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NICe主催「本気のファシリテーション講座 第2弾!」レポート







2013年9月7日(土)・8日(日)、東京・夢の島のBUNB東京スポーツ文化館で、NICe主催「本気のファシリテーション講座 第2弾」が開催された。これは第1弾(基礎編5月12日開催 レポートhttp://www.nice.or.jp/archives/15537、実践編6月15日開催 レポート http://www.nice.or.jp/archives/16063)の好評を受け実施が決まったもの。初日の基礎編には11名、翌日の実践編には12名が臨んだ。

講師は前回と同じく、有限会社ヒューリス代表取締役、NICe理事の小林京子氏。小林理事は、20年以上にわたり多種多様な業態業種で人材育成と研修を担当し、ファシリテーターとして公的機関や民間企業からの講演・講師依頼も多いファシリテーションの専門家。心理学的根拠をもとにしたモチベーションアップのワークショップも定期開催しているほか、全国各地で開催されるNICeの勉強会でも幾度となくファシリテーターを務めている。
その小林理事が、本物のファシリテーションのノウハウを本気で伝授する「本気のファシリテーション講座 第2弾」は、遠方からも参加しやすいようにと、土日の2日連続で基礎編&実践編が実施された。その意図通り、秋田県、新潟県、長野県、和歌山県と、半数以上が関東圏以外からの申込みで、経営者、個人事業主、講師業、会社員、公務員、団体職員、プロジェクトリーダーなと、立場も職種も業種もさまざまだ。

開催に先立ち、小林理事から参加者へは事前にアンケートが送られていた。職業、受講目的、ファシリテーションスキルを使いたいと考えている具体的な場面、状況についての質問だ。この事前のやり取りが単なるアンケートではなく、講座の中でどれほど生かされているか、事前アンケートの意義と目的を講座の随所で実感することになる。


●基礎編

冒頭、椅子を円に並べて座り、自己紹介からスタート。先陣を切った小林理事は、「長い経験で積み重ねたスキルを、実体験の話を、惜しみなくフルに伝えたいのです。ですから、使えるものはどんどん使ってください。私も本気で、受講される方も本気で、ガッツリやろう!という意味で、タイトルに“本気の”と付けたのです」と、セミナーの名称への思いを熱く述べた。

続いて全員が、「この講座で何をしたいか、何を持って帰りたいか」を含めて1分程度で自己紹介。地域も立場も職種も受講目的も多彩な顔ぶれだ。小林理事は「みなさん、バラバラデしょう? だからこそ、この関係性で起きること楽しみながら学びましょう」と微笑み、さっそく円陣の意味、ファシリテーターとしてどこに着目するか。そもそもファシリテーションとは何か、なぜ今の時代にファシリテーションスキルが求められているのか。ファシリテーターの役割とは何か、従来型リーダーとファシリテーション型リーダーの違いについて、講義を進めた。



昨今、ファシリテーションという言葉が一般的になって来たが、イコール会議の進め方と捉えられがちだという。だが、会議の進め方もファシリテーションのひとつに過ぎず、集団のひとりひとり、関係性に働きかけるのがファシリテーションであり、会議の場だけに生かせるものではない。企業内ではもちろん、組織を超えたプロジェクト、地域活動、コンセンサスを図る集会、初対面の複数の人が集まるセミナーなど、大人数たとえば、円陣を組んだ先の自己紹介の場も同様だ。座学に入る前に、小林理事は円陣の中でこう述べた。

「この形の中での私が、ファシリテーターです。目指すのは美しい円、輪です。一段高いステージにいるわけではないし、肘掛けがある特別な椅子でもない、みなさんと同じ位置で同じ椅子で参加しています。集団の中で、その一員として私が居ます。ぐいぐい引っ張っていくのではなく、フラットな立場で、場を促進すること。そして、集団活動を阻害する要因を改善し、自発性を生み出すことです。たとえば、エアコンの風が強いかなとか、あそこの椅子だけ引いているなとか、場を見ながら阻害要因を改善し、いいなと思うことを後押しする。目で見えるもの、耳で聞くものだけでなく、目には見えないものも捉えて働きかけていくことが求められます。ファシリテーションの象徴がこの円、いかに集団を美しい円にするか、ぜひ念頭においてください」

さっそく美しい円にするために必要なスキル、場を読む、非言語メッセージを読み解く、場の観察ポイントについて学び゛。さらに集団の緊張を解き、和ませ、コミュニケーションを取りやすくするアイスブレイクにも取り組んだ。

さらに、レクチャースキル、傾聴のスキル、引き出す質問のスキル、応えるスキル、発言や質問の方向を転換させるスキル、対人関係スキル、異なる意見を歓迎するスキル、要約する・まとめる・理解を促すスキル、成長を促すためのフィードバックスキルなど、ファシリテーターに必要な基本的な概要について、講座と実践ワーク、小林理事の体験談を交えながら学習した。




小林理事は、時おり困難な状況に陥った時の解決策や重要ポイントを織り交ぜて伝えていた。これは、事前アンケートで参加者が回答した受講目的と課題への秘かなアドバイスだった。一人ひとりが抱える課題の解決だけでなく、それを参加者全員で共有したことで、さらに理解を深め合うことに。そして最後に、基礎編だけの参加者へのフィードバックを行ない、翌日の実践編への意気込みを語り合い、6時間におよぶ初日の基礎編が終了した。






●実践編


翌日の実践編には、6月に受講したリピーターも加わり12名が参加。実際にひとり一人がファシリテーターを担当する、まさに実践編だ。

まずは、小林理事から、実践編のタイムスケジュールと配役が発表された。これは事前アンケートに基づき、参加者それぞれのスキル、課題.受講目的にあわせて組まれたもので、実践する際の重要ポイントについて説明がなされた。続いてファシリテーションスキルに欠かせないフィードバックスキルについて学んだ。フィードバックスキルとは、個人や集団が成長するためになされるものであり、評価ではない。見たもの、聞いたものの中からより具体的に伝えることが大切であり、その伝える言葉、伝え方、内容、タイミング、順番なども配慮する必要がある。

これらを念頭に、いよいよ実践。最初にリピート参加の横山岳史氏による素質統計学のプチセミナーが披露され、人の素質ベクトルの特徴と傾向、陥りやすい点などを共有した。その後フィードバックが行われ、アイスブレイクを交えながら進行。講師やプレゼンなどに欠かせないレクチャースキル、より多くの発言を求めるブレストミーティングスキル、意見を求め集約し決定までを促すミーティングスキル、異なる意見をひとつの方向性へと促すコンセンサススキルなど、10テーマで実践を行い、1テーマが終わる度に、全員でファシリテーターを務めた人へフィードバックを行った。ひととおりのフィードバックが終わった時点で、小林理事からもフィードバック。ファシリテーターとしてどうだったか、改善点はどこか、その本人だけでなく、フィードバックの伝え方、着目点についてなど細かな点を全員で共有し、約6時間に及ぶ実践編が終了した。








参加者からは、
「ファシリテーションの基礎を学びたくて参加したが、仕事の中で自分の立ち位置、役割が鮮明になった。実践を見てもらうことも勉強になったが、集団の中からファシリテーター役の人を客観的に観察するこができて、より深堀りができた。職場でぜひ生かしていきたい」

「書籍などでファシリテーションを勉強してきたが、実践しながら学ぶことの大きさを改めて感じた。実践したことで自分の弱みもよくわかったし、フィードバックがとても参考になった。読書や短時間講座を数日にわけて受けるよりも、格段に身についたと感じる。集中して学べたことに感謝したい」

「自分の実践だけでなく、みなさんの実践を聞いたり見たりすることで、いい点・悪い点がクリアになった、自分ならどう生かせばいいか、考えることもできたので、明日からの企業研修にさっそく生かせる。東京だけでなく地方でも開催してほしい」

「前回に続いてのリピート参加だが、学びの場、気付きが多い会だと痛感する。自分が足りないところ、陥っているところを認識できる場はなかなかないので、こういう時間は重要。自分もまた参加したいし、みんなにも参加してほしい」

「ファシリテーションとは何かを持ち帰りたいと臨んだが、いろんな人がいろんなファシリテーションを実践して、幅が広がった。自分がフラットであれば、どういう状況でもその人に合ったファシリテーションになるのだと楽しみながら学べた。自分の改善点も得られたので、直していきたい」

「実践編のリピーターで参加した。前回と今回、同じテーマでも、その人によりまったく異なることを体感でき、ファシリテーションの深さを学んだ。今日からまた成長できるのではないかと自分へ期待したい。何度でも新鮮に学べる会だと思うので、また実践編にはリピートしたい」

「いつも子ども相手の仕事なので、大人の前で話すこと自体慣れていない。ノウハウやしくみを頭でわかっていても、実践の場では真っ白になってしまう。少しでも克服できればと臨んだが、基礎編と実践編と2日間じっくり学べた。みなさんからたくさんのフィードバックをいただけたこと、とても具体的ですぐに生かせる、本当にありがたい機会だ」

「受講するたびに、新たな発見と学びがあり、前回とは違うものを習得できる。またこの機会あれば参加したいし、和歌山県でも開催してほしい。プロに教える仕事をしているので、より厳しくするなら、ここで学んだことの逆のことをすると効果的だと実感できる」

「自分は何ができていて、何が足りないのか、2日間チェックしながら受講した。自分の実践だけでなく、みなさんの実践により疑似体験しながら学べたこと、またフィードバックを繰り返すことで、経験値が増していくと感じた。刺激的で学びが多く、受講するたびに発見がある。次回までに復習し、チェックのためにまた受講したい」

「実際にやってみると、職場での問題点・改善点が次々にクリアになっていった。話の落としどころが見えない会議をしてきたが、今回学んだ知識があればもっと生産的になったのにと思う。今日は実践編で素質論も学ぶことができ、自分を知ることの大事さも知った。自分を知る、そこがファシリテーターの第一歩だと感じた」

最後に小林理事から。
「2日間、おつかれさまでした。みなさんがどう受け取ってくれるのか、そこから場の流れも変わりますし、毎回反応も違います。その瞬間を見ながら対応していくので、どう伝えていくか。私にとっても新鮮で、たくさんのことを学ばせていただきました。ファシリテーションスキルは、経営者やリーダー、講師、地域の活動だけでなく、その集団にいる人みんなが知っていると、活動も楽にスムーズになっていきます。少しでも広がったらと思っているので、今日のことを生かしながら、また周りの方々へ伝えていっていただけると嬉しいです。今回紹介したアイスブレイク30連発のような企画も考えていますし、来年にまた基礎編・実践編を実施したいと思っています。実践編だけでも日程が合えばどうぞ参加してください。またきっと、面白いと思います」




取材・文、撮影/岡部 恵

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