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Column
NICe代表理事の増田紀彦が、NICe正会員・協力会員・賛助会員、寄付者と公式サポ ーターへ送っている【NICe会員限定スモールマガジン増田通信】の中から、一部のコラムを抜粋して掲載しています。
増田通信より「ふ~ん なるほどねえ」19 キミは、桜島を本当に見たのか?




シンガポールから空路で成田へ戻る途中の出来事だった。
親切なCAが声を掛けてくれた。
「お客様、窓から下のほうをご覧になってください」。

黒みがかった、雲とも煙ともつかない物体が私の目に飛び込んできた。
「あれ、桜島の噴煙なんですよ」

噴煙を上から眺めるチャンスがあろうとは!
と、歓喜したのも束の間、私は考え込んでしまった。

そもそも、私は桜島を実際に見たことがなかったのだ。
海外からの帰路だったことも影響したと思うが、
私は、日本のことをどれだけ知っているのだろうかと……。

「九州の鹿児島県に桜島という活火山がある」。
という事実を知っているのではなく、そういう情報を知っているだけ。

考えてみれば、私が知っていると思っていることは、
その大半がメディアを通じて得た情報だ。
私だけでなく、多くの日本人がきっとそうだろう。

多くの日本人はそれでもいい。
だが、ものを書き、あるいはしゃべることを生業とする私が、
自らの五官で捉えていない事象を語るのは罪悪に近しいと感じた。
逆に言えば、そこまで自己を糺したくなるほど、
私の脳内はメディア情報に占領されていたということだ。

私は東京から取って返すように鹿児島空港に向かい、
レンタカーを借り、4泊5日を使って鹿児島県中を走り回った。
それこそ取り憑かれたように、鹿児島の人々に触れ、
自然に触れ、歴史と文化に触れ、産業と公共に触れて回った。
言葉一つに学習があり、路地一本に発見があり、料理一品に衝撃があった。

以降、名前こそ知るものの、行ったことがない、感じたことがない、
そういう国内各地を徹底して旅するように私はなっていった。
もう10年以上も前の話だが。

さて、NICeの話。
NICeはnational incubation centerの正式名称が示すとおり、
全国展開・全国交流・全国連携を基本としている。
経済産業省が運営していた頃なら、全国活動はさして苦労ではなかった。
だが小さな社団法人のNICeにとっては、本当に大変なことだ。
それでもそれに執着するのは、桜島の噴煙を見た時の気付きと決意が、
今も私の中で赤々と燃え続けているからだ。

日本を知らずに、日本を感じずに、日本を語るなかれ。

だから私は今年も一心不乱に全国のみなさんのもとを訪ね、
共に学び、共に感じ、共に考え、共に行動を起こしていこうと思う。
それをやり続けることが、
私がこの世に生を受けている意味なのだと、知るからだ。


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増田紀彦NICe代表理事が、
毎月7日と14日(7と14で714(ナイス)!)にお送りしている
【NICe会員限定レター/「ふ〜ん なるほどねえ」スモールマガジン!】
増田通信・第19号(2013/01/07発行)より、抜粋してお届けしました。
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