人は、お金がなくなると応援してもらえません。信念がある人は、応援したくなりますし、お金が少なくても、信念があれば頑張れるし、思いがあれば、お金が足りなくても知恵で仕組みをカバーしようとします。

信念がある、仕組みがしっかりある、資金を用意できる、そして支援者がいる。この4つの“し”が大事という話でした」


●起業を実現させるのも、ビジネスを成功させるのも、お金ではない。
 価値を生み出す知恵である


「さきほど、大切な“し”で、いい仕組みを考えられれば、資金を下げることができますと述べましたが、むしろ資金があると、あれこれお金で解決してしまうので頭を使わなくなります。これは経営者にとって、一番怖いことです。物事を考えない人間、頭を使わない人間、何通りもの知恵を巡らせない人間は、何より経営者に向いていません。お金でものを解決しようとすると頭を使わなくなるんですよね」

増田氏は150円のペットボトルのお茶を示して、参加者へ質問した。
「今は真冬ですが、想像してみてください。気温が36度ぐらいの真夏。熱中症になりそうな暑い日に、3時間くらい外を歩き続けて、意識がもうろうとしている状況を。あぁ、目の前に自販機が!!助かった!と思ったけれどお財布がない。もう倒れる寸前。さぁ、どうしますか?」

参加者に次々と聞いては、その可能性を消去していった。



「携帯電話のお財布機能」「携帯もない」
「周りの人に助けを求める」「誰もいない」
「蹴飛ばしてみる」「何も出てこない」
「警察に頼む」「周りに交番もない」
「小銭が落ちていないか探す」「見つかったが買うには足りない」
「川や湖、水源を探す」「見当たらない」
「日陰を探す」「体力を温存ですね」
「お店を探す」「お店もない」
「民家を探す」「民家もない」
「自販機を分解する」「できない」
「草か植物がないか探す」「生えていない」
「ゴミ箱の残り」「ちょうど清掃済み!」
「汗、尿を飲む」「余計に喉が渇きます」

全員が回答したところで増田氏はこの質問の意味を解説した。
「課題の本質は自販機で買うことではなく、水分補給です。その代替方法をしっかり考えたことが大切なのです。でも150円持っていれば、1案も考えませんね。持っていなければ、真の課題に気付くのです。いろいろと代替案を考えます。今のみなさんの回答の中に、人に助けてもらう方法もありました。これも大事なひとつです。なまじお金があると、人に頭を下げなくなります。人に借りをつくるのはいやだ、関わるのが面倒だ、という人いますが、ビジネスをするうえで、人に関わらないなんてことはありません。むしろ、借りをつくって助けてもらって、ありがとうございました!とお礼したら喜ばれます」

起業独立の際に、どうしても資金のことを考えがちだが、それは起業独立準備のずっと後のほうだという。お金がないから独立できないと諦めたり、妥協したりするのではなく、ほかの解決案、代替案を考える。その資質は経営者にとってとても重要だと強調した。万が一、資金が十分あったとしても、ないと思って考えることが大切だという。なぜなら、お金は時間も買えるからだ。決着を急がねばならない、いざという時のために、取っておく。そのためにも、常にほかの解決案、代替案を考える癖が経営者には必要なのだ。では、具体的にどのような知恵があるのか、全国各地の起業家実例の紹介へと話題を進めた。


●先輩起業家実例から学ぶ、共通点とは

増田氏は、実際にお金をかけずに小資本独立を果し、強い事業を展開している先輩起業家の実例を紹介した。徹底節約した4事例、部分削除4事例、新モデル2例。「そんな方法もあるのか!」「そんなこともできるのか!」と、目からウロコの10事例をそれぞれを具体的に紹介し、特に大切な視点を以下のように述べた。

「徹底節約事例では、資金不足をカバーする柔軟な発想、地味な努力と知恵が満載でしたね。そして、彼らは何かをやりたいのかが明確です。しかも描いているイメージは2,3年後です。こじんまり始めて、信頼と実績を積んで、ホップステップジャンプしていっています。ビジネスは小さく始めることが大事です。最初から大きな器を運営できる能力はありませんから。

部分削除事例から学ぶ大事な視点は、従来の商品やサービスには、いくつかのサービスが組み合わさったものが多いということです。部分的に絞れば、そこだけを求めている人間がわかりやすくなりますし、狙っている相手と、狙っている相手が求めていることが明確になります。と同時に、資金も経費も少なくて済みます。

新モデル事例は、その発想の素晴らしさもありますが、経営者が注意すべき点も含まれています。プロダクトライトサイクルと言って、最初はほかにないから売れますが、売れ出すと他が進出してきます。価格競争になり、経営状態が下降します。ですから起業家は常に先を考え、何度もチャレンジしないといけないのです」


●ビジネスの成否は「誰に売っているのか?」の正否で
 決まってしまうといっても過言ではない。


それぞれの重要ポイントを述べた後、さらに徹底節約事例、部分削除事例、新モデル事例には、共通点があると続けた。それは、誰に売るのか(標的セグメント)が極めて明確であるという点だ。加えて、何を売るのか(商品・サービス)、どう売るのか(価格・流通・宣伝など)、この3つの視点から、相手を細分化して作戦を考えているからこそ、小資本独立で強い事業を展開できているのだと解説した。さらに標的セグメントに『NO!』と言われないために、以下の5Pを計画し、実施することが大切だと説いた。

・プロダクト/ネーミング、品質、デザイン、パッケージ、サイズ、付属品、取り扱い説明、保証など
・プレイス/販売エリア、流通チャンネル、立地、サイト、倉庫保管、運送方法、在庫、品ぞろえなど
・プロモーション/販売・営業方法、販売・営業体制、教育、広告(表現・メディア)、販売促進、PRなど
・プライス/小売価格、卸売価格、値引率、消費税、支払い方法、支払い期間など
・ポリシー/法令遵守、地球環境配慮、弱者配慮、従業員機会均等、地域貢献、CSRなど



上記の要素のひとつでもNGがあると、買う気満々になっている相手が『NO!』となる事例をいくつか紹介した。狙っている相手がわかっているならば、その相手のライフスタイルをも考慮して、5Pの細分項目を具体的に洗い出し、対応していくことが重要だと念を押した。だからこそ、最初に特定するセグメントの設定は、より重要となってくる。


●購買動機別に細分化し、優良セグメントを発見しよう

さらに、特定セグメントの中の優良セグメントを定めるよう増田氏はアドバイスした。配布資料には、「花を購入する人というのは、どういう目的を持った人たちか? 最低5とおり、できればそれ以上を考えてみよう」と記され、空欄が15ある。花屋に買いに来る人の目的はさまざまだ。自宅の玄関に定期的に飾りたい人、お祝いに贈る人、花屋で眺めるのが好きな人、バラが好きな人、雑貨が好きな人、お見舞いに行く人、などなど。○○屋ではなく、だれ屋か、という視点だ。

「市場は小さくなっていますし、欲しいものだけを買い求める傾向になっています。だからこそセグメントに則した5Pを提供するのです。従来のビジネスモデルを真似ると、セグメントが定まらず、それだけ資金も必要になります。ですから、誰に、という特定セグメントを定め、購買動機別に細分化することで、特定セグメントの中の優良セグメントを定めることが重要です。
初日は、自分を知る。今日は、狙う相手を知る、でした。ぜひ継続的に勉強し続け、素晴らしい独立人生を歩んで行ってください」と述べ、2日連続の特別セミナーを締めくくった。



【先輩交流セッション】


1テーブルに現役の先輩オーナーがひとりつき、そのテーブルに参加者数名が座り、テーマに合わせて時間内でディスカッションする先輩交流セッション。2日目の先輩オーナーの業種は、ハウスコーティング、リフォーム、訪問介護。ファシリテーターの増田氏は「先輩達はぜひ、業界の代表ではなくひとりの個人としてぶっちゃけトークを、参加者のみなさんも聞くだけでなく、思いをぶつけ、質問をしてください」と語り、ワールドカフェ形式のルールを説明した。



<ワールドカフェのルール>
・お菓子を食べながら気軽にリラックスして話を聞く、話をする
・15分ごとにディスカッションし、1名を残してテーブルを移動する
・オブジェを手にしている人が話す。他の方は聞く
・好きなサインペンで模造紙に自由に書く
 メモでもアイデアでも絵でも図でもOK

1グループ15分ずつのディスカッションがスタート!

Q:参加者から自己紹介、どのような思いで来場したのか
  &フリートーク、質問



テーブルを移動し、同じテーマで15分




ブレイク/増田氏から参加者に質問 先輩達に共通しているなと感じたことは?

・一生懸命、日々やっていくことがつながっているのだなと。
 1年半で利益が出るってすごいと思った
・営業で価格競争にまきこまれていくと大変なので、
 利益を上げるポイントを学んだ。
・人の重要性、コネクションの重要性、コミュニケーション能力の大差切さを学んだ。

・利益を出すには、戦略も必要だし、人との関係性が大事。
オーナーの個人的な努力は不可欠。



ブレイク/増田氏から先輩に質問 参加者の印象は?
・漠然とだが起業のイメージと目的意識を持って参加している。
 まだまだ模索しているようなので、
 自分に合う職業を見極めることが大事だと感じた
・利益や先のことを考えているなと感じた。でも自分も起業前はそうだったと思う。着実に積み重ねて結果は後から着いてくるので、慌てずに始めて欲しいと感じた
・自分から見たら、あえていばらの道を選ぶのだなと思う。しかし、やりがいというかけがえのないものを求めているのだと言える。

↓テーブルを移動 同じテーマで15分

最後に先輩たちから参加者へメッセージ
・こういう話をしたやつもいるなと、いずれヒントに使っていただければと思います。
・真剣に質問をしていただき、わかることは全部話したつもりです。これから独立に悩むこともあると思いますが、いろいろ見て、聞いて頑張って欲しいと思う。
・少しでも役に立てばできる限りの情報を流したいと思います。自分に合う職業を探していただきたいと思います。


20分ずつ3人の先輩に聞きました。70分という短い時間でしたが、参考になる話ができたと思います。先輩オーナーたちは、職業も地域もタイプも違いましたよね? でも、その3人に共通した何かをつかんでいただけたと思います。それをヒントにしてください。どうもありがとうございました」



▲▼NICeの総合相談コーナー。1日目に相談員を務めた小林京子氏上久保瑠美子氏安藤愛子氏増田紀彦代表理事に加え、この日は愛知県の菅沼之雄氏も来場者からの相談に対応した。2日間でNICeの相談コーナーを利用した人は53名にのぼった


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取材・文・撮影/岡部 恵
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